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テーマ:山登り(187)
カテゴリ:日常
ちょっと前、夜になんとなくTVをつけたら、氷河の見える綺麗な岩山に登ってる映像をやっていたので、番組名も知らずに見てみました。
その番組で岩山に登っているのは夫婦の登山家らしいんです。 が、なんと、旦那は手の指が何本か無い上に、片足の足の指が全部無いとか、その奥さんまで手の指が無くて、指の付け根みたいなところで改造した登山道具を使いながら、垂直に切り立った岩山をロック・クライミングしてるんですな! いったいこの夫婦は、何者じゃい? と思いつつ、景色の美しさにも惹かれ、 番組の終りまで視てしまいました。 やがて、ついに北極圏・グリーンランドの人類未踏の切り立った岩山の頂上に到着。 たたみ数畳分ぐらいの平らな岩場の上から、氷河や周りの山々の風景を見下ろしてました。 私はこの映像を見ながら「これは多分自分では死ぬまで実際には見ることの無い景色だろうな」と思いつつ・・・ ◆そのTV番組とは、これでした。 NHKスペシャル 夫婦で挑んだ白夜の大岩壁 ~凍傷で指を失った登山家夫婦が、この夏、北極圏・グリーンランドにある、高さ1300メートルの未踏の大岩壁に挑んだ― TVを見終わってから、この夫婦は何者か調べてみました。 この登山家夫婦は、山野井泰史さんと妻の妙子さんで、 夫の山野井泰史さんは、日本国内では一般には(登山を趣味としない人には)あまり有名ではないが(私も知らなかった)、 海外ではかなり有名な世界トップクラスの登山家だそうです ヒマラヤ等の数々の超高所名峰を、 ソロ(一人)で、 無酸素で、 踏破してる超人なんですな。 今まで何度かTVで見たことのある有名な登山家の出てる番組でもヒマラヤ等の超高所登山では、 大人数のチームを組んで、 ヤクやシェルパに荷物を運んでもらいつつ、 酸素ボンベで酸素を吸引しながら、 やっと登頂していたのに・・・ そして、指が無い理由というのが、 2002年秋、ヒマラヤのギャチュンカン北壁の単独登頂に成功するものの、帰路に途中で待っていた妻と共に雪崩に遭い、 壮絶な生還劇の末に脱出するが、 凍傷で泰史さんは両手及び右足の指を計10本、 妻の妙子さんは計18本(両手全て)を失う代償を払うことになった、というもの。 んー、凄すぎる。 そして、そのときの事故の様子を含め書かれた自著があるというので、さっそく買って読んでみました。 ■著:山野井 泰史 垂直の記憶 事故の様子も淡々と書かれています。 他人による装飾のある文よりも、ある意味凄みを感じます。 現在のように、冬の寒い季節に読むと臨場感も倍増。 普通の人間だったらゆっくり歩くのも辛い8000m級の岩壁で、 雪崩に何度も遭いながら、 2人とも目が見えなくなりつつ(酸素が薄いから?雪崩の怪我で?)、 手探りで岩を探しながら(それで凍傷に) ロープで宙吊りのまま眠ったり、などしながら 奇跡的に生還したんです。 気力を切らさない絶望的な状況でも諦めない精神力、 冷静な判断力、超人的な体力、熟練の登山技術、それと運。 それらが揃ったので奇跡の生還ができたのでしょう。 そして 普通これだけの目にあったら、もう登山なんか止めます。 でも、登山を止めずにリハビリをして、グリーンランドの人類未踏の大岩壁を登ってしまったんですな(去年2007年に)。 この人にとって、人生=登山の様です。 生きている事は、登る事なんです。 または、呼吸と同じ。 だから、指を失ったからといって、登山を止める事にはならない。 また、スポンサーを付けると資金は楽だけど、色々制約も付くのが嫌なので、富士山で強力(ごうりき)をやって高所順応しつつ資金を貯めたようです。 ソロでとか、無酸素で、とかいうのも、この人の「自由でありたい」という意識からきている様に思えます。 そういうのもあって、コマーシャリズムに乗らないから、日本であまり知られて無いのでしょう。 一般にはあまり知られてなくても、凄い日本人もいるんですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.02.11 08:42:01
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