薔薇と駒鳥 XX
黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。「今夜は嵐になりそうですね・・」 セバスチャンはそう呟きながら、窓を激しく叩く雨音に耳を澄ませていた。 その時、外から誰かが裏口のドアを叩く音がした。「あなたは・・」「お願い、二人を助けて!」 セバスチャンが裏口のドアを開けると、そこには全身血と泥で汚れたヘンリーが、今にも倒れそうな顔をしたリチャードと、負傷したケイツビーの身体をかろうじて支えていた。「どうぞ、中へ。」 セバスチャンはヘンリー達をファントムハイヴ伯爵邸の中へ招き入れると、メイリンとバルドーを叩き起こした。「メイリン、今すぐお湯の用意を。バルドーは温かいスープの用意を!」「イエッサー!」 セバスチャンは客間に入ると、そこには毛布を身体に巻き付けたヘンリーとリチャードの姿があった。「ありがとう、助かったよ。」「それよりも、一体何があったんですか?」「それがね・・」 ヘンリーはセバスチャンに、リチャードとケイツビーを見つけ、ここまで連れて来た経緯を話し始めた。 いつものようにヘンリーが大聖堂の鐘楼からパリの街を見下ろしていると、誰かが鐘楼へと上がって来る足音が聞こえてきた。「誰なの?」「ヘンリー、俺だ、助けてくれ。」そう言ってヘンリーの前に現れたリチャードは、全身血と泥だらけだった。「リチャード、どうしたの?」「ジプシー狩りに遭って、俺を庇ったケイツビーが矢で射(う)たれた。」「君は、何処にも怪我はない?」「あぁ・・」「ここじゃ、君達には僕は何もしてあげられない。だから、僕は君達を助けてくれる人の所へ連れて行くよ。」「頼む・・」 こうして、ヘンリーはリチャード達をファントムハイヴ伯爵邸へと連れて来たのだった。「ケイツビーさんは、どこに?」「ご安心ください、ケイツビー様なら、今客用の寝室で医師の手当てを受けています。」「そうか、良かった。」 リチャードはセバスチャンの言葉を聞くと、安堵の表情を浮かべた。にほんブログ村