一輪花 現代編 「夢と葉桜」 (8)
「進撃の巨人」の二次創作小説です。作者様・出版者様とは関係ありません。二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。リヴァイが両性具有設定です。苦手な方は閲覧なさらないでください。“純喫茶・シーナ”を後にしたエルヴィンは、適当に外で食事を済ませ、帰宅した後、ハンジから病院で渡されたリヴァイの育児日記に目を通した。“最近、貧血と吐き気が酷くて病院へ行ったら、おめでとうございますと医者から言われた。” リヴァイの震える字の下に、胎児のエコー写真が貼られていた。小さい黒点の上に矢印で『エルヴィンと俺の子』とリヴァイの字で書かれていた。“悪阻が酷くて何も出来ねぇ。食欲はあるが、食べ物の臭いを嗅いだだけでも吐いちまう。”“腹の子は順調に育っている。医者から性別は女だと言われた。エルヴィン(父親)に似るといいな。”“どうやら腹の子は俺に似てお転婆になりそうだ。胎動が激しすぎて寝られやしねぇ。”“ハンジに励まされながら、エルヴィンそっくりの女の子を産んだ。良かった、あいつに似て。眉毛は俺に少し似ている。” リヴァイの育児日記を読んだ後、エルヴィンは自然と涙を流していた。(リヴァイ、君に今すぐ会いたい・・) エルヴィンがリヴァイの育児日記を閉じた後、突然玄関のチャイムが鳴った。(こんな時間に、一体誰だ?) エルヴィンがそう思いながらインターフォンの画面を覗くと、そこには昼に会ったケニーが映っていた。 『よぉ、ちょっと中で話さねぇか?』「・・わかりました。」 エルヴィンがケニーを部屋の中へと招き入れると、彼は少し疲れたような顔をしながらソファに座った。「何かあったのですか?」「あぁ。」 ケニーはそう言うと、ある物をエルヴィンに見せた。 それは、今日発売されたばかりの週刊誌だった。「ここに、お前とリヴァイとの事が書いてある。」「何だって!?」 エルヴィンがケニーの手から週刊誌をひったくると、その記事に目を通した。 そこには、何処から入手したのか、中学時代のリヴァイの写真が載っていた。「どうして、こんなものが・・」「クシェルが殺した記者の知り合いが、俺達への復讐を始めたんだ。」「復讐?一体何の為に?」「それをお前に話そうと思ったんだよ。」 ケニーは、深い溜息を吐いた後、ズボンのポケットからICレコーダーを取り出した。「これは?」「クシェルが起こした事件の目撃証言がここに入っている。」 エルヴィンがICレコーダーの再生ボタンを押すと、若い男の声が流れた。『・・事件の日、わたしは現場の近くで友人と飲みに行っていました。友人達と別れた後、誰かが言い争う声が聴こえて来たので、声が聞こえて来た方へと向かうと、地面に倒れている男性を見ました。その男性の他に、人は居ませんでした。』「この目撃証言は、嘘だ。こいつは、金を貰って証言を偽った。」「誰が目撃者に金を渡したんです?」「この記事を書いた村瀬って奴だ。村瀬は、あの事件の真犯人に頼まれて、俺達に殺しの濡れ衣を着せた。その真犯人は、こいつだ。」ケニーはそう言うと、エルヴィンに一枚の写真を見せた。 そこに写っていた人物は、ある大物政治家の息子だった。「こいつは、親の権力を笠に着て、数々の悪事を重ねた奴だ。クシェルに付きまとっていた奴は、あの記者じゃなくてこいつだ。」「ケニーさん、話しが全く解らないのですが・・」「あの記者殺しの事件、俺もクシェルもあいつを殺しちゃいねぇ。」「もし彼が・・この写真に写っている青年があの事件の犯人だとしたら、その事をどう証明するんですか?」「俺は、色々と情報通の知り合いが多くてな。今、こいつがした悪事の証拠を探している最中だ。何かわかったら、連絡するよ。」「そうですか。」「この事は、リヴァイには内緒だぜ。」「・・わかりました。」 ケニーが部屋から出て行った後、エルヴィンは一気に疲れが押し寄せて来て、そのままソファで着替えもせずに寝てしまった。「・・もう、朝か・・」 エルヴィンはそう言って眠い目を擦りながらソファから起き上がると、浴室でシャワーを浴びた。 今日は久しぶりの休みで、エルヴィンは平日の昼間にソファに寝転がりながらテレビを見ていた。 夕食の時間になろうとした時、エルヴィンの元に突然母親がやって来た。「母さん、急に来るなんてどうしたんだ?」「エルヴィン、梓ちゃんをうちで引き取りましょう!」「母さん、梓の事をどこから聞いたの?」「奈々さんから聞いたのよ。昨日、奈々さんと奈々さんのご両親と話し合って来たの。不妊治療は諦めて梓ちゃんをうちで引き取ろうって。リヴァイさんの所より、うちの方が・・」「やめてくれ、母さん!」「エルヴィン、子供を諦めろと直接奈々さんに言えるの?奈々さんならきっと梓ちゃんの良い母親に・・」「もう、奈々とは暮らせない。愛のない結婚なんて、するんじゃなかった・・」「エルヴィン、離婚なんて絶対に認めませんからね!」 母親は言いたい事だけ言うと、部屋から出て行ってしまった。 翌日、エルヴィンがいつものようにオフィスで仕事をしていると、机に備え付けられた電話が鳴り出した。「もしもし・・」『エルヴィン、梓をどこへやった!』「リヴァイ?」『梓を・・娘を返せ!』 リヴァイの言葉を聞いたエルヴィンは、自分が恐れていた事が起きた事に気づいた。 にほんブログ村