紫の瞳の人魚姫 ☨5☨
「薄桜鬼」の二次創作小説です。
制作会社様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
土方さんが両性具有設定です、苦手な方は閲覧なさらないでください。
性描写を含みます、苦手な方はご注意ください。
「トシ、三番テーブルの片付けお願い!」
「五番テーブルに料理運んで!」
三年振りに実家に戻った歳三は、家業の料亭『石田屋』を手伝っていた。
以前は会長だった父・隼人が従業員と共に板場に立っていたが、脳梗塞で倒れてその後遺症で左半身が麻痺してしまい、包丁が握れなくなってしまったので、今は社長であり義兄ある彦五郎が会社を継いでいる。
「あんた、どうしたの?少し顔色が悪いわよ?」
「ただの夏バテだろ。」
「そう・・ねぇトシ、あんたも行くんでしょう、花火大会。」
「そういや、今夜だったな・・」
隼人が病に倒れる前、歳三達は毎年夏になると家族総出で花火大会に行っていた。
「あんた、少し太った?」
「そうかな?最近帯を締める時苦しいなと思っていたんだが、ストレスの所為かな・・」
そんな歳三の言葉を聞いた信子は、彼の白い肌に映える紫の浴衣を着せた時、いつも晒しで潰している胸が少し膨らんでいる事に気づいた。
「トシ、あんたこの前生理来たの、いつ?」
「は?何でそんな事急に聞くんだよ?」
「いいから、答えなさい。」
「そうだな・・丁度あいつが死んだ時だから、二ヶ月位前かな。」
「じゃぁ、それから生理は来たの?」
「さぁ・・元々俺は月経不順だから、今回もそうじゃないかと・・」
「そう。トシ、明日あたしと病院に行きましょう。」
「わかった・・」
花火大会の会場は、車で10分くらいの距離がある河川敷だった。
そこには、家族連れやカップルなどで賑わっていた。
「あら、常子ちゃん、久しぶりね!」
「信子さん、お久しぶりです・・歳三さんも。」
「どうも。」
勇の妻・常子は、幼い娘の手を強く握りながら歳三を見た。
「トシ、来ていたのか。」
「勝っちゃん・・」
「その浴衣、良く似合っているぞ。」
「ありがとう。」
「ねぇあなた、そろそろ花火が始まるわよ。」
「わかった。」
勇に甘えた声を出しながら、彼にしなだれかかる常子の目は、何処か歳三への敵意に満ちていた。
彼女はきっと、自分と勇の関係に気づいている。
だから自分を牽制するような事をしたのだ。
“あなたには、夫は渡さない”―常子の心の声が、夏風に乗って歳三は聞こえたような気がした。
帰宅して自室に引き籠った歳三は、勇との結ばれぬ恋に涙を流した。
翌朝、歳三は勇に呼び出され、彼が運転する車で人気のない公園から外れた雑木林へと彼と共にやって来た。
「話ってなんだ、勝っちゃん?」
「実は、関西支社に転勤になった。」
「そうか。」
「もう、東京には戻って来られないかもしれない。だから・・」
勇はそう言うと、歳三が着ているワンピースの中に手を入れ、下着の上から彼の秘部を愛撫した。
「もう、濡れているな・・」
「勝っちゃんだって・・」
歳三はクスクスと笑いながら、そっと勇のデニムの上から膨らんでいる彼のものを撫でた。
「車でするのなんて、久しぶりだな・・」
「あぁ・・」
歳三はそう言って勇のものを口に含むと、それを舌で愛撫した。
車内には、二人の嬌声と水音だけが響いていた。
「なぁ勝っちゃん、転勤はいつなんだ?」
「明後日だ。単身赴任だから、常子は俺が浮気しないか心配しているよ。」
「常子さんは、俺と勝っちゃんの浮気に気づいているぜ。」
「そうか・・どうして、そんな事を?」
「昨夜の花火大会で、常子さんやけにお前に甘えていただろう?あれは、俺への牽制だよ。」
「トシ・・」
「俺ぁ、勝っちゃんの家庭を壊すつもりはねぇ。ただ、こうしてあんたと会ってセックスしたいだけだ。」
歳三はそう言うと、再び勇のものを口に含んだ。
二人がセックスする度に、車体が激しく揺れた。
「トシ、もう・・」
「中に出してくれ!」
歳三がそう叫んだ直後、勇は彼の中で果てた。
「・・許さない。」
夫の車に取り付けた車載カメラの映像を自宅のPCで見ていた常子は、そう呟くと机の上のものを薙ぎ払った。
「ママ?」
ソファで昼寝をしていた娘の瓊子(たまこ)が目を覚ました。
「ごめんね、起こしちゃったね。」
「ママ、笑って。」
「そうだね。怒りんぼママは嫌だよね。」
優しく娘に話しかけながら、常子はそっとまだ膨らんでいない下腹に手を当てた。
「あんた、今まで何処に居たの?スマホも全然繋がらないし・・」
「ちょっとな・・」
信子に連れられ、歳三は近所で腕が良いと評判の産婦人科クリニックへと向かった。
待合室は、案の定お腹の大きい妊婦や、乳幼児を連れた母親で溢れていた。
膝上のワンピース姿で9センチのピンヒールを履いた歳三は、彼女達の中で浮いていた。
「土方さ~ん、土方歳三さん。」
「は、はい。」
歳三が診察室に入ると、看護師から下着を脱いで内診台に上がるように言われた。
「あら、奇遇ね。こんな所で会うなんて。」
「常子さん・・」
「わたし、今日は二人目の健診に来たの。ねぇ、この後少しお話ししましょうよ。」
そう言って自分を見つめる常子の目は、冷たい光を宿していた。
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