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JEWEL

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2022年05月22日
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カテゴリ:読書記録

元自衛官が描く戦争小説とあってか、戦闘描写が生々しく、どの話も読み応えがありました。
ロシアによるウクライナ侵攻と重なるものがあり、どうか現実には起こらないで欲しいです。






最終更新日  2022年05月24日 17時32分05秒
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カテゴリ:読書記録

特捜部Qシリーズ最新作。
アサドの壮絶な過去が明らかに。
シリアで内戦が勃発し、難民が地中海をゴムボートで渡り亡くなる、というニュースを連日みた覚えがあります。
何だか、現在のウクライナの状況と重なって見えますね。






最終更新日  2022年05月24日 17時27分57秒
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カテゴリ:読書記録

予期せぬ妊娠でシングルマザーとなり、貧困に喘ぎ、そこから抜け出す為にメイド(家庭内清掃婦)として働いた作者の回想録。
破綻している福祉、生活保護受給者に対する世間への偏見やバッシングなど、日本と変わらないアメリカ社会を垣間見たように思えました。
「自己責任」―貧困に喘いで生活保護を受給する人達への冷たいバッシングは、この本の作者であるステファニーがリーマンショックでメイドとして働くことになった時よりも、コロナ禍の現在の方が遥かに多く厳しいものかもしれません。
しかし、「自己責任」という四文字で、他人の人生をバッシングし、手を差し伸べなくてもいいのか?自分がある日そんな立場になったらどうするのか?と作者に問い掛けられているように思えました。






最終更新日  2022年05月22日 14時32分28秒
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カテゴリ:読書記録

どの話も身の毛がよだつものばかりでしたが、読みごたえがありました。






最終更新日  2022年05月24日 17時30分54秒
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カテゴリ:読書記録

人工知能の少女・クララと、病弱な少女・ジョジーとの友情物語かと思いきや、格差や差別などを描いている作品でした。






最終更新日  2022年05月24日 17時33分13秒
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2022年05月20日




「薔薇王の葬列」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


「これから、あんたはどうしたい?生活をするには何かと金が要る。」
「そうか。俺は家事が苦手だし・・」
「あんたの得意な事を言ってみろ。」
「そうだな・・針仕事が好きだ。それに・・」
「そうか。」
リチャードは、暫くバッキンガムの部屋で暮らす事になった。
「その格好だと目立つから、服を買いに行くぞ。」
「わかった。」
バッキンガムはホテルのフロントでタクシーを頼み、リチャードと共に町で一番大きいブティックへと向かった。
「いらっしゃいませ。」
「彼女に似合う服を見繕ってくれ。」
「かしこまりました。」
一時間後、二人は両手に紙袋を抱えながらホテルの部屋へと戻った。
「ねぇ、今の話本当なの?」
「本当よ!」
「あの人は、綺麗な人と一緒だったわ!」
「どんな人?」
「左右の瞳の色が違っていて、夜の女神のような方だったわ!」
町のカフェ“カサブランカ”では、噂好きの主婦達がブティックに現れたリチャードとバッキンガムの事を話していた。
「ねぇ、あの方・・眼鏡を掛けた背が高い方、何処かで見かけた事があると思ったら、この方よ!」
エマは、そう言うとスマートフォンの画面を友人達に見せた。
そこには、“世界で最も影響力のある企業家”の一人として紹介されているバッキンガムの写真が載っていた。
「こんな偶然ってあるかしら?」
「まさか」!」
自分達が噂されている事など知らずに、リチャードは一冊の本を熱心に読んでいた。
その本には、“一流の経営学”というタイトルがつけられていた。
「あんた、その本が解るのか?」
「あぁ。それよりも、腹が減ったな。」
「そうだな。ルームサービスでも取るか?」
「行きたい所がある。」
“カサブランカ”で昼食を取る事にした二人は、周囲の視線を気にする事無く食事を楽しんだ。
「ここのカフェは、人手不足みたいだな。見ろバッキンガム、店の回転率が悪くて外に長蛇の列が出来ている。」
「よく気が付いたな?」
「さっきトイレに行った時、給仕スタッフがランチのピーク時だというのに三人しか居なかった。」
「そうか。ならばあんたに質問だ、このカフェの回転率を良くする為ならどうする?」
「それは、実際に働いてみないとわからないな。」
リチャードはそう言うと、何か閃いたような顔をしていた。
翌日、リチャードはバッキンガムに“カサブランカ”で働く事になったと話すと、彼は飲んでいた紅茶を噴き出しそうになった。
「どうした、そんなに驚くような事か?」
「あんた、失礼だが今まで働いた事はないのか?」
「ない。」
「そうか。」
大丈夫なのだろうか―そう思ったバッキンガムは、仕事をしに、“カサブランカ”へと向かった。
観光シーズンのランチタイムとあってか、店内には観光客と地元客でごった返していた。
「ねぇ、わたしのランチはまだ?」
「会計は?」
「ねぇ、さっきから呼んでいるんだけれど~!」
リチャードは店内でそつなく仕事をこなしていた。
(初めてなのか・・本当に?)
接客業が初めてとは思えない程、リチャードは接客と店内の掃除、レジなどを効率よくこなしていた。
「いらっしゃいませ。」
「アイスコーヒー、ひとつ。」
「・・来たのか。」
「驚いたぞ。あんた、働いたことがないと言っていたが?」
「兄上が良くパーティーを家でするから、色々と身についた事がある。」
「そうか。」
「今日は忙しいから、仕事が終わったら話そう。」
「わかった。」
バッキンガムが鞄の中からタブレット端末を取り出して仕事をしていると、そこへエマ達がやって来た。
「バッキンガム様、こんにちは。」
「こんにちは。皆さんお揃いで、何かわたしにご用ですか?」
「あのう、バッキンガム様は、ロンドンで何をなさっておられるのですか?」
「会社を経営していますよ。」
「まぁ、お若いのに凄いですわ!」
「いえ、そんな事はありませんよ。」
エマ達から質問責めにされ、バッキンガムは少しうんざりながら仕事をしていた時、そこへリチャードがやって来た。
「お客様、どうぞ。」
「頼んでいないわよ?」
「店長からのサービスです。」
「じゃぁ、あちらで皆さんと一緒に頂きましょう。」
リチャードの機転によって、バッキンガムは漸くエマ達から解放された。
「リチャード、さっきは助かったぞ。」
「何の事だ?」
「あの女達から俺を解放する為に、機転を利かせてくれたのだろう?」
「まぁ、お前が苛立っているように見えたから、すぐに動いただけだ。」
リチャードはそう言いながら、足を掻いていた。
「その足のかさぶた、まだ治らないのか?」
「あぁ。」
「今日は疲れただろう、すぐ休め。」
リチャードは、ベッドの中に入るとすぐに眠ってしまった。
コツン、コツンと奇妙な音が聞こえたのは、夜明け前の事だった。
(何だ?)
リチャードが音が聞こえて来る窓の方へと向かうと、海には褐色の肌をした人魚の姿があった。
「ケイツビー、どうして・・」
「リチャード様、早く海にお戻り下さい。陛下が・・」
「父上に、何かあったのか?」
リチャードは窓を開け、そのまま海へと飛び込んだ。
すると彼女の美しく白い足はたちまち紫色の美しい尾鰭へと変わった。
「父上!」
「リチャード、やっと会えた。」
「父上、しっかりして下さい!」
ヨーク公は、優しくリチャードの頬を撫でると、静かに息を引き取った。
「これから、どうなるのでしょう・・」
「もしかしたら・・」
「リチャード様が、王冠を?」
「今の話、本当なの?」
女官達がヨーク公亡き後の後継者の話をしていると、そこへエリザベスがやって来た。
「いいえ、あくまで噂ですわ。」
「そう・・」
(リチャード、わたしの邪魔はさせないわ!)
「リチャード、何処に行っていた?何故髪が濡れている?」
「・・お前には、いずれ話さなければならないと思ったが、今話そう。」

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最終更新日  2022年05月21日 21時56分22秒
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カテゴリ:読書記録

僻地の貧しい村に伝わる、恐ろしい風習「お船様」。
それは、わざと船を座礁させて積み荷を奪うというもの。
一度目は村に富をもたらした「お船様」
しかし、二度目の船に積み荷はなく…
先が少し読めてしまいましたね。
なんというか、「無知は恥、残酷」であるという戒め、教育を満足に受けられない村人達の悲惨さが伝わってきました。
これまで本屋大賞の発掘作品を読んだことがありませんでしたが、これを機に他の作品も読んでみようと思います。






最終更新日  2022年05月24日 17時35分21秒
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カテゴリ:読書記録

野良猫のボブとジェームズとの絆は、ボブがなくなっても続くと思います。
人と動物との出逢いは、一期一会だと思います。






最終更新日  2022年05月25日 21時56分11秒
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2022年05月18日




「薔薇王の葬列」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


「リチャードは、死んだのね?」
「はい。わたくしがこの目で、リチャード様が息を引き取る瞬間を見ました。」
「そう、さがってもいいわ。」
女官を下がらせたエリザベスは、リチャードの死を知り喜んだ。
(これで、この王国はわたしのものとなる!)
「お母様。」
「ベス、どうしたの?」
「リチャード叔母様が亡くなられたなんて、信じられないわ。」
「あぁベス、あなたの嘆きはわたしの嘆き。リチャードを失った事は、この世界の喪失よ。」
「お母様・・」
(リチャード、安らかに眠りなさい・・永遠に。)
エリザベスが己の“勝利”を確信している頃、地上では“人”として転生したリチャードが、病院に運ばれて七日目の朝を迎えていた。
「おはようございます。」
「俺は、いつここから出られるのですか?」
「それは、わかりません。今は、沢山体力をつけて下さいね。」
「わかった。」
地上の食べ物は、今まで海の王国で食べて来た物とは違い、見た目も味も斬新なものばかりだった。
スープを食べながら、リチャードはいつ自分が故郷へ帰れる日が来るのかと、溜息を吐いた。
「ねぇ、あの人・・」
「ロンドンから来たっていう・・」
「素敵ねぇ・・」
町の女達は、滅多に見かけない美青年(バッキンガム)の姿を、穴が開く程見つめていた。
(田舎は、息苦しいな。)
何処に行っても、何をしていても、バッキンガムは誰かに“見られている”事に気づいた。
ロンドンの方が、人付き合いの面ではこの町よりも住みやすいのかもしれない―バッキンガムがそう思いながら何杯目かのコーヒーを飲んでいると、ホテルのバーカウンターで見かけた女性がカフェに入って来た。
「ここ、よろしいかしら?」
「ええ。」
「ありがとう。」
彼女はそう言うと、サングラスを外した。
彼女の宝石のようなエメラルド・グリーンの瞳を縁取っているのは、痛々しく見える赤黒い痣だった。
「その顔は、どうされたのですか?」
「夫に殴られたの。わたしが毎日、お酒ばかり飲んでいるから・・」
「何故、お酒を?」
「息子が、死んでしまって・・みんなあの子が碌でなしだと言うけれど、わたしにとっては大切な息子だったのよ。」
バッキンガムは、黙ってオリヴィアの話を聞いた。
「そろそろ行かないと。話を聞いてくれて、ありがとう。」
「いいえ。」
それが、バッキンガムがオリヴィアの姿を見た最後となった。
その日の夕方、焼け焦げた車の中からオリヴィアの遺体が発見された。
「まさか、彼女まで・・」
「あの家は、呪われているわね。」
オリヴィアの葬儀で、町の女達はそんな話をしながら、好奇の視線をオリヴィアの夫・スティーブに向けていた。
彼は女癖が悪い事で有名で、オリヴィアとの夫婦仲は完全に冷え切り、離婚も秒読みかと思われた、その矢先の出来事だった。
「あ、ごめんなさい。」
「いいえ・・レディ、お怪我はありませんか?」
町の主婦・エマは、その日初めてバッキンガムと会った。
「あなたは・・」
「では、俺はこれで失礼致します。」
(とても、素敵な方・・)
「エマ、どうしたの?」
「いいえ。」
バッキンガムはホテルの部屋に戻ると、深い溜息を吐いた。
(田舎は監視社会だな・・さっさと“用事”を済ませて、ロンドンに戻るか・・)
彼がそう思いながらタブレット端末で動画を観ていると、ドアが誰かにノックされた。
「誰だ?」
「バッキンガム様・・」
「どうした、何かあったのか?」
「バッキンガム様にお会いしたいという方が、ロビーにいらっしゃっています。」
「そうか。」
バッキンガムが部屋から出てホテルのロビーへと向かうと、そこには仏頂面を浮かべたキャサリンの姿があった。
「お前、どうしてここに?」
「あなたが全然連絡して来ないから、会いに来たのよ!」
キャサリンはそう叫ぶと、バッキンガムの頬を平手打ちした。
「あなた、本当にわたしと別れるつもりなの!?」
「今更そんな事を言う為にここへ来たのか?帰れ。」
「言われなくても帰るわよ!」
キャサリンはそう言った後、そのままホテルから出て行った。
「バッキンガム様、大丈夫ですか?」
「あぁ。騒いで済まなかった。」
「いいえ。」
バッキンガムがエレベーターホールでエレベーターを待っていると、突然彼の前に黒髪の美女―リチャードが現れた。
「あんた、どうしてここに?」
「助けてくれ、追われている。」
「わかった。」
バッキンガムはリチャードを自分の部屋へと連れて行くと、彼女はソファに横になった。
(一体、何があったんだ?)
リチャードに厚手の毛布をかけながら、バッキンガムはリチャードの両足に鱗のようなものがこびりついている事に気づいた。
バッキンガムがそれに触れようとすると、それはバラバラと床に落ちていった。
「ん・・」
「あんた、大丈夫か?」
「水・・水を・・」
「待っていろ。」
バッキンガムが冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出すと、それをリチャードに手渡した。
「ありがとう・・」
「あんたはさっき、誰かに追われていると言っていたが・・」
「実は・・」
リチャードは、バッキンガムにホテルに来るまでの経緯を話した。
海岸で保護され、病院に入院していたリチャードだったが、ある日の朝、彼女が病院で朝食を食べていると、突然病室にエリザベスが入って来た。
「見つけたわ、リチャード!」
「何故、ここが・・」
「今度こそ、お前を殺す!」
エリザベスはそう叫ぶと、ナイフをリチャードに振り翳した。
リチャードは熱々のコーヒーをエリザベスに掛け、そのまま病室から逃げた。
「待てぇ~!」
リチャードは裸足で町の中を走りながら、エリザベスの執念深さに恐ろしさを感じた。
逃げ惑う中で、リチャードはホテルのロビーへと、まるで光に導かれる蛾のように入っていったのだった。
「そうか・・」
「突然こんな事を頼むのはどうかと思うんだが・・俺を、エリザベスから守ってくれないか?」
「わかった。俺があんたを、あらゆる災難から守ってやる。今日から宜しく、リチャード。」
「・・よろしく。」

こうして、“元”人魚と貴族の奇妙な同居生活が始まった。

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最終更新日  2022年05月18日 19時21分36秒
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2022年05月14日
「薄桜鬼」の二次創作小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

トシが菓子を頬張っていると、裏庭の方から大きな物音がした。
(何だ?)
トシが裏庭へと向かうと、そこにはこの屋敷でキッチンメイド見習いとして働いていたエリーの姿があった。
彼女の首には、刺し傷があった。
「どうした、坊主?」
「人が、死んでいるんです。」
「何だって!?」
庭師のジョーが警察を呼ぶと、ハノーヴァー伯爵邸は蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。
「エリー、どうしてこんな姿に!」
「トシ、犯人の姿を見たの?」
「いいえ。俺が駆け付けた時には・・」
「そう。疲れたでしょう、部屋へ行って休んでいなさい。」
「はい。」
トシが使用人専用の寝室へと向かおうとした時、彼は誰かが言い争っている声を聞いた。
「エリーを殺したのは、あなたなの!?」
「俺じゃない、信じてくれ!」
「あなたの事は、信じられないわ!」
声は、若い男女のものだった。
顔は見えなかったが、女の方は髪に青い蝶の髪留めをしていた。
(あいつら、誰だったんだ?)
そんな事を思いながら、トシは深い眠りの底へと落ちていった。
翌朝、トシが眠い目を擦り寝室から出ようとした時、窓に鮮やかな青い蝶の髪留めをした女が映ったので慌てて彼は彼女の後を追った。
(何処だ?)
トシが女の後を追っていると、急に彼は険しい崖が目の前に現れたので、慌てて立ち止まった。
屋敷へと戻ろうとする彼の背を追い掛けるかのように、不気味な女の笑い声が響いていた。
「トシ、あんたこんな朝早くに何処に行っていたんだい?」
「エイミーさん、実は・・」
トシは、エイミーに青い蝶の髪留めをした女の話をした。
「あぁ、その女は、“死神”さ!」
「“死神”?」
「あんたは、まだここに来て日が浅いから知らないんだね。」
エイミーによると、その昔この屋敷に住んでいた貴婦人が居て、彼女はいつも恋人からの贈り物であった青い蝶の髪留めをよくしていたという。
「彼女は、只管愛する男の帰りを待った・・裏切られている事にも気づかずにね。」
「それは、一体・・」
「彼女の恋人は、戦地で病に罹って、向こうに住む女と夫婦になったのさ。」
「それで?」
「あの女は、崖から飛び降りて死んじまった。でも夜な夜な崖まで男を誘き出して殺すようになったのさ。」
だから、青い蝶の髪留めをした女を見かけても、決して追い掛けてはいけないよーエイミーはそうトシに釘を刺すと厨房へと消えていった。
「トシ、奥様がお呼びだよ!」
「は、はい!」
トシは今日もアーサー坊ちゃまのおむつを縫い、奥様の愚痴を聞いた。
「トシ、はいこれ。」
奥様はそう言うと、トシに小遣いをくれた。
「これで好きな物でも買いなさい。」
「はい。」
トシはエイミーの夕飯の買い出しに付き合うついでに、初めてお屋敷の外から出た。
町は、活気に溢れていた。
「あたしはパン屋に行くから、あんたは本屋にでも行っておいで。」
「はい。」
トシはエイミーとパン屋の前で別れ、本屋へと向かった。
本屋は、少し町の外れにあった。
「いらっしゃい。」
店主は、眼鏡を掛けた優しそうな老人だった。
「あの、今日は・・」
「今日は、君が読みたい本が入って来たよ。」
「ありがとうございます。」
トシは、奥様から頂いた小遣いで本代を払った。
「気を付けて帰るんだよ。」
「はい。」
本屋から出たトシは、パン屋の前でエイミーと待ち合わせして、お屋敷へと戻った。
「今夜はゆっくり出来そうですね。」
「そうだね。夏の社交期はまだ先だし、暫くゆっくり出来そうだよ。」
エイミーがそう言いながらジャガイモの皮を包丁で剥いていると、レイチェルが何処か慌てた様子で厨房に入って来た。
「どうしたんだい、レイチェル?そんな顔をして?」
「うちの人が・・」
レイチェルの夫で町の教師だったトムが、海辺で遺体となって発見された。
「どうして、こんな・・」
「可哀想に・・」
トムの遺体の首には、エリート同じ刺し傷があった。
「魔物の仕業よ。」
「エイミーさん、あれは?」
トムの葬儀に参列していたトシが、突然葬儀の最中に意味不明な言葉を喚き散らしている老婆を見た。
「あぁ、あの人は海辺の家に住んでいるマリー婆さんさ。頭がちょっとね・・」
エイミーは、そう言うと己のこめかみを人差し指でさした。
「そうですか・・」
「エリーに続いてトムまで・・何で、良い人ばかり・・」
トシがレイチェルの自宅へと向かうと、そこには彼女の親族達が集まり食事の支度をしていた。
「レイチェル、何か食べないと。」
「何も食べたくないの。寝室で休んでいるわ。」
レイチェルはそう言うと、そのままダイニングルームから出て行った。
「トムさんは、どんな人だったんですか?」
「優しい人だったよ。子供達からも慕われていたよ。」
エイミーは、そう言いながら汚れた食器を洗った。
「トシは働き者だね。それに、手先が器用だし。」
「そうですか?」
「奥様が、何であんたに坊ちゃまの世話を任せたと思う?」
「俺が、子供だからですか?」
「あんたを信頼しているからだよ。」
「そうですか・・」
「まぁ、あんたはまだここへ来て日が浅いから、色々と教え甲斐がありそうだよ。」
「はぁ・・」
「そうだ、このお茶をダイニングに持って行っておくれ。」
「はい。」
トシが茶と茶菓子を載せたワゴンをダイニングルームへとひいていくと、中から女達の声が聞こえて来た。
「レイチェルも可哀想に。あの年で未亡人なんて・・」
「子供が居ないから、気楽で良いんじゃない?」
「まぁ、ね・・」
「それにしても、ねぇ・・ハノーヴァー伯爵家は呪われているのかしら?」
「きっと、あの髪留め女の呪いよ!」
「ねぇ、レイチェル戻って来るのが遅くない?」
「そうねぇ。」
「失礼致します、お茶とお茶菓子をお持ち致しました。」
「あら、可愛い子ね。」
「見ない顔ねぇ。坊や、お名前は?」
女性達はトシの顔を物珍しそうに見た後、彼を質問責めにした。
「ねぇ坊や、お茶とお茶菓子はわたし達が頂くから、レイチェルの様子を見て来てくれないかしら?」
「はい、わかりました。」
トシがレイチェルの寝室へと向かい、ドアをノックしようとすると、中からレイチェルの悲鳴が聞こえた。
「やめて、お願い・・」
「レイチェルさん!?」
トシが寝室の中に入ると、レイチェルはベッドの上に仰向けになって倒れていた。
「レイチェルさん・・」
彼女も、首を刺されて失血死していた。
「誰か、誰か来て下さい!」
「レイチェル!」
「誰か、お医者様を!」
奇妙な連続殺人事件は、結局犯人が見つからないまま事件の捜査は打ち切られた。
季節は夏を迎え、ロンドンは社交期を迎えた。
トシ達は奥様達と共に、ロンドンへと向かった。
初めて見るキング=クロス駅は、この前行った町よりも活気に溢れ、混沌としていた。
「さ、早くしな!」
「はい・・」
「モタモタするんじゃないよ、遅れちゃうよ!」
エイミーはトシの手をしっかり握ると、キング=クロス駅から出た。
「これ位で騒いでいたら、ロンドン暮らしは勤まらないよ!」
「わかりました。」
「まぁ、ロンドンでまた変な事件に遭わなきゃいいけど。」
辻馬車に揺られながら、エイミー達はハノーヴァー伯爵家のタウンハウスへと辿り着いたのは、昼前の事だった。
「みんな、奥様が今日はゆっくり休むようにってさ!」
「良かった!」
「移動距離が長かったからねぇ。」
「そうだねぇ。」
「俺、部屋に荷物置いてきますね。」

トシはそう言うと、使用人用の寝室に入って荷物を置いた後、そのままベッドの上で眠ってしまった。

気が付いたら、もう夜になっていた。

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最終更新日  2022年05月20日 22時32分40秒
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