禁門の変から三ヶ月が過ぎ、山南は部屋に引き籠もりがちになることが多くなった。
六角獄舎で見た光景が忘れられず、山南は毎晩悪夢にうなされていた。
そんな中、山南は1人の女と出会った。
その女の名は明里。
島原の天神だった。
明里と会うたびに、六角獄舎で見た光景を忘れられるだろうと山南は思っていた。
だが悪夢は未だに続いていた。
山南は次第に鬱状態になっていった。
悪夢もそうだが、この頃新選組の屯所を勤王色が濃い西本願寺へと移転しようという話が出ていた。
山南はそれに反対したが、近藤も土方も耳を貸さなかった。
もう、限界だった。
「山南さん?」
ある夜、食事を運んできた鈴は、山南が部屋にいないことに気づいた。
「馬鹿野郎が!」
土方はそう言って文机を叩いた。
「沖田先生、山南先生戻ってきますよね?」
「ええ、戻ってきますよ。」
沖田は白馬に跨って屯所を出た。
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