りつは今日も、村の広場で遊んでいた。
またあの人に会えるだろうか?
黒髪の優しい青年に会うことを期待しながら、りつは鞠をついていた。
そのとき、りつは鞠を落とし、それは地面に転がった。
「これ、あなたの?」
雪のような白い肌が、りつの鞠を拾った。
艶やかな黒髪と、紅の瞳。
そしてふっくらとした桜色の唇。
「天女様?」
そう言ってりつは鞠を拾ってくれた女性を見た。
「私は天女じゃないわ。私は美津。あなたは?」
「わたしはりつ。」
「そう・・よろしくね、りつちゃん。」
美津はりつの頭を撫でて、広場を後にした。
りつはぼーっとして、美津の姿が見えなくなるまで彼女の背中を見ていた。
(綺麗な人・・)
天女のような美しい女(ひと)は、りつにとって憧れの女となった。
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Last updated
2012.04.01 21:31:59
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