「あなたのところなんか来るものですか!わかったらさっさとりつちゃんをこっちに渡しなさい!」
美津はそう言ってキッと鬼神を睨んだ。
「そうか・・それなら仕方あるまい。この子は死んでもらおう。」
鬼神は近くの木にりつを放り投げた。
りつの着物の袖が、木の枝にひかかった。
「きゃぁぁ~!」
目を覚ましたりつが恐怖の叫び声を上げた。
「りつちゃん!」
美津はそう言ってりつの元へ駆け寄ろうとしたが、鬼神がその行く手を阻んだ。
「そなたの相手はこのわしじゃ。」
そう言って鬼神は大鎌を取り出して、美津に構えた。
美津は気合を入れて、鬼神に突進した。
激しい剣戟の音が夜の闇にこだまする。
「もうおしまいかえ?」
鬼神はそう言ってニヤリと笑い、美津の肩を大鎌で斬った。
美津の肩から鮮血が噴き出し、美津は地面にうずくまった。
「素直にわしのものになれ・・」
鬼神は自分の掌を鎌で傷つけ、己の血を美津に飲ませた。
「天女・・様?」
りつが恐る恐る美津に声をかけると、美津はゆっくりと顔を上げた。
その顔を見た瞬間、りつの顔がたちまち恐怖にゆがんだ。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.04.01 21:44:22
コメント(0)
|
コメントを書く
[連載小説:紅蓮の涙~鬼姫物語~] カテゴリの最新記事
もっと見る