美津はゆっくりと顔をあげ、怒りに歪んだ顔でりつを見た。
「殺せ。」
鬼神はそう言って、りつを指した。
美津は獣のように跳躍し、りつの胸を長刀で切り裂いた。
意識を失い落下するりつを四郎が抱き留めた。
「姫様、どうされたのです?おやめください!」
エーリッヒがそう言ってなおもりつを攻撃しようとする美津を止めようとした。
だが、美津は彼の腹を蹴った。
四郎は家の中に入り、りつの傷の手当てをした。
幸い、傷は深くなかった。
奥の部屋にりつを寝かせると、四郎は家を出た。
「姫様!」
美津は四郎に突進した。
「姫様、私がわかりませんか!」
四郎の言葉を美津は聞いていないようで、唸りながら長刀を振り回した。
「貴様、姫様になにをしたぁ!」
四郎はそう言って鬼神に槍を突き出した。
「美津に命令を下したまでのことよ。あの子どもを殺せとな。」
やがて美津は長刀を地面に突き刺し、頭を抱えながら倒れた。
「また会おうぞ、美津や。」
鬼神はそう言って笑った。
「姫様!」
四郎は慌てて美津のところへ駆け寄った。
数日後。
りつはいつものように、村の広場で遊んでいた。
そこへ美津が現れた。
「りつちゃん、こんにちは。」
美津はそう言ってりつに微笑んだが、りつは顔をこわばらせ、後ずさりした。
「りつちゃん?」
美津がりつの肩を触ろうとすると、りつはその手を払った。
「近寄らないで、化け物!」
りつはそう叫んで去っていった。
「りつちゃん・・」
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Last updated
2012.04.01 21:44:54
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