1638年2月28日、島原。
3万7千人の領民達と、天草四郎という尊い命を犠牲にした「島原の乱」は、こうして終結を迎えた。
ますは突然の姉の死に涙しながら、生まれ故郷である村へと戻っていった。
村にはいつもと同じ穏やかな空気が流れていた。
(姉さん・・)
ますは目を閉じて、最期に神への感謝を捧げてなくなったりつのことを思い出した。
最期まで狂ってしまった姉だったが、いつも自分に優しくしてくれた。
その姉も、もういない。
これから自分は一人で生きていかなければならないのだ。
「ますちゃん・・?」
背後から声がして振り向くと、そこには旅装をしている美津と四郎、エーリッヒの姿があった。
「天女様・・」
「どうしたの?」
美津はそう言ってますを見た。
「姉が・・なくなりました。敵の鉄砲に撃たれて・・他のみんなも・・生き残ったのは、私だけです・・」
ますの言葉に美津は顔を曇らせた。
「私はこれから、がんばって一人で生きていこうと思います。そして、姉たちのことを忘れないように、語り継いでいきます。この村で何があったのかを・・」
「そう・・」
美津は、涙を拭いて胸を張って歩くますの背中が見えなくなるまで、いつまでも見ていた。
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Last updated
2012.04.01 22:05:00
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