JEWEL

2012/03/14(水)17:16

VALENTI 第65話:運命の舞踏会-再会-

連載小説:VALENTI(151)

ステファニーとクリストフ、ナターシャを乗せた馬車がエカテリーナ宮殿に着くと、そこには金の装飾品やクリスタルでできたシャンデリアなど、煌びやかな調度品で飾られた広間で踊る貴族達がいた。 「なんだか緊張してきました・・」 「大丈夫よ。」 ナターシャはそう言ってステファニーの手を握った。 ナターリアは気心の知れた友人達と雑談しながら、アレクセイの方を時折チラリと見ていた。 アレクセイは白い軍服を着込み、シャンデリアの光が輝く度に、彼のブロンドの髪がキラキラと輝く。 彼はあのクソ生意気な小娘-アレクサンドラと踊っていた。 名門の家に生まれたことを何かと鼻にかけ、欲しい物を手に入れてきた娘。 ナターリアと目が合うと、アレクセイの肩越しに勝ち誇った笑みを浮かべた。 (いつか痛い目に遭わせてやるわ。) ナターリアがアレクサンドラを睨みつけていると、入り口の方が騒がしくなり、見てみると、アレクサンドラとそっくりな娘がボロヌスキー伯爵の1人息子・クリストフとともに入ってきた。 娘は頭に真珠とダイヤが散りばめられたティアラを載せ、真珠のネックレスを身につけたその姿は、一瞬どこかの国の皇女かとナターリアは思った。 娘は優雅に、皇帝陛下の元へと歩いていく。 無事ロシア皇帝・アレクサンドル2世への拝謁を終えたステファニーは、クリストフとワルツを踊った。 踊りの輪の中で、アレクサンドラがアレクセイと踊っているをステファニーは見た。 アレクサンドラと目が合うと、彼女はステファニーに向かって含み笑いをした。 その笑みが、妙にひっかかった。 踊りが終わり、ステファニーはアレクサンドラのいる方へと歩いていった。 「あら、お久しぶりね。こうして会ったのは、ホーフブルクの時以来ね。」 アレクサンドラはそう言ってニッコリとステファニーに笑った。 「お久しぶりね。」 「エドガーさんをここに連れてきてるわ。ほら、あそこ。」 ステファニーはアレクサンドラが指さす方向へと歩いていった。 一方エドガーは令嬢達に取り囲まれ、困っていた。 サンクトペデルブルクの宮廷で、令嬢達の噂話の話題に上っているのは、ルドルフ皇太子と江戸ガーのことだった。なので噂話で話題になっているエドガー本人が宮廷に現れて、令嬢達のテンションは一気に上がり、エドガーを逃がさぬように彼の周りを取り囲んだ。 「エドガー様、ウィンナ・ワルツを教えてくださいな。」 「エドガー様、是非わたくしのお茶会にいらして。お待ちしておりますわ。」 「あら、わたくしのお茶会の方が楽しくてよ。」 「エドガー様!」 令嬢達の誘いを断ろうとエドガーが口を開こうとしたとき、背後から声がして振り向くと、そこには息を切らしたステファニーが立っていた。 「エドガー様、お会いしたかった!!」 「ステファニーさん!!」 令嬢達が唖然とする中、ステファニーとエドガーは抱き合った。 にほんブログ村

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