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JEWEL

2014.10.29
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「良かった、やっと気が付いた。」
頭上から総司の声が聞こえ、千が目を開けると、自分の周りには総司と千尋が立っていた。
「沖田さん、僕は・・」
「昼餉の支度をしている途中、倒れたんですよ。あの暑さでは、無理もないでしょうけれど。」
「すいません、ご迷惑をおかけてしまって。」
「いえ、謝るのはわたし達の方ですよ。あんな暑いところで昼餉の支度をさせてしまったのですから。」
総司はそう言うと、千に水が入った湯呑を手渡した。
「夕餉まで横になってゆっくり休んでください。」
「すいません、お言葉に甘えさせていただきます。」
「それじゃぁ荻野君、わたし達は巡察に行きますよ。」
「はい、沖田先生。」
総司と千尋が部屋から出て行った後、千は再び目を閉じた。
千は自宅のリビングに立ち、テレビの前でゲームに興じる弟・圭太の姿を見ていた。
「圭ちゃん、もうゲームは止めなさい。」
「わかったよ。」
圭太はそう言って唇を尖らせた後、ゲーム機の電源を切って塾の鞄を背負った。
「塾が終わったら、ママの携帯に掛けてね。」
「わかった、行ってきます。」
圭太がリビングから出て行くのを見送った千佳は、溜息を吐いて椅子に座った。
「千尋、何処に居るの?」
彼女はそう呟いた後、手の甲で涙を拭った。
(母さん・・)
目の前に母が居るというのに、なぜか千は彼女に触れることも、話すこともできなかった。
試しに千佳の肩に手を置こうとすると、千の手は彼女の肩をすり抜けてしまった。
その時、自分は夢の中に居るのだと、千は漸く気付いた。
「千尋、早くわたし達のところに帰ってきて・・」

(母さん、僕はここに居るよ!)

千が再び千佳に向かって手を伸ばそうとしたとき、突然世界が暗転し、彼は闇の中へと真っ逆さまに落ちていった。
夢から覚めたとき、千は苦しそうに呻きながら、枕元に置いてあった湯呑を手に取り、その中に残っていた水を一気に飲んだ。
そっと部屋から縁側から出ると、空には月が浮かんでいた。
「やっと起きたか。」
「副長・・」
「お前の分の夕餉は荻野の部屋に運んである。腐らないうちに食べておけ。」
「わかりました。」
総司の部屋から千尋達が居る大部屋へと向かった千は、部屋の片隅に置いてある自分の夕餉を食べた。
「いただきます。」
千が夕餉を食べていると、何やら廊下の方が急に騒がしくなった。
(どうしたんだろう?)
「千君、ちょっとわたしと来てもらえますか?」
「どうしたんですか、何かあったのですか?」
「巡察中に、不審者が屯所をうろついているという知らせを受けて、わたしがその不審者を捕えたのですが、千君に会うまで何も話さないと言っているのですよ。」
「そうですか。その不審者は、どんな格好をしていましたか?」
「君と同じような、西洋の服を着ていましたよ。」

(もしかして、その不審者は僕と同じように現代から来た奴かもしれない・・)

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最終更新日  2016.11.08 13:28:16
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