JEWEL

2014/12/12(金)14:11

金襴の蝶 第59話

完結済小説:金襴の蝶(68)

「あいつは、俺と同じ大学い通っていた久田真奈美っていうんだ。真奈美の家は資産家でな、父親が俺の親父と大学時代の同期だった。俺が真奈美と知り合ったのは、同じ剣道部の近藤さんに強引に誘われた合同コンパだった。」 「そんなことがあったんですか・・」 「ああ。真奈美は俺のことを一目で気に入ってなぁ、手作り弁当を剣道部に差し入れたり、俺と同じ講義を取ったりして、色々と俺の気をひこうとしていたが、俺には琴子が居た。」 「そうでしたか・・それで、真奈美さんは?」 「あいつは、琴子を殺そうとしてあいつが住んでいたアパートの部屋に行って、警察沙汰になった。」 歳三はそう言うと、溜息を吐いた。 「それから、あいつは大学を自主退学して、実家に帰った。俺は大学を卒業した。」 「真奈美さんはどうして、今になって歳三さんの前に現れたんでしょうか?」 「さぁな。姉貴の話だと、あいつは子供を連れていたんだろう?」 「ええ。ちゃんと歳三さんに認知して貰うって彼女、言っていました。」 「そうか・・」 歳三が再び溜息を吐くと、彼の上着の内ポケットに入れていたスマートフォンがけたたましく鳴った。 「もしもし?ああ、わかった、すぐ行く。」 「誰からですか?」 「大学時代のダチからだ。真奈美の奴、俺に会わせろと警察で暴れたらしい。」 「そんな・・」 「千尋、俺と一緒に来てくれるか?」 「はい。」 数分後、都内にあるホテルのラウンジで、千尋は歳三と共に彼の大学時代の友人である佐野と会った。 「トシ、久しぶりだな。この子は?」 「俺のフィアンセだ。それよりも佐野、真奈美が警察で暴れたって、本当なのか?」 「ああ。彼女は暫く塀の中に居るようだ。子供は、あいつの母親が引き取るってさ。」 「その子供だが、そいつは本当に俺の子供なのか?」 「その可能性は低いと思うぞ。DNA鑑定したら、すぐにわかると思う。」 「そうか、有難う。」 「トシ、困ったことがあったら俺に頼んできてもいいぞ。弁護士として、力になってやる。」 佐野はそう言って歳三の肩を叩くと、ホテルから去っていった。 「さてと、用も済んだことだし、指輪でも見に行こうか?」 「はい。」 ホテル内にある宝飾店で、歳三と千尋は婚約指輪を選んだ。 「この指輪が可愛いですね。」 「そうだな。お前、指のサイズは?」 「7号です。」 「そうか。すいません、これお幾らですか?」 「これは300万円となっております。ですが、今は特別ご奉仕品ですので、ペアで120万円になります。」 「120万か・・高いなぁ。まぁ、冬のボーナスがあれば大丈夫か。すいません、これをお願いします。」 「かしこまりました。」 「先生、こんな高価な指輪、本当に貰ってもいいんですか?」 「今更何言っていやがる、嬉しそうな顔して。」 左手薬指に嵌められたダイヤモンドの指輪を眺めながら、千尋はそう言って嬉しそうな顔で歳三を見た。 にほんブログ村

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