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JEWEL

2016.05.24
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「ガブリエル、こんな所に居たのか。」
「お父様!」
レナードとガブリエルの背後から、丁度公務を終えたルドルフが王宮庭園へとやって来た。
「ルドルフ様、こんにちは。」
「お前達、こんな所で何をしている?今は勉強の時間じゃないのか?」
「勉強ならさっき終わらせたわ。息抜きにレナードが散歩に連れて来てくれたのよ。」
「そうか。ガブリエル、勉強は頑張っているか?」
「はい、お父様。」
「そうか、偉いな。」
ルドルフはそう言ってガブリエルの頭を優しく撫でた。
「レナード、後で話したいことがある。」
「解りました。」
「じゃぁガブリエル、また後で会おう。」
「はい、お父様。」
王宮庭園から去っていくルドルフに元気よく手を振るガブリエルの姿を見たレナードは、先程のガブリエルの言葉を思い出していた。

“レナードが良く知っている方よ。”

(まさか、ガブリエル様の父親は・・)

「レナード、どうしたの?」
「いいえ、何でもありません。さあガブリエル様、そろそろお部屋に戻りましょう。」
「うん!」
レナードと共にガブリエルが自室に戻ると、テーブルの上にはおやつのクッキーが置かれていた。
「レナード、わたし手を洗ってくるから先に食べてもいいわよ。」
「わたしも手を洗いましょう。」
ガブリエルと共に浴室に入ったレナードは、ガブリエルが手を洗っている隙にブラシについていたガブリエルの髪を一本抜き取った。
「このクッキー、美味しいでしょう?このクッキー、お母様がわたしの為に焼いてくださっているのよ!」
「そうなのですか?ガブリエル様は優しいお母様をお持ちで羨ましいですね。」
「そうかしら?最近お母様、ユリウスに構ってばっかりでわたしの事を愛してくださらないみたいなの。」
「そんな事はありませんよ。ユリウス様はまだ手がかかるお年頃なので、アレクサンドラ様はユリウス様のお世話をしながらも、ガブリエル様の事をいつも想っていらっしゃいますよ。」
「本当?」
「ええ、本当ですよ。」
「あら二人とも、何を話しているの?」
レナードとガブリエルがクッキーを仲良く頬張りながらそんな話をしていると、そこへユリウスを抱いたガブリエルが部屋に入って来た。
「お母様、クッキーを焼いてくださって有難う。」
「貴方の喜ぶ顔が何度でも見られるのなら、毎日焼くわ。今日は、貴方が大好きなチョコレートチップスクッキーにしてみたの。ガブリエル、クッキーを食べた後はちゃんと歯を磨きなさいね。」
「はい、お母様!」
ガブリエルは元気よく椅子から降りて、歯を磨く為に浴室に入っていった。
「レナード、あの子の様子はどう?何か我儘を言って貴方を困らせたりはしていない?」
「いいえ。勉強や宿題はちゃんとしていますし、ピアノのレッスンもちゃんと受けています。」
「そう。貴方が来る前は、何人もの家庭教師達があの子に匙(さじ)を投げて次々と辞めていったの。丁度その頃は、わたしがユリウスを妊娠中で入退院を繰り返していたから、精神的に不安定な状態が続いていたのよ。」
「ガブリエル様はアレクサンドラ様の事を心から愛していらっしゃいます。どうかその事を忘れないでください。」
「解ったわ。」
アレクサンドラはそう言うと、レナードに微笑んだ。
「お母様、さっき王宮庭園でお父様と会ったわ。」
「もうガブリエル、その呼び方は止めなさいと言ったでしょう?」
「でも、お父様はお父様だもの!」
そう屈託なく言ったガブリエルの姿に、アレクサンドラは内心溜息を吐いた。
この部屋にはレナードと自分しかいないからいいものの、近くで噂好きの女官達が盗み聞きしているかもしれない。
「レナード、ごめんなさいね。この子ったら、皇太子様の事をお父様と呼ぶ癖が直らないのよ。」
「いいえ、最近ではお互いファーストネームで呼び合ったりするお爺ちゃんや孫もいらっしゃるようですし、皇太子様はガブリエル様から見ればお祖父様というよりはお父様とお呼びになった方が相応しいかと。」
「ふふ、それもそうね。皇太子様はまだ三十代ですもの、お祖父様とガブリエルから呼ばれたくないわよね。」
レナードの言葉にアレクサンドラは一瞬ヒヤリとしたが、慌てて彼にそう言うと笑顔を浮かべた。
その時、眠っていたユリウスがもぞもぞと動き出したかと思うと、彼は癇癪を起こして激しく泣き始めた。
「まぁユリウス、一体どうしたの?」
「ユリウスはきっと、トイレに行きたいのではなくて、お母様?」
「じゃぁガブリエル、またお昼に会いましょうね。」
泣きじゃくるユリウスのおむつを替える為、アレクサンドラがガブリエルの部屋から出て来ると、廊下には一人の女官が控えていた。
「どちらへ行かれるのですか、アレクサンドラ様?」
「ユリウスのおむつを替えに部屋へ行くの。何故そんな事をいちいち聞くの?」
「申し訳ございません。」

その女官はアレクサンドラに頭を下げると、慌てて何処かへと行ってしまった。

(変な人ね・・余り関わらないようにしよう。)

アレクサンドラはユリウスを抱きながらドアの鍵穴に鍵を挿し込んで部屋の中に入ろうとした時、誰かがドアの鍵穴を壊した跡を見つけた。

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Last updated  2016.05.24 22:24:02
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