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JEWEL

2016.05.27
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週が明け、クリスティーナのフェンシングの試合を観戦する為、ルドルフはアレクサンドラ達とレナードを連れて試合会場である市民体育館へと車で向かっていた。

「お父様、本当にご自分で運転してもよろしいのですか?最近物騒ですし、運転手の方を雇った方がよいのでは?」
「そっちの方が危険だろう。最近は使用人に紛れ込む暗殺者も居るらしいからな。紹介状を持っている者でも、素性が判らない相手は宮廷には入れない方がいい。」
「そうですわね。それにしても、この渋滞を抜けるまでティナの試合が始まる時間まで間に合うかしら?」
「大丈夫だろう。サミットが来週開催されるから、交通規制が敷かれて渋滞しているんだろう。」
ルドルフはそう言って前方を眺めていると、突然一人の警察官が運転席側の窓を叩いて来た。
「何か?」
「申し訳ありませんが、免許証を拝見しても宜しいでしょうか?」
「解った。」
ルドルフは警察官に素直に従うと、彼に免許証を見せた。
「有難うございました。お時間を取らせてしまって申し訳ありませんでした。」
「仕事、頑張ってくれ。」
自分に向かって敬礼する警察官に笑顔を浮かべたルドルフは、渋滞を抜けた後体育館まで車を走らせた。
試合会場にある体育館には、聖マリアアカデミーの生徒達やフェンシングクラブの保護者でひしめき合っており、ルドルフ達が体育館に入って来ると、ルドルフの姿を見た母親達が一斉に黄色い悲鳴を上げた。
「お父様は相変わらず国民の人気者ですわね。」
「それは褒め言葉として受け取っておこう。混まない内に二階席へ行くぞ。」
「はい。」
アレクサンドラがユリウスを抱いて二階席へと向かおうとした時、彼女は段差に躓(つまず)いて転倒しそうになった。
「大丈夫ですか、アレクサンドラ様?」
「大丈夫よ、有難うレナード。」
「ユリウス様はわたしが抱きましょう。」
アレクサンドラからユリウスを受け取ったレナードが彼女と共にルドルフ達が待つ二階席へと向かうと、ルドルフは見知らぬ黒髪の女性と何処か親しい様子で話をしていた。
「皇太子様、こちらの方は?」
「あら、貴方は確かレナード様ではなくて?」
レナードの姿に気づいた黒髪の女性はそう言うと、好奇心と野心に満ちた瞳を彼に向けた。
「マリー、どうして貴方がここに居るの?」
背後に立っていたアレクサンドラが柳眉をつり上げてかつての親友の名を呼ぶと、彼女は口端を歪めて笑った。
「わたしは娘の試合を観に来たのよ、貴方と同じでね。ほら、貴方の娘の対戦相手が、わたしの娘よ。」
黒髪の女性―アレクサンドラの元親友・マリー=ヴェッツェラは、そう言うと持っていた扇子でクリスティーナと対戦しようとしている少女を指した。
その少女は母親と瓜二つの顔をしていて、何処か生意気そうだった。
「貴方の娘さんって、貴方にちっとも似ていないわね?」
「あら、クリスティーナはわたしの母に似たのよ。美人のDNAを受け継いでいるの。貴方の娘さんは、顔も性格も貴方にそっくりなのでしょうね。」
アレクサンドラはクリスティーナの容姿をマリーに貶(けな)されると、すかさず彼女に嫌味を言った。

マリーとアレクサンドラが無言で睨み合っていると、試合が始まった。

「ティナ、頑張れ~!」
「ティナ、負けるな!」

ルドルフとガブリエルの声援を受け、クリスティーナは試合で見事優勝した。

「ティナ、優勝おめでとう。」
「有難う、お祖父様。」
「素晴らしい試合だったわよ、ティナ。」
「有難う、お母様。」

家族から祝福されているクリスティーナとは対照的に、マリーの娘・レオナはマリーに怒鳴られて俯いていた。

「あなたって子は、どうして本番に弱いのかしら!」
「ごめんなさい、お母様・・」
「あらマリー、もう帰ってしまうの?これからわたし達食事に行くのだけれど、貴方達もご一緒にいかが?」
「いいえ、結構よ。急用を思い出したの。行くわよ、レオナ!」
マリーはそう言うとレオナの手を引っ張り、体育館から出て行った。
「あの子ったら昔から変わっていないわね。さぁティナ、早く着替えて食事に行きましょう。」
「はい、お母様。」
クリスティーナが着替えの為に女子更衣室に入ると、そこには新体操クラブに所属する三人の少女達がレオタードに着替えて出て行こうとしている所だった。
「男子の更衣室はあっちよ。」
少女達の一人がそう言ってクリスティーナを見ると、他の二人が彼女の言葉を聞いて笑った。
クリスティーナは彼女達を無視して、自分のロッカーを開けて私服に着替えて更衣室を出るとき、擦れ違いざまに自分をからかってきた少女の髪にガムをつけた。
「遅かったわね、どうしたの?」
「ううん、別に。」
「さぁ、道が混まない内にレストランへ行こう。」
「はい、お祖父様。」

ルドルフ達が昼食の為に入ったレストランの個室で前菜を食べていると、突然隣の個室の方から男の野太い怒鳴り声が聞こえた。

「こんな時期にお前は一体何を考えているんだ!」

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Last updated  2016.05.27 21:55:57
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