※BGMと共にお楽しみください。
「あんな言い方をしたら、みんな誤解するだろうが!?それに、あいつらに俺達の前世の事を教室に戻って説明するっていうのか?」
「そうしたら、変人扱いされるでしょうね。きっと今頃、みんなはわたしと土方さんの事を好き勝手に噂をしていますよ。」
「てめぇは俺をからかっているのか?」
「いいえ。こうして土方さんと二人きりになれる機会を作っただけです。」
真珠はそう言うと、セーラー服のスカートを捲り上げた。
「お前ぇを抱く気にはなれねぇと言った筈だ。」
「姉とは肌を重ねたのに?」
「あれは、勢いで・・」
「勢いに任せて病院で姉とセックスなさるなんて、昔とは大違いですね。」
「人の揚げ足を取るんじゃねぇ!」
歳三がそう言って真珠を睨みつけると、彼女はそっと彼の背に手を回した。
「貴方はご存知ないでしょう?わたしが貴方と再会するまでの間、どれほどわたしが貴方に恋い焦がれていたのかを。」
「真珠・・」
「お願い、今はその名では呼ばないで。」
真珠は歳三のネクタイを掴み、彼の唇を塞いだ。
「忍、俺とお前ぇは昔恋人同士だったかもしれねぇが、今はただの教師と生徒の関係だ。俺の事は諦めてくれねぇか?」
「いいえ、諦めません。貴方がわたしを抱いてくださるその日まで、わたしは貴方を害する者を排除します。」
「それはどういう意味だ?」
「言葉通りの意味ですよ。」
真珠はそう言って捲り上げたスカートを下ろしてソファから立ち上がると、数学科準備室から出て行った。
「沙月、土方先生と何処行ってたの?」
「ちょっと、土方先生と話す事があってね。」
「何、教えてよ~!」
「いくら沙月が友達でも、さすがにそれは言えないなぁ。」
家庭科室で真珠と沙月がクッキーを作りながらそんな話をしていると、明美が二人の方へとやって来た。
「二人とも、口を動かさないで手を動かしなさい!」
「解りました、先生。授業に集中したいので、スマホをマナーモードにするか、電源を切ってくださいませんか?さっきから着信音がうるさくて堪りません。」
「貴方、わたしに口答えする気なの!?」
「いいえ、ただ注意しているだけですよ。」
「貴方って可愛げがないわね、本当に!」
「八方美人よりもマシでしょう。」
明美は真珠を睨みつけると、家庭科準備室のドアを乱暴に閉めた。
「ねぇ、前田先生にあんな口の利き方をしてもいいの?」
「単位を落としたければ、すればいいわ。沙月、あんな女に構ってないで、さっさと終わらせましょう。」
「う、うん・・」
一限目の授業が終わり、真珠が沙月達と共に家庭科室から出て行こうとした時、明美が真珠の腕を掴んだ。
「荻野さん、話したい事があるの、いいかしら?」
「ええ、いいですよ。」
「真珠、大丈夫なの?」
「大丈夫よ、沙月。土方先生には心配しないでくれって伝えておいて。」
「わかった・・」
沙月達が家庭科室から出て行ったのを確認した後、明美はドアに内側から鍵を掛けた。
「わざわざ人払いをさせておいてお話することって何ですか?」
「あんたよね、この動画を流したの?」
明美はそう叫ぶと、持っていたスマホを真珠に見せた。
その画面には明美と彼女の不倫相手である隆雄とのセックスの様子を撮影した動画が映っていた。
「そんなもの、知りません。先生が流したんじゃないんですか?」
「ふざけるんじゃねぇ!」
明美はそう叫ぶと、包丁入れから包丁を取り出し、その切っ先を真珠に突き付けた。
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