北九州で起きた一家監禁殺事件を基に描かれたサスペンス小説です。
ある男が一家を支配下に起き、拷問を繰り返し、洗脳するに至るまでの経緯を詳しく描いています。
事件のことをネットで調べて知りましたが、余りにも残酷で異常な事件で、物語の後半には遺体の解体シーンがあり、想像すると吐き気を催すような光景が浮かびます。
一人の男が暴力で一家を支配し、やがて家族同士で殺人をさせるように仕向けるーまさに「蟲毒」のような事件の概要でした。
北九州の事件から10年以上の時を経て、今度は尼崎でも同様の事件が起きました。
事件の概要はいまだに明らかにされていませんが、主犯格・角田美代子は北九州事件の主犯格・松永と同じ獣の臭いがします。
小説は非常の後味の悪い結末を迎えていますが、現実の事件とリンクしているため仕方がないでしょうね。
ただ、松永や角田といった人の皮を被った獣に牙を剝かれたら、善良な人間たちは彼らの餌食となってしまうという恐ろしい現実を小説を通して体験したような気がしました。