JEWEL

2017/10/21(土)22:15

明日のナージャ ナージャ16歳の旅立ち 金春智子(*ネタバレあり・未読の方はご注意ください)

読書・TV・映画記録(2700)

​​ 大学時代、ちょっとだけ観ていて、数年前に某動画サイトで全話観て夢中になったアニメ「明日のナージャ」の続編小説です。 ウィーンで母・コレットと再会し、ダンデライオン一座と再び旅に出るシーンで最終回を迎えた明日のナージャでしたが、その最終回から3年が経ち、16歳となったナージャは母・コレットと共にワルトミュラー伯爵家で暮らすことに。 祖父のプレミンジャー公爵から貴族の令嬢に相応しい教育を受けたナージャは、再び広い世界を見る為、ウィーンを飛び出し、ダンデライオン一座と共にパリへ向かいます。 プレミンジャー公爵、アニメではコレットとナージャの父親の仲を引き裂いたり、ナージャは熱病で死んだと嘘を吐いたり、ナージャとコレットを会わせなかったりと、何て酷い爺さんなんやと思いましたが、3年暮らしているとナージャへの態度は軟化してきたようで、ダンデライオン一座と共に旅立つ孫娘への餞として、こういう言葉を贈っています。 「いつも毅然としていて、正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると、自信を持って言いなさい。力にものを言わせておさえつけようとする者にはひるむことなく立ち向かい、弱く助けを求めている者には、ためらうことなく手を差し伸べなさい」(P.37より) このプレミンジャー公爵の言葉は、フランシスの「ノブレス・オブリージュ」の精神にも繋がっています。 16歳の誕生日を祝う舞踏会でフランシスと踊るナージャ・・キースとフランシスとの間で揺れる彼女の心は、3年経ってもそのままでしたし、フランシスはフランシスで何か思う所があるようです。 からくり自動車が事故でなくなってしまったのは悲しかったなぁ。 パリで劇場を買い取るも、それが廃屋同然のもので、詐欺に遭ってしまったナージャは諦めずに、義父から貰った経済の本をヒントに劇場をオープンさせる計画を立てます。 ナージャの機転の良さと頭の回転の早さ、そして前向きな姿勢・・13歳の時に母・コレットを探し続けた彼女の強さは変わりませんでした。 ローズマリーも出てきましたが、彼女は相変わらずで、3年経ったからといって性格が変わる訳がないかと妙に納得してしまいました。 ナージャのコレット探しを妨害したり、ナージャに成り済ましたりしていましたしね・・アメリカで新事業を立ち上げるローズマリー、女性実業家になってヨーロッパに帰ってきそうですね。 劇場は華々しくオープンし、こけら落とし公演も大々大成功に終わったナージャが、孤児院仲間のニコルと再会したシーンにはうるっときてしまいました。 この小説には女性の生き方の変化、社会の変化などが描かれており、21世紀の現代では当たり前の事が、ナージャの時代(1910年代)にはあり得ない事だというのが驚きでした。 キースは実業家として成功し、飛行機事業に携わっていると・・彼には先見の明がありますね。 面白くて一気に読んでしまいました。 明日のナージャが好きになり、二次創作小説も一時期書いていましたが、今でもナージャの事が大好きです。

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