黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。
「おはようございます、坊ちゃん。」
セバスチャンがシエルを起こしに主の寝室へと向かうと、彼は苦しそうに咳をしていた。
「坊ちゃん、今医者を・・」
「いい、少し休めば治る。それよりも・・」
「わかりました。」
セバスチャンは病に臥せっているシエルの代わりに、ファントムハイヴ伯爵邸を出てノートルダム大聖堂へと向かった。
「おや、セバスチャン殿ではありませんか?」
セバスチャンがノートルダムの薔薇窓を眺めていると、そこへアーガス神父がやって来た。
アーガス神父は淡い蒼い瞳でセバスチャンの主が居ない事に気づいた。
「ファントムハイヴ伯爵はどうかなさったのですか?」
「坊ちゃんは、風邪で寝込んでしまいました。」
「それは・・後でお見舞いに伺ってもよろしいでしょうか?」
「申し訳ありません、坊ちゃんは誰ともお会いしたくないとおっしゃっております。」
「そうですか、それは残念です。」
アーガス神父は、隙あらばシエルのような貴族や、有力者に取り入ろうとする男である。
シエルはそんな彼を嫌い、彼を極力避けているのだが、アーガス神父には自分がシエルから避けられる理由がわからないらしい。
「アーガス神父様、お助け下さい!」
(欲深なのは、聖職者も同じですね。)
セバスチャンがそんな事を思いながら薔薇窓を眺めていた時、美しいドレスで着飾った貴婦人が大聖堂の中へと駆け込んできた。
「奥様、落ち着いて下さい!」
「悪魔が、悪魔がわたしを殺しに来る!」
その貴婦人はブロンドの髪を振り乱しながら、そう叫んで気絶した。
「奥様!」
「奥様~!」
貴婦人の供と思しき数人の女性達は、主が目の目で昏倒したのを目の当たりにして、悲鳴を上げたり泣き叫んだりした。
「司祭様、あの方は一体どなたなのですか?」
「あの方は、プランタジネット公爵の奥方様の、セシリー様でいらっしゃいます。セシリー様はとても信心深い方で、毎年こちらに多額の寄付をしてくださっています。」
「そうですか・・」
セバスチャンは、彼女が倒れる前に彼女が呟いた“悪魔”とい言葉が気になった。
(一体、彼女は何に怯えていたのだろう?)
セバスチャンがそんな事を思いながら大聖堂内を歩いていると、彼は一人の女性とぶつかった。
「申し訳ありません、お怪我はございませんか?」
「いや、大丈夫だ。」
そう言ってセバスチャンを見たのは、黒と銀の瞳を持った例の踊り子だった。
「少しお話したいことがありますので、わたしと共に来て頂けないでしょうか?」
「・・わかった。」
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