素材は
NEO HIMEISM 様からお借りしております。
「天上の愛地上の恋」の二次創作です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
ルドルフの怪我は、数ヶ月で完治した。
「ルドルフ様、もう歩けますか?」
「ああ。アルフレート、畑を案内しろ。」
「わかりました。」
怪我が治り、ルドルフはアルフレートとともに農作業に勤(いそ)しむ日々を送っていた。
「人って、突然変わるものなのかしらねぇ。」
「何だ急に?」
「ルドルフ様のことよ。ルドルフ様、今まで農場で働きたくないって言っていたでしょう? それなのに、足の怪我が治ってからは毎日アルフレートと一緒に農場に行っているわ。きっとこれもアルフレートのお蔭ね。」
「ふん・・」
ヨハンはミリの言葉を聞き、渋面を浮かべた。
「そんな顔をしていると、色男が台無しよ。」
「うるせぇ、放っておけ!」
ヨハンはそう言うと、コーヒーを一口飲んだ。
口の中に、苦味が広がった。
「ルドルフ様、そろそろ戻りましょうか?」
「まだコーヒー豆の収穫が終わっていないぞ?」
「コーヒー豆の収穫は明日でもできます。ルドルフ様はまだ怪我が治ったばかりなのですから、余り無理をなさっては・・」
「お前、いつからそんなに説教臭くなったんだ?」
ルドルフは少し呆れたような顔をしながらアルフレートを見た。
「昔からですよ。誰かさんが無茶ばかりなさるから・・」
「うるさい奴だ。」
ルドルフがそう言って溜息を吐いた時、向こうの茂みから何やら物音がした。
「アルフレート、さがっていろ。」
ルドルフは上着の内ポケットから拳銃を取り出すと、銃口を茂みに向けた。
「いけません、むやみに発砲しては!」
「最近畑を動物が荒らしていると聞くじゃないか。久しぶりの狩りになりそうだな。」
ルドルフはそう言って嬉しそうに笑うと、引き金に指を掛けた。
その時、茂みから何かが出て来た。
それは動物ではなく、一人の5歳くらいの女児だった。
「アルフレート、何故こんな所に子供が居るんだ?」
「それはわたしの方が聞きたいです。」
アルフレートとルドルフがそんな話をしていると、ルドルフの拳銃に気づいた女児が突然叫び出すと、早口のスペイン語で何かを二人に訴えた。
「アルフレート、一体あいつは何を言っているんだ?」
「さぁ・・」
スペイン語に不慣れなアルフレートは、彼女が自分達に何を伝えようとしているのかが全く解らなかった。
「おい、お前らそこで何してる?」
「大公、いいところに来た。そいつが話している事をわたし達に伝えてくれ。」
「なんで俺が?」
「お前はイタリアで育ったのだろう?だったら、スペイン語も解る筈だ。」
「無茶を言うな。」
ヨハンは溜息を吐くと、ゆっくりと女児に近づいた。
『俺はお前に危害を加えたりはしない、安心しろ。』
自分に怯えている女児を落ち着かせる為、ヨハンは彼女にスペイン語で話しかけた。
すると彼女は、ヨハンの背後に立っているルドルフを指し、こう言った。
『あの人に用があるから呼んで来いって、村長さんが・・』
『ルドルフに?』
『早く呼んで来ないとわたしが村長さんに怒られちゃう。』
『わかった。』
ヨハンは女児の元から去り、ルドルフ達の元へと戻った。
「ルドルフ、お前に会いたい奴が居るそうだ。」
「わたしに?」
にほんブログ村