素材は
NEO HIMEISM 様からお借りしております。
「火宵の月」二次創作小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
「久しいな、スンア。」
「その名でわたくしを呼ばないで下さいませ、大妃(テビ)様。その名はあの忌まわしい女がわたくしに与えたもの。」
「チャン氏は義理とはいえ、其方の育ての母には変わりない。」
「あの女を一度も母だと思った事はございませぬ。」
これ以上何を言っても無駄だと悟ったのか、大妃は翁主(オンジュ)に近況を尋ねた。
「妓楼では皆お前に良くしてくれているか?」
「えぇ、窮屈な王宮での生活よりも、妓楼での生活の方がわたくしの性に合っています。それよりも、兄上はご息災でいらっしゃいますか?」
「あの方は相変わらずです。人に心を閉ざし、動物にだけ心を開く。」
「それは仕方のない事ですわ、大妃様。あのような事があった後に人を信じろと言う方が・・」
「口を慎みなさい、翁主。」
「あの事をこれからも隠し通せるとでも?あの女がした事は・・」
その時、部屋の外で大きな物音が聞こえ、大妃とスンアが扉を開けると、一人の女官が呆然とした様子でそこに立ち尽くしていた。
「其方、何者だ!」
「も、申し訳ございませぬ!決して、立ち聞きしていた訳では・・」
「其方、見ない顔だな?名を何と申す?」
「火月と申します。大妃様、わたくしはこれで失礼いたします。」
「おや珍しい、貴女が王宮にいらっしゃるなんて。」
火月の背後から現れたクオク王妃は、そう言ってスンアを睨んだ。
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