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コチラからお借りいたしました。
「薔薇王の葬列」二次創作小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
養母・チョンジャは、リチャードと今生の別れをした後、牢内で自らの喉を刃で突いて自害した。
「遺体は手厚く葬りなさい。卑しい妓生であったにせよ、昭媛の養母であった女です。」
「はい、媽媽。」
マーガレットは物言わぬ骸と化した瑠璃楼の行首に一瞥をくれた後、自室へと戻った。
「母上、どちらへ行かれていたのですか?」
「エドワード、野暮な事を聞くのではありません。お前はこんな夜更けに、何処へ行こうとしているのです?」
「そ、それは・・」
「もしや、昭媛と王様との情事を覗き見ようと、王様の部屋に行こうとしているのではないだろうね?」
「母上、そのような事は・・」
「其方は、まだ男女の艶事を知るには早過ぎます。決して王様の部屋に行ってはなりません、良いですね?」
「は、はい・・」
「宜しい、では戻りましょうか、世子様。」
マーガレットはそう言うと、エドワードを夫とリチャードが居る部屋から遠ざけた。
夜が明け、リチャードがヘンリーの腕の中でまどろんでいると、そこへ女官達が入って来た。
「おはようございます、王様、昭媛様。お二人ともお召し替えをなさいませ。」
「まだ眠いよ・・少しだけ寝かせて。」
「いけません。」
絹の布団に包まって眠ろうとするヘンリーにそう厳しく声を掛けたチェ女官長は、乱暴に彼が包まっている布団を引き剥がした。
「リチャード、何処へ行くの?」
「王様、わたくしはこれで失礼いたします。」
リチャードがそう言って女官達とヘンリーの部屋から出ようとした時、ヘンリーが寂しそうな顔をして彼女を見た。
「一人にしないで、リチャード。」
「王様、わたくしは側室の身。王様には王妃様がおられるのですから、わたくしよりも王妃様の事を大切になさいませ。」
「王妃は怖いから嫌だ。ねぇ、今日はずっと僕の傍に居てよ、お願い。」
「まぁ王様、我儘を言ってはなりません。」
チェ女官長達がそう言いながら駄々を捏ねるヘンリーを宥めていた時、マーガレットが部屋に入って来た。
「王様、いつまでそのような格好をなさっているのです?早くお召し替えをなさいませ。」
「わかったよ・・」
「昭媛はわたくしと共に来るがよい。其方に会わせたい者をわたくしの部屋に待たせてあります。」
「わたくしに、会わせたい者でございますか?」
マーガレットの言葉を聞いたリチャードは、嫌な予感がした。
そしてその予感は、見事に的中した。
「まぁ王妃様、お久しぶりでございます。」
「セシリー、二人の息子達は息災か?」
「はい。漸く上の息子のエドワードの縁談が調いましたの。」
「まぁ、それはめでたい事、後でわたくしの方から祝いの品を贈ることにしよう。」
「有り難き幸せにございます、王妃様。わたくしに会わせたい者は、どちらにおられるのですか?」
「其方の娘に決まっておろう、セシリー。」
マーガレットはそう言うと、かつてセシリーが捨てた娘を彼女と引き会わせた。
「恐れながら王妃様、わたくしには娘は居りません!」
「ああ、其方はこの娘を捨てたのであったな、セシリー。リチャード、其方の母だ。」
自分を捨てた産みの母と対面しても、リチャードは何の感情も湧いてこなかった。
「この女がわたしの娘の筈がありません、この女は卑しい妓生・・」
「口を慎め、セシリー。この娘は王様の側室であるぞ。」
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