素材は
NEO HIMEISM 様からお借りしております。
「天上の愛地上の恋」の二次創作です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
「アルフレート、何故止める?」
「ゴンザレス様のお話を少し聞いてから、カルロス様にお会いしても宜しいのではないでしょうか?」
アルフレートはそう言うと、今にもカルロスを殺しそうな目をしているルドルフを必死で止めた。
「そうだな、奴を殺すのはその後にしてもいい。」
ルドルフは少し不満げな顔をしてドアに背を向け、アルフレートの隣に座った。
『それでゴンザレス殿、アルフレートに学校の手伝いをして欲しいと・・そうおっしゃりたいのですか?』
『はい、そうです。もしお嫌ならば・・』
『わたしでよければ、学校をお手伝い致しましょう。』
「アルフレート、こっちへ来い。」
ルドルフはいきなりアルフレートの手を掴むと、そのまま母屋から出て行った。
「お前、一体どういうつもりだ? あんな奴の手伝いをするなんて。」
「ルドルフ様、ゴンザレス様は悪い方ではないと思います。」
「だが、あいつはあのカルロスと繋がっているかもしれないんだぞ? もしお前に何かあったら・・」
「お言葉ですがルドルフ様、わたしは拳銃を扱えますよ?」
天使のような清らかな笑みを浮かべながら、アルフレートはサラリと物騒な言葉を口にした。
(ああ、そうだったな。)
その言葉を聞いたルドルフは、ウィーンで7年ぶりに再会したアルフレートが、逞(たくま)しく強(したた)かな男となっていた事を思い出した。
ルドルフの中でのアルフレートは、宮廷付司祭として働いていた頃の彼の記憶しかなかった。
だが、アルフレートはすっかり変わってしまった。
その変化に気づけない自分に、ルドルフは我ながら苦笑した。
「ルドルフ様?」
ルドルフが我に返ると、自分を心配そうに見つめるアルフレートの姿があった。
「いや、何でもない。お前はわたしと離れている間、強くなってしまったようだな?」
「ええ。何せあなたよりも3つも年上ですから。」
「言ってくれるな、お兄様。」
ルドルフはそう言ってアルフレートに微笑むと、彼の胸を拳で軽く小突いた。
「戻ろう、大公達が心配している。」
「はい。」
ルドルフの手を握り返しながら、アルフレートは昔ウィーンでヨハンと追いかけっこをしたことを思い出した。
「何を笑っている?」
「いいえ。」
「おかしな奴だ。」
アルフレートとルドルフが仲良く連れ立って母屋に戻ると、ダイニングルームにゴンザレスの姿はなかった。
「ゴンザレス様は?」
「もう帰ったよ。その様子だと、お前達もう仲直りしたみたいだな?」
「お騒がせ致しました。」
「まぁいい、いつもの事だからな。さてと、遅いが朝食にするか。」
「わたしも手伝おう、大公。」
「お前は座っておけ。慣れないことはしないほうがいいぞ。」
「安心しろ、包丁の扱いにはもう慣れた。」
そう言ってヨハンに微笑んだルドルフだったが、目が笑っていなかった。
「ルドルフ様、朝食の準備は大公様にお任せして、わたし達は草むしりでもいたしましょう。」
「わかった。」
(助かったぜ、アルフレート。)
「何よ、ジャンナ。あなたでもそんな顔するのね?」
「う、うるせぇ!」
にほんブログ村