2019/12/17(火)15:41
一輪花 幕末編 「黒猫」(十一)
※BGMと共にお楽しみください。
「進撃の巨人」の二次創作小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
リヴァイが両性具有設定です。苦手な方は閲覧なさらないでください。
「美禰(みね)、何故ここに居る?」
「エルヴィン様に会いに来たからに決まっているじゃありませんか。」
そう言ったエルヴィンの許嫁・美禰は、コロコロと鈴を転がすかのような声で笑った。
「まさか、わたしが君を江戸に残して浮気するとでも思って、わざわざ京へ?」
「いいえ、美禰はエルヴィン様を心から信じております。実は京に来たのは、兄上を弔いに来たのです。」
「兄上というと・・吉之助殿が?」
「はい。」
美禰の兄・吉之助とエルヴィンは幼馴染で、吉之助はエルヴィンが唯一心を開くことができる大切な友だった。
その吉之助の訃報を知り、エルヴィンは暫くその場から動けなかった。
「エルヴィン様?」
「すまない・・急な事で受け止められないんだ。吉之助は何故死んだんだ?」
「・・殺されたのです、兄は“黒猫”に。」
「“黒猫”・・」
「エルヴィン様もご存知でしょう、京で暗躍している正体不明の人斬り“黒猫”を?」
「ああ、知っているとも。」
「会った事はおありですか?」
一瞬、エルヴィンの脳裏に、あの時会った舞妓―リヴァイの顔が浮かんだ。
(まさか、リヴァイが・・そんな事は・・)
「エルヴィン様?」
心配そうに自分の顔を覗き込もうとする美禰の手を、エルヴィンはそっと握った。
「済まない、少し気分が優れなくて・・」
「まぁ、それは大変ですわ!今お茶をお持ちしますからね!」
そう言った美禰は部屋から飛び出ると、彼女は一人の芸妓とぶつかった。
「あら、ごめんなさい。」
「すいまへん。」
芸妓は切れ長の三白眼をしていて、その所為で美禰は彼女に睨まれているような気がした。
「兄さ・・姐さん、早うお座敷に戻って来ておくれやす!」
「ほな、うちはこれで失礼します。」
リヴァイはそう言って武家娘に背を向け、お座敷へと戻っていった。
「なぁ、いいだろう?可愛い子ちゃんの声が聞きたいなぁ。」
お座敷にリヴァイが戻ると、丁度舞妓に扮しているアルミンが酔客に絡まれている所だった。
「まぁお客様、うちではご不満どすか?」
リヴァイがそう言ってアルミンに絡んでいる酔客に微笑むと、彼は慌ててアルミンから手を離した。
「さっきは助けてくださってありがとうございます。」
「あんな事ならもう慣れっこだ。余り気にするな。」
「はい・・」
「屯所に戻るぞ。」
リヴァイはミカサとアルミンを連れて料亭から出ようとした時、先程自分とぶつかった武家娘が酔客に絡まれているのを見た。
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