2020/02/06(木)00:00
一輪花 幕末編 「黒猫」(四十九)
「進撃の巨人」の二次創作小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
リヴァイが両性具有設定です。苦手な方は閲覧なさらないでください。
「エルヴィン、どうしてここに?」
「文を寄越さずに済まなかった、リヴァイ。」
エルヴィンはそう言うと、リヴァイを抱き締めた。
「おい、こんな所でそんなことするんじゃねぇ!ガキどもが見ているだろうが!」
「じゃぁ、二人きりだといいのか?」
エルヴィンに耳元でそう囁かれ、リヴァイはその場にへたり込みそうになった。
「相変わらずお熱いねぇ・・」
「うるせぇ、ハンジ。」
リヴァイが赤くなった顔を誰にも見せたくなくて俯きながら歩いていると、彼は一人の長身の女とぶつかった。
「さすけねぇか(大丈夫か)?」
そう言って自分に向かって手を差し伸べた女は、エルヴィンと並んでも遜色ない程背が高かった。
彼女は髪を結わず、頭頂部でひとくくりにしていた。
「リヴァイ、大丈夫か?」
「あぁ・・」
「 “リヴァイ”・・京の伝説の人斬りか。それにしても随分と・・」
「八重殿、それ以上言うて下さりませぬな。」
「そうだな。あぁ、自己紹介が遅れたな、わたしは山本八重、以後よろしくお願い致す。」
「山本八重・・確か京で、山本覚馬殿とお会いした事があるな。」
「山本覚馬は、わたしの兄だ。こんな所でお会いしたのは何かのご縁、今から我が家へ案内致します。」
「かたじけない。」
こうしてリヴァイ達は、“幕末のジャンヌ=ダルク”こと、山本八重と出会った。
「これが、エゲレスのスペンサー銃だ。官軍が使っているミニエー銃よりも連弾が可能だ。」
山本家に着くなり、八重はそうリヴァイ達に銃の構造を説明すると、おもむろにスペンサー銃を手に取り、的の中心を狙って撃った。
耳を劈(つんざ)くかのような破裂音がした後、リヴァイがうっすらと目を開けると、的の中心は穴が空いていた。
「ほぉ、これが銃か・・」
「鉄砲は飛び道具で卑怯という考えは古い。これさえあれば、味方を失わずに多くの敵を倒せる。」
「やみくもに敵陣に突っ込んで部下や仲間を死なせる前に、こいつで敵の額を撃ち抜きゃいいって事か・・悪くねぇな。」
そう言ったリヴァイの瞳は、好奇心旺盛な子供のようにキラキラと輝いていた。
「八重殿、いらっしゃいますか?」
山本家の庭の方から声が聞こえて来たかと思うと、一人の女性がリヴァイ達の前に現れた。
艶やかな黒髪を結い上げ、若草色の小袖姿のその女性は、切れ長の瞳でリヴァイと八重を見た。
「八重殿、こちらの方は?」
「こちらは新選組のリヴァイ=アッカーマン殿。リヴァイ殿、こちらは中野竹子殿だ。」
「初めまして、リヴァイ殿。京での貴方のご活躍ぶりはお聞きしております。」
「それは光栄だな。」
「竹子殿、わざわざこちらにお越しになられるとはお珍しい。何かわたくしに御用ですか?」
「はい。わたくしは八重殿にひとつ、ご忠告申し上げたくこちらに参った次第にございます。」
「忠告?」
「戦場で飛び道具は不要。そう申し上げたく参りました。」
竹子の言葉を彼女の傍で聞いていたリヴァイは、思わず吹き出してしまった。
「何がおかしいのですか?」
「あんた、どれだけ偉いのか知らねぇが、戦場を見た事がない奴がよく言うぜ。」
リヴァイの言葉に、竹子は怒りで顔を赤くした。
「あれ、止めなくていいんですか?」
「まぁ、見てなって。」
そう言ったハンジは、何処かこの様子を面白がっているようだった。
「戦場で互いに名乗りを上げて刀や槍で戦うのがあんたらのやり方で結構だが、その“武士の誇り”とやらを大事にした所為で、鳥羽・伏見で何人死んだと思う?鉄砲と刀さえありゃ、鬼に金棒だと思うが?」
「そこまでおっしゃるのなら、貴方の剣の腕は確かなようですね。ここはひとつ、わたくしと勝負して頂けませんか?」
「・・望むところだ。」
山本家を出たリヴァイ達は、竹子と共に道場へと向かった。
そこには、道着姿の女性達が薙刀の稽古に精を出していた。
「さぁ、貴方の実力を確めましょうか?」
竹子はそう言うと、壁に掛かっていた稽古に使う薙刀をリヴァイに手渡した後、素早く襷(たすき)掛けした。
「大丈夫かなぁ?」
「エレン、リヴァイの事は心配しなくても大丈夫だよ。」
「ハンジさん?」
「まぁエレン君、見ていなさい。」
エルヴィンはそう言うと、エレンの肩を叩いた。
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