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JEWEL

2020.02.17
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※BGMと共にお楽しみください。

「進撃の巨人」の二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

リヴァイが両性具有設定です。苦手な方は閲覧なさらないでください。

「待ったか?」
「ううん、今来たとこ。」

大型商業施設の中にあるフードコートは、土日の混雑さがまるで嘘のように、静寂に満ちていた。

「悪いな、せっかくの休みなのに呼び出して・・」
「別に。それよりも兄さん、顔色が悪いけれど大丈夫なの?」
「スーパーのパートは、さっきクビになった。」
そう言いながら少し冷めた紅茶を一口飲んだリヴァイは、ここへ来る数時間前の事を思い出した。
「アッカーマンさんは良く働いてくれているけれど・・昨夜こんなメールが人事部に届いてね。」
新井がそう言ってリヴァイに見せたものは、ケニーが起こした事件を報じた週刊誌の記事のコピーが添付されたメールだった。
「クビ、ですか?」
「僕も上に何度か掛け合ってみたんだけれど・・駄目だった。」
新井は申し訳なさそうにそう言った後、俯いた。
彼に責任はない。
「お世話になりました。」
リヴァイはロッカーの中の私物を全て取り出してリュックに入れ、昨日まで約四年間働ていた制服をクリーニングに出した。
「そう・・また、なのね。」
「あぁ。ミカサ、お前は職場で何も言われなかったか?」
「大丈夫。戸籍をイェーガー家にうつしたから。」

ミカサの職業は刑事だ。

身内に犯罪者が居ると警察官に採用されないのだが、その時既にイェーガー家の養女となっていたミカサは警察官として採用され、約半年間の訓練を経て交番勤務から捜査一課の刑事となった。
「兄さんの事が、わたしは心配・・それに、梓ちゃんの事も。」
「梓は、何も言わねぇ。まだ三つだってのに、一丁前に俺に気を遣っていやがる。」
「暫くうちに来ればいい。マスコミが兄さんの住んでいるアパートを嗅ぎつけるのは時間の問題。」
「・・ありがとうな。」
「兄妹同士、助け合うのは当然でしょ。母さんもきっとそれを望んでいる筈。」
「あぁ、そうだな・・」

ミカサと別れ、リヴァイは一旦自宅に戻り、クローゼットの中からスーツケースを取り出して中にあった数少ない自分と娘の衣服や私物を詰めた。
一段落してリヴァイが紅茶を淹れようとした時、玄関のチャイムが鳴った。

『やっほ~、リヴァイ!近くに来たから遊びに来たよ!』

インターフォン越しにそう叫んでケーキが入った箱を片手で掲げたのは、リヴァイの長年の友人であるハンジだった。

「うわぁ、綺麗に片付いてんじゃん!」
「ハンジ、何しに来た?」
「何って、あんたとケーキ食べて駄弁りに来たんだよ。」
「・・そうか。」
「梓ちゃんは元気?」
「あぁ。」
「昨夜、エルヴィンからRIME(ライム)が届いたよ。」
ハンジはそう言うと、カーキ色のハンドバッグから革表紙カバーがついたスマートフォンを取り出した。
「エルヴィンといつそんな事をしてたんだ、お前?」
「わたしだけじゃないよ?ほら、こんなグループもあるよ?」

ハンジがそう言ってリヴァイに見せたのは、「チーム幕末組」という名前がつけられたグループだった。

「何だ、そのダッセェチーム名・・」
「いやぁ、だって“新選組”とかつけたらヤバいじゃん?」
「それで、そのチームには、居るのか・・」
「わたし達みたいに“記憶”がある人達が居るかって?沢山居るよ!」
「そうか・・」
「それよりも・・リヴァイ、あんたこれからどうするの?」

リヴァイがハンジを見ると、彼女の顔から笑顔が消えていた。

「どうするって?」
「あんたの心臓の中にある爆弾はいつ破裂してもおかしくない。その前に手術を・・」
「手術は受けねぇ。前にもそう言った筈だ。」
「リヴァイ、でも・・」
「俺は昔、この手で多くの者を殺めてきた・・その罰が下ったんだろうよ。」
「“昔”のあんたは、そんなに悲観的な性格じゃなかったよね?何があんたをそんな風にさせたの?」
「・・ケニーが、近々仮釈放されるそうだ。」

ハンジが息を呑む音が聞こえた。

「その事で俺は今朝、掛け持ちしていた昼の仕事をクビになったし、梓は幼稚園で孤立しているし、俺もボスママに目をつけられている・・こんな状況を笑い飛ばせなんて無理だろうが。」
「リヴァイ・・」
「あいつの所為で、俺達はいつも世間から白い目で見られ、石を投げられた事なんて数えてもキリがねぇ。まぁここが、田圃(たんぼ)と電柱しかねぇド田舎よりはマシだがな。」

リヴァイとミカサは、周囲を見渡せば田圃と畑、電柱しかない過疎地の村で生まれ育った。

そこにある娯楽といえば、他人の粗探しと悪口だけだった。

何処そかの嫁がどうの、三軒先の爺さんがボケてきたとか、そんな下らない噂話に興じる村人達を、何処かリヴァイは醒めた目で見ていた。
 村人達は、自分達の“文化”を壊そうとする新参者や余所者を酷く嫌った。
彼らの餌食となった者達の多くは、田舎暮らしに憧れて都会から移住してきた人々だった。
 長閑で豊かな自然に囲まれた田舎暮らしは、蓋を開けてみれば四六時中村人達から監視される息苦しいものだった。

リヴァイ達もまた、村人の監視対象だった。

リヴァイの母・クシェルは、未婚のままリヴァイを産んだ。

その所為で、村人達はクシェルの事を“娼婦”と罵り、リヴァイ達は村の子供達に石を投げられた。
母に対する事実無根の中傷、いわれなき自分達への迫害―まるで生き地獄のような日々を送る自分達の前に、救世主が現れた。

その救世主は、ある宗教団体のリーダー、宇佐見だった。

都会から来た胡散臭い、自分達の生活を脅かす“敵”の存在に、村人達は一致団結し、宇佐見達を追い出そうと躍起になった。

そして、事件は起きた。

秋祭りの宴会で振る舞われた葡萄酒に、劇薬のストリキニーネが混入され、村人三十五人が死亡した。
警察は、事件の犯人である宇佐見を逮捕し、宇佐見は法廷で真実を語らぬまま獄中で自殺した。
クシェルはリヴァイ達を連れ、兄・ケニーが暮らす東京へと引っ越した。

東京での生活は、快適と自由に満ちていた。

道行く人々は誰もリヴァイ達に向かって石を投げたりしないし、通りすがりに罵声を浴びせたりしない。
そんな穏やかな日々が突然終わりを告げたのは、リヴァイが中学一年、ミカサが小学五年生の時だった。

 ケニーが、人を殺したのだ。

  事件はマスコミに大きく報道され、クシェルは子供達を守る為に、リヴァイ達を知人のイェーガー家に預けた。

「いい、何があっても生き延びるのよ、わかったわね?」

そして、再びリヴァイ達は生き地獄のような日々を送った。

今回の加害者達は過疎地の村人達ではなく、正義の仮面を被った名も無き“善人たちだった。

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Last updated  2020.02.18 17:01:06
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