「進撃の巨人」の二次創作小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
リヴァイが両性具有設定です。苦手な方は閲覧なさらないでください。
彼らが行う“正義”によって、リヴァイ達は何度も引っ越しを余儀なくされた。
クシェルは心労が祟り、“あの日”を境にリヴァイ達と離れて暮らす事になった。
(これは、罰だ。前世で多くの者を殺めた俺への・・)
いつしか、リヴァイは笑う事も泣く事も忘れてしまった。
無表情でいれば、周りが自分に何もしないとわかったからだ。
だから、リヴァイは学校や近所で嫌がらせを受けても、無表情を貫いた。
その結果、リヴァイを構おうとする者は居なくなった。
ただ一人を除いては。
「君、何でいつも一人なの?」
中学二年の頃、三学期を迎えた頃にやって来たその転校生は、何かと一方的にリヴァイに話しかけて来た。
転校生でリヴァイが抱える事情を全く知らない事もあったのだろうが、彼は毎日リヴァイに話しかけて来た。
はじめは鬱陶しがっていたリヴァイだったが、その転校生に少しずつ心を開くようになっていった。
そんな中、転機が訪れたのは社会のグループ発表の時だった。
リヴァイは次々とクラスメイト達がグループを作っていくのを遠巻きに眺めながら、一人で発表課題に取り組もうとしていた。
「ねぇ、まだグループに入っていないんだったら、うちのグループに入れば?」
「いい。一人でやった方がいいから。」
「でも・・」
「アッカーマンにはあんまり構わない方がいいぜ。」
「そうそう、あいつ色々とヤバいから。」
それから、転校生はクラスメイト達に何を吹き込まれたのかはわからないが、リヴァイに話しかける事はおろか、目を合わす事もしなくなった。
中学を卒業してからは高校に行かず、悪い連中とつるんで無味乾燥な日々を送っていた。
ヤンキーの世界は、誰にも気兼ねすることなく本音で話し合える関係だったので、リヴァイは生まれて初めて自分の居場所というものを見つけたような気がした。
そんな中、リヴァイが出会ったのが、暴力団の若頭だった。
彼は教養があり、リヴァイの事を一目で気に入って自分の愛人にならないかと誘って来た。
リヴァイは、その誘いに乗った。
ヤンキーの世界とは違い、極道の世界は厳格な上下関係で構成されていた。
組のナンバー2である若頭の愛人という地位は、リヴァイに束の間の安寧をもたらした。
彼はただ何も考えず、背中に色鮮やかな刺青も彫り、若頭が与えてくれた屋敷でのんびりとテレビを見て過ごす日々を送っていた。
抗争が起き、組が潰れたその日までは。
学歴も何もないリヴァイにとって、手っ取り早く金を稼げるのは水商売の世界だった。
その世界で、リヴァイは己の身を商売道具として金を稼いだ。
彼は生まれつき、男と女の機能を両方併せ持っていた。
リヴァイは、昼夜逆転の生活を送りながら、夜の世界に馴染んでいった。
そんな中、彼は客同士の喧嘩を仲裁した際ナイフで腹を刺され、病院に搬送された。
そこでリヴァイは、エルヴィンと出会った。
当時駆け出しの研修医だったエルヴィンは、救急救命室(ER)に配属されたばかりだった。
エルヴィンは、まだ少年らしさが残るあどけない顔立ちをしていたが、長身で白衣の上からでもわかる見事な肉体美の持ち主だった。
そんな彼がじっと青い瞳で自分を見つめて来るので、リヴァイは思い切って彼に尋ねてみた。
「お前、俺の顔に何かついているか?」
「ねぇ、もしかしたら・・リヴァイ君、だよね?」
「は?何でお前俺の事知ってんだ?」
「覚えてない?中二の時に・・」
エルヴィンの言葉を聞き、リヴァイの脳裏にやたらと自分に話しかけて来た転校生の顔が甦った。
「エルヴィン・・エルヴィンなのか?」
「思い出してくれたんだね、リヴァイ!」
エルヴィンはそう叫ぶと、リヴァイを抱き締めた。
「中学以来だね。今はどうしているの?」」
「色々とやってる。それにしてもエルヴィン・・あの頃よりもデカくなったな。」
「うん・・リヴァイ、これ・・」
エルヴィンが頬を赤く染めながら、リヴァイに携帯の番号が書かれたメモを手渡した。
「じゃぁ、またね。」
「あぁ・・」
中学生の頃から止まっていた時計の針が、再び動き出した瞬間だった。
エルヴィンと過ごしている間、リヴァイは何故か彼の傍に居る時だけ居心地の良さを感じていた。
「ねぇ、僕達付き合わない?」
「あぁ・・」
まるでこうなるのが必然であるかのように、エルヴィンとリヴァイは恋人同士となった。
「リヴァイ、そろそろ結婚したいな。」
「結婚・・」
「ねぇ、リヴァイのご両親は何をしている方なの?」
「・・親は、二人共交通事故で死んだ。」
リヴァイはとっさに苦し紛れの嘘を吐いた。
その嘘がバレたのは、リヴァイがエルヴィンと結婚して三年目を迎えようとした春の事だった。
「リヴァイさん、エルヴィンと別れて下さらないかしら?」
突然連絡もなくやって来た姑からそう切り出されたリヴァイは、エルヴィンに妊娠を告げずに彼と離婚した。
誰も知り合いが一人も居ない中でリヴァイが育児に悪戦苦闘している間、エルヴィンが再婚した事を風の噂で聞いた。
離婚してから、リヴァイはエルヴィンと会おうとしなかった。
彼の新しい家庭を壊すような事を、したくはなかったのだ。
だが―
「あなたが、リヴァイさん?」
リヴァイがゴミ捨てに行って部屋に戻ろうとした時、彼は一人の女性に声をかけられた。
「はじめまして、エルヴィンの妻の、奈々です。ちょっとお話しできないかしら?」
「・・わかりました。」
リヴァイがそう言って女性の車を見ると、それはこの前自分を執拗に追い掛けて来た車と同じものである事に気づいた。
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