※BGMと共にお楽しみください。
「進撃の巨人」の二次創作小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
リヴァイが両性具有設定です。苦手な方は閲覧なさらないでください。
「どうぞ、おかけになって。」
「は、はい・・」
エルヴィンの妻・奈々がリヴァイを連れて行ったのは、二十四時間営業のファミリー・レストランだった。
平日の午前中だという事もあり、店内にはリヴァイと奈々の二人だけだった。
「お話とは、一体何でしょうか?」
「あなた、エルヴィンに対して未練はないのね?」
「はい。彼とはもう赤の他人同士ですから・・」
「そう。あなた、エルヴィンの子を産んでみたくない?」
「は?」
リヴァイは最初、奈々の言っている事がわからなかった。
「わたしは子どもが産めない身体なの。」
奈々はリヴァイに、不妊専門クリニックを受診し、自分が不妊症である事、不妊治療が上手くいかず、自分と夫の両親から責められている事などを話した。
「この書類にサインして。」
「“代理母出産”?」
「お金ならいくらでも出すわ。だから・・」
「お断りします。」
リヴァイは自分の紅茶代だけを払って店から出て行った。
「金持ちは、これだから嫌いだ・・」
彼がそう呟きながらアパートのエレベーターに乗り込むと、そこへ一人の男が乗り込んで来た。
「よぉリヴァイ、背は相変わらずだな。」
「ケニー・・」
「何だそのシケたツラは?」
そう言ったケニーは、屈託のない笑みを浮かべた。
「それで、久しぶりに俺に会いに来た理由は何だ、ケニー?」
「ちょっと、お前ぇに頼みてぇ事があって来たんだよ。」
「金ならねぇぞ。」
「お前ぇ、エルヴィンの女房にさっき会って来ただろう?」
「あぁ。」
「実はな、お前ぇに仕事の紹介をしに来たんだよ。」
「は?」
その日の夜、エルヴィンは仕事仲間と久しぶりに飲みに行った。
「二次会行く人~!」
「は~い!」
上司に連れられ、エルヴィン達は夜の繁華街へと繰り出した。
「あの店にしよう!」
エルヴィン達が入ったのは、グランドピアノの生演奏が聴ける、少し高級なスナックだった。
「いらっしゃいませ。」
店に入り、ボックス席に着いたエルヴィンは、フロアの向こうから青いドレスを着た一人のホステスが自分達の所へとやって来る事に気づいた。
そのホステスは、リヴァイだった。
「リヴァイ・・」
「エルヴィン・・」
リヴァイは思わぬ形で元夫と再会して少し動揺したが、すぐに営業用スマイルを浮かべた。
「リヴァイ、あのお客さんと知り合いなの?」
「・・あぁ。前に話したろ、別れた旦那だ。」
「へぇ、結構いい男じゃない。何で別れたの?」
「・・色々あってな。」
店のバックルームで、リヴァイはそう言うと煙草を咥えてそれに火をつけた。
「まぁ、あたしもこの商売やっているから、色々とワケアリの人間を見て来たから何も言わないけどね。」
「ありがとう、ママ。」
「それよりさ、あんた身体の方は大丈夫なの?」
「何とか大丈夫だ。今朝、別れた旦那と再婚した嫁が俺に会いに来て、金やるから代理母出産しろだと、ふざけた事を言ってきやがった。」
「断ったんだよね?」
「あぁ。金持ちはこれだから嫌いだ。」
「言えてる。」
「ナナバ、これから時間あるか?少し話したい事がある。」
「わかった。」
店を閉めた後、ナナバはバーカウンターでリヴァイと酒を飲みながら今後の事を話し合った。
「そうか・・あんたの伯父さんがねぇ・・」
「これから、この店のバイトと、伯父貴の“仕事”の掛け持ちをする事になった。」
「大丈夫なの?」
「あぁ。」
そう言ったリヴァイは、どこか疲れているように見えた。
「大丈夫、誰にも言わないから。」
「ありがとう。」
翌朝、エルヴィンはコーヒーを飲みながら朝刊を読んでいた。
「じゃぁ、行って来るわね。」
女友達と五泊六日のハワイ旅行へと出かける妻を送り出した後、エルヴィンは自分のノートパソコンを起動させた。
仕事関係のメールをひと通りチェックしていると、ハンジから一通のメールが添付ファイルつきで届いた。
“これ、リヴァイじゃない?”
エルヴィンが恐る恐る添付ファイルを開くと、一本の動画が再生された。
それは、二人組の男達が一人の小柄な女を凌辱しているものだった。
観終わった後、エルヴィンは吐き気に襲われ、暫くトイレに籠もって胃の中の物を全て吐き出した。
『エルヴィン、折角の休みなのにごめんね。』
「ハンジ、あの動画はいつ見つけたんだ?」
『三日前かな。モブリットが見せてくれてさ、あの動画を。あれ、かなりマニア向けのサイトのメインコンテンツになっているんだよね。』
『その動画のサイトのURLを教えてくれ。』
『・・わかった。』
エルヴィンがハンジに教えて貰ったサイトを見ると、そこには人気のコンテンツがサイトのトップ画面に表示されていた。
(リヴァイ、どうして・・)
その日一日中、エルヴィンは何も手につかなかった。
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