「進撃の巨人」の二次創作小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
リヴァイが両性具有設定です。苦手な方は閲覧なさらないでください。
「・・とんだ結婚披露宴になっちまったな。」
「あぁ。」
披露宴の後、エルヴィンとリヴァイは宿泊先のホテルの部屋に入った後、そう言いながら溜息を吐いた。
「奈々はどうして、ここに来たんだ?」
「さぁな。だが、あの女はもう二度と俺達の前には現れないだろうよ。」
「そう願いたいね。」
エルヴィンはそう言うと、リヴァイを抱き締めながら眠りについた。
「彼女の様子はどうだ?」
「変化なしです。相変わらず支離滅裂な事ばかり言っています。」
「そうか・・」
土方歳三は、何処か暗く淀んだ目で自分を見つめているような奈々の顔を、マジックミラー越しに見た。
「・・わたしばかり不公平だわ。昔も今も、幸せになれないなんて・・」
奈々は、ブツブツとそんな事を言いながら、髪の毛をイライラとした様子でいじった。
(わたしばかり、どうしてこんな目に遭うの?)
そんな事を思いながら奈々が取調室の入口の方を見た時、懐かしい人物がそこに居た。
「彼女と二人きりで話をさせてくれ。」
「はい、わかりました。」
部下が取調室から出て行くのを確認した土方は、奈々の前に腰を下ろした。
「お久しぶりですわね、土方様。」
「あぁ・・確かあんたは、エルヴィン=スミスの許嫁だった女か?」
「えぇ、そうよ。昔(前世)はわたくしとエルヴィン様は結ばれなかったけれど、今度こそ彼と結ばれると思ったわ。それなのに・・わたくしはエルヴィン様に愛されない!どうしてなの!?」
「それは、あんたとエルヴィン様がそういう関係じゃなかったからさ。」
土方の言葉を聞いた奈々―もとい美禰(みね)は激しく嗚咽した。
「あの、今のを調書にどう書けば・・」
「夫と元妻がよりを戻すと知り、嫉妬に狂ってやったとか、適当に書けばいい。前世との関係がどうのこうのとか書いたら、上にはねのけられるに決まってんだろう。」
「そうですね・・」
土方は溜息を吐きながら、取調室で啜り泣く奈々の姿を見た。
前世の記憶に執着し、囚われるという事は、何と愚かで哀れな事だろうか。
奈々が自殺したという報せを土方が聞いたのは、彼女を取り調べてから数日後の事だった。
彼女は隠し持っていたカミソリで、喉を突いて長時間苦しんだ末に、自分の血で窒息して死んだのだった。
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