※BGMと共にお楽しみください。
「大変だ、土佐の坂本が暗殺された!」
「それは本当か?」
「あぁ。下手人はまだ捕まっていないらしい・・」
千は屯所の中庭で平隊士の話を聞いても、千は不思議と驚かなかった。
(あぁ、やっぱり・・)
いずれこうなる日が来る事はわかっていた。
何故か、悲しみや怒りなどという感情が湧いてこない。
「原田組長が奉行所に捕まった!」
「どうして、そんな・・」
「何でも、近江屋で坂本が殺された晩、原田組長の姿を見たという者が居るらしい。」
「その者は誰だ?」
「さぁ・・」
「あ、斎藤先生・・」
千が中庭の方を見ると、そこには御陵衛士に新選組の間者として潜入していた斎藤の姿があった。
「斎藤さん、お久しぶりです。」
「千、元気そうで何よりだ。」
「副長は?」
「副長室にいらっしゃいます。」
「そうか。」
副長室に斎藤が入ると、そこには歳三と永倉の姿があった。
「斎藤、何でお前・・」
「斎藤には、俺の命で間者として御陵衛士に潜入してもらった。」
「そうか。じゃぁ斎藤がこっちに戻って来たって事は、向こうで何か動きがあったって事か?」
「伊東は、近藤局長を暗殺しようと企んでいる。坂本殺しの下手人が原田だと奉行所に証言したのは伊東だ。」
「何だと!?」
「このままだと、こちらがやられるばかりです。」
「そうだな・・やられっ放しなんて俺の性には合わねぇ。」
「では・・」
「殺られる前に、殺る。」
1867(慶応3)年11月18日。
歳三と勇は、伊東に適当な嘘を吐いて勇の妾宅へと呼び出した。
泥酔し帰宅途中であった伊東を、近くの路地で待ち伏せしていた大岩鍬次郎らに殺害された。
新選組は伊東の遺体を路上に放置し、遺体を回収しに来た御陵衛士達を襲撃した。
御陵衛士の中には藤堂平助の姿があった。
「土方さん、お願いがある・・」
「何だ?」
「平助だけは助けてやってくれないか?」
「・・わかった。」
だが、永倉達の願いは叶わなかった。
「副長、永倉達から御陵衛士の粛清を終えたという報告がありました。」
「そうか・・殺されたのは何人だ?」
「篠原泰之進、鈴木三樹三郎、服部武雄、毛内有之助、加納直之助、富山弥兵衛・・藤堂平助の七名です。」
「もう下がっていい・・」
「はい・・」
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