※BGMと共にお楽しみください。
「薄桜鬼」の二次創作小説です。
制作会社様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
土方さんが両性具有設定です、苦手な方は閲覧なさらないでください。
性描写を含みます、苦手な方はご注意ください。
「トシの身体は冷たいな。」
「余りひっつくなよ・・暑苦しい。」
猛暑が続いているある夏の日の昼下がり、土方歳三はエアコンがない部屋でパソコンのキーボードを叩きながら書類仕事をしていた。
そんな彼を背後から抱き締めているのは、彼の親友である近藤勇だった。
「なぁ、もう会社に戻った方がいいんじゃねぇのか?」
「もう少し、こうしていたい・・」
「あのなぁ、こっちだって暇じゃねぇんだ。」
そう言ってあきれ顔で勇を見た歳三は、突然唇を彼に塞がれた。
「おい、何す・・」
「トシ、抱いてもいいか?」
「急に何で、そんな・・」
「いいだろう?」
「・・そんな顔されたら、断れねぇな。」
歳三はノートパソコンの電源を落とすと、勇に抱きついた。
「トシ・・」
勇は歳三が着ているワンピースの裾を捲り上げた。
「下着、着けていないのか?」
「・・あんたが来ると思って、着けなかったんだ。」
「可愛い奴め。」
勇はそう言って笑うと、歳三の上に覆い被さった。
「何で、髪を切ったんだ?」
「暑いからに決まっているだろう。」
「また、伸ばしてくれるか?」
「・・あぁ。」
蝉時雨が、二人の嬌声も、水音も掻き消してくれる。
「あぁ、もっと・・」
「トシ、もうこれ以上は・・」
勇はそう言って歳三の中から出て行こうとしたが、歳三は彼の腰に白い足を絡めた。
「う・・」
勇が堪え切れずに歳三の中に出すと、歳三は満足そうな笑みを浮かべた。
「次はいつ会える?」
「さぁな。」
「連絡する。」
自宅の前で勇と別れた後、歳三が自室に戻ると、そこには出張に行っていた筈の夫・信夫の姿があった。
「あなた・・」
「また、あいつに会っていたのか?」
「それは・・」
歳三が何かを言おうとした時、信夫は彼を拳で殴った。
「この俺が、お前の父親の医療費を出してやっているんだ!その事を忘れるな!」
「わ、わかりました・・」
「俺はまた出かける。」
信夫はそう言うと、部屋から出て行った。
歳三が鏡で自分を見ると、そこには夫に殴られた惨めな妻の顔が映っていた。
父が突然病に倒れ、倒産寸前の実家を救う為にこの家に嫁いで来てから三年が過ぎようとしていた。
信夫には、前妻との間に二人の娘を儲けていた。
その妻は、信夫の暴力に耐えかねて家を出て行った。
結婚して三年経ったが、信夫との間に子供を授かる事は出来なかった。
『出来損ないの嫁を貰うなんて、うちもついていないわね。』
中々歳三が妊娠しない事を、昨年の盆に姑がそう愚痴を親戚にこぼしているのを、歳三は偶々聞いてしまった。
両性具有の身体を持って生まれながらも、この家に嫁ぐ前は、歳三は自分で自分の道を切り開いて歩いて来た。
それなのに―
歳三が物思いに耽っていると、テーブルの上に置いていたスマートフォンが突然鳴った。
「もしもし、土方ですが・・」
『もしもし、こちらT県警の者ですが、ご主人の携帯からかけています。』
「主人に、何かあったのですか?」
『実は・・』
夫が愛人の家から帰る途中、事故に遭った事を警察から知らされた歳三は、事故現場から近い病院の霊安室で、夫の遺体と対面した。
「・・主人で間違いありません。」
(これで、俺は自由になれる。)
歳三は必死にこみ上げてくる笑いを堪えながら、“夫を亡くし悲嘆にくれる妻”を演じた。
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