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NEO HIMEISM 様からお借りしております。
「火宵の月」二次小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
「はぁ・・」
火月は、何度目かの溜息を吐いた。
その日は、王妃の親族達が王妃の懐妊祝いの宴を開いていた。
「いやぁ、めでたい。」
「これで我が家は安泰ですなぁ。」
「腹の子が男であれば、なおいい。」
「そうだな!」
廊下の向こうから時折聞こえてくる話し声に火月が聞き耳を立てていると、そこへ一人の妓生がやって来た。
「そなた・・」
「あ・・」
「丁度良い、こちらへ来なさい。」
その妓生は、そう言って火月の手を取ると、ある部屋へと向かった。
「あの・・」
「娘は連れて来たのか?」
「はい。」
「入るが良い。」
「失礼致します。」
妓生と共に部屋に入ると、そこにはスンア翁主の姿があった。
「翁主様・・」
「お前がここで女中として働いているとはな。」
「わたくしに、何かご用でしょうか?」
「そなた、随分やつれたな?」
「はい・・色々とあったので。」
「食べなさい。」
「おそれながら、わたしは・・」
「施しは受けぬと?勘違いするでない、わたしはそなたを憐れんでやっているのではない。」
「では、どういうおつもりで?」
「兄上が、隣の部屋に居られる。」
「え?」
「火月・・」
「王様、何故・・」
「そなたに、会いたくて堪らずに来たのだ。」
有匡はそう言うと、火月を抱き締めた。
「やつれたな・・それに、痩せた。」
「色々と、ありましたから・・」
「そなた、王宮へ来ないか?」
「わたくしはもう両班ではありませぬ。」
「そなた、何か勘違いしておるようだな?」
「勘違いで、ございますか?」
「王妃が身籠っているのは、わたしの子ではない。」
「では、どなたの・・」
「わたしの、双子の弟だ。」
「双子の弟、でございますか?」
「母は、わたしと双子の弟、そして妹を産んだ後、英国へ逃げた。」
有匡は一旦言葉を切ると、溜息を吐いた。
「それよりも、お前はいつまでこんな惨めな生活を送るつもりなのだ?」
「それは、わかりません。」
「そうか・・」
「王様!?」
突然有匡から抱き締められ、火月は驚きの余り目を丸くした。
「火月、そなたを今から抱く。」
「いけません、王様・・」
「逃げるな、火月。わたしはそなたに心底惚れている。」
「王様・・」
「わたしから逃げる事は、許さん。」
有匡に唇を塞がれ、火月は彼を受け入れた。
「王様、愛しています・・」
「わたしもだ・・」
月光が、愛し合う二人の姿を優しく照らした。
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