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JEWEL

January 10, 2021
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制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

土方さんが両性具有です。苦手な方はご注意ください。


 その日、ホグワーツ魔法魔術学校の上空は、不気味な黒雲に覆われていた。

「クソ、一体どうなっているんだ!?」
「どうなっているのか、わたしにもわかりません。ですが、今わたし達に出来る事は、生徒達を悪の脅威から守る事です。」
「そうだな・・」

飛行術教師・原田左之助は、そう言うと愛用の杖をしごいた。

「なぁ、さっきから土方さんの姿が見えねぇんだが・・」
「おかしいな、トシならこんな時真っ先に現れるのに・・」

近藤がそう言った時、突然向こうから轟音が鳴り響いた。

「何だ、今のは!?」
「わからねぇ・・」

そう言った原田は、黒煙の中で蠢く“何か”の存在に気づいた。

「どうした、左之?」
「なぁ、あれ・・」

原田が指し示した先には、漆黒のローブの裾を翻しながら自分達の方へと向かって来るかつての同僚の姿があった。

「土方さん、なんで・・」

原田と目が合った“彼”は、口端を歪めて笑った。

三年前―

新学期を迎えたホグワーツ魔法魔術学校へと向かう真紅の蒸気機関車の車内は、生徒達で賑わっていた。

「なぁ、みんなどの寮に入るか決めたのか?」

そう言ったのは、今年ホグワーツに入学する入学する藤堂平助だった。

彼は栗色の癖のある髪をピョコピョコと振りながら、リスのようなクリクリとした澄んだ青い瞳で、自分の向かいに座っている沖田総司と斎藤一を見た。

「僕は断然グリフィンドールかな?だってグリンフィンドールに入ったら、毎日土方さんに嫌がらせ出来るじゃない?」
「理由はそれかよ!?はじめ君は?」
「俺はグリフィンドールだ。土方先生のご尊顔を拝見できる・・」
「ウン、ソウダネ・・」
「貴様ら、何を楽しそうに話しているのだ?」

突然背後から何処か神経を逆撫でするかのような声がして三人が振り返ると、そこには特注の制服を着た風間千景が立っていた。

「あれぇ、誰かと思ったら土方さんのストーカーじゃない?」
「フン、おおかた貴様ら、どの寮に入れるかどうか話していたのだろう?俺は断然、グリフィンドールだ。」
「どうせ土方さんにいつも会いたいからとかいう理由なんでしょう?下らないなぁ・・」
「ふ・・その通りだ。」
「図星じゃねぇか!」

そんな話をしながら四人はホグワーツの中へと初めて足を踏み入れた。

組分け帽子の儀式で、平助以外の三人はスリザリンとなった。

「スリザリンか~、まぁいいや。」
「何故、俺がグリフォンドールではないのだ!もう一度やり直せ!」
「認めぬ・・俺は認めぬぞ!我妻との甘い学園生活を送る為に、特待生として入学したのだ!」

風間は組分け帽子が出した結果に満足がいかず、そう叫ぶと歳三の方へと突進した。

「嫁~!」
「いい加減にしなさい、風間。」

天霧がそう言って風間にアームロックをかけて気絶させたので事なきをえたが、諦めきれない風間は、夜中にグリフィンドール寮に侵入しようとして“太ったレディ”と口論になった。

「女、そこを退け、俺が嫁に会いに行くのを何人も止める事は出来ぬ!」
「うるせぇ、夜中に騒ぐな!スリザリン減点150点!」
「嫁、抱かせろ~!」
「うるせぇ黙れ、スリザリン更に減点50点!」
「嫁~!」

歳三は一晩中謎の頭痛に襲われて一睡も出来なかった。

「どうした、トシ?顔色が悪いぞ?」
「あぁ、昨夜色々とあってな・・」

朝食を歳三が大広間で勇と食べていると、そこへ金髪碧眼で真紅のローブを着た男が大広間に入って来た。

「近藤さん、あいつ誰だ?」
「あぁ、彼は確か、“闇の魔術に対する防衛術”の教授だ。」
「ふーん、何だか鬱陶しい野郎だな・・」
「そう言うな、トシ。」
「お、おぉ!」

真紅のローブの裾を翻した金髪碧眼の男は、突然そう叫ぶと歳三の手を握った。

「まるで黒檀を思わせるかのような艶やかな漆黒の髪、雪のように白く抜けるような肌、そして上質のラピスラズリを思わせるかのような紫の瞳・・君はまるで、闇夜の柩に眠る白雪姫!」
「おい近藤さん、こいつ殴っていいか?」
「落ち着け、トシ。」
「はじめまして、わたしはジュリア=レオンハート。本日から、“闇の魔術に対する防衛術”の教授として、このホグワーツ魔法魔術学校に着任する事になりました。どうぞ、よろしく。」
「ど、どうも・・」

少しハイテンションなジュリアに引きながら、歳三は彼と握手を交わした。

「おや、こちらが新しくいらっしゃった先生ですね。はじめまして、わたしはこの学校で魔法薬学を教えている山南敬助と申します。以後お見知りおきを。」
「どうも。」

ジュリアは素っ気ない口調でそう言うと、そのまま大広間から出て行った。

「何だか気持ち悪い奴だな・・」
「まぁまぁ・・」

朝から変な奴に絡まれ、昨夜は風間が一晩中自分い会わせろとうるさく騒いだので、その所為で一睡も出来なかった歳三は、午前の授業が終わった後、自室の机に突っ伏して眠ってしまった。

―嗚呼、こちらはいらっしゃったのですね。

 歳三は目を開けると、そこには自分を見つめる見知らぬ音の姿があった。

―さぁ、わたくしと共に参りましょう。戴冠式の主役が遅れてはなりません。

歳三はドレスの裾を摘まむと、男と共に歩き出した。

(何だ、今の夢は・・)

夢にしては、何処かリアルで、まるで歳三がその世界に生きているかのようだった。
コンコンと、窓に小石が当たるような音がしたので歳三が我に返って窓の方へと向かうと、そこには一羽のワシミミズクの姿があった。
歳三がワシミミズクの足首に括りつけられている手紙を受け取り、ワシミミズクに金貨を渡すと、彼は満足そうに鳴いて去っていった。

手紙には、歳三の養父であるアシュレイ伯爵が急死したとだけ書かれてあった。

「そうか、お義父様が・・」
「済まねぇな、こんな忙しい時期に学校を留守にしちまって。向こうが落ち着いたら戻ってくる。」
「わかった、気を付けて行って来い。最近、この近辺ではマグル狩りが頻発しているようだからな。」

マグルー所謂魔法使いではない者達の呼称でもあるのだが、近年は“マグル生まれの魔法使い”の略称でもある。

「そうか。また、あいつらの仕業なのか?」
「いいや、どうも違うらしい。魔法省は犯人探しに躍起になっているようだが、まだ何の手掛かりも掴めないらしい。」
「近藤さん、それじゃぁ行って来るぜ。」
「あぁ。」

歳三はホグワーツを出て、ロンドン行きの汽車に飛び乗った。

荒涼な草原を車窓から眺めながら、歳三は初めて養父と会った時の事を思い出した。
歳三は、この世に産まれ落ちた瞬間から両親の顔を知らぬ孤児だった。
物心つく頃には孤児院で暮らしていたが、彼の周りで不可解な怪現象が起こるので、子供達も職員達も気味悪がった。
里親先を転々としては、孤児院に戻される日々を送っていた歳三の心は、孤独でささくれ立っていた。
マグルの学校に通っていたが、喧嘩を繰り返しては何度も退学・転校した。

ナイフと拳だけが己の友だと思っていた歳三を救ったのは、アシュレイ伯爵だった。

その日、歳三はまた学校で喧嘩をし、何度目かの退学となった。

「本当にあの子でよろしいのですか?」
「ああ。」
「あの子は乱暴で手に負えませんわ。まるで野生の獣のよう・・」
「愛される事を知らない人間が、人を愛する事が出来るのかね?」

突然住み慣れた孤児院から離れ、英国貴族の養子をとなった歳三は、はじめはアシュレイ伯爵を疑っていた。

だが、そんな疑いはすぐまさ消えた。

 養子として引き取って、またあいつらみたいに自分を捨てるのではないかと。

だが、そんな疑いは、すぐさま消えた。

アシュレイ伯爵は、何の見返りを求めず、最高の教育を与えてくれた。

 孤独でささくれ立っていた心は、いつしか愛で満ちるようになっていた。

11歳の時、ホグワーツ魔法魔術学校の入学許可証が歳三の元に届くと、アシュレイ伯爵は快く彼をホグワーツへと送り出してくれた。

 自分に愛を教え、愛を与えてくれた養父は、恩返しをする前に天国へ逝ってしまった。

歳三は養父を喪った悲しみに襲われ、涙を流した。

町中に、弔いの鐘が鳴り響いた。

アシュレイ伯爵の遺体はロンドン市内の病院に一旦安置され、領地にある一族代々の墓地に埋葬された。

「父上、父上!」

埋葬人によって土をかけられる父親の柩を見た伯爵の実子・ジョンは涙を流した。

(安らかに眠って下さい、お義父様・・)

真新しい養父の墓石に跪き、歳三は静かに彼の冥福を祈った。

「あら、まだ居たの?」
「奥様・・」

伯爵邸の中へ歳三が入ろうすると、玄関ホールには冷たい目で自分を見つめている養母・シャルロットの姿があった。

「ここへは何しに来たの?」
「養父の形見を取りに・・」
「そう。では書斎へ行きなさい。」
「わかりました。」

歳三が書斎へ向かうと、そこでは養父の私物を物色する親族達の姿があった。

「あら、来たのね。」
「何をしているんですか!?やめて下さい、こんな泥棒のような事は!」
「お黙り、貰い子の分際で!」

歳三が養父の形見として受け取ったものは、彼が生前愛用していた懐中時計だった。

その日の夜、歳三が寝室で眠っていると、何処からか誰かが自分を呼ぶような声がした。
寝室から出た歳三が、人気のない廊下を歩いていると、再びあの声が聞こえた。

(誰なんだ、俺を呼ぶのは?)

「あ~あ、全く嫌になっちゃうよね。“闇の魔術に対する防衛術”だっていうのに、何で“魔法史”のレポートが出されるんだろう?」
「文句を言うな、総司。」
「あれ、この人土方さんじゃない!?」

図書館で“闇の魔術に対する防衛術”の宿題のレポートを仕上げる為に“禁書”の棚へとやって来た総司、平助、斎藤は、ある書物に歳三と瓜二つの顔をした女性の顔を見て思わず叫びそうになった。

「“闇の女王・カタリナ、1834~1869。”土方さんが女装しているのかと思っちゃったよ。」

その夜、歳三はまたあの不思議な夢を見た。

―貴女は、とても綺麗だ。

仄かな月明かりの下、自分に似た“彼女”を抱き締めた男は、そう言うと己の膝上へと“彼女”を抱き寄せた。
奥深くまで貫かれ、思わず悲鳴を上げた。

―辛いのなら、やめましょうか?
そう言って男は“彼女”から離れようとしたが、“彼女”は彼の背に爪を立てた。
―やめないで、もっとあなたを感じたいの。
二人は一晩中、互いの身体を貪り合うかのように激しく愛し合った。
―今夜は月が満ちている。魔力が最も高まる時期よ。
―この事が知られたら、どうなさるおつもりです?
―父上はもう何の力も持たない、唯の老人よ。それに、もう手は打ってある。
―では、陛下はいずれ退位されると・・
―いいえ、父上は民衆によって、“退位させられる”のよ。
―あなたは、恐ろしい女(ひと)だ・・
―わたしは、あの男への復讐をこれで終わらせるつもりなどないわ。これからが、復讐の始まりよ。

東の空が徐々に白み始め、“彼女”を抱いていた男の顔が天蓋の隙間から見えた。
その男は、風間千景と瓜二つの顔をしていた。

「トシゾウ様、朝食の時間です。」
「あぁ、わかった・・」
今まであんな夢など一度も見た事などなかったのに、この家に来てから、時折あの夢に出て来る“彼女”の存在が気になって仕方がなかった。
「旦那様の書斎ですか?」
「あぁ、義父(ちち)の書斎を少し見てみたいんだ。」
「そうですか。では、これを。」

伯爵家の執事長・ジョージは、そう言うと書斎の鍵を歳三に手渡した。

「旦那様が生前、この鍵をあなた様にお譲りするようにと・・」
「義父が?」
「はい。“来たるべき日が来たら、この鍵があの子を真実へと導いてくれる。”と・・」
「そうか・・」
歳三が書斎に入って養父の蔵書を調べていると、書棚に不自然な隙間が空いている事に気づいた。

(何だ、これ?)

歳三がその隙間を押すと、書棚の裏に隠されていた真紅の扉が現れた。
彼は首に提げている鍵を、扉の鍵穴にさし込んだ。
軋む音を立てながら扉が開き、埃と澱んで湿った空気が歳三の鼻腔を刺激し、彼は慌ててハンカチで口元を覆った。

部屋の中は薄暗く、不気味だった。

「“ルーモス。”」

杖を取り出した歳三がそう呪文を唱えて部屋の中を照らすと、壁には二枚の肖像画が掛けられてあった。
一枚目は、家族の肖像画で、ブロンドの男性と黒髪の女性がそれぞれ膝上にブロンドと黒髪の女児を抱えていた。
二枚目は、一枚目の肖像画に描かれていたブロンドの女児と同一人物と思しき喪服姿の女性が、物憂げな表情を浮かべているものだった。

歳三は額縁の裏を調べたが、何もなかった。

部屋から出ようとした歳三は、ブロンドの女性が、ちらりと自分を見たような気がした。

(気の所為か・・)

「待って。」

歳三が振り向くと、肖像画の女性は必死に額縁の中から出ようとしていた。
その様子を見た彼は、その女性が魔法族だとわかった。

「あなたは、誰ですか?」
「わたしは、シャルロット。あなたの叔母よ。」
「叔母?」
「その様子だと、あなたは自分自身の事を何も知らないようね。」

シャルロット―肖像画の女性はそう言うと、慈愛に満ちた眼差しを歳三に向けた。

「本当に、あなたは姉様・・カタリナにそっくりだわ。」
「カタリナ・・」

その名は、魔法史の本で見かけた事がある。

“冷酷無比、エディンバラの大殺戮を起こした、闇の女王”カタリナ。

「俺は、一体何者なんだ?」
「そこの机の、上から二番目の引き出しを開けてみて。その中に、真実が隠されているわ。」

シャルロットに言われるがままに、歳三がその引き出しを開けると、そこには赤革の古びた日記帳が出て来た。

「真実?」
「もう、時間がないわ・・」
「おい、向こうに誰か居るぞ!」
「ここから逃げて、早く!」

歳三が部屋から出た直後、彼は数人の警察官達に取り囲まれた。

「早くこの泥棒を捕まえて!」

そう金切り声で叫ぶシャルロットに、歳三は失神呪文を放った。

「母上!」

失神呪文を受けて床に力なく倒れた母親の方へとジョンが駆け寄ると、彼女はまだ意識があった。

「早くこいつを捕まえろ!」

歳三は書斎の窓から外へと逃げようとしたが、警官の一人が彼に向かってテーザー銃を撃った。
歳三は、盾の呪文で電撃を避けようとしたが、遅かった。
全身に電撃を喰らい、歳三は書斎の窓からまっさかさまに地面へと落下した。

「これで、邪魔者は居なくなったわね。」
「母上・・」
「大体わたしはあの子をこの家の養子にするのは反対だったのよ。」

意識を取り戻したシャルロットは、そう言うと地面に転がっている歳三の杖を拾い上げた。

「あいつはどうします?」
「わたくしに良い考えがあるわ。」

シャルロットはそう言うと、邪悪な笑みを浮かべた。

「何だと、教頭が行方不明だと!それは確かなのか、近藤!?」
「はい。本日こちらへ帰って来る予定だったのですが、未だに連絡が取れなくて・・」
「生徒達を余り動揺させぬようにしろ。」
「わかりました・・」
「山南さん、悪いが・・」
「生徒達はわたしの方から説明しますから、安心して下さい。」
「済まないな・・」
「いいえ、困った時は団結するのが一番です。」

山南はそう言うと、勇の肩を優しく叩いた。

「変身術教授である土方先生は、一身上の都合により暫く休職する事になりました。皆さん何かと不安だと思いますが、土方先生がお戻りになられる日まで、勉学に励んで下さいね。」

山南はそう言って笑顔を浮かべたが、生徒達の間には動揺が広がっていた。

「ねぇ平助、土方さんから何も聞いていないの?」
「あぁ。土方先生、かなり秘密主義だからなぁ。」
「そうか。」

“闇の魔術に対する防衛術”の授業が始まるまで、総司と平助がそんな事を話していると、教室にはキンキラハート教授ではなく、山南が入って来た。

「皆さん、おはようございます。」
「何で、山南さんが・・」
「レオンハート先生は、土方先生欠乏症で療養生活に入りました。」

山南の言葉に、何人かの生徒が吹き出した。

「さて、本日の授業は、“光と闇について”です。」

山南はそう言うと、教室の窓を全て閉め、ある映像を再生した。

「これは、闇の女王・カタリナの生涯を描いた映画です。後で感想をレポートとして羊皮紙二巻分提出して貰いますので、居眠りしないように。」

彼の言葉を聞いた生徒達が一斉にメモを取り始めた頃、歳三は一面白い壁に囲まれた精神病院の閉鎖病棟に監禁されていた。



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最終更新日  September 6, 2021 04:47:49 PM
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