素材は
コチラからお借りしました。
「薄桜鬼」の二次創作小説です。
制作会社様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
歳三達は総司の死の真相を探る為、彼が勤務していた大学病院へと向かった。
「沖田先生が、お亡くなりになられたのですか・・」
「何か、事故の前に彼に変わった様子はありませんでしたか?」
「そうですね。確か、一度製薬会社の人と揉めているのを見たような気がします。」
「それはいつの事ですか?」
「数日前の事でしたね・・」
総司の同僚である女性医師は、数日前屋上で総司が武田製薬の社員と口論していた姿を目撃したという。
「ありがとうございました。」
「いいえ。それよりも沖田さんの奥様、妊娠されていらっしゃるとか・・」
「ええ。」
「夫をわたしも亡くしたばかりで、わたしも彼女の気持ちが痛いほどわかります。どうか、彼女には元気な赤ちゃんを産んで欲しいですね。」
「必ず、犯人を捕まえてみせますよ。」
歳三達は、総司と口論していた武田製薬の社員・石田と会おうとしたが、彼は既に退職した後だった。
「何だかおかしくねぇか?俺達が会おうとしていた社員がその日に退職したなんて・・」
「明らかに不自然過ぎるだろう。石田の家は、確か新宿だったな。」
「今からでも、家に居そうだな。」
歳三と原田が武田製薬の本社から出ようとした時、歳三は一台の自転車とぶつかりそうになった。
「危ねぇだろうが!」
歳三はそう自転車に向かって怒鳴ったが、自転車に乗っていた男は雑踏の中へと消えていった。
「そういや最近、宅配業者が増えてねぇか?」
「まぁ、コロナ禍で巣ごもり生活が続いて、外出もままならなくなったから、宅配業者の自転車を見るのはその所為だろう。」
「宅配業者って、料理以外の物を運ぶんだよな?」
「まぁ、そうだな・・」
原田と歳三がインターネットカフェで休憩していると、歳三はスマートフォンに総司から音声メッセージが届いている事に気づいた。
『土方さん、このメッセージを聞いたら、すぐに僕の家へ向かって下さい!あいつらにデータを渡さないで!』
音声メッセージが送信された日時は、総司が事故に遭う一時間前だった。
「左之、総司の家わるか?」
「ああ。」
インターネットカフェから出て総司の自宅へと向かうと、黒塗りの車に尾行されている事に歳三は気づいた。
「左之、頼みがある・・」
「はいよ!」
原田はそう叫ぶと、黒塗りの車を撒いた。
「逃げられた、だと?」
『申し訳ありません。』
「まぁいい。」
武田製薬の社長・武田観柳斎はそう言うと、スマートフォンを胸ポケットにしまった。
「勝つのは・・わたしだ!」
「ここか・・」
「あぁ。管理人さんから鍵は借りてあるから、早速中に入ろうぜ。」
「わかった。」
歳三達が総司の自宅マンションの部屋に入ると、リビングの壁には総司と千鶴の名間睦まじい家族写真が飾られていた。
「もうすぐ、新しく家族が増えて、あの空きスペースに家族三人の写真を飾るつもりだったんだろうな・・」
「あぁ。」
歳三達は、総司のノートパソコンを彼の書斎に見つけた。
「パスワードがかかっているな。」
「あいつの生年月日は?」
「駄目だ。」
「ヒントがないな・・」
歳三はそう思いながら、ノートパソコンの近くに一冊のノートが置かれてある事に気づいた。
中を開くと、そこには性別関係なくつけられる子供の名前が書かれていた。
その中に、“若葉”という名前が大きく丸印でつけられていた。
(これだ!)
総司のノートパソコンには、病院と武田製薬の癒着の証拠が残されていた。
「斎藤、どうだ?」
「これは、確かに総司の物です。それと、音声データが残されていました。」
斎藤が再生した音声データには、恐ろしい会話が録音されていた。
―あの男を始末しろ。
―沖田君を、ですか?
―そうだ。
「ふん、これが何の証拠になるんだ?」
「実は、この音声には続きがあるんですよ。」
―あの沖田とかいう男を、少し脅かしてやればいい。
―そんな・・
―いいか、必ずやれ。
―わかりました、武田さん・・
「ふん、わたしは必ず勝ってみせる!」
「そりゃぁ、無理だな。」
「おのれ・・」
事件解決の報告をしに歳三と原田が千鶴の病室へと向かうと、彼女は総司の姉に車椅子に乗せられて二人の前にやって来た。
「・・そうですか、ありがとうございました。」
「おなかの赤ちゃんと共に、元気に生きていってください。」
「はい・・」
半年後、歳三の元に赤ん坊を抱いた千鶴の写真が送られて来た。
“この子の名前は、若葉にしました。”
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