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JEWEL

JEWEL

2022年04月25日
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「薔薇王の葬列」「ゴールデンカムイ」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

人買いの女に騙され、売り飛ばされる前に逃げ、羆に襲われたケイツビーとリチャードを助けてくれたのは、杉元佐一という元軍人と、アシリパという“アイヌ”の少女だった。

「何から何まで、親切にして下さり申し訳ありません。」
「謝んなくていいって。困った時はお互い様っていうし。」
杉元はそう言うと、苦しそうに唸っているリチャードの額の上に氷嚢を置いた。
「これ、どうぞ。アシリパさんが今朝獲ったウサギのオハウ、お鍋だよ。」
「頂きます。」
ケイツビーはそう言った後、鍋を一口食べた。
「美味しいです。」
「良かった。」
「それにしても、あなた方はこちらで何かをなさっておられるのですか?」
「今は、冬だからこの小屋の中で寝起きしたり、食事したりしているよ。あ、俺は杉元、宜しくね。」
「わたしはウィリアム=ケイツビーと申します。こちらは、わたくしの主の、リチャード=プランタジネット様です。」
ケイツビーは杉元達に、この世界に飛ばされて来た“経緯”を話した。
「そうか、人買いに騙されて、大変だったね。」
「わたし達を騙した女は、どうなりましたか?」
「あの女は、羆の餌になったよ、当然の報いだ。」
「そうですか。」
ケイツビーは、そっと苦しそうに呼吸をしているリチャードの手を握った。
「熱は、少し下がったようだな。」
小屋の中に、アシリパが入って来た。
「アシリパさん、お世話になっております。」
「話はさっき、杉元から聞いた。吹雪が止むまで、ここでゆっくりと休め。」
「はい・・」
ケイツビー達が町から離れ、森の中にある小屋でアシリパ達と過ごしている頃、小樽にある日本帝国陸軍第七師団の兵舎前に、一人の男が倒れていた。
その男は何故か真冬だというのに全裸で雪の中に埋もれていた。
「こいつ、一体何者なんだ?」
「さぁな。ただこのまま放っておく訳にもいかんから、中へ運ぼう。」
兵士達はそう言うと、謎の男を兵舎の中へと運んだ。
「ん・・」
男―バッキンガムが目を開けると、そこは殺風景な雪原ではなく、温かく心地良いベッドの上だった。
(ここは、何処だ・・?)
バッキンガムがベッドから起き上がり辺りを見渡すと、そこは殺風景な部屋だった。
何故自分がここに―バッキンガムが混乱した頭で部屋の中を歩き回っていた時、不意に部屋のドアが開いた。
「目が覚めたようだな?」
「誰だ、お前は?」
「わたしは鶴見篤四郎。お前は、この兵舎の前に倒れていたのだ。」
「全裸で・・」
「その様子だと、何も憶えておらんようだな。」
鶴見中尉は、そう言ってバッキンガムを見た。
「俺の顔に何かついているか?」
「いや・・お前と同じ色の瞳をした男を知っている。」
「ほぉ・・」
「さてと、下らない話は終わりにして、食事でもしないか?」
鶴見中尉は、少し狂気の孕んだ瞳でバッキンガムを見た後、部屋から出た。
「月島、居るか?」
「はい。何か?」
「あの男の身元を探れ。」
「わかりました。」

(あの男が何者であれ、彼を利用する。)

しんしんと雪が降り続ける中、ケイツビーは小屋の中でリチャードの看病をしていた。

「ん・・」
「リチャード様、お目覚めになられましたか。」
「あぁ。ケイツビー、ここは何処だ?」
「森の中にある小屋です。わたし達は、スギモトさんとアシリパさんに助けられました。」
「そうか・・」
「今はまだ本調子ではありませんから、どうかお休みになってください。」
「わかった。」
夜が明け、リチャード達は小屋から出て移動する事にした。
「リチャード様、歩けますか?」
「あぁ。子供扱いするな、ケイツビー。」
「申し訳ありません。」
リチャードは時折咳込みながらも、杉元達と共にアシリパの祖母が住む村へと向かっていた。
「ここに居れば安全だ。フチはこの村で一番力がある。」
「アシリパさんは、お父様やお母様は・・」
「母はわたしが小さい時に死んだ。父は七年前に死んだ。」
「申し訳ありません。」
「いや、いい。わたしは気にしていない。」
「そうですか。」
ケイツビーがそう言って窓の外を見ると、じっとこちらを見つめているアイヌの人々の姿があった。
「この方達は・・」
「アイヌは、わたし達は新しい物が好きだ。きっとお前達が珍しいのだろう、恐れる事はない。」
「そうですか・・」
「ケイツビー、少し外を散策したい。」
「わかりました、わたしもお供致します。」
「好きにしろ。」
「わたしも行こう。この山の事は、小さい頃から知っている。」
こうしてリチャードは、アシリパとケイツビーと共に村の外れにある森へと向かった。
「リチャードが住む所には森があるのか?」
「あるが、こんなに明るく広いものではない。」
(同じ森でも、“あの森”とは違う。)
リチャードがそう思いながら歩いていると、やがて広い場所へと向かった。
「見ろ、ケイツビー、あんな所に川が・・」
「そこを通るな!」
突然、ケイツビーとリチャードは見知らぬアイヌの男から怒鳴られて足を止めた。
「ここは鹿の通り道だ。あの木に仕掛け弓がある。」
ケイツビーがよく見ると、そこには仕掛け弓があった。
「矢にはトリカブトとエイの毒が塗られている。」
「教えて下さってありがとうございます。」
「いや、わかってくれて嬉しいよ。最近和人達がここを通って怪我をする事故が増えているからな。」
「そうですか・・」
「そろそろ戻ろう。」
「わかった。」
翌日、杉元達と共にリチャードが森の中の小屋へと向かう途中、何か光る物が向こうの山から見えた。
「あれは一体何だ?」
「あれは、望遠鏡だ!」
杉元達が森の中を走っていると、何かが雪面を滑っているような音が聞こえて来た。
「あれは、第七師団だ!」
「俺達を追って来たのか?」
「さぁな。余り関わらない方がいい。」
そう言いながら杉元達が先を急いでいると、先程の音が徐々に自分達の方へと近づいて来ている事に気づいた。
「二手に分かれよう。あいつらを撒いたら、村で合流しよう。」
「わかった!」
リチャードとケイツビー達は、二手に分かれて森の中へと逃げ込んだ。
その時、リチャードは一人の兵士とぶつかった。
「済まない・・」
「いや、こちらこそ怪我は無いか?」
そう言った兵士は、リチャードの左右異色の瞳を見て思わず立ち止まった後、突然彼女の腕を掴んだ。
「居たぞ、女だ!」
「俺に触るな!」
リチャードはそう叫び兵士を突き飛ばそうとしたが、男の腕力の前には敵わなかった。
「ケイツビーさん、リチャードさんは?」
「それが、お姿が見えないのです!」
「嫌な予感がする、元来た道を戻ろう!」
「あぁ!」
アシリパ達が森の中へと戻っているのと同じ頃、リチャードは森の中で兵士達に囲まれていた。
「ほぉ、彼女が例の女か?」
「はい、間違いありません。」
リチャードの前に、頭に何かを被っている男が現れた。
「鶴見中尉、この娘は一体何者なのですか?」
「それはじきにわかる。その前に、我々と共に来て頂こうか?」
「断る、と言ったら?」
「わたしは、婦女子に乱暴をしたくはない。」
鶴見はそう言いながら、リチャードに銃口を向けた。
「・・わかった。」
彼らのやり取りを、ある男が離れた所で見ていた。
「リチャードさん、居るか!?居るなら返事をしてくれ!」
「杉元、リチャードさんは居たか!?」
「居ない。」
「もしかして、誰かに連れ去られたのかも・・」
「あぁ、俺見たぜ。鶴見中尉が綺麗な娘さんを連れて行くのが。」
「お前は・・」
「白石、何故ここに居る!?」
叢からひょっこりと顔を出した男―白石は、自分の事を訝しそうな目で見ているケイツビーの姿に気づいた。
「あれ、この格好いいお兄さんは誰?」
「この人はケイツビーさん、俺達の仲間だ。それで白石、リチャードさんが鶴見中尉に拉致されたって、本当か?」
「あぁ。俺が見た時は、鶴見中尉はその娘さんに銃口を突き付けていたぜ。」
「そうか・・」
「早く、リチャードさんを助けないと!」
杉元達は、第七師団の兵舎がある小樽の街へと向かった。
一方、鶴見達に拉致されたリチャードは、そこで意外な人物と再会した。
「バッキンガム、どうしてお前がここに居る?」
「さぁな。それよりもリチャード、良かった、無事だったのか。」
「あぁ。」
「酷い格好をしているな、風呂に入れ。俺が外で見張っておいてやる。」
「わかった。」
リチャードが風呂に入っている間、バッキンガムが見張りをしていると、上階から鶴見と誰かが話している声が聞こえた。
「アイヌ・・」
「金塊・・」
鶴見の部屋の前でバッキンガムは、鶴見とあの小柄な軍人との会話を盗み聞きした。
「アイヌの金塊が、この北海道の何処かに埋められているだと?」
「はい。あくまで、噂ですが・・」
「そうか。」
「中尉殿、あの娘さんの事ですが・・一体どうなさるおつもりなのですか?」
「それは、これから考える。月島、彼女を利用しろ。邪魔になったら殺しても構わん。」
「中尉殿、それは・・」
「まぁ、利用価値があるから、あの娘は生かしておけ。」
バッキンガムは、そっとその場から離れた。
「リチャード、居るか?」
「あぁ。どうした、そんな顔をして?」
「リチャード、ここから逃げるぞ。あいつらは俺達を利用する事しか考えていない。」
「それは、本当なのか?」
「あぁ。」
小樽に着いた杉元達は、早速街で情報収集を始めた。
だが、めぼしい収穫はなかった。
「一旦、コタンに戻るか。」
「そうだな。白石、アシリパさんを連れてコタンへ戻ってくれ。俺は暫くここで聞き込みをする。」
「わかった。」
白石とアシリパと別れた杉元は、遊郭の近くで聞き込みをしたが、そこでも収穫はなかった。
(取り付く島もなし、か・・)
杉元が溜息を吐いて歩いていると、腹が減った彼は一軒の蕎麦屋の中へと入っていった。
「いらっしゃい!」
「小母さん、ここの名物は何?」
「今の季節は、ニシン蕎麦が絶品だよ。」
「じゃぁ、それをひとつ。」
「あいよ。お兄さん、ここら辺りでは見ない顔だね。」
「ここには初めて来たんだ。小母さん、ここら辺でとよっていう人買いの女を見かけた事があるかい?」
「とよ?あぁ、あの女ね!あくどいやり方で色々商売していたみたいだよ。そうだ、この前とよめが珍しい眼を持った娘を遊郭へ売るつもりだったって言っていたよ。」
「へぇ・・その話、詳しく聞かせて貰えないかな?」
「いいよ。まずそれよりも、うちのニシン蕎麦を食べていっておくれ。」
杉元がニシン蕎麦を美味そうに頬張っていると、店の奥から女将が誰かと話をしている声が聞こえた。
「はい・・今・・」
「そうか。ではその男をなるべく長い間引き留めておけ。」
「はい・・」
(あの声は、鶴見中尉。何とか気づかれねぇようにここから出ないと・・)
杉元がそう思いながらどうやってここから出ようかと考えていると、店に二人組の兵士が入って来た。
「あいつだ・・」
「“不死身の杉元”・・」
その兵士達は、瓜二つの顔をしていた。
「お前ら、何者だ?」
「殺れ。」
「表に出ろ。」
店の外へ出た杉元は、双子の一人を殴った。
「この野郎!」
「そこまでだ!」

兵士達と杉元が殴り合いをしていると、そこへ鶴見がやって来た。

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Last updated  2022年04月25日 11時04分55秒
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