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JEWEL

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連載小説:紅蓮の涙~鬼姫物語~

Feb 28, 2012
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「今までどこほっつき歩いとったんや!」

舞の稽古へ行くと、お師匠さんが口から火を噴き出しそうな勢いで自分を睨んでいた。

「すんまへん・・」
「ええか、あんたは努力すれば伸びる子や。さ、稽古始めるで。」
「へぇ・・」
娘は項垂れて、扇子を取り出した。
その華奢な指先は、揺れていた。
鳴物と舞の稽古が終わり、置屋へと戻ると、女将が彼女を咎めるような目で見ていた。
「あんた今日、舞の稽古すっぽかしてたそうやな。」
「すんまへん、おかあさん・・」
「ええか、舞妓は舞が命え。舞を舞えん舞妓は祇園町から出て行って貰うえ。あんた、わかってんのやろうな?」
「わかってます、おかあさん・・」
「今日はお座敷出るのやめて、今後のことをじっくり考えよし。」
女将はそう言うと部屋を出て行った。
娘はその夜、布団の中で声を押し殺して泣いた。
その頃、木屋町の茶屋で、阿片を巡る取引が行われていた。
その中心に居るのは、昼間若い娘に阿片を見せたあの少女だ。
「御覧なさいな。これは清国から仕入れたばかりの上物の阿片よ。これが欲しい?」
阿片を見せた途端、目の前に座っていた侍の目が血走り、阿片に手を伸ばそうとしたが、少女はその手を抓った。
「仕事をしてから、これをあげるわ。」
「どんな仕事だ?」
「それはね・・」
少女は侍の耳元で何かを囁いた。
「そんなことは・・出来ない・・」
「あら、これが欲しくないの?欲しいんでしょう?」
侍の前で、少女は阿片をちらつかせながら彼の答えを待った。
「何でもやる・・」
「いい子ね。」
少女はそう言って侍に微笑んだ。
「ちゃんと仕留めてきてね。」
「わかった。」
侍は茶屋を出て、ある場所へと向かった。
美津は夢に魘されていた。
夢の中では自分と瓜二つの顔をした少女―凛が何度も出てくる。
ある時は戦場で。
またある時は廃墟の中で。
凛はいつも美津の前に現れては、こう言って消えていく。
“もうすぐよ、鬼姫様。もうすぐ世界が変わるわ。”
今回の夢は、いつものものとは違った。
凛と美津がいたのは、ヨーロッパの劇場のような建物の中だった。
凛は豪華なドレスを纏い、何かを歌っていたが、やがて自分に気づいて舞台から降りた。
“わたしを殺しに来たのね、鬼姫様。”
黄金色の瞳を光らせながら、凛は美津をじっと見つめた。
その時、数発の銃弾が美津に向って放たれ、美津はゆっくりと床へと崩れ落ちていった。
・・四郎、助けて・・
薄れゆく意識の中、美津は愛しい人の名前を何度も呼んだ。
今回の夢は最悪だと思いながら、美津は鬱陶しそうに前髪を掻き上げた。
四郎は隣で静かに寝息を立てている。
もう1度寝ようと思った時、微かに足音がした。
(エーリッヒかしら?)
耳を澄ませてみると、足音は数人分のものだ。
巡察していた隊士達が屯所へと戻ったのか、それともー
そう思いながら外の様子を窺おうとしたとき、襖が乱暴に開かれ、数人の黒衣を纏った男達が部屋に雪崩れ込んできた。
「何者だっ!」
美津は長刀で男達の攻撃をかわしながら彼らを睨んだ。
「名乗る者ではない。鬼姫、その首、掻き切る!」
「やってごらんなさい!」
美津は唸り声をあげ、男達の方へと突進した。
激しい剣戟が繰り広げられる中、美津は返り血を浴びながら、次々と敵を倒していった。
「退け、退けぇ~!」
「姫様、お怪我は!?」
「四郎・・」
美津は四郎に微笑んで彼の元へと駆け寄ろうとした。
その時、闇の中から数発の銃弾が飛んできて、美津の身体を貫いた。
「姫様~!」
「四・・郎・・」
銃弾を浴びた美津はゆっくりと床へと崩れ落ちていった。
「姫様、しっかりしてください、姫様!」
薄れゆく意識の中で、美津は闇の中から凛の笑い声を聞いた。
その笑い声は、まさしく悪魔の哄笑そのものだった。
「よくやったわね。」
凛はそう言って狙撃手に阿片を渡した。
「かたじけない。」
「冥土の土産よ。」

凛は彼に向って銃口を向け、躊躇いもなく引き金を引いた。






Last updated  Apr 1, 2012 10:11:40 PM
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「薬が欲しいだと?あれは1度だけだと言った筈だ。失せろ。」

鬼神はそう言って娘にそっぽを向いた。

「なんでどすか?あの薬をすすめてくれはったんは、主様やないですか。」
娘は鬼神の腕を掴み、食い下がってきた。
「わしは貪欲な女は好かぬ。お主には薬はやらん。芸事に精進しろ。謂いたいことはそれだけだ。」
鬼神は娘の手を乱暴に振り払い、茶店を後にした。
「うちは諦めへんえっ!」
娘はそう言いながら、去りゆく鬼神の背中を血走った眼でいつまでも睨み続けていた。
一方、槍の稽古を終えた四郎は井戸で身体を洗っていた。
均整のとれた逞しい筋肉の上を、冷たい水が流れ落ちる様を、井戸端会議をしていた女達が時折裏庭から一枚隔てられただけの木戸から四郎の鍛えられた上半身の筋肉を盗み見ては何かとひそひそと囁き合っていた。
「あの筋肉、うちの亭主にはあらへんわ。」
「そんなん、うちの亭主もないわ。」
「ええ男やなぁ・・」
そんな女達の視線も臆することなく、四郎は水浴びをしてからまた稽古を再開した。
「何なの、あの人達・・」
美津は女達を睨みながら、味噌汁を啜った。
「近所の寄合衆の女房達ですよ。何でも四郎が槍の稽古をしている時間を狙って、井戸端会議を開いているそうです。」
エーリッヒはそう言って呆れたように井戸端会議に興じる女房達を見た。
「ふぅん・・」
「姫様、もしかして焼餅を焼いていらっしゃるんですか?」
「馬鹿言わないで。」
美津はエーリッヒの額を小突きながら立ち上がった。
「剣の稽古に行くわよ。エーリッヒ、今度はサボらないで付き合いなさいよね。」
「わかりました、姫様・・」
今日は自分にとってとんでもない厄日になるだろう・・エーリッヒは稽古着に着替えながらそう思った。
その頃、あの娘は鬼神の姿を探しながら洛中を歩いていた。
あの薬を彼から貰い、初めてお座敷で緊張せずに舞えた。
それは血の滲む様な努力を毎日稽古をした成果なのだが、本人にはそれが薬の効果のお陰なのだと錯覚してしまっていた。
あの薬さえあれば、自分は緊張せずに舞える。
だから、あの薬を彼から貰わなければ。
(どこにおるの・・あの人は、どこにおるの・・?)
娘は虚ろな目で鬼神の姿を探し続けた。
鬼神の姿は、どこにもなかった。
今日は諦めよう。今頃舞のお師匠さんが怒り狂いながら自分の到着を待っている頃だろう。早く彼女のところに行った方がいい。
そう思いながら歩いていると、誰かと肩がぶつかった。
「すんまへん・・」
そう言って娘が振り向くと、琥珀色の美しい瞳が自分を覗き込んでいた。
「あなた、アレが欲しいの?」
「なんで、そんなこと知って・・」
「どうしてかしらね?わたしにはお前が思っていることがわかるのよ。」
美しい少女は懐から懐紙に包まれた阿片の粉末を渡した。
「あなたにこれ、あげるわ。お金は要らないわ。その代わりに、わたしの頼みを聞いてくれたら、いくらでもあげるわ。」
粉末に手をつけてはいけない、と思いながら娘は粉末に手を伸ばそうとした。
だが、その手を少女が払い除けた。
「言ったでしょう、頼みを聞いてくれたら、いくらでもあげるって。」
少女はこの状況を面白がるように黄金色の瞳を光らせた。
その時、少女の背後から闇の底から漆黒の手が自分の方へと伸びてくる気がした。
自分を闇の底へと引き込もうとする魔の手が。
娘は悲鳴を上げ、少女に背を向けて脱兎の如く走り去った。






Last updated  Apr 1, 2012 10:11:09 PM
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「姫様、おはようございます。」
「ん・・」
朝靄に京の街が包まれている時、美津はゆっくりと目を開けた。
「まだ起きるのには早いわよ、四郎。もうちょっと寝かせてよ。」
「それが、姫様にお客様がお見えなのです。どうしても姫様にお会いしたいと・・」
「お客様ですって?こんな朝早くに?」
美津は眠い目を擦りながら布団から出て、身支度を整えた。
「姫様、こちらです。」
四郎に案内され、中庭に出た美津を待っていたのは、自分と同年代の若い町娘だった。
「わたしに会いたいって言ってたのは、あなた?」
「はい・・」
町娘はそう言ってもじもじしながら、美津に文を手渡した。
「さっき屯所の近くで男の人から、“壬生にいる姫にこれを渡すように”と言われました。」
「そう・・朝早くからありがとう。」
美津は町娘に微笑むと、町娘は頬を少し赤く染めて屯所を出て行った。
「一体誰かしら・・?」
そう言いながら文を読み始めた美津の表情が、段々険しくなっていった。
「姫様?」
「・・四郎、ちょっと出かけてくるわ。」
美津は文を破り捨て、屯所を飛び出していった。
(あいつだわ・・わたしに文を送ってきたのは!)
美津は目を凝らして周囲を見渡しながら、あの男を探した。
彼は屯所の近くにある茶店で静かに美津を待っていた。
「あなた、いったいどういうつもりなの?あんな文をわたしに送ってきて・・」
「何のことじゃ?」
そう言った鬼神は、真紅の双眸で愛しい人を見つめた。
「とぼけないで!今後あんなふざけた文を送ってきたら、殺してやるから!」
美津は鬼神を目で殺しそうな勢いで睨みつけて、屯所へと戻っていった。
「誰が諦めるものか・・そなたはわしの運命の女。必ずやわしの妻にしてみせる。」
真紅の瞳が何が何でも美津を妻にするという決意で新たな光を宿した。
「姫様、どこへ行かれてましたか?」
「屯所近くの茶店よ。あいつと話をしてきたわ。」
そう言った美津の瞳には激しい怒りが宿っていた。
「まだあの男は姫様に執着しているのですか・・いい加減諦めればいいものを・・」
四郎は槍を握り締めながら言った。鬼神をこの槍の穂先で刺し殺せたらどんなにか気が晴れることだろうかと思いながら。
「あいつの言うことややることにいちいち腹を立てていては、あいつの思うつぼよ。まぁ、いずれはあいつと対決する日が来るわね。その時はこてんぱんに叩きのめしてやるわ。」
「ええ。その時はわたしもお供いたします、姫様。」
「ありがとう、四郎。」
美津は花のような笑みを浮かべながら、四郎に振り向いた。
(姫様、奴は必ずやわたしが仕留めます・・)
四郎はそっと、胸に手を当てた。
そこは鬼神が呪いをかけた十字の印が刻まれている。
あいつたえ倒せば、美津と幸せな生活を送れる。
その為には強くならなければ。
今までよりももっと強く。
「四郎、稽古頑張ってね。」
「ありがとうございます、姫様。」
四郎は頭を下げ、槍の稽古を再開した。
「つまらんな・・」
鬼神はそう呟きながら抹茶を飲んだ。
「何ぞ嫌な事でもあったんどすか?」
「そなたは・・」
割れしのぶに髪を結った若い娘の頬は、少し痩けていた。

「あのお薬、おくれやす。」

白魚のような手を裏返し、娘は鬼神をじっと見つめた。






Last updated  Apr 1, 2012 10:10:39 PM
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「かたじけない。」

侍はそう言って阿片が入った包みを大事そうに懐にしまい、部屋を出ようとした。

「Good Bye!」

英国人商人はそう叫んでスーツの内ポケットから拳銃を取り出し、侍に向って引き金を引いた。

「不意打ちとは・・卑怯な・・」
侍は低く呻き、床にゆっくりと倒れていった。
侍が倒れた大理石の床には、徐々に真紅の海が広がっていく。
「馬鹿な男だ・・こんなものに夢中になって・・」
商人はそう言って侍の脇腹を蹴り、彼が懐に隠している阿片を取り出してそれを勢いよく吸い込んだ。
「いい夢を見るのは、わたしだけで充分だ・・この快楽の味は誰にも渡さない。」
狂気で血走った商人の蒼い瞳が、仄かに月光に照らされ、不気味な光を放った。
「阿片か・・そなたが清国から持ってきた夢を見られる薬は、一度吸ったら病みつきになり、最後は己の骨をしゃぶるまでやめられぬそうだな。」
背後から突然聞こえた声に、商人は恐怖で身体を震わせた。
「誰だ、そこにいるのは!?」
「名乗るほどの者ではない。」
漆黒の闇の中で、白銀の髪がゆらりと動き、血のような真紅の瞳が、商人を見つめた。
「それが、極上の快楽を味わえるという夢の薬か・・」
真紅の瞳が商人から彼が握り締めている阿片へと移った。
「これはわたしのものだ!誰にも渡さない!わたしだけが、この薬を味わうのだ。」
「愚かな人間・・」
次の瞬間、商人の頸動脈は切断され、彼の首は侍の骸の傍に落ちた。
鬼神は、手についた商人の血をぺろりと舐めた。
「不味い・・」
ぺっと異物を吐き出すような感じで鬼神は商人の血を吐きだし、彼の硬くなった手を開き、彼が独占しようとしていた阿片を少し吸った。
鬼神の脳裏に、極楽浄土の風景が一瞬浮かんだが、それは瞬く間に消えていった。
「何が夢の薬よ・・我ら魔物にとっては毒にも薬にもならぬ・・こんなつまらぬものでよく人間は自らを滅ぼせるものよ・・」
鬼神は窓から阿片を投げ捨て、溜息を吐いた。
窓に背を向け、彼は商人の机へと向かい、引き出しを開けた。
そこには大量の阿片を包んだ袋が入っていた。
「あんなものに、溺れていたのか・・やはり人間は愚かよのぅ。」
乾いた笑い声を出しながら、鬼神はこの邸にあったすべての阿片を持ち出し、邸を出た。
翌日、商人と侍の遺体を、商人の邸に勤めていたメイドが発見した。
商人が隠し持っていた阿片は行方知れずとなっており、阿片の密貿易で懐を潤していた他の外国人商人達は人を雇って消えた阿片の行方を追わせた。だが、阿片は煙のように掻き消えてしまった。
「阿片を一刻も早く探し出せ!あれがなければ我々の仕事が成り立たなくなる!」
彼らは消えた阿片が密かに京へと運ばれていることなど、知る由もなかった。
「これは何どすか?」
祇園の茶屋で、鬼神は酒を呑みながら懐から阿片が入った袋を取り出したところ、隣に座っていた舞妓がそれに興味を示した。
「これか?これは吸えば極上の快楽が味わえるという、夢の薬だそうだ。」
「へえ、そんなんあるんどすか。珍しおすなぁ。」
「一度だけ試してみるか?」
鬼神は舞妓の耳元でそう囁いた。
「ええんどすか?」
「ああ。ただし一度だけな。」
口元に笑みを浮かべながら、鬼神は舞妓に阿片を渡した。
真紅の瞳には、冷酷な光が宿っていた。






Last updated  Apr 1, 2012 10:10:12 PM
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「あいつらにお仕置きをしてやったわ。」

そう言って娘は笑いながら女中達の血に濡れた洋剣を舐めた。

「お嬢様、何もあそこまでやらなくても・・」
「わかっていないのねぇ、お前は。お喋りな奴は舌を引っこ抜かなきゃいけないわ。二度と余計なことを喋らないようにね。」
娘は銀色の刀身を汚している赤黒い液体を、器用に舌で舐め取っていった。
「そんなことをしたら、そなたの舌が切れてしまうのではないか?わたしにとってはその方がよいかもしれんがな。」
凛とした声が裏庭に響いたかと思うと、闇の中から銀髪の男が幽霊のように現れた。
「あら、来てくれたのねv」
娘は黄金色の瞳を嬉しそうに光らせながら男を見た。
「その男は?」
銀髪の男―鬼神はそう言って娘の隣に控えている丁髷の男を見た。
「わたしはお嬢様にお仕えする、猶間匡家(なおまただすけ)と申す。そなたは?」
「わたしに名はない。敢えて名乗るなら、惟(ゆい)と名乗っておこう。」
鬼神は匡家をチラリと見ながら言った。
「どうしたの、こんなところにわざわざ来るなんてvいつもはこんな堅苦しいところ、来たくないって言って寄り付かないのにぃ。」
「ちょっとお主に用があってな。」
鬼神はチラリと匡家を見て行った。
「少し、席を外してくれるかしら?」
「いいえ、ここにおります。」
匡家は鬼神を睨みながら、娘の隣に座った。」
「お前は空気ってものが読めないのね。それでもわたしの従者なの?」
呆れたような溜息を吐き、扇子を開いた。
「わかりました。」
匡家は鬼神を睨みながら部屋を出て行った。
「話とはなんだ?」
「あのね、父上が今長州の方々とお付き合いしていらっしゃることは、ご存知よね?」
「ああ。それがどうした?」
「ちょっと耳を貸して。」
娘は鬼神の耳元で、何かを囁いた。
「そうか・・それはよい手だな。」
鬼神の真紅の瞳がきらりと光った。
「そうでしょう?あなたは鬼姫様を自分のものにしたい。わたしはあの従者を手に入れたい。この作戦ならお互いに欲しい物が手に入れられるじゃない?」
「それはそうだな。また来る。」
鬼神はそう言って娘に背を向け、彼女の部屋を出て行った。
「お嬢様と何を話していた?」
部屋を出た途端、匡家はそう言って鬼神の胸倉を掴んだ。
「何も話してなどいない。もし彼女と話していたとしても、それはそなたには関係のないことだ。」
「関係のないことだと?」
「ああ。彼女にとってそなたは忠実な犬に過ぎぬからな。」
匡家の黒真珠の瞳と、鬼神の紅玉の瞳との間に静かな火花が散った。
「・・もしそうだとしても、わたしは一生お嬢様にお仕えする。お前などにお嬢様を渡すものか!」
匡家はそう言って鬼神を突き飛ばし、屋敷の中へと入っていった。
「愚か者め。そなたがあの娘の心を掴めると思っているのか?人間はいつも愚かな者よの・・」
鬼神は口元に冷笑を浮かべながら、闇の中へと消えていった。
その頃京から遠く離れた横浜の、とある英国人商人と、数人の侍達があるものを取引しようとしていた。
「これで足りますかな?」
商人がそう言って侍の1人にあるものを渡した。

「ええ、充分です。」

侍は懐紙に包まれたものをそっと取り出した。
それは高純度の阿片だった。






Last updated  Apr 1, 2012 10:09:12 PM
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「お嬢様、あの男とは知り合いなのですか?」

家へと帰る途中、鬼神と話していた娘の隣を歩いている男はそう言って彼女を見た。

「ええ、知り合いよ。いい意味でも、悪い意味でもね。」
娘はそう言って従者を見た。
「お前、あいつのことが気になるの?わたしが好きだから?」
「いえ、そんなことは・・」
従者の端正な顔が、少し朱色に染まった。
「照れちゃって、可愛いのね、お前。」
娘は彼をからかう様にくすくすと笑った。
「心配しないで、わたしはあいつとはそんな関係じゃないわ。彼はわたしと同族、ただそれだけよ。」
娘はそう言って前を向いて家へと歩いて行った。
2人が辿り着いたのは、門構えが立派な武家屋敷だった。
「お嬢様、お帰りなさいませ。」
門の前で提灯を持った女中数人がそう言って娘を出迎えた。
「ただいま。父上はさぞやお怒りでしょうね。」
「ええ・・嫁入り前の娘が夕暮れ時になっても帰ってこない、どうしたんだと問い詰められまして・・」
「ごめんなさいね、お前達に要らない心配をかけちゃって。」
娘は女中達に微笑みながら、屋敷の中へと入っていった。
娘とその従者が屋敷の中へと入っていくのを見送った女中達は、庭の隅の方へと集まった。
「それにしてもお嬢様は一体何をなさってたんだろうねぇ、こんな時間まで。」
「どうせ遊んでたに決まってるさ。いくら旦那様がお嬢様に甘いからって、若い娘が羽目を外していいのかね?」
「奥様があれじゃ嫁の貰い手がなくなるとかお嘆きになっていらっしゃるけれど、あれじゃあどこにも嫁げやしないわね。」
彼女達の噂話を、暗闇の中から従者が聞き耳を立てていた。
「そう・・あいつらがそんなことを言ってたの。」
自分の部屋で寛いでいた娘はそう言って従者を見た。
「お嬢様、あの者達をどうなさいますか?」
従者は主の命令が下されるのをじっと待った。
「あんな奴らのことなんか、わたし気にしてないわ。でも・・」
娘は壁に立てかけてある洋剣(サーベル)を手に取り、鞘から刀身を少しずつ引き出した。
「少しお仕置きが必要ね。特に、お喋りな雀達には。」
娘はそう言って不敵な笑みを浮かべた。
銀色に光る刀身には、娘の冷酷だが美しい顔が浮かんでいた。
「あ~あ、今日は疲れたね。」
「全くだよ。奥様がいつも以上に神経質になっていらっしゃたしね。」
「お嬢様の所為だよ。何もかもあのお嬢様の所為で・・」
噂話をしていた女中達は互いに愚痴をこぼし合いながら使用人部屋へと向かっていた。
「あら、わたしの所為で何がどうしたっていうのかしら?」
突然彼女達の前に洋剣を持った娘が現れた。
「お、お嬢様、わたしたちに何かご用でしょうか?」
「何もないわよ。ねぇ、知ってる?あるところにお喋りな雀がいて、鳥たちの秘密を何もかも他の動物に話してしまうから、その雀は二度と口が利けないように、舌を抜かれたんですって。」
女中達は娘を怯えた表情を浮かべながら見た。
「お前達はおしゃべりで愚かな雀・・だから、二度と口が利けないようにしてあげるわ。ねぇ、いい方法だと思わない?」
耳を劈くような悲鳴が裏庭にこだました。
「うるさい鳴き声ね。お喋りな上に鳴き声まで醜いのね、お前達は。」
娘は舌を切り取られて地面に蹲る女中達を冷たく見下ろした。
淡い月光が娘の姿を照らし、娘の黄金色の瞳が美しい光を放った。

だがその光は女中達にとって、魔物が放つ禍々しい光だった。






Last updated  Apr 1, 2012 10:08:27 PM
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「ねぇさっき、あそこの呉服屋で壬生狼が騒いでいたわよ。」

そう言ってあの日、茶店の前に座っていた武家風の若い娘は銀髪の男を見た。

「そうか・・奴らは早々、京の者達に嫌われてしまったのか・・」
男は溜息を吐いた。
「そりゃぁ、ここは帝のおわす京の都だもの。幕府側の人間よりも勤皇の志士様たちの方が人気があるわよ。関東から来た田舎侍に京の警護なんてされたくないわよね。」
娘は男の反応を楽しそうに見ながら歩いた。
「あいつら、いつ京を出て行くのかしらね?あの芹沢っていう男がいる限り、あいつらは京の人々に完全に嫌われる。それも永遠にね。」
艶やかな黒髪を高島田に結い上げ、真珠の簪を揺らしながら、娘は大きな声を出して笑った。
「楽しそうだのう、お前は。」
「ええ、とっても楽しいわよ。だってこれから、人間達の殺し合いが毎日間近で見られるんだもの。こんな愉快なことってないわ。」
娘はそう言って男を見た。
「あなただって京に来て嬉しいと思ったでしょう?」
「まぁな・・」
男はフッと笑みを浮かべながら、夕闇に包まれつつある京の街を歩いた。
「ねぇ、今夜泊まるところがないならうちに来たら?お父様もあなたのこと歓迎してくださるわよ、きっと。」
娘は慌てて男の後を追いながら言った。
「遠慮しておこう。どうやらそなたの父上とは反りが合わぬのでな。」
男は娘の方を振り返りもせずに去っていった。
「んもう、愛想が悪いんだから・・」
娘は頬を膨らませながら、去っていく男の背中をいつまでも見送った。
「お嬢様、そんなところにおられましたか。」
いつの間にか娘の隣に、長身の男が立っていた。
丁髷を結い、腰に刀を二本差した男は、娘の家で働いている若者だった。
「お前をここに来させたのはお父様ね、きっと。」
娘はそう言って男を見て、歩き出した。
(美津は壬生狼の中にいるか・・とすれば、ますますこちら側に入れるのか無理か・・)
居酒屋の中で、銀髪の男―鬼神はそう思いながら酒を飲んでいた。
(あの娘がとんでもないことをやらかさなければよいが・・こちらが慎重に動いている最中にあの娘が美津に全てこちらの計画をバラしてしまったら、元も子もないからな。)
初めて会った時から、あの娘は自分にとって頭痛の種だった。
利害が一致するという理由で彼女とは手を組んだものの、娘のわがままに数百年間も振り回され、鬼神は少し疲れてきた。
(あやつと手を組んだのは間違いだったかもしれぬ・・あの娘とはいつか手を切らねばな・・)
「おう、こんなところにいたのか。」
鬼神が顔を上げると、そこには赤の縦縞の派手な着物を着た男がいた。
「なぜ、わたしの場所がわかった?」
鬼神は嫌そうな顔をして、男を見た。
「そんな顔することないだろ、酷ぇな。同じ釜の飯食ってる仲間だってのによ。」
男は鬼神の肩を強く叩いた。鬼神はその痛みで顔をしかめた。
「あんたさ、あのお嬢様と親しくしてんだろ?いったいどんなコネ持ってんだ?」
「貴様に話すつもりはない。」
鬼神はそう言って男を睨むと、勘定を払い店を出た。
「つれねぇなぁ・・」
(今日はあの娘にも絡まれたし、そのうえあんな男にまで・・あやつらに構っている時間など、ないというのに。)
鬼神は溜息を吐きながら、美津を自分のものにするために何をすればよいのかを考え始めた。

(まずは、あの男を美津から引き離すしかあるまい・・)

夜道の中で、鬼神の真紅の双眸が不気味に光った。






Last updated  Apr 1, 2012 10:07:45 PM
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店の中に入ると、そこは商品である織物がずたずたに引き裂かれ、番台がひっくり返り、その破片が床に散らばっているという惨状が広がっていた。

「いったいこれは・・」

四郎は店の奥へと入っていった。
美津はしばらく店の中を見て回った。
まるで嵐が通り過ぎたかのように、店の中は滅茶苦茶に破壊されている。
「いったい何があったというの?」
「主人が我らに金を貸さないから、思い知らせてやっただけだ。」
背後から声がして美津が振り向くと、そこには色白で顔の右半分を前髪で覆った男が立っていた。
「新見先生・・芹沢先生はどこですか?」
美津は新見が纏う殺気に怯むことなく、彼と向き合った。
「芹沢先生なら、店の奥にいる。」
新見は顎で店の奥をしゃくりながら言った。
「それにしても、いささか乱暴すぎるんじゃありませんか?突然店にやってきては金を貸せと言って、断らなかったらこんな乱暴な真似をなさるなんて・・京の治安を守る先生達がこんなことをするようでは、誤解されてしまいますわよ?」
「貴様に何がわかる。」
新見は美津をギロリと睨み、店を荒々しく出て行った。
(嫌な奴。)
美津は溜息を吐きながら、店の奥へと向かった。
「おやめください、芹沢先生!」
「離せ、離せよっ!」
そこでは鉄扇を店の女中と思しき1人の少女に振りかざそうとしている芹沢を必死で押さえている四郎の姿があった。
「こいつ、目上の者に対して口の利き方を親から教わってねぇようだから、俺が身体でわからせてやるぜ!」
「おやめください、芹沢先生!」
四郎は暴走寸前の芹沢を必死で取り押さえた。
芹沢の顔は怒りで赤く染まり、目は充血して真っ赤になっている。
「いったい何があったというの、四郎?」
2人の姿を交互に見ながら、美津はそう言って女中の方を見た。
14,5くらいの女中は、怯えた表情を浮かべていた。
「それが、芹沢先生が突然この娘に怒り出して・・」
「芹沢先生。」
美津はそっと芹沢に近づいた。
「なんだ、小娘!俺の楽しみを邪魔するんじゃねぇ!」
芹沢はそう言って美津を睨んだ。
「年端のいかない娘を怯えさせるのが、芹沢先生の楽しみだなんて、ご存知ありませんでしたわ。でも、それが忠心報国を志す先生の行動でしょうかしら?」
「ちっ、食えねぇ娘だ!退け!」
舌打ちした芹沢は、四郎を乱暴に押し退けて店から出て行った。
「大丈夫?」
美津が女中の方に近寄ろうとすると、彼女は悲鳴を上げて部屋から脱兎の如く飛び出していった。
「私達はどうやら、嫌われてしまったようね・・」
「そうですね、姫様。」
美津と四郎が店から出ると、騒動を聞きつけてやってきた野次馬が2人に冷たい視線を投げつけた。
その視線は旅をしている途中、何度も投げつけられたことがあったが、これほどまでに冷たい視線は美津は感じたことがなかった。
(京のひとたちは、私達のことを嫌っているわ・・完全に。)
彼らと心から理解しあえることはないだろうと、美津は思った。
かつて、自分が歩み寄ろうとした者達が一斉に背を向けて自分から逃げ出してしまったのと同じように。
そんなのはもう慣れっこになっていた筈なのに、美津は今、何故かとても寂しく、悲しい気持ちになっていた。






Last updated  Apr 1, 2012 10:07:15 PM
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美津達一行は、京都の壬生村へと入っていった。

「諸君、長旅大儀である。」

そう言って浪士達を労ったのは、清河八郎であった。
彼は浪士達を壬生の新徳寺へと集め、重大な発表をしようとしていた。
「諸君をこの場に集めたのは他でもない、尊王攘夷の為である。我々の任務は公方様をお守りすることではなく、天子様をお守りすることである。」
清河の言葉を聞いた浪士達は一斉にざわめいた。
「どういうこと?江戸では将軍警護の為だと言っていたのに・・」
美津はうろたえながら隣に座っている四郎を見た。
「案ずることはありません、姫様。」
四郎は美津の手を握った。
「我々とともに天子様をお守りしたい者はいるか!いるのならわたしとともに行動せよ!」
1人、また1人と浪士が清河の元へ行き、その他の者は新徳寺を出て行った。
そして最終的に残ったのは、多摩出身の近藤勇、土方歳三の試衛館派と、芹沢鴨、新見錦ら元天狗党派の8人だけとなった。
「わたしたちはどうなさいますか、姫様?」
「そうね・・あの清河って人の話は信用できないわ。ここは京に残った方がいいかもしれない・・」
「姫様が、そうおっしゃるのなら、わたしたちもここに残ります。」
その後、近藤ら試衛館派と芹沢ら元天狗党派は前川家と八木家に屯所を構え、京での生活を始めた。それと同時に美津達も、近藤達試衛館派とともに暮らすことになった。
「ねぇ四郎、あの芹沢って人、どう思う?」
京へ着いた夜、美津はそう言って隣で眠る四郎を見た。
「あの方ですか・・元天狗党の方だということですが・・道中であんな騒動を起こした方ですから、あまり信用しない方がいいかもしれませんね。」
「そうね・・」
美津の脳裏に、芹沢と初めて会った時のことが浮かんだ。
芹沢とは、京へと向かう道中の疲れを取る為に泊まった宿の廊下で出会った。
「お前が鬼姫か。」
そう言った芹沢は好奇心を剥き出しにして美津の全身を舐めるように見た。
「なにか御用ですか?」
「いや、何も。」
「そうですか、では失礼いたします。」
美津は芹沢に頭を下げてさっさと部屋へと入った。
あの時の、全身に絡みつくような芹沢の視線は、忘れたくても忘れられなかった。
あの男は信用できないー美津はそんな気がしてならなかった。
僅か8人で始まった壬生浪士組の活動は、1ヶ月経った後、正式に会津藩の御預かりとなり、「壬生浪士組」と名乗ることになった。
壬生浪士組の主な仕事は市中の警護。
「いよいよ壬生浪士組が始まるわね、四郎。」
「ええ、姫様。」
「芹沢って人、何か騒ぎを起こさなければいいけれど・・」
「そうですね・・」
芹沢が何かしでかすのではないかと、美津達は危惧していた。
そして、その危惧は的中した。
芹沢は、近藤達とは別に商人から多額の金を借りたり、拒否する商人には暴力を振るうなど、やくざまがいの行動を取り始めたのである。
いつからか京の人々はそんな芹沢の行動を見て、「壬生に住む狼」という侮蔑の意味を込めて「壬生狼(みぶろ)」と壬生浪士組のことを呼ぶようになっていた。
ある日のこと。
巡回中で会った美津と四郎は、芹沢が商家へ押し掛けているのを見かけた。
「またあの人達、お金を借りるつもりかしら?これで一体何回目だと・・」
美津がそう言って溜息を吐いた時、店の中から大きな物音がした。
「行くわよ、四郎!」
「はい、姫様。」






Last updated  Apr 1, 2012 10:06:38 PM
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1863年2月、京都。

浦賀にペリーが黒船で来航し、長年鎖国していた日本は、渋々アメリカと通商和平条約を結び、開国した。

それから日本国内は徳川幕府を守ろうという佐幕派と、幕府を倒し天皇中心の新しい時代を作ろうという尊王攘夷派、そして外国人を打ち払おうという過激派が京に集結し、日々血みどろの戦いを繰り広げていた。
そんな中、江戸から浪士達の集団がやってきた。
彼らは壬生浪士組―のちにその名を全国に轟かす、新撰組の前身であった。
その中に、美津と四郎、そしてエーリッヒの姿があった。
「ここが京なのね。」
美津はそう言って、遥か彼方に見える京の街を見ながら言った。
「ええ、姫様。まさか京に来るなんて、思いもしませんでした。」
「そうね・・」
あの日―遥か数百年前、故郷を遠く離れた島原を出て、美津達は流浪の旅を繰り返してきた。
長い間、自分達は人間の強欲さと強いものに虐げられる弱者を見てきた。
それは日本でも異国でも変わらない。
この数百年間、人間は愚かな歴史を繰り返してばかりいる。
権勢欲や金銭欲から起きる醜い争いが今この瞬間にもどこかで起きている。
状況は美津が故郷を出た時から、さほど変わっていないようにも思えた。
「姫様、いかがなさいましたか?」
肩を叩かれ我に返ると、そこには四郎が立っていた。
「いえ、別に・・ちょっと考え事してただけ。」
「そうですか。今まで長い旅をしてきましたね、姫様。唐土や西洋の国々など、色々なところを旅しましたが、京に来るのは初めてです。」
四郎はそう言って美津の隣に立ち、京の街を眺めた。
「そうね・・今まで京には行ったことがなかったわ。もしかしたら、ここには来たくはなかったのかもしれないわ・・だってここには・・」
「そろそろ時間ですよ、2人とも。行きましょう。」
エーリッヒは2人に声をかけた。
「そうね。行きましょうか、四郎。」
「ええ。」
美津と四郎はゆっくりとその場から去り、エーリッヒの所へと向かった。
「さっきは何をおっしゃろうとしていたのですか、姫様?」
「それは、秘密よ。」
美津達はやがて京の街へと入った。
初めて見る京の街は、見るものすべてが鮮やかで美しく見えた。
「わたし、ここでうまくやっていけるかしら?」
美津は不安そうに街を見ながら歩いた。
「きっとうまくやっていけますよ、姫様。」
美津の不安を和らげるために、四郎はそう言って彼女の手を優しく握った。
「唐土でも西洋の国々でもうまくやっていけたのですから、ここでもうまくやっていけますよ。わたしとエーリッヒがいるから、大丈夫ですよ。」
「そうね・・そうよね。」
美津はそう言って四郎とエーリッヒに笑みを浮かべた。
3人はある茶店の前を通りかかった。
そこには編み笠を目深に被った銀髪の男と、武家風の若い娘がいた。
3人は彼らに気づかず、茶店の前を通り過ぎた。
「もう彼らは我らのことを忘れてしまったようだな。」
編み笠の男はそう言って美津の背中を見つめた。
「そのようね。でも、私達はずっとあの人達・・特に鬼姫様を忘れなかったわ。この数百年間、ずっとねv」

若い娘は次第に遠くなっていく美津の背中を見つめながら、瞳を黄金色に光らせた。

「会うのが楽しみだわ、鬼姫様・・」






Last updated  Apr 1, 2012 10:29:16 PM
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