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薄桜鬼 二次創作小説:白日

2021年10月25日
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※BGMと共にお楽しみください。

薄桜鬼の二次小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


「先生、さようなら~」
「気を付けて帰れよ。」
「は~い。」
一人、また一人と、子供達が教室から去っていった。
「入るぞ。」
中から返事はないが、元新選組副長・土方歳三は、そう言って妻の部屋へと入っていった。
布団の中に居る彼女の目は虚ろで、夫が部屋に入っても全く気付かなかった。
「今日は、身体の調子が良さそうだな。」
「・・はい。」
たった一言。
その一言が、歳三にとって何よりも嬉しかった。
「買い出しに行って来る。」
「お気をつけて。」
「すぐに、帰って来る。」
妻・千鶴を抱き締め部屋から出た後、歳三は自宅を出て、町へと向かった。
「あら先生、いらっしゃい。はい、いつもの。」
「済まねぇな。」
「いいの、いいの。奥さん、早く良くなるといいわね。」
「ええ・・」
千鶴の薬を手に歳三が薬局から出ると、簪や櫛などを売っている店の中へと入った。
「いらっしゃい。」
店には、季節の花をあしらった愛らしい簪や櫛などが店先に飾られていた。
その中で一際歳三の目をひいたのは、美しい刺繍を施されたリボンだった。
「これをひとつくれ。」
「はいよ。」
歳三は小間物屋から出ると、ある場所へと向かった。
そこは、高台で箱館の街が一望できるお屋敷街だった。
かつて外国人居留地として栄えていたが、戊辰の戦で新政府軍が箱館に総攻撃するという噂が広まり、居留地の住民達はそれぞれ母国へと避難した。
戦が終わり、外国人居留地だった所は、明治となって北海道へと移り住み、財を成した者達が住んでいた。
その中にある、美しい白亜の邸宅の前へと歳三は立った。
二階の飾り窓の隙間から一人の少女の姿が見えた。
彼女は、美しい黒髪を三つ編みにして、自分と同じ色の瞳で窓の外を見ていた。
歳三は、彼女と目が合うとそっと手を握った。
すると、少女も手を振り返して来た。
「お嬢様、もうお休みになりませんと。」
「わかったわ・・」
そう言って少女が飾り窓から外の方を見ると、邸宅の前に居た男の人は、いつの間にか居なくなっていた。
「お帰りなさいませ、旦那様。奥様は、もうお休みになられておりますよ。」
「そうか。」
「では、わたくしはこれで失礼致します。」
千鶴の世話をしてくれる女中が帰った後、歳三は書斎であの少女への手紙をしたためていた。
「あら、あなたは・・」
「朝早くに申し訳ありません。これを、お嬢様に渡して下さい。」
「はい、わかりました。」
「では、わたしはこれで失礼致します。」
歳三はそう言ってあの邸宅の女中にあの少女に宛てた手紙を手渡した。
「お嬢様、おはようございます。」
「おはよう。」
「お嬢様に、お手紙です。」
「ありがとう。」

少女が女中から歳三の手紙を受け取ると、そこには一行だけ、彼女への言葉が書かれていた。

“誕生日おめでとう。”

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最終更新日  2021年10月25日 21時26分50秒
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