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JEWEL

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薔薇王の葬列 妖パラレル二次創作小説:美しき炎

Apr 2, 2022
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「薔薇王の葬列」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


「ねぇ、またあのお客さん来ているわよ。」
「もしかして、新人ちゃん目当て?」
リチャードが『カサブランカ』で潜入捜査を始めてから、一週間が過ぎた。
バッキンガムは毎晩店に来ては高い酒を飲み、女の子達に時折土産を持って来たので、ちょっとした有名人になっていた。
「凛さん、ちょっと。」
「はい・・」
「あなた、あのお客様とは一体どういう関係なのかしら?」
「それは・・」
「もしかして、あなたの彼氏?」
「いえ、幼馴染です。わたしが最近、夜のお仕事を始めてから心配しているようで・・」
「そうなの。でも、あなたはまだこのお店に入ったばかりだから、“色々と”弁えてくれないと困るのよ。」
「すいません・・」
「それじゃぁ、頼むわね。」
エリザベスはそう言ってリチャードの肩を叩くと、従業員控室から出て行った。
「あ~、疲れた。」
「お疲れのようですね。」
「バッキンガムはどうした?」
「彼なら自室で眠っております。」
「そうか。」
毎晩あんなに飲んでいたらそうなるだろう―そう思いながら、リチャードが自室に入ると、そこには布団の中に包まって眠っているバッキンガムの姿があった。
「おい、そこで何してる?」
「寝ているだけだが?」
「自分の部屋で寝ろ。」
「嫌だ。」
「もしかしてお前、どこぞの武将のように布団を暖めておいたとか言うつもりか?」
「・・バレたか。」
「何だその“チッ”は?」
「お休み。」
「“お休み”じゃない、さっさと出て行け・・出て行けっていうのに・・凄い力だ!」
暫くバッキンガムとリチャードは布団を奪い合っていたが、結局リチャードの方が根負けして彼と一緒に寝た。
「ハロウィン?」
「西洋の行事で、盆のみたいなものだ。」
「そうか。だからお前、そんな格好をしているのか。」
「あぁ。」
そう言ったバッキンガムは、古めかしい軍服姿だった。
「それで、お前は何故そのような格好をしている?」
「これに出る為だ。」
バッキンガムは、一枚のチラシをリチャードに見せた。
そこには、“ハロウィン扮装コンテスト”と書かれていた。
優勝賞品には、一等が長島スパーランドのホテルペア宿泊券、二等が高級ゲーム機、三等が十キロの米だった。
「あんたにも協力して貰うぞ、リチャード。」
「断る。」
「何故だ?」
「興味が無いからだ。」
「あんたはもう少し世間の事を知った方がいい。」
結局、リチャードはバッキンガムとコンテストに出場する事になった。
「それで、俺は何を着ればいい?」
「安心しろ、あんたの衣装は俺がちゃんと用意してある。」
「変な物じゃないだろうな?」
「これだ。」
バッキンガムがそう言ってリチャードに見せたものは、宝石が縫いつけられた美しいドレスだった。
「何の扮装だ?」
「これは、“エリザベート”の衣装だ。」
「“エリザベート”?」
「これを観ろ。」
そう言ってバッキンガムは、Blu-rayディスクをノートパソコンにセットした。
「これが、“エリザベート”か。」
「あんたには主人公のエリザベートをやって貰う。俺は黄泉の帝王・トートだ。」
「え?」
「本番まであと二週間しかない。完璧なものに仕上げる為には、今日から特訓だ!」
「バッキンガム・・」
「これから俺の事は、“コーチ”と呼べ!」
こうして、鬼コーチ・バッキンガムが爆誕したのだった。
「声を出せ、声を!」
「はい、コーチ!」
二週間後、ハロウィン扮装コンテストが行われ、リチャードとバッキンガムは優勝したのだった。
「俺があんたに、最高の思い出をくれてやる。」
「バッキンガム・・」
「さぁ選べ、俺が計画したプランを。」
そう言って、バッキンガムはリチャードの前にパンフレットとガイドブックを広げた。
「バッキンガム、そんなに嬉しいのか?」
「あぁ。新婚旅行だからな。あんたと色々と楽しみたい。」
「そうか。」
「すいませ~ん、郵便です。」
「何だ、こんな時に。」
バッキンガムはそう言うと、学校から届いた一枚の書類に目を通すと、白目を剥いて倒れた。
「おい、どうした?」
そこには、“補習のお知らせ”と書かれてあった。
どうやら、彼は出席日数が足りなかったようで、進級する為には何日か補習を受けなければならないらしく、その日程が丁度旅行の日程が被っていた。
「うわぁぁ~ん!」
その事を知ったバッキンガムは、人気沸騰中の某ゆるキャラのような声で泣き出した。
「そんなに泣くな・・」
「そうだ、あれを使えばいい!」
そう言ったバッキンガムは、ある作戦を考えた。
「リチャード、行こうか。」
「お前、補習はどうするんだ?」
「あぁ、それは“彼”に任せてある。」
「“彼”?」
バッキンガムは、式神に補習を受けさせ、リチャードと新婚旅行を楽しんだ。
「あぁ、楽しかった。」
「そうだな。」
帰宅したバッキンガムがリチャードと共に家の中へ入ると、そこには先客が居た。
「やぁ、帰って来るのを待っていたよ。」
「貴様、何者だ!」
「そんなに警戒しないでくれ。僕は君が心配で来たんだよ。」
そう言うと、一人の青年がリチャード達の前に現れた。
「あ、君かぁ。式神に補習を受けさせるなんて、良く考えたねぇ。」
青年―リッチモンドは、そう言うと笑った。
「あれ、君の隣に居るのが、妖狐の奥さんか。」
「リチャード、さがっていろ。」
バッキンガムはそう言うと、リッチモンドに向かって妖気をぶつけた。
だが、それはリッチモンドによって弾き飛ばされてしまった。
「何だと・・」
「結界が張ってあるから無駄だよ。」
「結界だと?」
「自己紹介が遅れたね。僕はリッチモンド・・君達の敵さ。」
リッチモンドは、そう言うと結界を解いた。
「さてと、自己紹介も済ませたし、勝負しようか。」
「勝負?」
「僕は君の奥さんに興味が湧いた。だから、君から奪おうと思ったんだ。」
「リチャードは渡さない。」
「へぇ、いいねぇ!」
リッチモンドは、そう言うと笑った。
「待て。」
「リチャード、何をする気だ?」
「誰から命令されて来た?」
「さぁねぇ。」
「では、これは何だ?」
リチャードは、そう言ってリッチモンドの前にある物を見せた。
それは、スマートフォンだった。
「・・気が変わった。バッキンガム君、君の奥さんを東京へ連れて行くよ。なぁに、数日だけ君の奥さんをかりるだけさ。」
「お前・・」
「バッキンガム、心配するな、すぐに戻る。」
「リチャード、本当にいいのか?罠かもしれないぞ?」
「その時は、その時だ。」
リチャードは、バッキンガムと別れ、リッチモンドと共に東京へと向かった。
「都会へ来るのは初めてかい?」
「あぁ。」
「じゃぁ、あそこの店へ行こうか!」
そう言ってリッチモンドが指したのは、原宿で一番人気のクレープ屋だった。
「おのれ、陰陽師め・・リア充ライフをインスタで更新しやがって・・」
バッキンガムはそう言うと、リッチモンドのインスタを見て怒りで顔を歪ませていた。
そこには、仲良くクレープを食べるリッチモンドとリチャードのツーショットが映っていた。
「もしかして、羨ましいのですか?」
「そんな事は・・」
「あ、また更新されましたよ。」
「う、うわぁぁ~!」
「一度行ってみたかったんだよね、ネズミーランド!」
「おい、さっきからお前は何をしたいんだ?」
「う~ん、マウントかなぁ、君の旦那さんに。」

(厄介な奴だな・・)

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Last updated  Apr 2, 2022 10:09:16 PM
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Mar 25, 2022
「薔薇王の葬列」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

「リチャード様、失礼致します。薬湯をお持ち致しました。」
「ありがとう。」
リチャードはそう言うと、苦しそうに咳込みながら布団から起き上がった。
「あいつはどうしている?」
「バッキンガム様なら、学校へ行っております。」
「そうか。」
「お加減が悪そうですが、大丈夫ですか?」
「いや・・“あの女”を呼んで来てくれ。」
「かしこまりました。」
ケイツビーは、早速烏の足に文を括り付け、“彼女”を呼んだ。
「お呼びかしら?」
「ジェーン、久しいな。」
「まぁリチャード様、酷い顔をされていますわね。何かありましたの?」
「・・鬼に、抱き潰された。」
「それは、大変ね。」
ジェーンはそう言うと、リチャードを診察した。
「鬼の精力は、かなり強いものですから数日この熱とだるさは続くかと・・」
「そうか。ジェーン、鬼の精力を萎えさせる方法はないか?」
「ありませんわ。愛されていいのでは?」
「良くない。」
「まぁ、悩みは尽きませんわね。」
ジェーンは、そう言うと笑った。
「っへくしょい!」
「バッキンガム君、どうしたの?」
「風邪でもひいたの?」
「いや・・」
バッキンガムは、訳あって十代の少年へと姿を変え、高校の教室に居た。
「ねぇ、保健体育だよね、次。」
「嫌だなぁ・・」
「コンドームの付け方とか・・」
「こんどぉむ?何だそれは?」
「え、バッキンガム君、知らないの!」
「男の子とする時に、いつもつける物よ!」
「そうなのか?俺は、いつもつけていないが?」
「え~ヤダ~!」
「最低!」
クラスの女子達から非難されても、バッキンガムはピンと来なかった。
その日の保健体育は、性教育の一環としてコンドームの付け方を講師から教わった。
「皆さん、ちゃんと避妊しましょうね。」
(何という事だ・・)
帰宅したバッキンガムは、鞄の中からコンドームの包みを取り出した。
こんな袋を、自分のアレに被せるのか―そんな事を思いながらバッキンガムがコンドームを眺めていると、そこへケイツビーがやって来た。
「一体何をしているのです?」
「俺は、何という事を・・」
ケイツビーは少し冷めた目で、“うすうすLサイズ”を握り締めているバッキンガムを見ていた。
「今、何と言った?」
「袋が、入らない・・」
「は?」
バッキンガム曰く、“学校で配られた袋に己のモノを装着しようとしたら、入らなかった”という。
「それで、俺にどうしろと?」
「俺のモノの大きさを測ってくれ。」
「断る。」
「そうしなければ、あんたが困る。」
「出て行け。」
バッキンガムは、数日間リチャードの部屋から締め出された。
「一体俺の何が気に入らないんだ?」
「そういうところですわ、閣下。」
ジェーンはそう言うと笑った。
「いらっしゃいませ~」
「これを・・」
バッキンガムは、電車で片道二時間かけて繁華街の中にあるドラッグストアで、“ごくうすXLサイズ”を一箱分購入した。
「よし、入った!」
「耳元で喚くな、うるさい。」
「リチャード、今夜は寝かせないぞ。」
リチャードは、また数日寝込んだ。
「バッキンガム様、リチャード様の事をもっと労わって下さい。」
「労われ、とは?」
「リチャード様にとっては、鬼の精力を摂り過ぎるのは毒なのです。」
「何故、それを早く言わない?」
「わたしが言おうとする前に、わたしを部屋から追い出そうとするでしょう?」
「う・・」
ケイツビーからそう指摘され、バッキンガムはぐうの音も出なかった。
リチャードがバッキンガムと暮らし始めてから、数ヶ月が経った。
「リチャード様、余りお食事を召しあがられていないようですが。」
「食欲がなくてな・・」
「まぁ、もしかすると妊娠かもしれませんわ。」
「そんな事は・・」
「有り得ないと?定期的に身体を重ねていらっしゃる方がいるのでしょう?」
「あいつは、いつもしてくれる時、袋を被せている。」
「それは人専用でしょう?鬼には、全く効きませんわ。」
「それを早く言ってくれ!」
襖が勢いよく開いたかと思うと、バッキンガムが息を切らしながらジェーンに詰め寄った。
「俺は恥を忍んで、袋を買いに行ったのに・・」
「そんなに落ち込む事はありませんわ。」
「そうだな。リチャード、もし妊娠していたらどうする?」
「産むに決まっているだろう。」
何を言っているんだこいつは?と、リチャードは半ば呆れたような顔をしながらバッキンガムを見た。
「え・・」
「何だ、その驚いたような顔は。子は天からの授かりものだというだろう。」
「あぁ、そうだな。俺は、あんたに似た娘がいい。」
「待て、まだ妊娠している訳ではないだろう。気が早過ぎる。」
「そうだな。」
「まぁ、気が早い事。産まれたから、色々と大変そうですわね。」
「ジェーン、これからお前はどうする気なんだ?」
「暫くはここに居ようかと。」
「そうか。」
リチャードがそう言ってケイツビーが淹れてくれた紅茶を飲んでいると、そこへ一羽の烏がやって来た。
「お前は、エドワード兄上の所の烏か。」
烏の足に括り付けた文に目を通したリチャードの顔が曇った事にバッキンガムを見逃さなかった。
「どうした?」
「父上が、お倒れになられたらしい。」
「そうか。俺も行こう。あんたの家族にも会ってみたいし。」
「わかった。」
こうして、リチャードはバッキンガムと共にリチャードの実家へと向かった。
「リチャード、久しいな。」
「兄上、大変ご無沙汰しております。」
「父上がお前に会いたがっている。」
リチャードの長兄・エドワードは、そう言うとリチャードを抱き締めた。
「顔色が悪いな。少し部屋で休んだらどうだ?」
「わかりました。」
長旅の疲れからか、リチャードは自室で眠ってしまった。
「リチャード様、起きて下さい。」
「ケイツビー、俺は何時間眠っていた?」
「四時間です。敷布の交換に参りました。」
「・・そうか、ありがとう。」
経血で汚れた敷布を見ながら、リチャードは安堵の溜息を吐いた。
「リチャード、何かあったのか?」
「月のものが来て、寝込んでいただけだ。」
「そうか。」
「リチャード、父上がお呼びだぞ。」
「今行きます。」
リチャードはそう言うと、父の寝室へと向かった。
「父上、ご無沙汰しております。」
「リチャード、会いたかった。」
「お体の具合は、いかがですか?」
「あぁ、今日は少し体調が良い。」
ヨーク公は、そう言うと寝台から起き上がった。
「あの鬼と婚姻の契約を結んだと聞いたが、本当なのか?」
「はい。」
「そうか。実は、お前をここへ呼んだのには、理由がある。」
「理由、とは?」
「近々、エドワードが結婚する事は知っているね?」
「はい。確か、相手は野狐の娘だとか・・」
「ウッドウィル一族には、少々厄介な問題を抱えていると噂に聞いている。それを、調べてくれないか?」
「わかりました。」
「済まないな、体調が万全ではないお前にこのような事を頼んでしまって・・」
「いいえ。俺は少しでも、父上のお役に立ちたいのです!」
「そうか。では、頼んだぞ。」
数日後、東京・銀座の高級クラブ『カサブランカ』に、一人のホステスがやって来た。
「あなた、オッドアイなの?何だかわたし、あなたと一度会った事があるような気がするのだけれど・・」
「気の所為ですわ。」
「そう。じゃぁ今日から、体験入店して貰うわね。」
「ありがとうございます。」
こうしてリチャードは、野狐・エリザベスがママをしている『カサブランカ』の潜入に成功した。
だが―
「リチャード、探したぞ。」

嫉妬深いバッキンガムが毎晩店に来た。

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Last updated  Mar 25, 2022 12:00:07 AM
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Mar 1, 2022
「薔薇王の葬列」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


その日から、ヘンリーは床に臥せる事が多くなった。

「ヘンリー、大丈夫か?」
「うん・・ここへ戻って来たのは、病気を治しに来たからなんだ。」
「それは、悪いものなのか?」
「大丈夫、すぐに治るよ。」
「しかし、ヘンリーの病状は良くなるどころか、悪化していった。」
「助けて・・」
「ヘンリー、しっかりしろ!」
ヘンリーがリチャードの元から旅立ったのは、寒い冬の日だった。
「見て、リチャード!二人で植えた椿の花が、咲いているよ!」
「あぁ、綺麗だな。」
リチャードがそう言ってヘンリーの方を見ると、彼は喀血して倒れていた。
「ヘンリー!」
リチャードは医師を呼んだが、ヘンリーは医師が到着する前に息を引き取った。
「嫌だ、ヘンリー!」
「見つけたぞ、あの妖だ!」
「あいつだ、疫病を広めたのは!」
「殺せ、その首を晒せ!」
突然、屋敷に銃や刀で武装した男達が押し入って来た。
「ヘンリーは、渡さない!」
リチャードはそう叫ぶと、男達に向かって蒼い炎を放った。
ヘンリーの死後、リチャードは山奥へと逃げ、そこへ社を建てた。
この村に広まっていた疫病は、“スペイン風邪”と呼ばれた、当時世界中で広まっていた感染症だった。
しかし、古い因習や迷信を妄信していた村人達は、その疫病を、“天狐様の祟り”と言って恐れた。
そして、“天狐様に生贄を差し出せば、村は平和になる”というしきたりが、二十一世紀となった今でも続いているのだった。
「この写真は、あいつの形見だ。」
そう言ってリチャードは、そっと写真を撫でた。
「子は居なかったのか?」
「あぁ。あいつは身体が弱かった。それに、俺と交わった人間は皆気が狂って死んでしまう。だから・・」
「俺は、人じゃない。」
バッキンガムはそう言うと、リチャードが髪に挿していた簪を抜き、徐にその先端を手首に刺した。
「おい!」
「見ろ。」
バッキンガムはそう言うと、リチャードに手首の傷を見せた。
その傷は、すぐに塞がった。
「俺は、俺の家は、鬼の名家だ。」
「鬼の名家?」
そういえば、一度兄達から、“お前には鬼の許婚が居るんだぞ”と聞いた事があったが、その鬼の名家・スタフォード公爵家には、確か一人息子が居た筈だ。
まさか、彼が―
「漸く気づいたようだな、リチャード?」
「お前、あの時の・・」
リチャードが怯えた目でバッキンガムを見ると、口端を上げて笑った。
「俺は、ずっとあんたに会いたかったんだ。」
バッキンガムはリチャードに抱き着くと、その胸に顔を埋めた。
「あんたは覚えていないだろうが、俺はずっとあんたに惚れていた。」
「バッキンガム・・」
「あんたが人間の男と夫婦になったと知った時、俺は嫉妬で狂いそうだった。」
バッキンガムは、そう言った後何かを唱えた。
すると、少年の姿だった彼は、大人の男の姿となった。
「俺はあんたに会う為に、千年待った。」
「バッキンガム、何をする気だ?」
「あんたを抱く。」
バッキンガムはリチャードを横抱きにすると、そのまま社の奥ある寝所へと向かった。
「待ってくれ、俺は・・」
「もう千年待った、これ以上待てない。」
バッキンガムは褥の上にリチャードを優しく寝かせると、彼女の着物の裾を捲り上げた。
「あ・・」
「何故隠す?あんたの“身体”の事なら知っている。」
リチャードは、男女両方の性を持っている。
それ故に、リチャードは母から疎まれ、いつも一人だった。
ヘンリーとは、肉体関係はなかったが、彼が居るだけで心が安らいだ。
そのヘンリーが死に、リチャードはまた一人になった。

一人は寂しい。

一人は辛い。

一人は悲しい。

「リチャード?」
「済まない、ボーッとしてしまって・・」
「あんたは、もう一人じゃない。」

リチャードは、バッキンガムの言葉を聞いて涙を流した。

「どうした?」
「いや、何でもない。」
「俺は、あんたを決して一人にはしない。」
「バッキンガム・・」
「愛している、リチャード。千年前からずっと・・」
バッキンガムは、リチャードの上から覆い被さった。
「狭いな・・」
己の指を締め付けて来るリチャードの中に、バッキンガムは驚きながらもその固く閉じた蕾を揉み解した。
すると、その中から甘い蜜が滴り落ちた。
「そろそろ頃合いか・・」
リチャードの中は、奥へ進めば進む程、きつく己の分身を締め付けた。
リチャードは、苦しそうに喘いでいた。
だが次第に、それは嬌声へと変わっていった。
リチャードの子宮を激しく責めたバッキンガムは、歯を食い縛りその中に己の欲望を解き放った。
「あ、あぁ・・」
リチャードは、バッキンガムの腕の中で蕩けた。
「優しくしてやれなくて、済まなかった。」
「いいんだ。」
バッキンガムは、そのままリチャードと共に眠りに落ちた。
朝日が昇る頃、リチャードは隣で眠るバッキンガムを起こさぬよう、そっと寝所から出た。
「リチャード様、おはようございます。」
「おはよう、ケイツビー。」
リチャードの項に噛み痕がついている事に気づいたケイツビーは、それが誰につけられたものなのかがわかり、思わず目を伏せた。
「どうした?」
「いえ、巫女装束姿のリチャード様が珍しいなと思いまして・・」
「今日は椿祭りの日だから、忙しくなるぞ。」
椿祭り―それはこの町に古くから伝わる、“天狐様”を讃えるものであり、“天狐様”が愛する椿の花を供え、町の安寧を願うものだった。
「リチャード様、あの者をどうなさるつもりですか?」
「バッキンガムは、俺の“夫”だ。」
リチャードはそう言うと、椿の花を手に取った。
「ヘンリー・・」
この椿は、自分にとってヘンリーとの思い出が詰まった大切なものだった。
「朝から外が騒がしいな。」
「椿祭りだからな。」
「まだそんな祭りがあるのか?」
「お前はその姿では目立つから、今日は一日中子供の姿をしていろ。」
「わかった。」
そう言ったバッキンガムは、不満そうに唇を尖らせた。
「あ、フライドポテトがある!パパ、これ買って~!」
子供の姿へと化けたバッキンガムは、ケイツビーに屋台の食べ物をねだった。
百年前の祭りの屋台は、せいぜいりんご飴やイカ焼きしか売っていなかったが、百年経った今では様々な物が売っている。
ケイツビーはやれやれと言ったような顔をしながらも、バッキンガムにフライドポテトを買い与えた。
「そんなに召し上がっては、お腹を壊しますよ。」
「“激しい運動”をしたから、腹が減ってな。」
「リチャード様を、どうなさるおつもりですか?」
「本来ならば後朝の文を贈りたかったが、生憎時間がなかった。」
「そうですか・・」
「それよりも、リチャードは何処に行った?」
「リチャード様なら、あちらにいらっしゃいます。」
そう言ってケイツビーが指した先には、本殿の舞台で舞を舞っているリチャードの姿があった。
その姿は、神々しくも美しかった。
「リチャード・・」
「そんなに興奮しないで下さい、バッキンガム様。変化が・・」
「済まない。」
巫女舞を終えたリチャードが本殿の奥へと引っ込むと、バッキンガムは大人の姿となり、リチャードを抱き締めた。
「何をする!」
「あんたが欲しい。」
「もう充分に抱かせてやっただろう?」
「まだ足りない・・」
リチャードを褥の上に押し倒したバッキンガムは、その身体を貪った。
「千年もの間、お前は俺以外の女を抱いた事がなかったのか?」
「俺は、高貴で美しい女しか抱かないと決めている。」
「そうか・・」
バッキンガムは、朝までリチャードを離そうとしなかった。
バッキンガムの絶倫ぶりにリチャードは疲労困憊となり、数日間寝込んでしまった。
「ケイツビー、済まないな。」
「いえ・・リチャード様のお身体が心配です。」
「こんなに抱き潰されたら、俺は気が狂って死んでしまいそうだ・・」

リチャードは、そう言うと激しく咳込んだ。

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Last updated  Mar 1, 2022 09:51:31 PM
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Feb 12, 2022

※BGMと共にお楽しみください。

「薔薇王の葬列」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

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父と祖父が死に、バッキンガムは都会から山間の田舎町へと引っ越した。
そこは、人口が千人にも満たないド田舎で、余所者である彼はたちまち注目された。
田舎は、“プライバシー”というものがない。
何処で何をしていても、瞬く間にそれは広がり、この町にとって最大の娯楽を住民達に与える。
転校初日、バッキンガムを歓迎していた同級生達はたちまち彼を“敵”とみなし、幼稚な嫌がらせをするようになった。
(こんな町、早く出て行ってやる!)
陰鬱な気分を送る日々の中で、バッキンガムが“彼女”と出会ったのは、町外れの神社の境内だった。
(クソ、派手にやられたな・・)
擦り剥いた膝小僧から滲み出る血をティッシュで乱暴にバッキンガムが拭っていると、突然彼の頭上が暗くなった。
(何だ?)
「見ない顔だな。ここら辺のガキじゃないな。」
そう言って自分の前に現れたのは、巫女装束姿の少女だった。
長い黒髪を結び、前髪で左目を隠している少女は、鋭い視線をバッキンガムへ向けていた。
「神域を血で穢すな、ガキ。」
「ガキじゃない、バッキンガム公爵だ。」
バッキンガムはそう言って少女を睨むと、彼女はバッキンガムの顔を見た後、彼にこう言った。
「鬼に喰われる前に帰れ、ガキ。」
「こんな田舎に、鬼なんて居るのか?」
「信じなくても、それでいい。」
少女はそう言うと、バッキンガムに背を向けた。
(何だったんだ、あの女・・)
「お帰り、遅かったねぇ・・」
「ねぇおばあちゃん、この町には鬼が居るの?」
「誰からその話を聞いたんだい?」
「近くの神社に住んでいる巫女さん。」
「おかしいねぇ、あそこの神社は誰も居ないけどねぇ・・」
「ふぅん・・」
「ご飯が出来たから、手を洗っておいで。」
「はぁい。」
(鬼なんて居る訳ない!)
その時は鬼の存在を鼻で笑っていたバッキンガムだったが、謎の巫女との出会いから暫く経ち、彼の元に町の老人会のリーダーがやって来た。
「は、生贄?」
「お前さんも最近知っているように、この町でたちの悪い風邪が流行っているだろう?」
「そうだけど・・どうして、うちの孫が?」
「実は・・」
“天狐様たってのご指名なんだよ。”
訳がわからぬままに、バッキンガムは、“天狐様”の生贄として、『婿入り』する事になった。
「ごめんね・・」
「大丈夫だよ。」
『婿入りの日』は、朝から雪が降っていた。
「まぁ、良く似合っていますよ。」
父が子供の頃に着ていたという紋付き羽織袴を着て、バッキンガムは『婿入り』の日を迎えた。
「さぁ、そろそろ・・」
「元気でね。」
しんしんと雪が降り続く中、バッキンガムを乗せた駕籠は、町から出てあの神社の方へと向かっていた。
「どうぞ。」
「ありがとう。お前達はここでいい。」
「はい、では・・」
バッキンガムが駕籠から降りると、神社の鳥居の方から軽やかな鈴の音が聞こえて来た。
(何だ?)
バッキンガムが頭上を見ると、鳥居から白無垢姿の花嫁とその従者と思しき黒衣の青年が石段から降りて来た。
角隠しを目深に被っていて花嫁の顔は見えなかったが、血のように美しく紅い唇だけは、提灯の薄明りの下でも良くわかった。
「お前、あの時のガキか?」
花嫁の、中世的でありながらも良く通る声を聞いたバッキンガムは、俯いていた顔を上げた。
そこには、あの夏の日に神社で会ったあの巫女が立っていた。
「天狐様、わたくしはこれで。」
町の老人達は、バッキンガムを置いてそのまま元来た道を戻っていった。
(見捨てられたか・・)
バッキンガムがそう思いながら花嫁の方を見ると、ふわふわとした九本の白い尾が彼の身体に巻き付いた。
「なっ・・」
「この姿を見て驚かないなんて、大したガキだな。」
「あんたは、何者なんだ?」
「あの爺共が、俺の事を“天狐様”と呼んでいただろう?俺が、この町を守っている天狐の、リチャードだ。」
そう言った花嫁―リチャードの左右違う色の瞳には、うっすらと紅がひかれていた。
黒衣の男は、リチャードとバッキンガムに祝詞を上げた後、それぞれの盃に酒を注いだ。
三々九度の誓いを交わした後、二人は社の奥にある寝室へと向かった。
「ガキはさっさと寝ろ。」
「うるさい!」
そう言ってリチャードを睨んだバッキンガムだったが、たちまち眠りの底へと落ちてしまった。
「漸く寝たか。」
「リチャード様、これを。」
「済まないな、ケイツビー。」
豪奢で動きにくい花嫁衣裳をとうに脱ぎ捨て、リチャードは訪問着へと着替えていた。
「さてと、ガキを寝かしつけたから、これからは、“大人の時間”だ。」
「リチャード様、わたくしもお供致します。」
「ありがとう。」
二人が向かったのは、この町で一軒しかないスナック・エデンだった。
「ちょっと、残ってくれないかい?」
「どうしたの、ママ。」
「あんた、あんたが来てから次々と店の子達が辞めていったり、行方不明になったりするんだよ!」
「それが、わたしの所為だとでも?」
「あんた、人間じゃないんじゃ・・」
「うるせぇよ、婆。」
リチャードは舌打ちしながら、ママを睨みつけた。
「そんなに怯えなくても、俺はクズの肉は食わない。」
「ひぃぃ!」
「リチャード様。」
「帰るぞ、ケイツビー。ここでの仕事は終わった。」
「はい。」
リチャードが神社へと戻ったのは、夜明け前の事だった。
「良く眠っているな。」
「ええ。」

リチャードはそう言うと、そっとバッキンガムの頭を撫でた。
バッキンガムが目を覚ますと、烏天狗のケイツビーが自分の前に立っていた。

朝早くに叩き起こされ、眠い目を擦りながら起きて布団から出たバッキンガムは、ケイツビーから蔵の掃除を命じられた。

「終わったら、式神で知らせてくださいね。」
(畜生、何で俺がこんな目に!)
バッキンガムが苛立ちで箒をぶつけていると、近くの棚から大きな音がした。
(うわ、見つかる前に片付けないと!)
そう思いながらバッキンガムが床に散らばった日記や写真類を拾っていると、彼はある一枚の写真に釘付けとなった。
それは、一組の夫婦の結婚写真だった。
新婦は、あのリチャードだったが、新郎は知らない男だった。
(一体、どういう事なんだ?)
「あんた、何人の写真を勝手に見ているの?」
すぅっと何かが通る気配がした後、バッキンガムは己の背後にリチャードが立っている事に全く気付かなかった。
「おい、耳が聞こえないのかい!?」
リチャードはドスのきいた声でそう言うと、バッキンガムの耳を抓った。
「なぁ、あんたと一緒に写っている男は誰なんだ?」
「この男は、かつて俺が愛し・・殺した男だ。」
リチャードはそう言うと、そっと写真に写っている金髪碧眼の男の顔を撫でた。
「俺がこいつと―ヘンリーと夫婦になったのは、今から百年前の事だった。」
リチャードと、一番目の夫・ヘンリーと出会ったのは、“大正”と呼ばれていた頃の事だった。
その頃、リチャードはまだ子狐だった。
今のように美しい白い毛ではなく、漆黒の毛に覆われていた。
リチャードはある日、好物の苺がある森へと向かった。
「はは上に、持っていこう・・」
そう言いながらリチャードが苺を懐に入れていると、そこへ一人の少年がやって来た。
彼は、金色の髪に宝石のような蒼い瞳を持った少年だった。
とっさに茂みの中へと隠れようとしたリチャードだったが、その前に少年に見つかってしまった。
「ねぇ、君はだぁれ?」
「お前は、誰だ?」
「僕はヘンリー!ねぇ、一緒に遊ぼうよ!」
「俺は・・」
少年―ヘンリーから半ば強引にリチャードが連れて行かれたのは、彼の家だった。
「お前は、ここに一人で住んでいるのか?」
「うん。時々通いでやって来る家政婦さんは居るけれど、僕には友達が一人も居ないんだ。だから、リチャード、僕と友達になってくれる?」
「わかった・・」
「やったぁ~!」
こうしてリチャードは人間の少年・ヘンリーと友達になった。
はじめはヘンリーの事を警戒していたリチャードだったが、次第に彼の天真爛漫な所に徐々に惹かれていった。
だが、二人の幸せな生活は長く続かなかった。
ヘンリーは、突然東京の両親の元へ帰る事になったのだ。
「リチャード、またここで会おう。」
「ヘンリー・・」
「これ、僕代わりに持っておいて。」
そう言ってヘンリーがリチャードの髪に挿したのは、雪を象った美しい宝石の簪だった。
「僕の、亡くなった母の形見なんだ。」
「ありがとう、大切にする・・」
それから、何年もの歳月が経ち、リチャードは美しく成長していった。
いくつか縁談が来ていたが、リチャードはそれらを全て断った。
リチャードは、只管ヘンリーがこの町に戻って来るのを待っていた。
そんな中、ヘンリーが東京から町へ戻って来た。
「リチャード、ただいま。」
「ヘンリー、お帰り。」

リチャードは、そう言ってヘンリーの少し痩せた頬を撫でた。


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Last updated  Mar 1, 2022 09:44:47 AM
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