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薄桜鬼腐向け二次創作小説:貴方に伝えたいこと

November 5, 2021
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※BGMと共にお楽しみください。

「薄桜鬼」の二次創作小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


遠くから響く轟音に、一は恐怖に震えた。

「落ち着け、俺がついている。」
そう言って、“彼”は、優しく自分の手を握ってくれた。
“彼“が居れば、一はどんな物も怖くなかった。
一にとって、“彼”は光そのものだった。
「どうした?」
「貴方の瞳と、同じ色です。」
「そうか。」
大戦が始まる数年前、“彼”は一に自分の瞳の色と同じブローチを贈ってくれた。
ずっと、“彼”に居られると思った。
それなのに―
「必ず、あんたを助けます・・」
「お前だけでも、生きろ・・」
「嫌です、あんたが居なくなったら、俺は・・」

“彼”は、涙を流しながら、一にこう言った。

『愛している、幸せになりなさい。』

紅蓮の炎の中から出て来たのは、一だけだった。

(どうして、俺だけ助かったんだ・・)

“彼”が居ない世界で、一はどう生きればいいのかわからなかった。
一は、今日も孤独という闇の中で藻掻き苦しんでいた。

「ここか・・」

一が入院している病院に、一人の青年がやって来たのは、大戦が終わってから数年経った、初夏の事だった。
一は、“彼”に宛てた手紙を書いていた。
“拝啓、土方大佐、大戦から数年経ちますが、その後いかがお過ごしでしょうか?報告、お待ちしております。”
「斎藤さん、あなたにお客様よ。」
「久しぶり、斎藤。」
「原田中佐。」
「元気そうで良かった。」
「あの、土方大佐は、土方大佐はご無事なのでしょうか?」
「それは・・」
「何度も手紙を書いたのですが、“宛先不明”で持って来てしまって・・」
「俺が今度、土方大佐の事を聞いておくよ。」
「ありがとうございます。」
「俺が今日ここに来たのは、お前を迎えに来たんだよ。」
「そう・・なのですか。」
原田に連れられ、一は病院を後にした。
彼と共に、一はある建物の中へと入った。
「あの、ここは・・」
「ここは、俺の会社さ。まぁ、大戦で郵便の需要が高まってね。それで、郵便社を立ち上げたのさ。」
「そうなのですか・・」
「ここでは、郵便の仕分けや配達、そして自動手記人形による手紙の代筆・・」
「自動手記人形(ドール)・・」
「ほら、あそこにいる子達がそう。」
原田がそう言って指した先には、タイプライターを忙しく打っている女性達の姿があった。
「斎藤、義手の調子はどう?」
「大分、使いこなせるようになりましたが、まだ・・」
「そうか。」
「毎日土方大佐に手紙を書いているのですが、中々指が上手く動かなくて・・ペンを持つ事すら出来なくて・・」
「じゃぁ、タイプライターは?ペンで手紙を書くよりも簡単だし、コツさえ掴めば上手く打てるようになるぜ。」
「そうですか・・」
「千鶴、こっちに来てくれ。」
「はい。」
慌てて斎藤達の元へとやって来たその女性の顔に、斎藤は見覚えがあった。
(もしかして、この方は・・)
「初めまして、雪村千鶴と申します。」
「初めまして・・」
「こいつは、今日からこの会社の一員になった斎藤一だ。」
「宜しくお願い致します。」
「よろしく・・」
「この教則本に書いてある通りに打って下さい。」
「わかりました。」
一はそう言うと、義手を隠していた手袋を外した。
タイプライターは、ペンで手紙を書くよりも良かった。
「ねぇ、もしかして自動手記人形になりたいのなら、学校へ通ってみない?」
「学校、ですか?」
「先生は厳しいけれど、教則本と睨めっこするよりはいいわよ。」

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最終更新日  November 5, 2021 07:42:04 PM
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