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薔薇王の葬列 学園パラレル二次創作小説:運命の女~ファム・ファタル~

Mar 21, 2022
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画像はコチラのサイトからお借りしました。


「薔薇王の葬列」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


イギリス・ロンドン郊外に、上流階級の子息達が通う全寮制の寄宿学校“イングランド学園”はあった。

この学園は、中世に創設されて以来政財界の名士を多く輩出してきた名門校でもある。
しかし、その名門校の名を傷つける事件が起きたのだった―
事の起こりは、この学園の養護教諭であり水泳部顧問のリチャード・プランタジネット教諭が、彼女に密かに想いを抱いている美術教師のイーリー神父に水泳部の新入部員勧誘ポスターの制作を依頼した事から始まった。
イーリー神父ははじめ、自分のノートパソコンを使って普通に文字だけのポスターを制作しようとしたのだが、ある日“偶然”手に入れてしまったリチャードの美しい水着姿の写真を手に入れ、それを見た彼の変態的な創作意欲に火がついてしまったのだった。
その結果出来たのが、闇の中で蠱惑的な笑みを浮かべるリチャードの姿と、その下に書かれた“水泳部で夢のような時間を過ごしてみませんか?”という、新入部員勧誘ポスターには似つかわしくないキャッチコピーのポスターだった。
「イーリー先生、こんな煽情的で淫らなポスターを制作するなど許されることではありませんわ!」
臨時で開かれた職員会議の場で、イーリー神父をそう言って糾弾したのはイングランド学園の理事であり、リチャードの母・セシリーであった。
「リチャード先生はあの黒い水着姿で淫らな身体を包んで生徒達を誘惑しているというのに、このようなものを作っては、我が校の生徒達はあの悪魔に唆されてしまうわ!」
実の母親でありながら、リチャードを悪魔と呼び憎むセシリーがまたヒステリーの発作を起こしているのを、他の教師達は冷ややかな目で見つめていた。
「わたしは、リチャード先生の美しい姿を見て、わたしの中のミューズがわたしにこのポスターを描けとわたしの耳元で囁いたのです!わたしは、芸術家の端くれとして己の作品を世に出したかった、それだけなのです!」
イーリー神父はそう叫ぶと、胸の前で十字を切った。
「イーリー神父、貴方の芸術にかける情熱はよくわかりました。このポスターは少し煽情的なものですが、問題はないでしょう。」
学園のフランス語教師であるマーガレット=オブ=アンジューは、そう言うとテーブルに座っている教師達を見た。
「マーガレット先生は、あの子の本性を知らないからそのような事をおっしゃるのですわ!」
「セシリーさん、娘さんが心配なのはわかりますわ。思春期真っ盛りの少年達が居るこの学園では、娘さんのような若くて魅力的な女性は性的対象となるのは避けられませんわ。ですが彼女は成人ですし、母親である貴女がたかがこんなポスターに憤慨なさることはないのでは?」
「ですが・・」
「ポスターの件はもう終わった事です。」
マーガレットの言葉を聞いて更に言い募ろうとしたセシリーをピシャリとまるで鞭を打つかのように、マーガレットはセシリーの言葉を遮り、次の議題へと移った。
同じ頃、学園内にある食堂では、午前中の授業を終えた生徒達が賑やかに昼食のテーブルをそれぞれ囲んでいた。
その中で体操服姿の生徒が一人、片足を引きずりながら今にも泣きそうな顔をしていた。
「フレッド、お漏らししそうなら手伝ってやろうか?」
「さぁ、あいつが漏れる前にトイレに行けるのかどうか賭けようぜ!」
片足を引きずっている少年を嘲る声が聞こえたかと思うと、食堂内は一気に悪意の笑い声が伝染し、それは漣のように広がった。
少年は羞恥のあまり俯き加減で歩いていると、彼の前に一人の男が現れた。
「どうしたの、僕が保健室に連れて行ってあげる。」
銀髪で、左目を眼帯で覆っている年齢不詳の学園の庭師・ティレルは、そう言うと少年の肩に手を回して、彼の身体を支えた。
「ありがとうございます・・」
「困ったときは、午前零時に中庭にある噴水に10シリング硬貨を投げてごらん・・きっと“仕事人”が助けてくれるよ。」

ティレルはそう少年の耳元で囁くと、風のように消え去った。

早朝のイングランド学園に隣接するスポーツジム内にあるプールでは、イングランド学園水泳部顧問であり養護教諭であるリチャード=プランタジネットが、生徒達が朝練へ来る前に泳いでいた。
25メートルレーンのプールをバタフライで何度も往復していた彼女だったが、プールサイドに上がった彼女は息切れひとつしていなかった。
「保健室に居ないと思ったら、こんな所に居たのね。」
リチャードが背後から聞こえて来た声に振り向くと、そこには校医であるジェーンが立っていた。
長くてウェーブのかかったブルネットの髪を揺らしながら、白衣の下に惜しげもなくボディーラインを強調したシャツとタイトスカートを着た彼女は、リチャードの水着姿を暫く眺めていた。
「この学園の生徒達がみんな貴女に夢中になる理由がわかるような気がするわね。異性に魅力的な女性は同性からも魅力的に映るのよ、ご存知?」
「・・朝早くに何の用だ、ジェーン?」
リチャードはタオルで身体を覆うと、そう言ってジェーンを睨みつけた。
「昨夜、また“仕事人”が現れたわ。昨日貴女が手当てをしたフレッドって子、居たでしょう?被害者はその子をいじめていた子達よ。可哀想に、あの子達は退院してもこの学園には二度と戻って来ないでしょうね。」
「何が言いたい?俺が、その“仕事人”を裏で操っているとでも?」
「あら、貴女は何も知らないようだから、これで失礼するわ。」
ジェーンは少しがっかりした顔をしながら、プールを後にした。
イングランド学園の水泳部は、代々オリンピック選手を輩出している程の強豪であり、それ故練習量が多く、コーチであり水泳部副顧問であるウォリックの生徒への指導も厳しかった。
「飛び込みのフォームが甘い!」
「少し遅いぞ、向こうで腕立て伏せ100回!」
あのイーリー神父が描いた新入部員勧誘ポスターのお陰で部員が増えた水泳部だったが、その多くはリチャードの水着姿見たさの為に入部した連中だった。
しかし、そんな邪な理由で入部した者達は、厳しい練習量とウォリックの指導に音を上げ、入部一週間を待たずして皆去っていくのだった。
「今日はいつになく指導に力が入っているな、ウォリック?」
「当たり前でしょう、夏の大会に向けてそろそろ本腰を入れなければいけない時期です。リチャード先生はこれから朝食ですか?」
「ああ。後の事はよろしく頼む、ウォリック。」
プールから出たリチャードがシャワールームに入ると、そこには先客が居た。
彼―イングランド水泳部のエース、“バッキンガム”ことヘンリー・スタフォードはリチャードがシャワーを浴びている間、じっと目を逸らす事無く彼女の裸体を見つめていた。
「用がないのなら出ていけ。」
「今更俺に裸を見られても恥ずかしがる事はないだろう?」
バッキンガムはそう言うと座っていたベンチから立ち上がり、リチャードの背後に立った。
「あんたの全てを知っているのは、俺だけだ。」
「調子に乗るな。」
胸を触ろうとしたバッキンガムの手を邪険に払いのけたリチャードは、シャワールームから出て行った。
朝食の時間、教職員専用テーブルで朝食を取っているリチャードの隣に、彼女の婚約者であるケイツビーが腰を下ろした。
「おはようございます、リチャード様。」
「おはようケイツビー。どうした、少し顔色が悪いぞ?」
「昨夜、徹夜で授業の資料を作っていて、余り寝ていないのです。」
そう言ったケイツビーの両目の下には、黒い隈があった。
「そんなに頑張らなくてもいいじゃないの。少しは肩の力を抜きなさいな。」
「ジェーン、ケイツビーにちょっかいを出すな。」
「あらあら、ごめんなさい。」

そんなリチャード達のやり取りを遠くから眺めていたバッキンガムは、ケイツビーへの嫉妬の余り、手に持っていたスマートフォンを握り潰していた。

朝食を済ませたリチャードが保健室に入ると、いつも彼女が座る椅子に銀髪の男が座っていた。

「お前、何者だ?」
「僕は名もなき、この学園の庭師さ。」

男はそう言うと、今朝咲いたばかりの白薔薇をリチャードの艶やかな黒髪に飾った。

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Last updated  Mar 21, 2022 07:23:44 PM
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