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JEWEL

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薔薇王の葬列 現代任侠パラレル二次創作小説:愛の潮流

May 14, 2022
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「薔薇王の葬列」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

「ねぇ、今度の日曜、三人で旅行しない?」
「旅行って、何処に行くの?」
「ここよ!」
リチャードが教室に入ると、クラスの女子生徒達が何やら旅行雑誌を広げて楽しそうに話をしていた。
「何だか、楽しそうだな?」
「リチャードさん、あたし達今度の日曜、三人で旅行しようと思って!」
「リチャードさんも良かったら・・」
「いや、遠慮しておく。」
「そう。」
「残念~」
(最初から誘いたくないのならそう言え!)
リチャードはそんな事を思いながら、クッキーを焼いていた。
「お嬢、これは?」
「これは、来週学校の慈善バザー用に出すクッキーだ。」
「そんな面倒臭い事、良く出来ますね。」
「まぁ、さっさと済ませて後は好きなように自分の為に時間を使うさ。」
リチャードはそう言った後、溜息を吐いた。
リチャードは産まれてから一度も友人を作ったりする事がなかった。
それは、リチャードの“家が原因だった。
リチャードの“家”は、中世の頃から続く貴族だった。
それ故に、リチャードは“ある秘密”を抱えている為、幼少期から同年代の友人達を作る環境がなく、周囲は大人ばかりだった。
更に、リチャードの実家であるプランタジネット公爵家は、“特殊”な職業に就いていた。
それは―
「父上、お帰りなさい。」
リチャードが帰宅した父を出迎えると、彼はその美しい頬を誰かの“返り血”で汚していた。
「リチャード、帰りを待っていてくれていたのか。」
「はい。」
「そうか。」
「旦那様、お風呂の用意が出来ております。」
「わかった。リチャード、後で色々と話そう。」
「はい。」
ヨーク公とウォリックは、“内密な話”をする為に、浴室へと向かった。
「今日の相手は少し手強かったですね。」
「あぁ。それにしてもリチャードは、わたしが家を留守にしている間に美しくなったような気がするな。」
「それが、今のあなたの心配事ですか?」
「・・ケイツビーは、今どうしている?」
「彼なら銀座のスシ=レストランで働いていますよ。それがどうかしたのですか?」
「いや・・彼には、色々と背負わせ過ぎてしまったのかもしれないと思ってな。」
「考え過ぎでしょう。彼も、わかっている筈です。」
「そうか・・」
「それよりも、最近リチャード様を狙っている輩が、リチャード様の周辺を探っているようですよ。」
「そうか。」
「警備の者を増やしましょう。」
「わかった。」
二人がそんな話をしている頃、ケイツビーは銀座の寿司屋で働いていた。
「ケイツビーさん、もう上がってもいいよ。」
「お疲れ様でした。」
退勤したケイツビーは、寿司屋から出て、自転車で自宅アパートへと向かった。
「あらぁ、ケイちゃんお帰りぃ。」
「只今戻りました。」
ケイツビーが今住んでいるアパートの部屋は、スナックの二階にあった。
そのスナックの厨房で、ケイツビーは週三日程働いていた。
「お待たせしました。」
「いやぁん、今日はケイちゃんのフレンチフライ丼よー!」
「きぁ~、デブっちゃう~!」
「いいじゃない、美味しいんだから~!」
スナックが閉店した後、ケイツビーが厨房の片付けをしていると、外から妙な音が聞こえた。
(何だ?)
ケイツビーが店の裏口から外へと出ると、そこには残飯を漁るホームレスの姿があった。
「へへ、見逃してくれ。」
「そんな物を食べるな。」
ケイツビーは少し呆れた顔をしてホームレスを見た後、無料の弁当を彼に手渡した。
「ありがてぇ。」
「日曜にこの公園で炊き出しをするから、来い。」
「へい。」
ホームレスが去った後、スナックのママ、あけみがやって来た。
「どうかした?」
「最近、ホームレスの方が増えていますね。」
「コロナ禍で、あちこちの店が潰れて、クビ切られた人達が多くてさ。うちだって、昼営業で何とかやっていけているけれど、カツカツなのよね。」
「そうですか。わたしの職場も、アクリル板もつけて色々と感染対策をしていても・・」
「お酒出せないのがキツイのよねぇ。」
「そうですよね。」
「それじゃ、また明日!」
「はい。」
スナックから出たケイツビーは、そのまま二階の部屋へと向かった。
布団に入り、彼は朝まで泥のように眠った。
「おはようございます。」
「ケイツビーさん、お客さんが来ているよ。」
「はい。」
ケイツビーが銀座の寿司屋に出勤すると、大将がそう言って奥の個室を指した。
「ありがとうございます。」
ケイツビーが個室のドアをノックすると、そこにはヨーク公とウォリックの姿があった。
「大変ご無沙汰しております・・旦那様。」
「その呼び方は止めろ。元気そうで良かった。」
「ケイツビー、久しいな。」
「お二人共、ご注文は?」
「日替わり昼膳を頂こうか?」
「かしこまりました。」
「ケイツビー、今度の土曜は空いているか?」
「はい、空いていますが、何か?」
「リチャードの学校で慈善バザーが開かれる。」
「必ず、伺います。」
「ケイツビー、そろそろうちへ戻って来ないか?」
「それは、出来ません。わたしは、もう“組織”から抜けました。もう、これ以上迷惑を掛ける訳にはいきません。」
「そうか。それは残念だ。」
「では、わたしはこれで失礼致します。」
銀座の寿司屋から出たウォリックは、ヨーク公にこう尋ねた。
「彼を、諦めるおつもりなのですか?」
「去る者は追わないのが、わたしのポリシーだ。」
土曜日、リチャードが通う学校で慈善バザーが開かれた。
リチャードが作ったクッキーは、午前中に全て完売した。
「リチャード様、お久しぶりです。」
「ケイツビー・・」
「クッキーは、もう無いのですか?」
「あぁ。会えて、嬉しかった。」
バザーの後、プランタジネット公爵邸でパーティーが開かれ、ケイツビーは招待客達に寿司を振る舞った。
「リチャード、久しいな。」
「バッキンガム・・」
自分の幼馴染であるバッキンガムから声を掛けられリチャードが振り向くと、そこには彼の父親の姿もあった。
「スタフォード様、ご無沙汰しております。」
「レディ=リチャード、暫く会わない内にますますお美しくなられて・・」
「まぁ・・」
「父上、リチャードと二人きりで話をしても?」
「わたしに遠慮をしなくても良い。」
「では・・」
リチャードとバッキンガムが薔薇園へと向かったのを見送ったハリー=スタフォードは、ヨーク公と話をした。
「近々、そちらのレディと、うちの息子が“家族”になる日も近いですね。」
「ええ。」
「どうやら、ネヴィル家の娘にスタフォード家の男は惹かれてしまうようですね。」
「それは、言えていますね。」
ハリーの亡き妻・マリアンヌは、リチャードの母・セシリーと同じネヴィル家出身だった。
「リチャードは、あなたの息子さんととても“親密”な関係でいらっしゃいますよね?」
「あの子は・・ヘンリーは昔から、リチャードさんの事が好きでしたから。」
「そうですか・・」
そんな事をハリーとヨーク公が話していると、突然パーティー会場に悲鳴が響き渡った。
「一体、何が・・」
「動くな、動くとこいつを殺すぞ!」
刃物を持った男が、女性を人質に取っていた。
「お客様、どうか落ち着いて下さい。」
「うるせぇ!」
興奮した男はケイツビーに刃物を振りかざしたが、ケイツビーは男の攻撃をかわし、強烈なボディーブローを男に喰らわせた。
「てめぇ・・」
「誰か、通報して下さい。」
「は、はい!」
「ケイツビー、怪我は無いか?」
「はい。」
「お前が、あの“番犬”か・・」
「あなたは?」
「自己紹介が遅れたな。俺はバッキンガム・・お前の元主の夫となる男だ。」
「そうですか。」
(つまらないな。)
「リチャード様、わたしはこれで失礼致します。」
「気を付けて帰れよ。」
「はい。」

ケイツビーは、リチャードとバッキンガムに一礼した後、去っていった。

(リチャード様、美しくなられて・・)

ケイツビーは帰宅してシャワーを浴びながら、リチャードと初めて会った日の事を思い出していた。

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Last updated  May 14, 2022 05:46:16 PM
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Apr 17, 2022
「薔薇王の葬列」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

その日は、満開の桜が咲いていた。
重厚な鉄門が開くと、男は荷物を詰めたリュックを背負い、静かに歩き始めた。
彼には、頼れる友人も家族も居ない。
唯一頼れるものは、自分自身の料理の腕だけ。
彼―ケイツビーは、バスに揺られ、車窓から海辺の町を眺めていると、ふと食堂の暖簾が目に入った。
「いらっしゃいませ~」
暖簾をくぐってケイツビーが食堂の中に入ると、そこはこぢんまりとした定食屋で、店内には割烹着姿の女将さん、厨房には主人と思しき男が黙々と働いていた。
「ご注文は?」
「唐揚げ定食ひとつ。」
「あいよ~!」
暫くケイツビーが待っていると、そこへ出来立ての唐揚げ定食が彼の前に運ばれて来た。
熱々の唐揚げをケイツビーが一口頬張ると、口の中で鶏肉の旨味が広がり、パリっと揚げられた皮との相性が抜群だった。
「ご馳走様でした。」
「ありがとうございます。」
「あの、差し支えなければこの唐揚げ定食のレシピを教えて頂きたいのですが・・」
「まぁ、珍しいねぇ、そんな事を聞くお客さん、今まで居なかったわよ!」
“みなとや”の女将・静江はそう言うと、豪快に笑った。
「あんた、ここの人じゃないね。何処から来なすったの?」
「それが、自分でもわららないのです。」
「あらぁ、面白い人ね、気に入ったわ!丁度住み込みで働ける人を探していたのよ!」
静江はそう言った後、ケイツビーを店の二階へと案内した。
そこは、質素だったが清潔感がある部屋だった。
「今日から、よろしくお願い致します。」
こうして、ケイツビーは“みなとや”で働く事になった。
ケイツビーはたちまち店の常連客達から好かれ、店に馴染んでいった。
このまま、平和な日々を送れると、ケイツビーは思っていた。
だが―
「おい兄ちゃん、この卵焼きに髪の毛入っているんだけれど・・」
「すいません。」
「“すいません”じゃねぇよ、土下座しろ!」
明らかに難癖をつけてきた男性客に、ケイツビーは頭を下げた。
「お客様、周りのお客様のご迷惑になるので、少し外へ・・」
「あぁん?」
挑発されたと勘違いした男性客は、ケイツビーと共に店の外へと出た。
「やんのか、こら!」
「・・怪我をしない内に去れ。」
「あぁん、舐めるなよ!」
男性客はそう怒鳴ると、ケイツビーに向かってパンチを繰り出したが、ケイツビーは難なくそれをかわし、重いパンチを彼の腹に繰り出した。
男性客は、えづきながらケイツビーから逃げようとしたが、ケイツビーは彼を店内へと連れ戻した。
「あの・・」
「どうやら、彼の勘違いだったようです。」
「そう・・」
クレーマー事件から数日後、静江の部屋にケイツビーは呼び出された。
「実は、こんな物が店の前に貼られていたの。」
静江がそう言ってケイツビーに見せた物は、“人殺しが居る店”というビラだった。
「ケイツビーさん、悪いけれど・・」
「短い間でしたが、お世話になりました。」
「ごめんねぇ・・」
ケイツビーの言葉を聞いた静江は、目頭をハンカチで押さえた。
静江達は、別れ際ケイツビーにお握りを渡してくれた。
「帰りに、食べて。」
「はい・・」
バスに揺られながら、ケイツビーは“みなとや”の店主夫婦が自分に向かって手を振っているのが見え、思わず涙を堪えた。
「へぇ、調理師として東京のホテルで働いていたのに、何でうちに来たの?」
「この店のエビフライが美味しかったので・・」
「変わった人だね、あんた!これから、よろしく頼むよ。」
「はい。」
「・・はい。」

自分には、家族も友人も居ない。

頼れるものは、自分自身の料理の腕だけ。

(わたしは流れの料理人・・ただ、流れるだけです。)

そんな事を思いながら、ケイツビーは今日も包丁で細かくネギを刻んでいた。

「いらっしゃいませ。」

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Last updated  Apr 17, 2022 04:21:05 PM
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