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Jun 23, 2022
全1件 (1件中 1-1件目) 1 薔薇王の葬列 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:炎の宝石
テーマ:二次創作小説(744)
「薔薇王の葬列」二次創作小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。 二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。 カラン、と軽やかな音と共に喫茶店に入って来たのは、中世的な美貌を持った美女だった。 「コーヒーをひとつ。」 「かしこまりました。」 彼女は黒いワンピースとハイヒールといった全身黒づくめの服装だったが、その服装がかえって彼女の美しさを引き立てていた。 彼女は誰かを待っているようで、時折バッグの中から取り出した文庫本を読みながらも、外をチラチラと見ていた。 美女がそろそろコーヒーを飲み終わろうとしている頃、再びドアベルが鳴った。 「何あの人、イケメン!」 店に入って来た長身の男は、カウンター席に居る美女の方へ向かうと、徐にかけていたサングラスを外した。 「待たせたな、リチャード。」 美しい金色の瞳に見つめられた美女は、読んでいた文庫本をバッグの中へとしまうと、男に向かって微笑んだ。 「遅かったな。」 「行こうか。」 「あぁ。」 嵐のように、美男美女のカップルは喫茶店から去っていった。 「“例のもの”は、何処だ?」 「これから俺が案内する所にある。」 美男美女のカップル―リチャードとバッキンガムは、路地裏にある一軒のアンティーク・ショップへと向かった。 「いらっしゃいませ。」 「“例のもの”を。」 「かしこまりました。」 店主の男は、そう言うと店の奥へと消えた。 「大丈夫だ、ここには俺達しか居ない。」 「そうか。」 リチャードが店の周囲を警戒していると、店の奥から叫び声が聞こえた。 「どうした!?」 「裏口から、逃げた・・」 店主は、そう言った後息絶えた。 「リチャード、あっちだ!」 「わかった!」 リチャードはそう叫んだ後、店から飛び出していった。 すると、路地裏を駆けていく男を見つけたリチャードは、バッグから銃を取り出すと、躊躇いなくその引き金を引いた。 乾いた銃声が路地に響き、店から逃げた男はその場に蹲った。 「おのれ・・」 「“例のもの”は何処だ?」 「もう、“あの方”にお渡しした。」 「そうか。ならばお前は用済みだな。」 リチャードはそう言うと、男のこめかみに銃口を押し当てた。 「リチャード、そいつは生かしておけ。」 「命拾いしたな。」 「ひぃ・・」 「俺の気が変わらない内に、お前の主の名を言え。」 「言います、言いますから命だけは・・」 パチパチと時折爆ぜる薪の音に耳を澄ませながら、リッチモンドは自分の前にひれ伏している男を見た。 「それで、君はあの者達に“例のもの”を奪われたと?じゃぁ、これは偽物なのかな?」 「そ、それは・・」 「まぁいい、直接確かめればいい事だ。」 リッチモンドはそう言うと、男から受け取った“例のもの”を暖炉の中へと投げ込んだ。 すると、それはたちまち灰となった。 「偽物だね。“炎の宝石”は炎に強いのに・・」 「も、申し訳ありません!」 「まぁいい。お前はもう、用済みだ。」 リッチモンドがそう言って指を鳴らすと、男は生きたまま灰になった。 「さてと、これからどうしようかな・・」 「旦那様、失礼致します。」 「食事なんて頼んでないけど?」 「エリザベス様が・・」 「わかった、君はもう下がれ。」 「はい・・」 チューダー家との同盟締結の為、政敵・プランタジネット家から嫁いで来たエリザベスは、何かと自分の事を気にかけてくれている。 エリザベスの叔母・リチャードとは早く決着をつけなければ―リッチモンドはそう思いながら、ワインを一口飲んだ。 (美味しいね・・まるで上質な血の味のようだ。) リッチモンドは、口端に残っていたワインを舌で舐め取った。 ![]() にほんブログ村
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Apr 28, 2022 07:48:08 PM
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