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JEWEL

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完結済小説:炎の月

2014.05.13
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※BGMとともにお楽しみください。


2013(平成25)年12月、長崎。

「土方さん、今日はお天気がいいですね。」

長崎市内にある老人ホームで、118歳となった歳三は、部屋の窓から紺碧の海を眺めていた。
鴎(かもめ)の鳴き声を遠くで聞きながら、歳三はサイドテーブルの上に置かれている千尋の簪を手に取った。
「それは、奥様の簪ですか?」
「もうあいつが亡くなってから66年にもなるが、この年になるとあいつが恋しくて堪らなくてねぇ・・」
「今日は少し温かいですし、散歩に行きましょうか?」
歳三はベッドから降りると、介護士に身体を支えられながら杖をついて部屋から出て中庭へと向かった。
「ここから見る長崎の街は絶景だねぇ。」
「そうですねぇ。」
歳三はふと、窓ガラスに映る自分の姿を見た。
若い頃とは違い、張りと艶があった肌は皺だらけになり、白内障に罹った両目は徐々に視力を失いつつあった。
だが歳三は、中庭のバルコニーから美しい長崎の街を眺めながら、幸せだった頃の事を思い出していた。
「山田さん、ちょっと~」
「暫くここで待っていてくださいね。」

冷たい北風が自分の頬を撫でるのを感じた歳三は、そっと目を閉じた。

―あなた

何処からか誰かが自分を呼ぶ声が聞こえ、歳三が目を開けると、そこには病で死んだはずの千尋が自分の前に立っていた。

―あなた、わたくしとともに参りましょう。

千尋は歳三にそう言うと彼に優しく微笑んだ。

―子供達のことをわたくしの分まで育ててくださって、有難うございました。

「千尋、やっと迎えに来てくれたんだなぁ。」

歳三は千尋の手を握ると、椅子から立ち上がった。
海の向こうには、信子たちや篤俊、遼太や総司が笑顔で歳三と千尋に向かって手を振っていた。

「みんな、すぐ行くよ。」

歳三の魂は、千尋とともに天から射す光の中へと消えていった。

『7日午後3時頃、医師で作家だった土方歳三さんが長崎市内の老人ホームで老衰のため亡くなりました。118歳でした。』

歳三の葬儀は浦上天主堂で執り行われ、200人余りの参列者たちは歳三の冥福を祈った。

「お父様は漸く、お母様と会えたのねぇ・・」

91歳になった凛子は、真新しい歳三の墓に赤い薔薇の花束を供えると、真冬の青く澄み切った空を見上げた。


―了―

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最終更新日  2014.06.24 13:24:05
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gekkin
イラスト素材提供:十五夜様

(何だ、これは・・)

原爆が投下され、命からがら今泉とともに彼の自宅から外へと出た歳三は、目の前に広がっている光景に目を疑った。

先ほどまで人や車が通り、賑わっていた街は、跡形もなく消えていた。
代わりに広がっているのは、膨大な瓦礫の山だった。

「土方さん、ここを離れましょう。」
「ええ・・」
今泉とともに、廃墟と化した街を歩きながら、歳三は道端で黒こげになって倒れている男とも女とも判らぬ遺体を見つけ、絶句した。
「すいまっしぇん・・」
突然背後で声がして、歳三が振り向くと、そこには顔が半分溶けている女性が立っていた。
恐怖のあまり歳三は女性から一歩後ずさると、彼女はか細い声でこう言った。
「水、水を・・」
歳三は近くにあった消火防水槽から柄杓で水を汲むと、その女性に水を飲ませてやった。
女性は歳三に頭を下げると、眠るように亡くなった。
その後、建物の陰からゾロゾロと全身が焼けただれた男や女、子供達が水を求めに歳三たちの元へとやって来た。
今泉と二人で歳三は被爆者たちに水をやっていたが、やがて二人で捌ききれなくなり、消防団の男達に協力を仰いで彼らに末期の水を与えた。

「今泉さん、ちょっと浦上に行ってきます。」
「わかりました。」
歳三は斎藤のことが気になって、彼が勤務している浦上病院へと向かった。
長い坂の上にあった浦上病院は、跡形もなく消えていた。
「斎藤、居ないのか!?」
瓦礫を掻き分けながら、歳三が斎藤を呼んでいると、見覚えのある懐中時計が自分の目の前に転がっていることに気付いた。
それは、歳三が斎藤に時尾との結婚祝いとして贈ったものだった。
「斎藤・・」
歳三がその懐中時計を拾い上げると、時計の針は原爆が投下された午前11時2分で止まっていた。
歳三は激しく嗚咽しながら、懐中時計を握り締め坂を下った。
千尋と歳三が再会したのは、長崎に原爆が投下されてから6日後の事だった。
そこで彼は、千尋から櫻子と顕人が死んだことを知らされた。
「あなた、申し訳ありません・・二人を守ることができませんでした・・」
「お前たちが無事なら、それでいい・・」
歳三はそう言うと、やつれた千尋を抱き締めた。
日本は戦争に負けた。
空襲で何もかもが焼け、人々は毎日生き抜くことで精一杯だった。
「母様、お腹空いたよ~!」
「ご飯~!」
「二人とも、我慢なさい。」
家を失った歳三たちは、急ごしらえで作ったバラックで暮らすことになった。
夏は中が蒸し風呂のように暑くなり、冬は冬で隙間風が吹きすさんで快適とは程遠い住環境だったが、雨風をしのげる家があるだけでもましだった。
凛子は体調を崩して寝込んでいる千尋に代わり、家事や弟たちの世話をしていた。
「済まないわね、凛子。あなたには辛い思いばかりさせてしまって・・」
「お母様、謝らないで。」
千尋の体調は回復するどころか、ますます悪化の一途を辿った。
歳三が千尋を病院に連れていくと、彼女が白血病に罹っていることがわかった。
「今すぐ入院してください。」
「わたくし、最期は畳の上で・・家族の元で死にたいのです。」

千尋はそう言うと、医師に入院させないでくれと懇願した。

1947(昭和22)年2月14日、千尋は歳三たちに看取られ、35年の生涯に幕を閉じた。

千尋の死後、歳三は独身を貫き凛子たちを男手ひとつで育て上げた。

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最終更新日  2015.12.31 16:00:14
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gekkin
イラスト素材提供:十五夜様


「千尋ちゃん、そろそろおやつにしないかい?」
「はい、わかりました。」

千尋が二階で洗濯物を干し終わり、一階へ降りようとしたとき、空が急にピカッと光ったような気がした。

(どうしたのかしら・・雷?)

激しい閃光と揺れが千尋を襲い、彼女は二階の物干し場で気を失ってしまった。

「う・・」
「千尋ちゃん、早く来ておくれ!」
「姐さん、どうしたの・・」
千尋が崩れ落ちた『いすず』の二階の物干し場から外へと出て、菊千代の元へと向かうと、櫻子と顕人の姿が見当たらないことに気付いた。
「姐さん、櫻子と顕人は?」
「あたしが気付いた時には、二人とも中庭から消えていたんだよ!」
「そんな・・」
千尋がそう言って菊千代を見ると、彼女は額から血を流していた。
「姐さん、血が出ています。」
「こんなの、ただのかすり傷さ。気にしないでおくれ。」

菊千代がハンカチで額を押さえたとき、崩れ落ちた『いすず』の一階部分から、櫻子と顕人の泣き叫ぶ声が聞こえた。

「櫻子、顕人、今すぐお母様が助けてあげますからね!」
千尋は二人が閉じ込められている瓦礫をどけようとしたが、それはビクともしなかった。
「姐さん、手伝ってください!」
「わかった!」
菊千代と千尋が瓦礫を退けようとしていると、そこへ工場への勤務を終えた凛子が帰ってきた。
「お母様、どうしたの?」
「凛子、あなたも手伝って!中に櫻子と顕人が居るの!」
「わかったわ!」
千尋達は瓦礫を退けて櫻子と顕人を助け出そうとしたが、女三人の力で二人の体を圧迫している瓦礫を退かすことはできなかった。
「誰か助けてください、子供が家の中に閉じ込められているんです!」
「僕も手伝いましょう。」
郵便配達夫が千尋達に加わり、櫻子と顕人を瓦礫の中から救出しようとしたが、彼は家が炎に包まれていることに気付き、千尋達を家から遠ざけた。
「奥さん、もう駄目だ。家に火がついている!」
「そんな・・あの子達はまだ小さいんです!お願いですからどうか助けてください!」
「もう無理です、これ以上ここに居たらあなた達も火災に巻き込まれてしまう!」

家の中から、櫻子と顕人が恐怖で泣き叫ぶ声が聞こえた。

千尋は何としてでも二人を助け出そうと、炎に包まれている家へと向かおうとした。
だが彼女は、寸でのところで郵便配達夫に止められた。

「離して、離してください!」
「お母様、もう諦めてください!」
「いやよ、いや~!」

千尋達の目の前で、五歳の櫻子と四歳の顕人は、炎に包まれながら死んだ。

「櫻子、顕人、助けられなくてごめんねぇ、お母様を許して・・」

千尋は、何度も亡くなった我が子に向かって助けられなかったことを詫びて泣き崩れた。

やがて焦土と化した長崎の街に、黒い雨が降り注いだ。

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最終更新日  2015.12.31 16:01:15
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gekkin
イラスト素材提供:十五夜様


1945(昭和20)年8月9日、長崎。

長崎港に停泊した船から降りた歳三は、二年ぶりに祖国の土を踏んで溜息を吐いた。

彼が提げている旅行鞄の中には、櫻子と顕人への土産が詰まっていた。
歳三は港からゆっくり離れると、自宅がある丸山町へと向かった。
「凛子、これから工場に行くのよね?」
「ええ。お母様は?」
「わたしは洗濯物を干してくるわ。気を付けて行ってらっしゃい。」
「行って参ります。」
自宅を出た凛子は、勤労奉仕先の軍需工場へと向かった。
「凛子ちゃん、おはよう。」
「おはよう、咲子ちゃん。」
「この前貸していた本、後で返すね。」
「わかった。」
工場の前で親友の咲子と会った凛子は、彼女とともに工場の中へと入っていった。
「ねぇ、今日うちに来ない?咲子ちゃんに貸そうと思っている本があるの。」
「本当?」
「こら、そこ手が止まっておるぞ!」
「すいません・・」
工場の監督に怒鳴られ、凛子と咲子はくすくすと笑いながら作業に戻った。
「おかあさま、ごほん読んで~!」
「櫻子、今お母様は忙しいの。ご本なら後で読んであげるから、顕ちゃんと積み木で遊んでいなさい。」
「いや、ごほん読んで!」
いつも聞き分けが良い櫻子は、この日に限って千尋に我が儘を言って彼女を困らせた。
「さくらちゃん、おにわであそぼう。」
顕人はそう言うと、櫻子の手をひいて中庭に出て行った。
「何だか、顕ちゃんの方がお兄ちゃんみたいだねえ。」
「ええ。今日の櫻子は何処かおかしいわねぇ。」
「きっとお父さんが帰って来るから、そわそわしているんじゃないかねぇ?」
「そうでしょうか・・」

千尋は『いすず』の二階で洗濯物を干し、蝉の声に耳を澄ませながら歳三が帰って来るのを今か今かと待っていた。

午前10時30分、工場で凛子は咲子とともに早めの昼食を取っていた。

「あ~、疲れた。あの監督、わたしにだけ辛く当たるから、嫌いだわ。」
「駄目よ咲子さん、そんな事を言ったら。」
「ねぇ、今日凛子さんのお父様が帰って来られるんですってね?」
「ええ。お父様と会うのは二年ぶりなのよ。」
「そう。いつお帰りになられるの?」
「11時には帰るって、昨日うちに電報が届いたわ。」
「お父様と会ったら、何を話すつもりなの?」
「それはまだ決めていないわ。」
凛子はそう言うと、工場の壁に掛けてある時計を見た。
「土方さん、土方さんやなかですか!」
「あなたは、確か今泉さんでしたよね?お久しぶりです、お元気にしていましたか?」
「ええ。満州からお帰りになったのですねぇ。ちょっとうちでお茶でも飲んでいきませんか?お時間は取らせませんから。」
「わかりました。」
歳三が『いすず』の近くにある時計屋の前を通りかかると、店の奥から店主の今泉が出てきた。
「すいませんねぇ、今お客様に出す茶菓子がないものでして・・」
「いえいえ、お気遣いなく。今泉さん、息子さんからお便りは来ましたか?」
「いいえ。倅がここに元気な姿で帰って来る方が、手紙よりも嬉しいですよ。」
「そうですか・・」
「土方さんも、二年ぶりに満州から帰ってこられて嬉しいでしょう?」
「ええ。」
「すいませんねぇ、お時間は取らせないと言っておきながら、もう30分も話してしまいました。」

今泉はそう言うと、壁に掛けてある時計を見た。

時計の針は、午前11時を指していた。

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最終更新日  2015.12.31 16:01:34
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2014.05.12
gekkin
イラスト素材提供:十五夜様


1945(昭和20)年8月2日、長崎。

「ねぇお母様、お父様はいつ帰って来るの?」
「9日に帰ってきますよ。」
子供達は2年ぶりに歳三が自分たちの元に帰って来ることを知り、毎日歳三が帰って来る日を指折り数えながら待っていた。
「凛子、女学校はどうなの?」
「普通の勉強をする時間より、工場で兵器を作ったりしている時間の方が多いわ。それに、好きな本を一冊も読めないのよ。」
凛子はそう言って溜息を吐いた。
「そんなことを言うものではありませんよ。」
「お母様、さっき婦人会の斎田さんがうちから出て行くのを見たけれど・・あの人からまた嫌な事を言われたの?」
「あなたが気にするようなことではありませんよ。それよりも凛子、そろそろあなたの嫁ぎ先のことを考えなければね・・」
「止してよお母様、結婚なんてわたしまだ考えていないわ。」
「そうだったわね。」
千尋はそう言って笑うと、針仕事を再開した。
「何だかこの町も随分と寂しくなってしまったわね。わたしがこの町に来た頃は、通りが活気に満ち溢れていたのに・・」
「戦争中だから仕方がないわ。うちだけではなく、大きな置屋や女郎屋も営業停止になって、いつ再開できるのかわからないし・・」
「映画館は開いているけれど、戦争を題材にした映画ばかりが上映されているから、あまり観に行きたくないわ。」
「凛子、夕飯の支度を手伝って。」
「わかりました、お母様。その前に玄関前の水撒きをしてきます。」

凛子が『いすず』の暖簾をくぐって外に出ると、真夏の陽光が凛子の白い柔肌を突き刺した。

「暑い・・」

凛子はハンカチで額の汗を拭いながら、玄関前の水撒きをした。

「凛子ちゃん、元気そうだね。」
「あら、斎藤の小父(おじ)様、お久しぶりでございます。」
「千尋さんは中に居るのかい?」
「ええ。今呼んできましょうか?」
「そうしてくれないか、少し千尋さんと話したいことがあるんだ。」
「わかりました。」
数分後、千尋は奥の部屋で斎藤と向かい合って座っていた。
「斎藤さん、お話とは何でしょうか?」
「千尋さん、3月に東京で大規模な空襲があったことはご存知ですよね?」
「ええ、それが何か?」
「実は、その空襲で土方さんのお姉さんの、信子さんがお亡くなりになりました。」
「え・・そんな・・歳三さんはそのことを・・」
「わたしが、電報で土方さんに知らせました。千尋さん、ここから先の話は、決して外には口外しないでください。」
「はい・・」
斎藤はそっと中庭に面した襖を閉めると、千尋の隣に座った。
「実は、米軍が密かに新型兵器を開発しているという噂があります。」
「新型兵器?」
「ええ。何でも、それを日本の主要都市の上空に投下すれば、あっという間に日本が滅びてしまうという恐ろしい爆弾です。」
「まぁ・・その情報は、確かなのですか?」
「ええ。」

8月6日、斎藤が言っていた“米軍の新型兵器”が、広島市上空で炸裂した。

「恐ろしいわね、お母様。」
「凛子、もしわたしに何かあったら、弟たちのことを宜しく頼むわよ。」
「わかりました。」

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最終更新日  2015.12.31 16:04:59
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gekkin
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「凛子、どうして泣いているの?」
「あの人が、わたしの熊ちゃんを取った!」
凛子から、彼女が大事にしているテディベアを陸子に奪われたことを知った千尋は、彼女が居る母屋の台所へと向かった。
「あら千尋さん、何の用ね?」
「陸子さん、うちの娘からテディベアを取り上げたでしょう?あれはあの子の父親があの子の為に贈った大切な物なんです、さっさと返してください!」
「まぁ、あなたそんな口をきいていいの?」
陸子はそう言うと、口端を上げて笑った。
千尋はそんな彼女を睨みつけ、陸子と幹朗が使っている部屋に入った。
「ちょっと、勝手に入らないでよ!」
凛子のテディベアは、壁際に置かれていた。
「これは返してもらいますよ、陸子さん。」
「こんな非常時に縫いぐるみを持っているなんて、非常識だと思わないの!?」
「あなた、何の恨みがあって凛子にこんな仕打ちをなさるんですか?わたしに言いたいことがあれば、わたしに言えばよろしいじゃありませんか!それなのに、娘にこんな仕打ちをするなんて許せません!」
「うるさい、あんたにあたしの気持ちがわかるの!?大体何よ、いきなりこの家に転がり込んで、好き放題して!」
陸子はそう千尋に叫ぶと、彼女を突きと飛ばして母屋から出て行った。
「千尋お嬢様、大丈夫ですか?」
「ええ。睦っちゃん、もうこの家には居られないわ。」
「そんなことをおっしゃらないでくださいませ、お嬢様。」
「このままあの人たちと一緒に居ると、凛子たちが可哀想だわ。ごめんなさいね、あなたの好意を無駄にしてしまって・・」
「お嬢様・・」

陸子と激しく口論した次の日、千尋は子供達を連れて長崎の自宅に戻った。

「千尋ちゃん、お帰り。」
「ただいま戻りました、姐さん。わたくしたちが留守にしている間、何か変わったことはありませんでしたか?」
「何もないよ。ああそうだ、歳三さんから手紙が来ているよ。」
「まぁ、有難うございます。」
「なんて書いてあるんだい?」
「歳三さん、再来年あたりにまた帰国するそうです。」
「へぇ、それは本当かい!?」
「はい。」
「二年なんてあっという間だねぇ。そのころには、あんたの腹の子も生まれているだろうし。」
「姐さん、そのことなんですが・・」
千尋は菊千代に、疎開先で流産したことを話した。
「そうかい・・そのこと、歳三さんには伝えるのかい?」
「ええ。隠し通せるものではありませんから・・」

長崎に戻ったその日の夜、千尋は歳三へ手紙を書いた。

“あなたに、お知らせしないといけないことがあります。実は疎開先の家で、わたくしは慣れない農作業に従事し、その無理が祟って流産してしまいました。あなたには大変申し訳なく思っております・・”

千尋からの手紙を読んだ歳三は、溜息を吐いてそれを封筒の中に戻した。

「どうしたんだい、土方君、溜息なんて吐いて?」
「ああ、ちょっとな・・」
「わかった。」

診察室から出て自室に戻った歳三は、ベッドに寝転がりながら何度も千尋の手紙を読み返した。

もし自分に魔法が使えるのだとしたら、今すぐ千尋の元に飛んでいって、彼女を慰めてやりたい―歳三はそんなことを思いながら、ゆっくりと目を閉じた。

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最終更新日  2015.12.31 16:06:06
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gekkin
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「残念ですが・・」

睦が呼んだ医者は、千尋を診察した後、彼女にお腹の子が流産したことを告げた。

「わたくしが、身体を労わらなかったから・・」
「流産の原因は、胎児の発育不全によるものが多いのです。どうか、気を落とさないでください。それと、暫くは安静にしていてください。」
「わかりました。」
医者が離れから出て行った後、千尋はそっと下腹を撫でた。
ほんの数時間前まで、そこには歳三との愛の結晶が宿っていた。
だが、今はその子はもうどこにも居ない。
失ってしまったのだ。
「睦さん、お母様は暫くお外には出てこられないの?」
「ええ。凛子お嬢様、お母様のことを気遣ってさしあげてくださいね。」
「わかったわ。」
千尋が流産したことを睦から聞いた凛子は、母の代わりに家の仕事を頑張ろうと思った。
「睦さん、千尋さんはいつまで離れで休んでいるの?」
「義姉さん、お嬢様は流産されて辛いのです。暫くそっとしておいてあげてくださいませんか?」
「まったく、あの人はいつまで自分がお客様扱いされると思っているのかしらね?」
「義姉さん、それはあんまりではありませんか!千尋お嬢様は流産されたのですよ!」
「それが何!?睦さん、あなたは兄嫁のわたしよりもあの人の肩をもつというの!?」
「やめないか、二人とも、子供達の前で!」

陸子は悔しそうに唇を噛みながら、無言で居間から出て行ってしまった。

「睦、陸子の気持ちもわかってやってくれ。あいつは、子供が出来ないことを気に病んでいるんだ。」
「兄さん、それはわかっています。ですが、言ってはならないことがあります。」
睦はそう言って幹朗を睨みつけると、凛子たちの手をひいて居間から出て行った。
「ねぇ睦さん、あの人は赤ちゃんが出来ないからお母様に辛く当たるの?」
「それはわたくしにはわかりませんよ。凛子お嬢様、くれぐれもこのことは千尋お嬢様には内緒にしてくださいね。」
「わかったわ・・」
年頃の凛子は、睦や兄夫婦の会話を聞き、自分達がこの家にとって招からざる客だということを知った。
「ねぇお母様、いつ長崎に帰るの?」
「凛子、何故急にそんなことを聞くの?」
「このままここに居たら、おかしくなっちゃうわ。早くこんな家から出て、長崎のお家に帰りましょうよ。」
「わがままを言ってはなりませんよ、凛子。睦ちゃんに悪いでしょう?」
「でも・・」
疎開先での辛い日々を耐え忍びながら、凛子は満州に居る父からの手紙が来るのを待っていた。
だがいつまで経っても父から手紙が来ることはなかった。

(お父様は、お仕事が忙しくてわたくしたちの事を忘れてしまったのかしら?)

父から贈られたテディベアをリュックから取り出してそれを眺めながら凛子がそんなことを思っていると、部屋に陸子が入ってきた。

「まぁ、そんな物を今まで隠し持っていたのね、早くわたしに寄越しなさい!」
「いやよ、これはお父様からいただいたものなの!」
「子供のくせに、口答えするつもりなの!」

陸子はそう言って凛子からテディベアを取り上げると部屋から出て行ってしまった。

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最終更新日  2015.12.31 16:06:33
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gekkin
イラスト素材提供:十五夜様


「義姉さん、千尋お嬢様は身重なんですよ。それなのに慣れない農作業をさせるなんて、あんまりです。」
「睦さん、あの人たちは客としてこの家に暮らしているのかしら?」
「それは・・」
「暫くうちに世話になるつもりだったら、家の仕事を少しでも手伝ってもらわないと困るのよ。そう千尋お嬢様にも言っておいて頂戴ね。」
陸子はそう言って睦を睨みつけると、そのまま畑に行ってしまった。
「お母様、大丈夫?」
「ええ・・凛子、お前も畑に行きなさい。」
「でも・・」
「わたしは少し休んだから大丈夫だから。」
「わかりました・・」
凛子が畑に戻ると、草刈りをしていた陸子がうつむいていた顔を上げ、凛子を睨んだ。
「遅いわよ、今まで何をしていたの?」
「すいません・・」
「さっさと草刈りをして頂戴。色々とまだ沢山やることがあるんだからね。」
慣れない農作業に悪戦苦闘した凛子は、千尋が居る離れに入ると、そこでは幹朗と千尋が何かを話していた。
「あんた、いつまでここに居るつもりね?」
「それはわかりません。」
「言っておくけど、長くここに住み着かれると迷惑なんだよ。ここに居たければ、家の仕事を手伝ってくれないと困るんだ。」
「わかりました。」
「まったく、本当にわかっているんだか・・」
幹朗はそう言って舌打ちすると、そのまま離れから出て行った。
「お母様、あの人から嫌なことを言われたの?」
「凛子、畑での仕事は終わったの?」
「うん・・お母様、あの人嫌いだわ。なんだか錐(きり)みたいな人だもの。」
「目上の人を、そんな風に言ってはいけませんよ。」

その後も、陸子は何かと身重の千尋に辛く当たった。

千尋は慣れない農作業に悪戦苦闘しながら、睦たちの家族と子供達の食事を毎日作った。
その無理が祟ったのか、千尋は床に臥せることが多くなった。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ・・」
「妊婦だからって甘えないでね、千尋さん。」
「すいません・・」
千尋はなぜ自分に陸子が辛く当たるのかがわからず、いつしか千尋は陸子に対して苦手意識を持ってしまった。
「お嬢様、起きていらっしゃいますか?」
「ええ。どうしたの睦っちゃん、こんな夜中に?」
「義姉さんのことですけれど、義姉さんは兄と結婚して10年経ちますが、なかなか子供が授からないんです。」
「そう。」
「お嬢様たちがこの家に暮らし始めて、凛子ちゃん達を見て義姉さんは何故自分に子供が授からないのかという悔しさを感じていたに違いありません。だから、その分お嬢様に対して辛い仕打ちをなさるんです。どうか、義姉さんのことはわたくしに免じて許してやってくださいませんか?」
「わかったわ。睦っちゃんも辛いわねぇ、わたくしとお兄様達の間で板挟みになって・・」
千尋はそう言うと、泣きじゃくる睦の肩をそっと叩いた。
「睦っちゃん、明日も早いでしょう?もう休んだからどうかしら。」
「はい、わかりました。」
翌朝、千尋が布団から起き上がろうとしたとき、彼女は突然激しい腹痛に襲われ悲鳴を上げた。
「お母様、どうなさったの?」
「凛子、睦っちゃんを呼んで頂戴・・」
「睦さん、お母様の様子が変なの!」
凛子に連れられ、睦が離れの部屋に入ると、千尋は蒼褪めた顔をしながら睦を見た。
「睦っちゃん、お医者様を呼んで・・」

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最終更新日  2015.12.31 16:07:00
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2014.05.11
gekkin
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「睦、千尋さんよう来たねぇ!お風呂沸いとるから、早く入りなさい!」
「すいません、先にお風呂いただきます。」
千尋達は、睦の実家にある風呂で汗と垢を流した。
「千尋お嬢様、狭いところで申し訳ありません。」
「そんな、謝るのはこちらの方よ。」
夕飯の後、千尋は睦にそう言って彼女に頭を下げた。
「あなた達が苦しいときに、突然押しかけてしてしまって申し訳ないわね。」
「いいえ・・それよりも千尋お嬢様、凛子ちゃん達はどちらに?」
「あの子達なら離れで休んでいるわ。」
「そりゃぁ、今日は汽車の中でずっと立ちっぱなしでしたもの、凛子ちゃん達はかなり疲れていることでしょうね。」
睦が離れの部屋に入ると、そこには仲良く布団を並べて寝ている凛子たちの姿があった。
「睦、あんたに話があるんやけど・・」
母に呼び出され、睦は母屋に戻った。
「話って何ね、母ちゃん?」
「実はねぇ、幹朗たちが今度ここに帰って来るんよ。」
「幹朗兄ちゃんが?東京に居るんやなかと?」
「それがねぇ、向こうも空襲が激しくなって、こっちに帰って来ることにしたって、今日電報が届いたんよ。」
「そう・・」
「あんたの奉公先のお嬢様にも、そう言っておいてくれんかねぇ?」
「わかった。」
離れに戻った睦は、千尋に兄夫婦が東京から疎開してくることを告げた。
「そう、睦っちゃんのお兄様も、こちらにお帰りになられるのね。」
「申し訳ありません、千尋お嬢様。」
「今は何処も危ないのだから、文句は言えないわ。」

週末、睦の兄である幹朗とその妻・陸子が東京から帰ってきた。

「幹朗、よう来たねぇ。」
「ただいま、母ちゃん。離れにお客様が来とると、睦から聞いたけど・・」
「睦の奉公先のお嬢様が、長崎から疎開してきたと。仲良うしてねぇ。」
「わかった・・」
千尋達が幹朗たちと顔を合わせたのは、その日の夜のことだった。
「あんたが、睦の奉公先のお嬢様ね?」
「初めまして、千尋と申します。暫くお世話になります。」
「あんた、長崎で何しとったね?」
「芸者をしておりました。」
「ふぅん、そうね・・」
幹朗はそう言って千尋を品定めするかのような目で見ると、陸子の手をひいて居間から出て行った。
「お嬢様、兄が失礼な態度を取ってしまって・・」
「謝らないで、睦っちゃん。」
「お嬢様、もうお休みになってくださいませ。」
「わかったわ。」
翌朝、千尋が布団の中で微睡んでいると、離れに陸子が入ってきた。
「千尋さん、起きて頂戴。」
「陸子さん、おはようございます。」
「あんた、この家に世話になっとるのやから、家のことを手伝って貰わんとねぇ。」
「あの、わたくしは何をすればよろしいでしょうか?」
「それじゃぁ、あたしと一緒に畑に出てくれんかねぇ。」
「はい・・」

炎天下の畑で慣れない農作業をしていた千尋は、暑さで気を失ってしまった。

「お嬢様、しっかりなさってください。」
「ごめんなさい、迷惑をかけてしまって・・」
「まったく、こんな調子じゃぁ先が思いやられるわ。」

陸子はそう言って布団の中で寝ている千尋を睨むと、離れから出て行った。

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最終更新日  2015.12.31 16:07:24
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gekkin
イラスト素材提供:十五夜様

「お父様は、いつまで日本にいらっしゃるの?」
「それはわからねぇな。軍から何の連絡もないし、暫くお前達と一緒に居られると思う。」
歳三がそう言って凛子を見ると、彼女は両目に涙を溜めながら歳三を見た。
「わたし、下の弟たちの為に泣かないことにしたの。でも、お父様の顔を見たら、なんだか安心してしまって・・」
「済まなかったな、凛子。お前には俺が留守の間、色々と辛い思いをさせちまったな・・」
歳三は自分の胸に顔を埋めて泣きじゃくる凛子の頭をやさしく撫でた。
「お父様、もうどこにも行かないで・・」
「わかったよ、俺はどこにも行かないよ。」
歳三がそう言って凛子の背を擦っていた時、千尋が一通の手紙を持って縁側にやってきた。
「あなた、軍の方からお手紙が届いております。」
「そうか・・」
歳三が軍からの手紙に目を通すと、そこには一週間後に満州へ帰還せよという旨が書かれていた。
「お手紙にはなんと?」
「一週間後に、満州へ帰還しろだとさ・・千尋、子供達のことを宜しく頼む。」
「わかりました。」
「お父様、また満州に行っちゃうの?」
「ああ。済まないな、凛子。」
「いやよ、行かないで!」
「凛子、わがままを言ってはなりませんよ。」
「でも・・」
「凛子、今度も必ずここに戻ってくるから、それまで弟たちの面倒を見るんだぞ、わかったな?」
「はい、わかりました・・」
凛子は泣きじゃくりながら、歳三と指を切った。
「お母様は、寂しくないの?」
「寂しいわよ、とても。でもね、お父様と約束したのよ。」
「約束?」
「ええ。お父様が家を留守にしている間、あなた達のことをちゃんと立派に育て上げますってお父様と約束したの。」
「そう・・ねぇお母様、お腹の赤ちゃんはいつ生まれてくるの?」
「今年の暮れ辺りに生まれてくると思うわ。それまで凛子、色々とお母様のことを手伝ってくれる?」
「ええ。」

空襲は日ごとに激しさを増し、千尋達が住む長崎の空にもB29の爆音が轟くようになった。

「ごめんください。」
「はい、どちら様でしょうか?」
「わたくし、土方家で女中をしている睦と申しますが・・千尋さまはご在宅でいらっしゃいますか?」
「あら睦ちゃん、いらっしゃい。わざわざ東京まで来てくれてありがとう。」
東京にいる睦が長崎を訪ねてきたのは、夏の暑い盛りのことだった。
「どうしたの、睦っちゃんがここに来るなんて?」
「千尋お嬢様、今朝旦那様からお手紙を預かりました。」
「まぁ、土方のお義父様から?」
千尋は睦から篤俊の手紙を受け取り、それに目を通した。
そこには、長崎を離れて睦の実家がある佐賀に疎開して欲しいと書かれていた。
「佐賀に疎開することは以前から考えていたことだけれど、凛子たちの学校のことがあるから、迷っていたのよ。」
「長崎も危ないですから、疎開は早くした方がいいと思います。」
「そうね、そうするわ。」

1942年8月、千尋達は長崎から睦の実家がある佐賀に疎開することになった。

「お母様、これ持っていってもいい?」
「いいわよ。」

長崎の家を出る際、凛子は父から贈られたテディベアをリュックの中に入れ、それを背負って千尋達とともに佐賀へと向かった。

6時間も汽車に揺られ、疲労困憊した千尋達が睦の実家に着いたのはその日の夜のことだった。

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最終更新日  2015.12.31 16:08:06
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