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JEWEL

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完結済小説:鬼と胡蝶

2020.07.01
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あの町を襲った土砂崩れから、もうすぐ1年が過ぎようとしている。

 

 あの日、かつて暮らしていた町が土砂に覆われているのを見た時、これは天罰だと思った。

 

―鬼が来て、あいつらを生き埋めにしてくれたんだ。

 

 木戸亜弥は、そんな事を思いながらテレビを消して自宅を出て大学へと向かった。

あの日から―あの震災から母はおかしくなり、あの町に住む新興宗教の教祖と生活を共にするようになった。

 

 胡散臭い女に、木戸家は支配された。

 

 母は女に心酔し、引きこもりの兄と共に家を出た。

残された父と亜弥は、町を出た。

 東京に戻ると、あの町での生活がいかに異常だったのかがわかった。

 あの町は、滅びて良かったのだ―そんな事を思いながら亜弥が駅へと向かっていると、彼女は高校時代の恩師―土方歳三の姿を見かけた。

 亜弥が彼に声を掛けようとした時、土方先生の傍に一人の女性が立っている事に気づいた。

 

 その女性は、土方先生の奥さんのようで、妊婦さんのようだった。

 

「待ったか?」

「いいえ。」

 

 その人はそう言うと、土方先生に向かって微笑んだ。

 

 その人は、あの沖田家の若奥様だった。

 

 どうして、あの若奥様が、何故土方先生と一緒に居るのだろう。

 

 そんな事を亜弥が思っていると、そこへもう一人少女がやって来た。

 

―荻野さん。

 

 少女は、かつてあの町で高校の同級生だった、荻野真珠だった。

 何故、彼女まで土方先生と一緒に亜弥がそんな事を思っていると、三人は何やら楽しそうに話しながら雑踏の中へと消えていった。

 

 世の中には、知らなくていい事がある―そう思った亜弥は、三人と正反対の方向へと歩き出した。

 

 土砂によって崩壊した町の高台には、その昔この町に巣食い、疫病を(もたら)陰陽師って封じという(ほこら)った。

 

 その祠の封印は、何者かによって破られていた。

 

【完】



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最終更新日  2020.07.01 21:39:43
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(もう、さっさと終わらせるしかねぇか。)

胡蝶姫の装束を身につけた歳三は、深呼吸した後、ゆっくりと本殿の中から出て、舞台へと向かった。
周囲の視線を感じるが、歳三はそんな事を気にせずに舞台に上がった。
扇を持って彼が静かに舞い始めると、何故か周囲のざわめきが全く聞こえなくなり、観客達は一心に自分の舞に見惚れていた。
舞い終わった後、歳三は舞台から降りて本殿へと戻った。

「ありゃ、見事なもんだ。」
「本当にな。」
「姫様が乗り移ったのかと持った。」

町民達は口々にそう言い合いながら、荻野神社を後にした。

祭りが終わり、巫女という大役を終えた歳三は、滝に礼を言って荻野神社を後にした。

「土方さん、お疲れ様でした。」
「ありがとうよ。」
「これからどうなさるおつもりで?」
「この町を出る。出来れば雪が降る前に。」
「俺も・・お供致します。」

斎藤はそう言った後、歳三に跪いた。

「なぁ、土方先生はこの町にずっと居るんだろうな?」
「居るに決まってるさぁ、土方先生はここの守り神様だもの。」
「そうだなぁ。それにしても、あの美人姉妹は何処に行っちまったんだか。」
「さぁな。」

町民達がそんな事を話していると、遠くから不気味なサイレンが鳴り響いた。

「何だ?」
「まぁた山崩れか?」
「いつもの事だぁ、どうせすぐに止むべ。」
「ほっとけ、ほっとけ。」

サイレンが鳴り響く中、歳三と斎藤、丸山は土砂崩れが起きる前に、車で鬼蝶町から脱出した。
その直後、大規模な土砂崩れが町全体を呑み込み、町民全員が犠牲となった。

因習が根付いた閉鎖的な田舎町は、一夜にして姿を消した。


【東北の山奥で大規模な土砂崩れ、町民全員が犠牲に】

東北地方を襲った暴風雨は、山奥にある鬼蝶町を直撃。
大規模な土砂崩れが町を呑み込み、町民約400人が犠牲となった。

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最終更新日  2020.07.01 21:36:34
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2020.06.30
「どうして東京の記者の方がこんな田舎町に?」
「・・実は、毎年この町で奇祭が開かれるという情報を得て、その取材にやって来ました。」
「そうですか・・」

歳三はそう言うと、斎藤の顔を見た。

顔立ちも、落ち着いた雰囲気も“昔”のままだが、本人は“昔”の記憶があるのだろうか―歳三がそんな事を思っていると、斎藤は一口コーヒーを飲んだ後、笑みを浮かべて言った。

「お久しぶりです、副長。元気にしておられて安心致しました。」
「斎藤、お前記憶があるのか?」
「はい。先程知らない振りをしたのは、人目があったからです。」
「そうか・・なぁ、近藤さん・・勝っちゃん達とは会ったのか?」
「はい。この前、総司達に会いました。二人共元気そうでした。」
「そうか。」
「まさか、あの副長がこんな所にいらっしゃるなんて思いもしませんでした。」
「まぁ俺は自分でもこんな所に居るのかわからねぇよ。ここでも暮らしは、精神がもたねぇ。」
「では、近々この町から引っ越されるおつもりで?」
「あぁ、祭りが終わってからな。」
「そうですか。」

斎藤はそう言うと、リュックサックから一冊の手帳を取り出した。

「今日はお忙しい中、取材を受けて下さりありがとうございました。」
「こっちこそ、こんな所までわざわざ来て貰って済まねぇな。今日はどうやってここまで来たんだ?」
「車で来ました。今夜はここで一泊してから帰ります。」
「そうした方がいい。宿はどこだ?」
「町外れのモーテルです。」
「ここは豪雪地帯だから、雪が降るまでに東京へ帰るんだぞ。」
「わかりました。」

斎藤とマンションの前で別れた歳三が部屋へ戻ろうとした時、すかさず近くで雑草取りをしていた主婦が彼に駆け寄って来た。

「土方先生、さっきの人は?」
「・・古い知り合いです。」
「そうなんですかぁ。」

主婦は歳三の話を聞くと、興味を失くしたかのようにそのまま自分の部屋へと戻っていってしまった。

山田一家を殺した犯人が見つからぬまま、“胡蝶祭り”の日がやって来た。

町は朝から賑わっていた。

「凄い人だな・・」

モーテルの部屋から出て、斎藤が祭りのメイン会場である荻野神社へと向かうと、そこは地元民や観光客でごった返していた。
神社の沿道には、ベビーカステラやフライドポテト、焼きそばなどの屋台が軒を連ねていた。
「あらぁ、あなたこの前土方先生の家の前で会った!」
突然背後から肩を叩かれ、斎藤が振り向くと、そこには地元民と思しき主婦が立っていた。
「ねぇ、この町には祭りの取材で来たの?」
「はい・・」
「だったら、うちの店の宣伝もしてよぉ。うちはね、今流行りのオーガニック食材を使った・・」
何なのだろう、人が何も聞いてやしないのに、こちらがマスコミと知るや否やすぐに自分の店のアピールをしたりする神経の図太さと厚かましさは、この町の住人特有のものなのだろうか?
「ねぇ、山田さんの家で起きた事件、犯人はきっと余所者の木戸一家だと思うのよぉ。だってあそこの奥さん、外で変な機械使って、放射能を防ぐとか何とか言って家の窓全体にアルミホイル貼ったりしてさぁ~、息子も何してるかわからない奴だったしねぇ。」
山田一家の事件なら、テレビのニュースを観たから知っているが、一家全員の死因は皆一酸化炭素中毒死で、焼死体として発見されたのは火の回りが早くて彼らが意識を失っていたからだと、地元警察の公式発表でわかっている。
それなのに、東京から来たというだけで、あの震災が齎(もたら)した、一部の放射能に過敏な人達が偶々この町に移住して来ただけで、勝手に犯人扱いか。

ふざけるな。

「これから、鬼が来るわよ。」
「鬼、ですか?」
「山田さんの所があんな風になったじゃない。鬼がこの町に来て、ここを滅ぼしに来るかも!」

 何が鬼だ、この町がもし滅びるようならあんたらみたいな詮索・監視好きの住民達の所為だ。

「すいません、そろそろ巫女舞が始まる時間なので・・」
「あ~、そうなの、残念ねぇ。」

斎藤が主婦に背を向けて歩き出した時、背後から数人分の視線を感じたが、斎藤は一度も振り返らずに本殿へと続く石段を登った。
丁度巫女舞が始まったようで、揃いの巫女装束姿の中学生達が舞台の上で舞っていた。
観客達の拍手に見送られ、彼女達が舞台を降りた後、この祭りの主役である“胡蝶姫”が舞台に現れた。

薄化粧を施した“胡蝶姫”は、静かに舞い始めた。

観客達は皆、その舞が終わるまで誰も微動だにせず舞台だけを見ていた。

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最終更新日  2020.06.30 21:24:02
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2020.06.29
―ねぇ、聞いた?
―祭りの主役の巫女が男だって・・
―そんなの、嘘でしょう?
―本当だって。

胡蝶祭りの主役である胡蝶姫は、代々荻野家の巫女を務めてきた。
だが今年は、その巫女が二人揃って不在という不測の事態が起きた為、町の自治会の者達は巫女の代役を立てなくてはならなかった。
巫女は、未婚の女性を意味するので、勿論代役は町の未婚女性の中から選ばなければならなかったが、少子高齢化が進む町で、若い未婚女性は見つからなかった。
この時、祭りを中止すべきだという意見と、続けるべきだという意見で町の住民達は二つに割れた。

「巫女が居ないと祭りが・・」
「祭りはもうやめるべきです。あんなのはもう、時代遅れです。」
「祭りは、この町の・・」

平行線を辿る会議の中、祭りを続けることを決定したのは、自治会長だった。
代役選びは難航したが、最終的に巫女には男の歳三に決まった。

「面倒臭ぇ・・」

歳三はそう呟きながら、荻野神社の本殿へと続く長い石段を登っていた。

「済まないな。土方先生には孫達が世話になっているというのに。」
「いいえ。祭りまでまだ時間がありますから、大丈夫です。」
「そうか。」

滝はそう言うと、歳三の手を握った。

「これからよろしく頼む。」
「はい・・」

こうして歳三は、祭りの日まで荻野神社へ通う事になった。
滝からは直接、祭りの日だけに舞う特別な巫女舞“胡蝶”を歳三は習った。

祭りまであと一週間と迫った頃、荻野神社の氏子の一人でもある山田家が火事に遭い家は全焼し、焼け跡から家族五人の焼死体が発見される事件が起きた。

―鬼だ・・
―鬼がやって来た。

住民達はそんな事を囁き合いながら、山田一家を殺した犯人の影を怯えた。

「山田さんを殺ったのは、あいつらに違ぇねぇ。」
「あいつらって?」
「ほら、前に山田さんと色々と揉めていた奴らが居たろ?」
「あぁ、東京から移住してきた木戸か!」
「こっちは親切に玄関先に野菜置いたりしてやってんのによぉ、“放射能まみれの野菜なんか要らない”とか抜かして断るし、毎日外で変な機械使てたなぁ。」
「あそこの嫁は頭がおかしかったなぁ。」
「そうだな。あいつらに山田さんは散々苦労させられていたなぁ。」

山田家の事件から数日経った頃、町の老人達はそんな事を噂し合いながら酒を飲んでいた。

田舎という所は、自分達のルールに従わない者達を徹底的に排除する。
新しく入って来た者は、この町に嫌気が差して出て行ってしまう。
最終的にこの町には、年寄りしか住まなくなる。

「それにしても、男が巫女なんてたまげたなぁ!」
「今年の祭りはどうなるんだ?」
「さぁな。」
「まぁ、無事に終わってくれれば何も言わねぇ。」
「さてと、そろそろ行くか?」
「あぁ。」
彼らがコンビニのイートインから去って行った後、歳三は店の中に入った。

「いらっしゃいませ~!」

気怠そうな店員の声に迎えられ、歳三はカゴの中にコーヒーとサンドイッチを食べていると、近くの中学校の校門から生徒達がどっと出て来た。
生徒達で埋まった一本道をノロノロと車で進みながら、歳三は溜息を吐いた。

漸く彼が帰宅したのは、コンビニから出て30分後の事だった。

駐車場に車を停めて、彼がそこから降りようとした時、一人の青年が歳三の元へとやって来た。

「土方歳三さんですよね?はじめまして、俺はこういう者です。」

青年はそう言うと、一枚の名刺を歳三に手渡した。

そこには、“週刊セブン 斎藤一”と印刷されていた。

「斎藤・・お前・・」
「どうしました?」
「いや、なんでもねぇ。」

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最終更新日  2020.06.29 21:40:42
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その女は、あの時歳三が車で轢きそうになった女だった。

女は無言で歳三の部屋のドアを執拗に叩いた。
たまらず歳三は頭のおかしな女が家の周りをうろついていると警察に通報した。
暫くして、外から女の叫び声と警官達の怒号が聞こえた後、静かになった。

(何だったんだ、あの女?)

電気を消して寝ようとしたが、闇の中からまたあの女が現れそうな気がして、その夜は電気をつけて寝た。
翌朝、歳三が眠い目を擦りながらコーヒーを淹れていると、誰かが玄関のチャイムを鳴らした。
また昨夜のあの女かと歳三が身構えながらインターフォンの画面を覗くと、そこにはスーツケースをひいた忍が立っていた。

「忍、どうした?こんなに朝早く・・」
「先生にこの町を離れる前に、ご挨拶をと思いまして・・」
「その荷物だと、遠くへ行くのか?」
「はい。姉も一緒に。」
「そうか・・」
「では、もう行きますね。」
「あぁ、気を付けてな。」

歳三が出勤すると、職員室帆の方が何やら騒がしかった。


「土方先生、おはようございます。」
「おはようございます、丸山先生。何かあったんですか?」
「何でも、あの美人姉妹が姿を消したそうです。」
「そうか・・」
「さっき自治会の人達がやって来て、祭りが出来ないからどうするんだって校長達に詰め寄って・・もう、滅茶苦茶ですよ。」

丸山はそう言って溜息を吐くと、自分の席へと戻った。

「肝心の巫女が不在なんて・・」
「こうなったら代役を立てるしか・・」

歳三が教師へ向かっていると、そんな話し声が校長室の方から聞こえて来た。

「先生、おはようございます。」
「おはよう。HR始めるぞ。」
「はぁ~い。」

その日の夜、千華から一通のメールが届いた。

“わたし達は無事です、安心して下さい。”

メールには、千華と忍が笑顔を浮かべている写真が添付されていた。

“今は引っ越しの最中なので、忙しくてゆっくりと詳細を書く事は出来ませんが、元気にしております。これから寒さが厳しくなりますが、どうかお身体をご自愛くださいませ、総司。”

(メールでも、硬い文章は変わらねぇなぁ・・)

歳三はそんな事を思いながら、溜息を吐いた。

久しぶりに、歳三は“昔”の夢を見た。

それは、自分達がまだ上洛して間もない頃の事だった。
初めて迎えた京の冬は、江戸のそれよりも寒く、寒がりな歳三は風邪をひいてしまった。

「トシは寒がりだなぁ、待ってろ、粥を作ってやるから。」
「済まねぇ・・」
「お前は最近休む暇がなかったんだから、この際ゆっくりと休んだ方がいい。」
「わかった・・」

歳三は勇の大きな手に包まれるのを感じながら、ゆっくりと目を閉じた。

ドアが何者かに乱暴に叩かれた音で、歳三は夢から覚めた。

『土方先生、居るんでしょう?』
『開けて下さいよ!』

インターフォンの画面を歳三が覗き込むと、そこには何故か校長達の姿があった。

「何ですか、こんな朝早くに・・」
「すいません、土方先生・・」
「先程の職員会議でですね・・」
「祭りが開かれる事になりまして・・」

こいつらは、伝言ゲームでもしているのか。
朝早くから叩き起こされ、歳三はイライラしながら彼らの話を聞いた。

「それでですね、巫女の代役を務めて貰う事になりまして・・」
「は?勝手に決めないで下さいよ、そんな事。」

歳三はそう言うと、校長達をにらんだ。

「でもねぇ・・」
「もう決まった事なんで・・」
「ねぇ・・」

こうして歳三は一方的に、“胡蝶祭り”の主役である巫女に選ばれた。

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最終更新日  2020.06.29 21:39:53
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2020.06.26
「何だ!?」

不気味なサイレンの後、スピーカーから女性の音声が聞こえて来た。

”只今、大雨洪水警報が発令されました。川の近くに住む方は、高台の公民館へ避難して下さい。“

(こんな時に警報か・・)

歳三は溜息を吐きながら窓の外を見ると、濁流が暴れ狂う蛇のように今まさに町を襲おうとしていた。

「嵐か・・千華、非常用の食糧は足りておるか?」
「はい。」
「余り時間がない、急ぐぞ。」
「はい、お祖母様。」

大雨洪水警報が発令されて一時間後、不気味なサイレンと共に濁流の唸りが聞こえて来た。

「これからどうなるんだ!?」
「パパ、怖い!」
「胡蝶姫様、どうかお護り下さい!」

公民館に避難した住民達は、外から聞こえる轟音に怯えた。

「もう大丈夫だな・・」
「あぁ・・」

嵐が町から去ったのは、住民達が公民館からそれぞれ帰路に着いた頃だった。

「何とか、危機は脱したな・・」
「えぇ・・」
「千華、真珠、お前達に話しておきたい事がある。そこへ座れ。」
「はい。」
「お祖母様、お話とは何でしょうか?」
「お前達、町から出て行け。後の事はわたしが何とかする。」
「いいのですか?」
「構わん。町の因習にこれ以上お前達を縛り付けておくことは出来ん。」
「お祖母様・・」
「お祖母ちゃん、本当にいいの?」
「良いも悪いも、もう決めた事だ。達者で暮らせ。」
「お祖母ちゃん・・」

千華は涙を流しながら、滝に抱きついた。

「千華、真珠、お前達だけでも幸せになれ。」

そう言った滝は、何処か寂しそうだった。

季節は瞬く間に過ぎ去り、鬼蝶町の一大イベントである、“胡蝶祭り”の冬が訪れた。

「う~、寒い。」

山あいの集落であるこの町は、盆地なので夏は蒸し暑く、冬は凍えるように寒い。

「先生、おはようございます。」
「おはよう・・」
「先生、厚着しすぎ!」

生徒達はそう言うと、厚いダウンジャケットを着た歳三を見て笑った。
地元民である彼らは寒さに慣れているようで、皆薄手のコート姿だった。

「土方先生、おはようございます。」
「荻野、もう身体は大丈夫なのか?」
「はい。」
「それにしても土方先生は本当に寒がりですね?」
「うるせぇ、体質なんだから仕方ねぇだろ!」

歳三はこれ以上校門に居るのが耐えられなくなり、暖房がきいている職員室へと逃げ込んだ。

「土方先生は本当に寒がりなんですね。そんなんじゃ祭りの滝行には耐えられませんよ。」
「は?滝行?」
毎年冬に行われる“胡蝶祭り”には、男達は皆褌一枚の姿となり、久御山の滝壺へ一人一人身を投げて無病息災を祈るのだという。
(そんなの、聞いてねぇ!)
「まぁ、東京から来た先生には、色々と祭りの準備を手伝って貰いますよ。」
「祭りの手伝い、ですか?」
「えぇ、ほとんど書類仕事ですがね。土方先生はお若いから、祭りの櫓づくりの手伝いを・・」
「いえ、書類仕事は得意なので、任せて下さい!」

こんな寒い時期に、屋外で力仕事するなんて真っ平御免だ。

「・・そうですか、それでは書類仕事の方、任せましたよ。」

 こうして、歳三は暖房がきいている中で出来る書類仕事を任された。

「あ~、今日も疲れた。」

帰宅した歳三はそう呟いた後、エアコンのスイッチを入れた。

暖房がきいた部屋で、歳三はこたつに入りながらのんびりとテレビを観ていた。
もうすぐ観ていた二時間サスペンスドラマが終わろうとしている頃、突然玄関のチャイムが鳴った。

(誰だ、こんな時間に・・)

歳三がインターフォンの画面を覗き込むと、そこには包丁を持った白装束姿の女が立っていた。

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最終更新日  2020.06.26 16:08:24
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2020.06.23
「こっちよ。」
「は、はい・・」

千華と共に車から降りて複合商業施設の中へと入ると、そこは光と音の洪水に満ちていた。
人のざわめき声や人ごみで、忍は少し気分が悪くなってしまった。

「すいません、あの・・」
「何処か静かな所に行きましょう。」

千華はそう言うと、カフェへと向かった。

そこは、静かで落ち着いた雰囲気だった。

「コーヒーお願いします。」
「かしこまりました。」

店員が去った後、千華はスマートフォンの電源を切った。

「こういう所では、こんな物は要らないわ。」
「はい・・」

忍はそう言うと俯いた。

「ねぇ、あなたはこれからどうしたいの?」
「それはまだ、わかりません。ですが、この町からは出たいと思っています。」
「わたしも、同じよ。あんな町、一刻も早くここから出て行きたい。」

千華はそう言うと、コーヒーを一口飲んだ。

カフェから出た二人は、色んな店を巡った後、昼食を取る為イタリアンレストランへと入った。

「美味そうですね。」
「そうね。」
「何だか、こういう所に来るのもいいですね。」
「もう帰りましょうか?」
「はい。」

千華と共に町へと戻った忍は、神社の本宮の方で滝が誰かと言い争っている声が聞こえた。

「おいおい、祭りは中止だと!?ふざけるな!」
「何と言おうと、祭りは中止にする!」
「滝さん、どうしてそんな急に・・」
「理由は言わん、帰れ!」

滝はそう叫ぶと、街の老人達を追い払った。

「お祖母様、さっきの方は・・」
「あぁ、あいつらの事なら気にするな。」
「そうですか・・」
「お祖母ちゃん、今夜はお弁当にしない?たまには手抜きしたいでしょう?」
「そうだな。」

一方、歳三は友人の結婚式に出席する為、久しぶりに東京へと来ていた。

「よぉトシ、久しぶりだな!」
「おぅ、久しぶり!」
「田舎暮らしはどうだ、順調か?」
「そうでもねぇよ。」

歳三はそう言うと、ビールを一口飲んだ。

「おい、大丈夫か?」
「あぁ・・」

二次会で少し飲み過ぎた所為で歳三は、そう言うと路上にへたり込んだ。

「トシ、どうしたんだ?」
「勝っちゃん・・」

歳三が俯いていた顔を上げると、そこには仕事帰りなのか、スーツ姿の勇が立っていた。

「すいません、この人の知り合いですか?」
「友達の結婚式の二次会で酔い潰れちゃって・・」
「そうですか。あとは俺が何とかしますので、勇さんは先に行って下さい。」
「わかりました。じゃぁ俺達はこれで。」
「トシ、大丈夫か?立てるか?」
「うぅ~!」

歳三はそう呻くと、近くの植え込みの中に吐いた。

勇は泥酔した歳三を抱え、近くのラブホテルに入った。

「トシ、水だ!」
「あんがと・・」

歳三はそう言うと、勇からペットボトルのミネラルウォーターを受け取った。

「お前、下戸なのにどうしてこんな状態になるまで飲んだんだ?」
「・・忘れたかったんだ、あの町での事を、全部。」
「わかった・・」

歳三はそう言うと、目を閉じた。

 気晴らしに映画でも観ないか、と勇から誘われるがままに、歳三は彼と学生時代に良く行っていたキネマ座へと向かった。
その日は、タイトルは忘れてしまったが、動物と人間の友情を描いた作品と、アメリカのベストセラー作家の小説が原作の、純愛映画だった。
「シネコンよりも、俺は昔ながらの映画館がいいなぁ。何度でも観られるし、飲食物も持ち込み出来るし・・それに、俺はこんな映画館の雰囲気が好きなんだ。」
「俺もそうだよ、勝っちゃん。」

キネマ座から出た後、歳三は勇と共にキネマ座の隣にある洋食屋・ピエロで昼食を取っていた。

「何だか、街を歩いていると、無意識に“昔”の面影を探してしまうんだよ。」
「・・昨夜は迷惑かけちまって、済まなかったな。」
「いや、いいんだ。あの町で、ずっと定年まで暮らすつもりはないんだろう、トシ?」
「あぁ。」
「色々と面倒な事を片付けたら、いつでもうちに帰って来い。お前の部屋は、毎日掃除して使えるようにしてあるから。」
「ありがとう、勝っちゃん・・」

勇とピエロの前で別れ、歳三は新幹線とバスを乗り継いで、鬼蝶町へと戻った。

長旅の疲れを癒そうと歳三がシャワーを浴びる為に浴室へ入ろうとした時、不気味なサイレンが町全体に響き渡った。

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最終更新日  2020.06.23 16:51:27
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2020.06.19
―行かないで!

闇の中から、誰かの叫ぶ声が聞こえて来る。
その声は、忍が聞いた事がある声だった。
悲痛な叫び声の後に、誰かが激しく咳込む音がした。
忍がその声が聞こえる方へと向かうと、それは襖を隔てた部屋の中から聞こえた。

―沖田先生!

忍が部屋の中に入った時、総司は苦しそうな様子で必死に呼吸しようとしていた。

―大丈夫ですか、沖田先生!?
―もし、わたしが死んだら・・土方さんの事を、お願いしますね。
―そんな、縁起でもない事をおっしゃらないでください!
―わたしの命は、もう永くありません。だから、こうしてまだ正気を保っていられる内にあたにお願いしているんです。
―わかりました。
―必ず、わたしとの約束を、守ってくださいね・・
―はい、必ず・・

総司とそんな約束を交わした数日後、彼は意識を失った。

―今夜が峠でしょう。

町医者からそう告げられた忍は、すぐさまその足で呉服屋へと向かった。

―白無垢用の生地ねぇ・・今はこんな物しかないけれど、これで良ければ・・
―ありがとうございます。

 呉服屋から戻った忍は、手に入れた生地で総司の為に白無垢を縫った。

―沖田先生、入りますよ。

忍が完成した白無垢を持って部屋に入ると、総司は既に息を引き取った後だった。
忍は涙を流しながら彼の髪を櫛で梳き、まだ温もりが残るその肌に死化粧(しにけしょう)を施した。

―ゆっくり休んでくださいね。

総司の遺体はその日の夜の内に清められ、官軍に見つからぬよう、極秘裏に埋葬した。

―さようなら、沖田先生。

忍は総司を見送った後、一路会津へと向かった。

だが、歳三は既に仙台へと発った後だった。

慌てて仙台へと向かった忍だったが、そこでも彼は歳三に会えなかった。

そして、彼は漸く蝦夷地で歳三と会えた。

―沖田先生は、静かに旅立たれました。
―そうか・・

歳三はそれ以上、何も言わなかった。
激しい戦いの末、歳三と忍は敵の銃弾に倒れた。

―いつか、また会えるのなら、その時は・・

そこで、長い夢は終わった。

「良く寝ていたな。」
「おはようございます、お祖母様。」
「おはよう。朝餉はもう出来ている。」
「頂きます。」

忍が朝餉を食べていると、真珠の祖母・滝は何処かへ外出しようとしていた。

「お祖母様、どちらへ?」
「祭りの事で、自治会の集まりがあってな、すぐに戻ってくる。」
「行ってらっしゃいませ。」

滝を見送った後、忍は台所の流しで食器を洗っていた。
その時、誰かが勝手口のドアを叩いた。

『どちら様ですか?』
『わたしよ、千華よ、開けて。』

インターホンの画面を忍が覗き込むと、そこにはスーツケースを持った千華の姿があった。

「何があったのですか、沖田先生?」
「夫と離縁してきたんです。」
「そうですか、食事はいかがなさいます?」
「もう食べたからいいわ。疲れたから、部屋で休むわね。」
「はい。」

千華が奥へと消えた後、忍は溜息を吐いて居間へと戻った。
家に居るのも何だか退屈で、忍が出かけようかと思った時、千華が居間にやって来た。

「忍君、気晴らしに何処かへ出掛けませんか?」
「はい・・」

 千華に連れられ、忍は彼女と共に複合商業施設へと向かった。

「沢山の物がありますね。」
「さぁ、これから色々と買いましょう。」
「えぇ。」

そんな二人の姿を遠くから一人の男が見ていた。

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最終更新日  2020.06.19 13:30:53
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2020.06.08
―ねぇ、聞いたかい?
―沖田家の奥様が・・

歳三がマンションのごみ捨て場にごみを捨てに行くと、近所の主婦達が早くも沖田家の若夫婦の離婚話で盛り上がっていた。
狭い田舎町ではプライバシーなどなく、離婚など今時珍しくない事までを、まるで大事件のように大袈裟に騒ぎ立てる。
この町の人口が年々減っているのは少子化の所為だと住民達が皆口を揃えて言うが、その原因はこの町の閉鎖性にあると歳三は思っていた。
都会から憧れの田舎暮らしを夢見た一家が、次々とこの町から逃げるように去っていったのは、同調圧力と相互監視が当たり前の世界に嫌気がさしたのだろう。

「あら土方さん、おはようございます!」
「校外学習、楽しみですねぇ。うちの子、楽しみにしているんですよ。」
「そうですか・・」
「あら、もうこんな時間。」
「土方さん、またね。」

 主婦達は井戸端会議を早々と切り上げ、ごみ捨て場から去っていった。

人付き合いが面倒なものだと気づいたのは、この田舎町に引っ越して来てからだった。

 東京で暮らしていた頃は、他人の視線など気にする事など殆どなかった。

 しかし、この町に引っ越して来てからは、やけに他人の視線が気になって仕方がなかった。
自分は気づかない内に、徐々にこの町に巣食っている毒に侵されてしまっているのだろうか―歳三はそんな事を思いながら、コーヒーを淹れた。
コーヒーを飲みながら新聞を読んでいると、スマートフォンが着信を告げた。

「もしもし・・」
『トシ、俺だ!』
「勝っちゃん、久しぶりだな!どうしたんだ、俺に電話してくるなんて珍しいじゃねぇか!」
『いやぁ、急にトシの声が聞きたくなってなぁ、あぁそうだ、来週末予定はあるか?』
「済まねぇ、今週末仕事なんだ。何かあるのか?」
『久御山で合宿する事になってなぁ、お前もどうかと思って誘ってみたんだが・・』
「久御山ねぇ・・実は、校外学習でそこに行く事になっているんだよ。」
『そうか、じゃぁ会うのが楽しみだな!』
「あぁそうだな。」

あっという間に週末を迎え、歳三は勇と久しぶりに久御山で会った。

「トシ、久しぶりだなぁ!」
「勝っちゃん、少し太ったか?」
「バレたか~!」

勇はそう言うと、屈託のない笑みを歳三に浮かべた。

「トシは随分と会わない内に痩せたな?」
「まぁな・・」
「教師は大変な仕事だからな。」
「トシ、お前は嘘を吐くと俺と目を合わせようとしないのは、“昔”と変わらない癖だな。」
「バレたか・・」
歳三はそう言うと、ボリボリと軽く頭を掻いた。
「なぁトシ、この後時間あるか?」
「あぁ。」
「じゃぁ今夜七時に、ここで待っている。」
勇はそう言うと、一枚のメモを握らせた。
そこには、“今夜七時、西棟のトレーラーハウスBで待ってろ。”と書かれていた。
「じゃぁ、またな。」
「あぁ。」

久御山の校外学習一日目の夜は、静かに過ぎた。

「真珠が居ないなんて、寂しいわね。」
「そうね。」
「ねぇ、真珠は今夜、誰に告白するつもりだったのかしら?」
「さぁね。」
「それにしても、土方先生はどこ?」
「知らないわ。」

真珠のクラスメイト達が部屋でそんな事を話している頃、当の本人はトレーラーハウスの中で勇と愛し合っていた。

「そんなに、ジロジロ見ねぇでくれ、恥ずかしい・・」
「なぁトシ、東京に戻る気はないのか?」
「戻る気はある・・あるが、今は戻れねぇ。総司を一人にはしておけねぇ。」
「そうか・・なぁトシ、“昔”は色々とお前に寂しい思いをさせたな。でもこれから、ずっと一緒だ。」
「あぁ・・」

愛する人の腕に抱かれながら、歳三は静かに目を閉じた。

何故か悲しい夢は、見なかった。

「じゃぁトシ、またな。」
「あぁ。」

キャンプ場の入り口で勇を見送った後、歳三がキャンプ場の中へと戻ると、丸山が何処か嬉しそうな顔をしながら彼の方へと駆け寄って来た。

「さっきの人、土方先生の恋人ですか?」
「いいえ、古い友人です。」

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最終更新日  2020.06.08 21:20:22
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2020.05.23
「今朝出勤したら、わたしのスマホにこんな物がメールで送られてきた。」

洋雄がそう言って隆雄に見せたのは、あの不倫動画だった。

「お前は一番大切な時期に、何をやっているんだ!?」
「申し訳ございません・・」
「相手の女とは早く別れろ、いいな!」
「は、はい・・」

父の部屋から飛び出した隆雄は、すぐさま明美を町外れの純喫茶。ジュリアへと呼び出した。

「急に呼び出して何の用?」
「俺と別れてくれないか?」
「はぁ、突然何言ってんの!?あたしは・・」
「君との動画が、ネット上に拡散されているんだ。」
「それがどうしたっていうの?困るのはあんただけでしょう?」
「あ、明美・・」
「あたしは失うものなんて何もないわ。さっさと奥さんと別れてよ。」


(畜生、俺はどうすればいいんだ?)

同じ頃、真珠―忍は、病室の窓から町の景色を眺めていた。

「忍、調子はどうだ?」
「少し良くなりました、副長。」
「そうか。退院するの、あさってだったな?」
「はい。」

忍は退院後、暫く学校を休んで祖母の家に滞在する事になっている。

「これから、わたしはどうなるのでしょうか?」
「それは、誰にもわからねぇよ。」
「そうですか。」

忍はそう言うと、再び窓の外を見た。

ジュリアで隆雄から突然別れ話を切り出された明美は、そのまま車で学校へと向かった。
だが、そこで彼女を待っていたのは、突然の解雇通告だった。

「突然で悪いけれど、君の後任は来週来る事になったから。」
「そんな・・じゃぁあたしはこれからどうすればいいんですか!?」
「そんなのは、自分で考えたまえ。」

明美が職員室で荷物をまとめていると、そこへ歳三がやって来た。

「・・次の仕事、早く決まればいいですね。」
「うるさいっ!」

明美はそうヒステリックに叫ぶと、そのまま職員室から出て行った。

「何あれ~」
「自業自得じゃんね。」

明美の後任として来た教師は、朗らかで笑顔が素敵な男性だった。

「こんなゴツいけれど、僕こう見えても手先が超器用です、よろしく!」
「よろしく~!」

新任の家庭教師・丸山は、男女関係なく生徒達から人気だった。

「この学校には珍しいですね、あぁいうの。」
「そうですか?」

職員室で歳三がそんな話をしながら事務仕事をしていると、柴田が窓の外で生徒達に囲まれている丸山の姿を見て溜息を吐いた。

「何だかね、男らしくないというか・・」
「今は個性を大事にする時代ですから、指導する我々も個性を大事にした方が・・」
「都会から来た先生は、やっぱり言う事が違うなぁ。」

柴田はそう呟くと、そのまま職員室から出て行った。

「土方先生、一緒にランチしません?」
「いいですよ・・」

丸山に連れられて歳三がやって来たのは、駅前近くのカフェだった。

「土方先生は、この町での生活に慣れましたか?」
「いやぁ、まだ・・」
「ですよねぇ~、僕田舎暮らしに憧れてこの町に来たんですけれど、よくテレビでやっているのはほとんど嘘っぱちですね。」
「こういう所は、陰口があっという間に広まりますから、そう言う事言わない方がいいですよ。」
「そうですね、すいません。あ、そういえばもうすぐですね、祭り。」
「もうそんな時期でしたっけ?」
「ネットだと、“美人姉妹の巫女舞が美しすぎる祭り”って、毎年噂になっていますよ。」
「そうですか・・」
「この町、他の地域と比べて祭りが多いと思いませんか?」
「確かにそうですね。」

丸山とのランチを終えた歳三がカフェから出ると、丁度駅前の広場では町長選挙の候補者が演説していた。

「わたしは、この町の子供達に・・」
「口先だけでしょう、そんなの・・」

 数日後、退院した忍は暫く祖母と暮らす事になった。

「よぉ来たな。」
「お世話になります。」
「時が解決してくれる。それまで休め。」
「はい・・」

一方沖田家では、千華が隆雄と正式に離婚する事になった。

「不倫の慰謝料は必ず頂きますから、そのつもりで。」
「あぁ・・」

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最終更新日  2020.05.24 08:07:48
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