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JEWEL

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完結済小説:宿命の皇子 暁の紋章

2013.09.20
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「セーラ様、どうかお助けを!」

そう言って溪檎の妻・麗華はセーラの姿を見るなり彼女の方へと駆け寄ってきたので、咄嗟に知幸はセーラを守る為に麗華の前にたちはだかった。

「あなた、退きなさい!わたくしはセーラ様に・・」
「申し訳ございませんが、部外者の立ち入りはお断りしておりますので、お引き取り下さい。」
「まぁ、部外者ですって!?わたくしと、わたくしの夫はセーラ様と親しいんですのよ!?」
そう言って知幸を押し退けようとする麗華の腕を、日下部が掴んだ。
「申し訳ありませんが、お引き取り下さい。これ以上手荒な真似はしたくはありません。」
「貴様、わたしを誰だと・・」
「あなたはもう警察の人間ではないのでしょう、鷹城さん?いつまで過去の栄光に縋っているつもりですか?」
「なんだと・・」
怒りを顔を赤く染めた溪檎が日下部を睨みつけた時、騒ぎを聞きつけたセーラが彼らの元へとやって来た。
「一体ここへは何の用ですか、鷹城さん?」
「セーラ様、どうかお金を・・わたくし達にお金を貸してくださいませんか!?今、うちは大変で・・」
「申し訳ありませんが、あなた方のような人間に貸す金はありません。散々人を見下し、蔑み、罵倒してきた癖に、それを忘れて無心に来るなど浅ましいですね。」
リヒャルトはそう言って溪檎達を睨み付けると、彼らは怒りで顔をどす黒く染めながら会場から出て行った。
「全く、嫌な奴らだな。」
「彼らがどうなろうと、こちらの知ったことではありません。さぁ、パーティーの続きをいたしましょうか。」

リヒャルトはセーラと腕を組むと、パーティーへと戻った。

翌日、東京へと戻ったセーラ達は、帰国する為成田空港へと向かった。

「知幸、いつかまた会おうな。」
「ああ。それまでに身体には気をつけろよ?」
「わかってる。もしかしたら、今度は3人で来ることになるかもしれないな。」
「え、それって・・」

知幸がそう言ってセーラを見ると、彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべて知幸に手を振りながらタラップを上り、専用機の中へと入っていった。

「トモユキ様を誤解させるような発言はお控えくださいと申し上げた筈でしょう?」
「いいだろう、別に。あいつだって、冗談だと受け取っているだろうさ。」

渋面を浮かべた夫に向かって、セーラは満面の笑みを浮かべた。

やがて二人を乗せた専用機は、成田を離陸し、瞬く間に雲の隙間に隠れて見えなくなった。

「どうした?」
「いえ・・何でもありません。」
「戻るぞ、いつまでもこんな所でのんびりとしていられないからな。」
「わかりました!」

2年後、再び来日したローゼンシュルツ王国皇太子夫妻は専用機の前で取材陣に笑顔を浮かべて彼らに手を振った。

セーラは、生後7ヶ月の息子を抱きながら、幸せに満ち溢れた表情を浮かべて取材陣のカメラの前に立った。

「皆さん、紹介致します。この子はガブリエル、可愛いわたし達の天使です。」


―FIN―

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最終更新日  2016.05.08 20:06:30
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ローゼンシュルツ王国皇太子夫妻が来日してから二週間が経とうとしていた。

滞在13日目となる今日、彼らは京都競馬場でレースを観戦する事になっていた。

「何だか不安だなぁ、長距離の移動って。」
「あんまり不安がるな。」

京都へと向かう新幹線の中で知幸がそうこぼすと、日下部がそう言って彼を睨んだ。

「でも・・」
「それよりも山下、今のところ異常はないか?」
「ありません。不審物も、不審者も見当たりませんでした。」
「そうか。じゃぁ暫く席に戻って休んでいろ。長時間立ちっぱなしだと、辛いだろ?」
「ありがとうございます。それじゃぁ、俺は席に戻りますね。」
知幸はそう言って日下部に一礼すると、同僚達が居る車両へと戻って行った。
「お、戻ってきた。」
「ねぇあなた、最近日下部さんと仲良くしているみたいじゃない?」
「そうですか?」
知幸が座席に腰を下ろすと、山田ゆりがそう言ってじっと彼を見た。
「あの、どうしたんですか?」
「あなたみたいな人を、日下部さんが気に入ったとはねぇ。あの人、気難しいし人の好き嫌いが激しいし。」
「そうなんですか?」
「お前知ってる?日下部さんの前の職場。」
「知りませんけど。」
「日下部さん、警視庁の捜査一課に居たんだよ。」
「ええ!?でも、どうしてSPなんかに?」
「さぁな。でもあの嫌味な元キャリアのボンボンと何かあったらしいぜ?」
西田はそう言うと、座席の位置を元に戻した。
やがて知幸達を乗せた新幹線は京都に到着し、セーラ達を乗せたリムジンはSPの護衛の下、京都競馬場へと向かった。
「流石に京都は寒いな。」
「そうですね。盆地だからでしょうか。」
「ローゼンシュルツは、これから寒さが厳しくなるだろうな・・」
数分後、特別観覧席に現れたセーラとリヒャルトの姿がモニターに映し出されると、観客達が一斉に歓声を上げた。
「どうやら俺達は、すっかり人気者のようだな?」
「ええ。」

レースを観戦し終わった二人がリムジンへと乗り込もうとした時、一人の少年が彼らの方へと駆け寄ってきた。

すかさず日下部達SPが彼らを守ろうと少年を遠ざけようとしたが、セーラは手を上げて彼らを制し、少年の前に立って腰を屈めた。

「どうしたの、坊や?」
「写真、撮っていただけませんか?」
「わかった。」

京都市内のホテルで、セーラ達はSP達を労ってパーティーを開いた。

「みんな、二週間わたしを守ってくれてありがとう。今夜は気楽に飲んでくれ!」
「セーラ様に、乾杯!」

賑やかな笑い声を聞きながら、セーラとリヒャルトが談笑していると、突然会場に溪檎が現れた。

彼は一人ではなかった。

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最終更新日  2016.05.08 20:06:16
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「ただいま。」
「お帰りなさいませ、セーラ様。セイタ様とはゆっくりとお話が出来ましたか?」
「ああ。途中で嫌な奴に会ったがな。」
「嫌な奴?」
「お前も何度か会っているだろう?鷹城溪檎。今は実家が没落して警察を辞めて、民間企業で働いているそうだ。」
「ほう、随分と落ちたものですねぇ。」
そう言ったリヒャルトの口端は、どこか嬉しそうに上がっていた。
「嬉しそうだな、リヒャルト?」
「セーラ様の敵は、わたしの敵でもありますから。」
「全く、お前はとんでもない男だよ。」
そう言ってクスクスと笑いながらソファに腰を下ろしたセーラの右手の人差し指には、母である皇妃・アンジェリカから贈られた指輪が光っていた。
「皇妃様から、先程お電話がありました。」
「母上は何と?」
「どうやらあのパーティーで起きた騒動のことが皇妃様のお耳に入ったようで、しきりにセーラ様の身を案じておられました。心配は要りませんと申し上げておきました。」
「そうか。なぁリヒャルト、俺は未だに母上や父上のことがどうしても思い出せないんだ。」
「陛下と皇妃様は、その事でセーラ様をお責めになったりはしておりません。」
「そうか・・俺はつくづく親不孝な娘だな。お前と結婚して2年半にもなるのに、未だに父上達に孫を抱かせてあげられないんだから・・」
「自然に任せればよいのです。ストレスは不妊の大敵だと先生もおっしゃられておりますし・・」
「余り焦るな、か・・俺達がそう思っていても、周りはなぁ・・」
「セーラ様・・」

溜息を吐く妻の横顔を見ながら、リヒャルトは自分達に子どもが出来ないのは皇妃の血筋の所為だという、口さがない噂を流す連中に対して腹が立って仕方がなかった。
セーラの母、アンジェリカも、子宝が授からずに宮廷内で肩身の狭い思いをした。
その娘であるセーラも、貴族達の悪意ある噂を聞き、密かに傷ついているのかと思うと、彼女に慰めの言葉を掛けるしかなかった。
「もし子どもが出来なくても、夫婦だけで仲良く暮らせば良いではありませんか?世間にはそういったご夫婦が、沢山居られます。」
「そうか?だが彼らは・・」
「口さがない噂をばら撒く連中には好きに言わせておけばよいのです。わたし達は、悪い事などなにひとつしていないのですから。」
「そうだな・・」

セーラはそう言うと、リヒャルトに微笑んだ。

「日下部さん、おはようございます!」
「おはよう、山下。明日でお前の仕事も終わりだな。」
「そうですね。長いようで短かった二週間でした。」
翌朝、知幸はそう言って日下部を見た後、溜息を吐いた。
「どうした?」
「いや・・1年半前は、セーラと一緒に仕事が終わると屋台のラーメン食ったり、行きつけの洋食屋で飯食いながら愚痴とか言い合っていたのに、何だか急に遠い存在になったなぁって思って・・」
「だがセーラ様は、お前に対して普通に接していただろう?友人だからといって特別扱いもせず、公私混同することもなかった。身分が違っていても、セーラ様の性格は少し変わっていないと思うよ。」
「日下部さん・・まさかセーラに惚れましたか?」
「は!?」
「いやぁ~、まさか日下部さんが人妻に興味があるだなんて知らなかった・・」
「オイ、変な想像をするな!」
「随分と仲良くなりましたね、二人とも。」

廊下で騒いでいる日下部と知幸の姿を見たリヒャルトは、そう言うと彼らに微笑んだ。

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最終更新日  2016.05.08 20:06:03
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「久しぶりだな、橘・・いや、今はセーラ皇太子様か。」

銀縁眼鏡を掛けたその男は、そう言ってセーラを見ると、ゆっくりと彼女に近づいて来た。

「こちらこそ、お久しぶりですね、鷹城さん。お父様のお加減は如何ですか?」
セーラはそう言って銀縁眼鏡の男―鷹城溪檎(たかしろけいご)を見た。
彼女の言葉を聞いた途端、溪檎の顔が怒りで歪んだ。
「まさかあのような出来事が起きてしまって、未だに信じられません。」
「ふん、君は相変わらず嫌な女だな。」
「それはお互い様です。まぁ、今の警視総監殿は収賄で逮捕されたあなたのお父様とは違って、清廉潔白な方ですから。少しは警察組織内部に溜まりに溜まった膿を洗い流してくれることでしょうね。」
「・・言いたい事は、それだけか?」
「あなたの方こそ、養父(ちち)の墓に何の用ですか?」
セーラは溪檎を睨み付け、昔の事を思い出していた。
溪檎とは初めて会ったその時から反りが合わなかった。
キャリア組の警察官僚でエリートの溪檎は、あからさまにノンキャリア組の警官達を馬鹿にし、見下していた。
そういった彼の驕(おご)り高ぶった態度が気に食わなかった。
それは今でも変わらない。

「いい気味だと思っているのだろう?父が収賄で逮捕され、鷹城家が没落して。余り調子に乗ると痛い目に遭うぞ?」
「1年半ぶりに再会したというのに、恫喝されるとは・・まぁ、あなたのような方はいつもそうしてご自分より弱い立場の人に対してそんな態度を取っているのですね?」
「何だと!」

溪檎が怒りの余りセーラに拳を振り上げようとした時、背後で撃鉄を起こす音が聞こえた。

「セーラ様、大丈夫ですか?」
「ああ。もう用事は済んだ、帰ろう。」
「はい・・」
拳銃を下ろした日下部は、それをショルダーホルスターに仕舞った後、溪檎を見た。
「もしや、あなたは鷹城元警視総監の・・」
「君も今やSPか・・あの時地べたを這いずり回っていた同じ男とは思えんな。」
溪檎は少し小馬鹿にしたような顔で日下部を見ると、墓地を後にした。
「知り合いか?」
「ええ。セーラ様こそ、鷹城さんとは・・」
「彼とは深い因縁があってな。あの様子だと、仲が良さそうに見えなかったが。」
「鷹城さん・・あの人とは、あなた様と同じように深い因縁があります。まぁ、あの人はもう警察を辞めておられるから、俺とはもう何の関係もない人ですが。」
「実の父親が逮捕されても、性格は変わらないか。まぁ、あんなプライドの塊のような男は、何処へ行っても嫌われているだろうよ。」
「そうですね・・この間、あいつと同じ会社に勤めている知り合いと飲んだんですがね、あいつは職場で孤立しているようです。」
「まぁ、あんな性格じゃ無理もない。」
「車を回してきます。」
「頼む。」

日下部の姿が墓地から見えなくなると、セーラは再び養父の墓へと向き直った。

「また来ます、お義父様。」

生前養父が愛していたクリスマス・ローズを彼の墓前に供えると、セーラは一度も振り向かずに墓地を後にした。

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最終更新日  2016.05.08 20:05:34
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「お久しぶりです。」
「神父様の・・お義父(とう)様のお墓参りにいらしたのですね?」

修道女はそう言ってセーラに微笑むと、彼女と日下部を墓地へと案内した。

「セーラ様、あの・・」
「わたしは、母国で内戦が起きた為に、5歳で養父(ちち)に連れられて日本に来ました。養父は当時、ヴァチカンに勤めていました。」
「それで、先程の修道女の方は、神父様と・・」
「ええ。養父はわたしを心の底から愛してくれました。ですが、わたしの結婚式に参列は出来なかった・・養父は、その数年前に病で他界してしまいましたから。」
「そんなことがあったのですか・・知りませんでした。」
「いえ、いいんです。日下部さん、ご両親は?」
「健在です。」
「ご両親の事、大切になさってください。あなたのお仕事は、危険な仕事であるということは承知していますが、余り無理をなさらないでください。」
「わかりました。」
セーラと日下部はやがて、セーラの養父である橘聖太の墓の前に立った。
「墓参りをするのが遅れてしまって、申し訳ありません。」
セーラはそう言って頭を垂れると、首に提げているロザリオを握り締め、祈りの言葉を呟くと、胸の前で十字を組んだ。
「わたしは、教会で待っています。」
「わかりました。」
墓地へと続く長い坂を下って日下部が教会の中へと入ると、そこにはキリストの生誕から復活を描いたステンドグラスが祭壇と壁に沿って描かれていた。
「これは素晴らしい・・」
「この教会は、明治時代初期にイタリア人の建築家の方が設計されたそうですよ。当時は外国人居留地の敷地内にあったこの教会には、居留地の住民しか入ることが許されなかったのですが、次第に住民以外の方の立ち入りも許可されることになりました。」
「そうでしたか・・そんな歴史が、この教会にはあったのですね。」
「わたくしは、30年ほど前に教会で隣接していた養護施設で働いておりました。今でもセーラ様がここに来られた日の事は覚えておりますよ。」
修道女はそう言うと、セーラが初めてこの教会にやって来た日の事を静かに話し始めた。

それは今から23年前、横浜に初雪が降った日のことだった。

教会の責任者である橘聖太がローゼンシュルツ王国から帰国した時、彼の隣には5歳くらいの小さな女の子が不安そうに彼の手を握りながら立っていた。

「こんにちは。」
「この子はセーラ様です。複雑な事情があってこちらに来ることになりました。シスター・鳥栖(からす)、どうかこの子の事を宜しくお願いしますね。」
「はい、わかりました。初めまして、わたしは烏栖といいます。」
「カラス?でもあなたは人間でしょう?」
「そうよ、わたしは人間よ。でも、烏栖は名前なのよ。」
「そうなの・・」
「さぁ、あなたにお友達を紹介するわ、いらっしゃい。」

幼いセーラの手をひいたシスター・鳥栖は、自分の手をギュッと握って来るセーラを守ろうと出会ったその日に決意したのだった。

「あれからもう20年以上も経ちました。今となっては、懐かしい思い出です。」

彼女はそう言って天を仰いだ。

一方、養父の墓の前に居たセーラは、背後に誰かが立つ気配がして振り向くと、そこにはかつて自分を目の敵にしていた男の姿があった。

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最終更新日  2016.05.08 20:05:10
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「セーラ様、どういうことなのか説明して貰いましょうか?」
「リヒャルト、お前に心配を掛けて済まなかったと思っている。」

リヒャルトともにホテルの部屋へと入ったセーラは、そう言って彼を見た。

「わたしは横浜に行く事を反対してはいませんでしたが、行くなら行くでちゃんと一言わたしに断ってから行ってください。勝手に何処かへ行かれてしまっては困ります!」
「ごめん・・もうしない。」
「解れば宜しい。」
「なぁリヒャルト、さっきわたしが会ったのは・・」
「トモユキ様とそのお母様の、カズコ様でしょう?どうやらカズコ様は、あなた様の事をトモユキ様の恋人と勘違いされたようですね?」
「まぁな。その誤解はすぐにとけたよ。それよりもリヒャルト、明日急用が出来たと、SPの方々に伝えてくれないか?」
「わかりました。ではわたしは、東京に戻ります。」
「済まないな、忙しいのに。」
「何をおっしゃいますか、セーラ様。何かあったらすぐに連絡を下さいね。」
リヒャルトはそう言うと、セーラに優しく微笑み、彼女の頬にキスした。
「ではお休みなさいませ、セーラ様。」
「お休み、リヒャルト。」

ホテルのドアが閉まった瞬間、セーラは溜息を吐きながらベッドに横になった。

テレビを付けると、うるさいバラエティ番組しかやっていなかった。
うんざりしてセーラはテレビを消し、枕を抱いて寝ようとしたが、なかなか眠れなかった。

やっぱりさっき、リヒャルトを無理にでも引き留めていればよかった。

だが後悔してももう遅い。

セーラはバッグから日本へと出発する前に空港の中にある書店で買ったロマンス小説を読みながら、いつの間にか眠ってしまった。

コンコン、とドアを誰かにノックされて、セーラは眠い目を擦りながらベッドから出た。
「どちら様?」
「セーラ様、日下部です。」
「朝早くに済まない。今着替えているから少し待ってくれ。」
「わかりました。」
セーラは浴室でシャワーを浴び、髪をドライヤーで乾かした後、クローゼットに掛けてあったワンピースを取り出して素早く部屋着からそれに着替えると、クラッチバッグを持ってドアを開け、外で待っていた日下部に声を掛けた。
「待たせてしまってすまないな。」
「いえ・・」
「急に予定を変更してしまって済まないな。ちょっと寄りたいところがあって。」
「寄りたい所、ですか?」
「ああ。」

数分後、セーラと日下部は横浜市内にあるカトリック教会へと来ていた。

「ここは?」
「ここには昔、わたしが育った養護施設があってな。経営難で施設は閉鎖されてしまったが、教会と墓地はまだ残っているようだな。」

教会の門をセーラが開けて中に入るのを見た日下部は、慌てて彼女の後を追った。

「セーラ様、お久しぶりでございます。」

教会の中から一人の修道女(シスター)が現れ、彼女はそう言うとセーラに向かって頭を下げた。

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最終更新日  2016.05.08 20:04:46
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「そんな事ありませんよ!この子ったらあたしの顔見るといつも、“うるせぇ婆!”って怒鳴るんですもの!」
「それは、お袋がネチネチ小言ばかりいうからだよ!」
「それは、あんたがあたしの言う事を聞かないからでしょう!」
「まぁお二人とも、落ち着いて下さい。」
セーラはそう言うと、知幸と和子の間に割って入った。
「わたし、羨ましいなと思って。お二人のように何の気兼ねもなく本音を言い合える親子が。」
「セーラ・・」
知幸は、セーラが実の両親の記憶を失くしていることを知っていたから、彼女の言葉を聞いて胸が締め付けられるような思いだった。
「なぁセーラ、俺はお前がどんなに辛い目に遭ってきたのか知ってる。でも俺は何もお前にしてやることが出来ない。こうして一緒に食事をして、お前と話をすることしかできないなんて、情けないな。」
「そんな事を言うな、知幸。お前が俺の頼みを聞いてくれて良かったと思ってるんだ。慣れない警護の仕事を頑張ってくれて、ありがとう。」
「そんな事言われると、照れるな。」

知幸がそう言って照れ臭そうに頭を掻くと、セーラのスマートフォンが鳴った。

「済まない、少し外に出て来る。」
「わかった。」

個室から出たセーラは、リヒャルトと話をしていた。

「どうした、何かあったのか?」
『いいえ。セーラ様、明日のスケジュールですが・・』
「それは後で確認すればいいだけだろう?今は友人と食事をしているんだ、切るぞ。」
『お待ちください、セーラ様!』


突然リヒャルトはセーラがスマホを切ったので、彼女は一体何を考えているのだろうかと、セーラに対して怒りが湧いた。

あのパーティーの事件以来、大きな騒ぎはなかったものの、供を連れずに外出するなどあり得ないことだ。
それに、自分に断りもなく横浜に向かうなんて―リヒャルトは居てもたってもいられず、コートを着て大使館を出ると、そのまま横浜へと向かった。
「それじゃぁ、また会いましょうね、セーラ様。」
「ええ、またいずれ。今夜は楽しかったです、和子さん。」
レストランの前でセーラは和子と知幸に向かって頭を下げた時、遠くからリヒャルトの声が聞こえ、彼女が振り向くと、そこには息を切らしてこちらへとやって来る彼の姿があった。
「リヒャルト、どうして・・」
「それはこちらがお聞きしたいです、セーラ様。何故わたしに断りもなく横浜へ?」
「それは後で話す。」
「セーラ様!」
「そちらが、セーラ様の旦那様ですか?」
和子はそう言うと、リヒャルトを見た。
「初めまして、わたしは山下知子と申します。夫婦の問題に口を出すのはさしでがましいと思いますけど、何処か静かな所でお話した方が宜しいんじゃありませんか?」
「あなたには、関係のないことです。セーラ様、参りましょう。」

リヒャルトは怒気を孕んだ顔でセーラを睨み付けると、彼女の手を掴んでエレベーターへと乗り込んでいってしまった。

「ねぇ、あの二人何かヤバそうね?」
「放っておけよ。ここから先は夫婦の問題なんだから。」

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最終更新日  2016.05.08 20:04:33
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「済まないな、セーラ。お袋が・・」
「いや、いいんだ。俺だって・・」

セーラはそう言って知幸に謝ると、和子の方へと向き直った。

「あなたが、知幸のお母様ですか?」
「はい、和子と申します。確かセーラ様は、息子とは警察学校の同期なんですよね?」
「ええ。」
「今は何をしていらっしゃるんですか?」
「それは・・」
「お袋、昨日テレビでやってたろ。」
「ああ・・確か、ローゼンシュルツ王国皇太子夫妻が来日したとか・・それがどうかしたの?」
「その皇太子が・・」
「初めまして、お母様。ローゼンシュルツ皇太子・セーラと申します。」
「え、皇太子・・ええ~!」
セーラの身分を知り、和子は動揺の余り素っ頓狂な叫び声を上げた。
「申し訳ございません、驚かせるつもりは・・」
「いいえ、わたしの方こそ、皇太子様に向かってとんだ失礼なことをいたしまして・・」
「お願いです、お掛けになってください。」
いくら個室で食事をしているとはいえ、ドア越しから周囲の客達の視線を感じたのか、和子は羞恥で顔を赤く染めて椅子に座った。
「どうして、セーラ様はローゼンシュルツ王国の皇太子様になったの?」
「それには深い事情があるんだよ!セーラは、5歳の時から日本で暮らしていたんだ。」
「でも、それじゃぁ実のご両親は?」
「セーラが日本に来ることになったのは、内戦でセーラの命が危ないと判断したセーラのご両親が、セーラを日本に逃がしたんだよ。そうだったよな?」
「ああ。」
「そうなの・・色々と、辛い思いをされてきたんですねぇ、セーラ様。」
「もう過ぎ去った事です、時間の針を元に戻せませんし、今わたしにはわたしを愛してくれる伴侶も、家族も居ます。それだけで充分なんです。」
「皇太子様、息子は少しおっちょこちょいで頼りないところがありますけど、仕事は真面目にする子なんで、宜しくお願いしますね!」
「こちらこそ、宜しくお願い致します。挨拶はこの位にして、お料理を頂きましょうか?」
「ええ・・」
それから三人は、楽しい時を過ごした。
「知幸、あんた警察学校に入学した時、あたしに電話したの覚えてる?」
「そんな昔の事、忘れたよ。」
「あんたが忘れていても、あたしはちゃんと覚えているのよ。あんたあたしが電話に出た途端、“母ちゃん、可愛い子が来た!”って言ったのよ?一体何のことだろうとその時は思ったけど、あれはセーラさんの事だったのね。」
「だってさぁ、俺セーラを初めて見た時、女だと思ったんだぜ?男風呂に入って来て、漸く男だってわかってガッカリしたよ。」
「そりゃぁお前の恋心を無残に打ち砕いてしまって悪かったな。それよりも知幸、結婚は?」
「独身だよ。だからお袋がついてきたんじゃないか。最近ではいつも留守電のメッセージに“まだ結婚しないの”って何回も吹き込むんだぜ!」
「だってねぇ、あんたもういい歳なんだから結婚するのが当たり前よ。手芸サークルの前田さんの息子さんは、去年結婚して孫まで生まれるんだから!」
「他人の息子と俺を比較しないでくれよ、お袋!」
「そんな事言ったってねぇ・・」

二人の会話を聞いていたセーラは、突然大声で笑い出した。

「どうされたんですか、セーラ様?」
「いえ・・お二人とも、仲が良いなって思って・・」

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最終更新日  2016.05.08 20:04:19
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「もしもし、山下でございます。」

知幸が携帯を取ろうとする前に、和子がさっと携帯の通話ボタンを押してしまった。

「わたしですか?知幸の母ですが・・はい、わかりました。」
「母さん、誰から?」
「日下部さんって方よ。」
知幸は和子の手から携帯を奪うと、深呼吸して日下部からの電話に出た。
「もしもし。」
『山下、お前のお袋さん、お前の部屋に押しかけてきたのか?』
「ええ、まぁ・・あの、ご用件は何ですか?」
『実はな、セーラ様がお前に会いたいとおっしゃってるんだ。』
「そうですか・・申し訳ありませんが・・」
「知幸、セーラって誰よ?」
日下部に断りの返事をしようとした知幸だったが、その途中で和子が二人の会話に割り込んできた。
「お袋には関係ないだろう!」
「ねぇ、昨夜食事したっていう友達がその方なの?母さんにも紹介しなさいよ!」
「俺とセーラは母さんが思っているような関係じゃない!」
『どうした?都合が悪ければ掛け直すが?』
「すいません、母が隣で煩くて。セーラ様には、丁重にお断り致しますと・・」
「もしもし、日下部さん?母の和子でございます。セーラ様というお方にお会いするには、何処へ行けば宜しいですか?」
『横浜ベイホテルで・・』
「わかりました、すぐに伺いますので、それでは失礼致します!」
「お袋、まだ話の途中だぞ!勝手に切るなよ!」
「あんた、水臭いわね!付き合っている人が居るなら居るって言えばいいじゃないの!」
「だから、違うって・・」

和子は早とちりなところがあり、一度こうだと決めたら相手の話など聞きもしない。

結局知幸は、和子と共に再び横浜ベイホテルへと向かう事になったのだった。

「知幸、そちらの方は?」
「俺の母です・・」
「初めまして、あなたがセーラさん?息子の知幸がいつもお世話になっております。この子ったら、もう30になろうとしているのに独身で、心配でありゃしないったら・・」
「お袋!」
「もしよろしかったらうちの息子を貰って頂けませんか?だらしがない子ですけど、その辺はセーラさんがビシビシと躾けてくだされば問題はありませんわ。」
初対面のセーラを相手に挨拶もなく、和子は彼女に向かって早速自分の息子を売り込もうとしていた。
「申し訳ありませんがお母様、わたしはお母様のご期待に添う事は出来ません。」
「あら、どうして?」
「もうわたしは、他の男性と結婚しておりますから。」

セーラはニッコリと和子に微笑むと、左手薬指に嵌められている結婚指輪を彼女に見せた。

「ま、まぁ・・あたしったら・・」
「お袋、早とちりすぎだって!」

知幸はそう言って和子を睨むと、セーラの方へと向き直った。

「ごめん・・」
「いや、いいんだ。」

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最終更新日  2016.05.08 20:04:06
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「久しぶりね、何年振りかな?」
「さぁな。それよりも、彼氏待たせちゃ悪いだろ?」

裕美が知幸に何か話したそうだったが、彼は彼女にデジカメを渡すと、その場から逃げるように去っていった。
彼女の隣に居た男性を見て少し落ち込んだが、いつまでも昔の事を引き摺るなんて男らしくないと、知幸はそう思いながら電車に乗り込んだ。
アパートの部屋に戻ると、リビングに置いてあるコードレスフォンの留守番電話のランプが赤く点滅していた。

『13件のメッセージがあります。』

コンビニで買ってきたポテトチップスをテーブルに置きながらメッセージを再生した知幸だったが、メッセージはどれも実家の母親からだった。

『あんた、ちゃんとしてるの?』
『いつもコンビニ弁当ばかりじゃ、栄養つかないわよ!』
『今度高校の同窓会あるんでしょ、行かないの!?』
どうして母親という生き物は、とてつもなくお節介で口煩いものなのだろうか。
今は仕事が忙しくて里帰りどころではないのに。
ポテトチップスを知幸が食べていると、不意に玄関のチャイムが鳴った。
「どちら様ですか?」
こんな時間に一体誰だろうと思いながら知幸がドアスコープから外を覗くと、ドアの前には裕美が立っていた。
「知君、話がしたいの。」
「話って何だよ?お前、彼氏はどうしたんだ?デートじゃなかったのか?」
「そのつもりだったんだけど・・急に彼、仕事が入っちゃって・・」
「何だよ、話って?」
知幸がドアを開けると、裕美は玄関先で靴を脱いで部屋に上がって来た。
「おい、勝手に入るなよ!」
「随分と片付いてるんだね?」
「話って何だよ?」
「知君、今付き合ってる人は居ないの?」
「居ねぇよ。お前には関係のないことだろう?」
「そう・・ねぇ、わたしともう一度、やり直さない?」
「俺、もうお前なんか好きじゃねぇから。お前彼氏持ちの癖に、よくそんな事が言えるよな?」
「酷い・・少しはわたしの話を聞いてもいいじゃない!」
「はぁ?勝手に人の家に上がり込んで来て、やり直そうって言われて、ハイわかりましたで済むかよ?」
「じゃぁこのまま帰れって言うの?」
「ああ、俺はもうお前の顔なんて見たくないんだよ。」
知幸は少し苛立ったようにこたつで寛ごうとする裕美を無理矢理立たせると、彼女を玄関先へと追いやった。
「もう帰れ。」
「酷い人、送ってくれてもいいじゃない!」
裕美は泣きながらそう叫ぶと、ドアを力強く閉めて廊下を走っていった。
「ったく、何だよ・・」
知幸はドアの鍵を閉めると、再びこたつの中へと潜り込んだ。
翌朝、外で小鳥が囀る声で目覚めた知幸は、こたつの上に散らばっているポテトチップスの食べカスとビールの空き缶をゴミ箱に捨てながら、シャワーを浴びた。

濡れた髪を彼がドライヤーで乾かしていると、玄関のチャイムが鳴った。

(今度は一体誰だよ?)

ドライヤーで髪を乾かすのを止めて、知幸が浴室から出て玄関先へと向かうと、ドアの前にはボストンバッグを提げた母親が立っていた。

「知幸、居るんでしょ?」
「何だよお袋、来るなら来るって連絡しろよ!」
「どうせ連絡しても、来るなって言うんでしょ!」

知幸の母、和子はそう言うと、部屋に上がってコートとマフラーを脱いだ。

「あんた、ちゃんと食事取ってるの?」
「うるさいなぁ、今作ろうとしてたんだよ!」

知幸がそう言って母親を睨んだ時、こたつの上に置いてあった携帯が鳴った。

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最終更新日  2016.05.08 20:01:37
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