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JEWEL

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完結済小説:金魚花火

2013.09.28
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「判決を言い渡す。被告人には、死刑を処する。」

裁判官がそう言った瞬間、傍聴人席に座っていた真那美は安堵の表情を浮かべながら槇に微笑んだ。

被告人席では、華凛を殺した柏木薫が項垂れたまま手錠を掛けられ、法廷を後にしようとしているところだった。

「待って。」

真那美はそう言うと、自分の方へと振り向いた薫を睨みつけた。

「あなたを、わたしは死ぬまで許しません。あなたの自己中心的な考えが、叔父の命を奪った。刑務所の中で、その日が来るまで自分の犯した罪を考えてください。」

真那美の言葉を聞いた薫は微かに顔を歪めると、彼女に背を向けた。

「もう、気が済んだかい?」
「ええ。行きましょう、もうここに居る必要はありません。」
「そう・・今日はいい天気だから、ドライブにでも行こうかね?」
「いいですね、行きましょう。」

裁判所を後にした真那美は、槇が運転する車に乗り、琵琶湖へと向かった。

冬の琵琶湖は雪に包まれ、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
厚手のコートを纏った真那美は車から降りると、冬の冷気に包まれて思わず寒さに震えた。
彼女はゆっくりと、華凛の遺体が発見された場所に花を供えた。

「叔父様、どうか安らかに眠って下さい。いつかわたしが叔父様達の元に行くまで、どうか天国でわたし達のことを見守って下さい。」

真那美はそう呟くと、合掌した。

「君は、これからどうするつもりだい?」
「篠華流を継ぎます。それが、わたしに託された役目ですから。」
「そうか・・」
「槇さん、お願いがあるんです。」
「何だい?」
「嵐山に行きたいんです・・」
「わかった。」
数時間後、槇は真那美とともに嵐山にある美術館の前に立った。
それは、華凛が生前設計を手掛けたものだった。
古都の景観を損なうこともなく、優美で趣のある外観の美術館は、今や人気観光スポットとして有名である。
「ここに、叔父様は居るんですね。」
「そうだよ。華凛さんの魂は、ここに居るよ。君が彼に会いたい時には、ここに来なさい。」
「はい・・」
「もう行こうか?」
「ええ・・」

美術館の中に入らずに、真那美と槇は車を停めている駐車場へと向かおうとした。

“真那美、またね。”

その時、真那美の背後で華凛の優しい声が聞こえた。

真那美が慌てて背後を振り向くと、そこには訪問着姿で髪を結いあげた華凛が彼女に笑顔を浮かべながら立っていた。

「どうしたんだい?」
「叔父様が・・」

真那美がそう言って華凛が居た場所を指すと、そこにはもう彼の姿はなかった。

(また来ます、叔父様。あなたに会いに・・)

たとえ肉体は滅んでも、華凛の魂は自分の側に居るのだと思いながら、真那美は槇とともに美術館を後にした。

《完》






Last updated  2013.09.28 14:42:27
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正英華凛が失踪して5年、彼の白骨化した遺体が琵琶湖畔で発見されたのと同時に、彼を殺害した女が逮捕された。

その女は、柏木満の妻、薫だった。

薫は事件前に華凛に対して一方的に想いを寄せており、彼が失踪した日の夜、夫が華凛と口論となり掴み合いになっているのを木陰から密かに見ていた。

そして夫が華凛のネックレスを奪って気絶させ、現場から立ち去って行くのを見た後、薫はそっと華凛の方へと近づいた。

「ねぇ正英さん、わたしと付き合わない?そしたらあのネックレス、取り返してあげてもいいわよ?」
「お断りします。わたしは、自分の手でネックレスを柏木さんから取り戻します。ですから、余計な事はしないでください。」
「何よ・・あんた一体何様のつもりよ!?」
こんな危機的な状況に陥ってもなお、自分に靡(なび)こうとしない華凛に薫は激昂し、咄嗟に近くの工事現場に置いてあった鉄パイプで華凛を撲殺した。
「あなた、助けて!あの人、殺しちゃった!」
動転した薫はすぐさま夫に電話を掛け、華凛の遺体を車のトランクに入れ、そのまま滋賀方面へと車を走らせた。
「何処行くの?」
「死体を捨てに行くに決まってるだろ!」
「あなた・・」
「お前が悪いんだからな!」

隣で泣き喚く妻にそう怒鳴ると、柏木は琵琶湖に華凛の遺体を投げ捨てた。

それが、5年前の事件の真相だった。

薫が警察で華凛殺害を自供したことにより、柏木は死体遺棄で逮捕された。

「叔父様は、悔しかったことでしょうね・・」
「そうだね・・でも遺体が見つかってよかった。もし遺体が見つからないままだったら、あの二人は殺人の罪を隠して平気な顔をしていつも通りの生活を送っていたかもしれない。きっと、君の死んだご両親やお祖父様が、二人に罰を与えたんだろう。」
「ええ・・」
華凛の遺体を引き取りに来た真那美は、槇とともに警察署の中へと入ろうとすると、突然二人の前に無数のマイクが突き出された。
「今回の事件をどのように思っていますか?」
「犯人に何か言いたい事があるのでは!?」
「通して下さい!」

槇がそう言ってレポーターを制止しようとした時、真那美は彼をキッと睨むと、彼の手からマイクを奪った。

「今回の事件について、犯人に言いたい事があります。わたしは生まれてすぐに両親を交通事故で亡くし、叔父と父方の祖父に育てられました。叔父は当時高校生でしたが、赤ん坊のわたしを必死に育ててくれました。わたしはそんな叔父を尊敬していました。京都を離れ、東京で暮らす叔父が時折京都に会いに来てくれることが、わたしにとっての唯一の楽しみとなりましたが、もう二度と叔父に会えないと思うと寂しいし、悔しい思いで一杯です。叔父を身勝手な理由で殺したあなたを決して許しはしません。」

真那美はそう言ってレポーターにマイクを返すと、槇に付き添われながら警察の遺体安置所へと向かった。

「叔父さんで、間違いないですね?」
「はい、間違いありません・・」

叔父の遺体が発見されたと真鍋に言われた時、覚悟を決めたつもりだった。
なのに、叔父の遺体を見た途端、真那美はショックと悲しみに襲われ、その場に蹲った。

「大丈夫かい?」
「ええ・・」

真那美はゆっくりと立ち上がり、そっと叔父の骨に触れた。

(お帰りなさい、叔父様・・)






Last updated  2013.09.28 14:26:33
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華凛が失踪してから5年の歳月が経ち、真那美は衿替えをして舞妓から芸妓になった。

「衿替えおめでとう、真那美ちゃん。」
「おおきに。」

舞妓時代から真那美を贔屓にしてくださっている大手建設会社の吉田専務は、そう言って彼女に微笑んだ。

「叔父さんの消息は、まだ掴めないの?」
「へぇ、警察の方からはまだ連絡がありまへん。」
真那美はそう言うと、衿元から覗くピングゴールドの鎖を見た。
5年前、叔父・華凛は突然失踪し、真那美と槇の元には彼の物であったユニコーンのネックレスだけが残った。
「すまないね、辛い事を聞いて。」
「いいえ・・」
「余り気を落とさないようにね。」
「へぇ・・」
「それじゃぁ、また来るね。」
吉田専務はさっと座布団から立ち上がり、部屋から出て行った。
「ただいま戻りました。」
「お帰り、真那美ちゃん。あのな、さっきここに真鍋さんが来たんえ。」
「真鍋さんが、どすか?」
「何でも、あんたの叔父様の消息が判ったとか・・うちの部屋に通したさかい、会ってきよし。」
「そうどすか。」
お座敷から置屋へと戻った真那美は、女将に頭を下げると、真鍋が待っている女将の部屋へと入った。
「真鍋はん、お久しぶりどす。」
「真那美さん、こちらこそお久しぶりです。実は今日ここに来たのは、君の叔父である正英華凛さんが見つかりました。」
「叔父様は、今何処に?」
「それが・・」
真鍋はそう言って低く唸った後、バツの悪そうな顔をした。
「どうかなさったんどすか?」
「こんな事をあなたに告げるのは言いにくいのですが・・華凛さんの遺体が、琵琶湖畔で発見されました。白骨化していました。」
「そんな・・」
真那美は真鍋からの言葉を聞いた後、床にへたり込んだ。
叔父が―自分の親代わりだった叔父が死んだ。
「どうして、叔父の遺体やと判ったんですか?白骨死体やのに?」
「遺体の歯型と、叔父さんの歯型が一致しました。」
「そうどすか・・お忙しいのに、わざわざお越し下さっておおきに。」
「いえ・・」
真鍋はハンカチで目元を押さえる真那美の肩をそっと叩くと、部屋から出て行った。
「どないしたん、真那美ちゃん?」
「おかあさん・・叔父様が・・」

その真那美の言葉で全てをさとったのだろう。
置屋の女将は、真那美を優しく抱き締めると、今日はゆっくりと休むようにと言った。

「お休みなさい、おかあさん。」
「お休み・・」

翌朝、華凛の白骨化した遺体が琵琶湖畔で発見され、現場周辺はマスコミが殺到した。

「さきほど入った情報によりますと、正英華凛さんを殺害した犯人が逮捕されたということです。」

ニュースの画面が切り替わり、京都市内にある警察署の前に停車したパトカーから容疑者が出て来るのを、真那美と槇はテレビ画面越しに見た。

「槇さん、うちはどうすれば?」
「何も動じないこと。それが一番の対処法だよ。」
「へぇ、わかりました。」






Last updated  2013.09.28 14:58:28
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2013.09.27

華凛が突然職場から失踪してから数ヶ月が過ぎたが、警察は未だに彼の消息を掴んでいなかった。

東京の警視庁にある取調室では、華凛失踪時の唯一の目撃者である柏木満の取り調べが連日行われていた。

「だから、僕はやっていませんって!」
「お前と被害者は、事件前から仲が悪かったことはわかってんだ。いい加減、白状したらどうだ!」
「僕は彼を殺してなどいません!どうして信じてくれないんですか!?」
柏木満は半ベソをかきながら、必死に真鍋達に対して身の潔白を訴えた。
だが、彼の自宅を真鍋達が家宅捜索すると、柏木の妻が使っていたドレッサーの引き出しから、華凛のネックレスが見つかった。
「これに見覚えは?」
「それは・・」
「あんたの奥さんが使ってたドレッサーから出て来たんだよ。被害者のネックレスが、何でお前の家にあるんだ?」
「それは・・その・・」
「このネックレスの鎖から、あんたの指紋が出た。詳しく俺達にも解るように説明して貰おうか?」

真鍋達に詰め寄られた柏木は、観念して華凛が失踪した当日に起きた事を話した。

その日、来年春に嵐山にオープンする予定の美術館のコンペディションは、華凛が所属する設計一課が勝った。

「畜生、また一課に負けるなんて・・」
「すいません・・」
「ったく、お前は本当に役立たずだな、柏木!」

上司から激しく罵倒され、意気消沈した様子で会社を出た柏木は、正面玄関前で華凛と会った。

「柏木さん・・」
「お前さぁ、あんまり調子に乗るなよ?」
「わたしは調子に乗ってなんか・・」
「お前の澄ました顔が、ムカつくんだよ!」
ムシャクシャした気持ちを柏木は思わず、華凛にぶつけてしまった。
彼は華凛の胸倉を掴むと、彼を乱暴に突き飛ばした。
その時、華凛が首に提げていたネックレスが鎖ごとひきちぎられた。
「いい物持ってんじゃん。」
「返してください、それは・・」
「うるせぇ、お前は黙ってろ!」
柏木はそう華凛に怒鳴って地面に蹲った彼の顔を蹴った。
彼は近くの自販機に後頭部を強打し、気絶した。
「あいつを殺してしまったんじゃないかって、急に怖くなってその場から逃げました。」
「それだけか?」
「ええ。ネックレスは僕が持っていれば安全だろうと思って、現場から持ち去りました。」
「柏木さん、あんた会社の金を横領してたんだろ?その罪を、被害者に擦り付けようとしてたんじゃないんですか?」
「違う、横領は上司が・・井畑課長がやっていたことだ!ちゃんと彼が横領したという証拠が自宅にある!嘘じゃない!」
「その言葉、信じていいんですね?」
「お願いです・・早く僕を家に、妻の元へと返してください!」

真鍋は柏木を一度信じることにし、彼の自宅へと向かった。

「先輩、ありました!」
「でかした!」

真鍋は柏木の自宅から井畑課長が会社の金を横領していた証拠を発見し、柏木を釈放した。

「あなたを疑ってしまって、申し訳ありませんでした。」
「いえ・・僕は、正英さんに嫉妬していたんです。彼には、建築家としての才能があった。それに、同僚や上司との関係も良くて・・馬鹿ですよね、こんなつまらない事で彼に暴力を振るって、憂さを晴らそうだなんて・・」

柏木はそう呟いて溜息を吐くと、俯いた。






Last updated  2013.09.27 14:56:22
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「言いたい事がおありなら、はっきりと言っておくれやす。」
「真那美ちゃん・・」

男に詰め寄った真那美を、すかさず雛菊が窘(たしな)めた。

「叔父様の身に、何かあったんどすか?」
「実は、あなたの叔父に当たる正英華凛さんが、数週間前に失踪しましてね。あなたの所に居るのではないのかと思って京都に来たのですが・・」
「叔父様が、失踪されたて・・」
「ええ。何でも、会社の金を横領したとか・・」
「そんなの、嘘どす。叔父様はそないな事をするような方やおへん!」
真那美がそう叫ぶと、今まで賑やかだった会場が突然水を打ったかのように静まり返った。
「真那美ちゃん、落ち着きよし。」
雛菊はそう言うと、真那美の袖を引いて彼女を会場の外へと連れ出した。
「真那美ちゃんが言いたい事はわかるけど、場を弁(わきま)えなあかんよ。あの方は、うちらにとってはお客様や。お客様に失礼な事を言ってはあかんえ。」
「そやけど・・」
「うちかて、真那美ちゃんの叔父様が横領なんてしてへんこと、信じてる。」
「堪忍え、雛菊ちゃん。雛菊ちゃんにも迷惑掛けてしもうて。」
「さ、戻ろう。」
雛菊とともにパーティー会場へと戻ると、真那美は同僚と談笑している男の方へと向かった。
「あの、さっきは怒鳴ってしまって申し訳ございませんでした。」
「いえ・・こちらこそ、あなたの叔父様について失礼な事を言ってしまい、申し訳ありませんでした。自己紹介が遅れましたが、わたしは真鍋良太(まなべりょうた)と申します。」
「真鍋様、これから宜しゅうお頼申します。」
「こちらこそ。」

真鍋刑事はそう言うと、真那美に微笑んだ。

「真鍋、あれが正英華凛の姪か?」
「はい。祇園の舞妓です。彼女から話を聞きましたが、正英華凛は横領などしていないと・・」
「感情に振り回されるな、真鍋。」
「すいません・・」
先輩刑事から軽く叱責され、真鍋はそう言って俯いた。
「それよりも、柏木は何て言ってましたか?」
「あいつは、正英が横領したに違いないとの一点張りで・・一体どうなっているんだか・・」
「来年春に嵐山にオープンする予定の美術館のコンペディションを巡って、正英華凛が所属していた設計一課と、柏木満が所属していた設計二課との間で、凌ぎを削っていたようだからなぁ。それに、柏木満は事件前から正英華凛のことを色々と恨んでいたようだし・・」
「あいつを殺す動機があると?」
「ああ。良く考えてみろ、正英華凛が失踪した当日、彼を目撃したのは柏木満ただ一人だというじゃないか?あいつが正英華凛に声を掛けて、彼を殺した・・」
「それも有り得ますが、憶測で柏木を黒と決めつけてはいけません。もっと慎重に捜査を進めないと・・」
「俺もそうしたいところだが、上層部から早く事件を解決しろと言われてな・・」

真鍋達の会話を聞きながら、真那美は華凛が無事であるようにと祈った。

「ただいま戻りました。」
「お帰り。真那美ちゃん、あんたにお客様え。」
「お客様?どなたどすか?」
「藤堂様とおっしゃる方や。」
「そうどすか・・」

数分後、女将の部屋に真那美が入ると、そこには珍しく着物ではなくスーツを着た槇が座布団に座っていた。

「槇さん、どないしたんどす、こないな時間に?」
「華凛さんの事は、聞いているね?」
「へぇ、聞いてます。ほんまに、叔父様は会社のお金を・・」
「それはないと思うよ。彼は清廉潔白な人だ。不正に手を汚すような人ではない。」
「うちも信じたいと思います。叔父様が、無事でいて欲しいと・・」






Last updated  2013.09.27 14:25:30
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真那美が店出ししてから丁度1ヶ月を過ぎた12月初旬、彼女は高熱で倒れた姉芸妓・梅千代の名代として京都市内のホテルで開かれている警視庁と京都府警主催のパーティーに出席する事になった。

「ほなおかあさん、行ってきます。」
「気ぃつけてな。」
「へぇ。」

黒紋つきの振袖に、西陣の鮮やかな金色のだらり帯をつけ、髪に12月の花簪を挿した真那美は、女将に頭を下げると、置屋の前に停まっているタクシーに乗り込んだ。

「ホテルグランヴィアまで、お願いします。」
真那美がそうタクシーの運転手に告げると、彼は無言で頷いて花見小路を抜けて大通りへと向かった。
「12月になったら、ここら辺でよう舞妓や芸妓さんの姿を見かけますなぁ。」
「この季節はパーティーや忘年会が多いさかい、休んでる暇がありまへん。」
「そうどすか。無理をしたら倒れますさかい・・」
「肝に銘じておきます。」

運転手とそんな会話を交わしながら、真那美はホテルグランヴィア京都があるJR京都駅前でタクシーから降りた。

「あ、舞妓さんだ。」
「あれ、本物?」

真那美の近くを歩いていた観光客らしきカップルが、そう言ってジロジロと彼女を見た。

最近では観光客が舞妓に変身する“変身舞妓”が祇園近くを歩いている為、舞妓の事を良く知らない人達は変身舞妓を本物の舞妓と勘違いしている事が多い。

変身舞妓のサービスをしている専門店など、京都市内には何軒かあるが、一部のマナーの悪い観光客の所為で、祇園の文化が誤解されるのではないかと真那美は少し心配していた。

彼らも京都の経済を潤していることに間違いないのだが、花街のしきたりを知らない者が舞妓に扮装していいものなのだろうか。

そんな事を考えている内に、真那美はパーティー会場である「竹取の間」に着いた。


「真那美ちゃんも来てたんや。」

真那美がパーティー会場に入ると、宮川町の舞妓である雛菊がそう言って彼女に駆け寄ってきた。

「雛菊さん姉さんも、パーティーに?」
「へぇ。うちとこの姉さんが怪我してもうて・・」
「うちも、梅千代さん姉さんが高熱を出してしもうて、代理で来たんどす。」
「そうなんや。それよりも、何やいかつい人ばかりやわぁ。」
パーティー会場を見渡しながら、雛菊はそう言って厳つい顔をしている警察官を見ながら溜息を吐いた。
「何やみんな同じ顔に見えてしまうわぁ。どこかにイケメンはおらへんのかなぁ?」
「雛菊ちゃん・・」
真那美が少し呆れたような目で雛菊を見た時、置屋の玄関先で見かけた男が自分を見ていることに気が付いた。
「どないしたん?」
「何や、あの人うちのことをじぃっと見てはる気がして・・」
「気の所為やないの?」
「そうやろうか?」
真那美はさっと男から視線をそらして雛菊の方へと向き直ると、その男はいつの間にか彼女達の前に立っていた。
「いつの間に・・」
「この前は、失礼な事を言ってすいませんでした。」
「へ、へぇ・・」
「あの、お客様も警察の方なんどすか?」
「まぁね。いつも自己紹介する時は、公務員と言ってますけど。警察だと言うと、みんな身がまえちゃって・・」
「そうなんどすか。うちは宮川町の“あやな”の雛菊と申します。」
「うちは、祇園の“さざれ石”の真那美と申します。」
「真那美・・もしかして、君があの正英華凛さんの姪御さん?」
「へぇ、そうどすけど・・叔父様の事を、ご存知で?」
「まぁ、一応ね・・」

ちょっと言葉を濁した男に、真那美は少し不快になった。






Last updated  2013.09.27 12:18:52
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手術室の赤い「使用中」のランプが消えたのは、淳史が病院に搬送されてから3時間後のことだった。

「淳史、お母さんよ、わかる?」
「しっかりしろ、淳史!」
ストレッチャーに乗せられた淳史が手術室から姿を現すと、高史と結子は彼に駆け寄った。
「先生、淳史は大丈夫なんですか?」
「ええ。幸い、右足の骨折だけで済みましたし、脳に異常は見られませんでした。」
「ありがとうございます、先生!」
結子はそう言って医師に向かって頭を下げると、高史と手を握り合った。
「良かったわね、あなた!」
「ああ・・淳史が助かって良かった。」
「ねぇ、お義父様には連絡を・・」
「ああ、したさ。今こっちに向かってるって。」
「そう。」
結子が何か言いたそうな顔をして高史を見たが、彼女はさっと淳史の方へと向き直った。
「結子、あの子の事はもう放っておけ。あの子が僕達を捨てて鈴久の家を出たんだ。」
「あなた、そんな言い方はおよしになって。あの子はまだ15歳なんですよ?」
「昔、男子は15歳で成人を迎え、子どもではなく成人として地域や組織に扱われた。あいつはもう、子どもじゃない。自分がしたことは、ちゃんと自分で責任を取らせるべきだ。」
「あなた・・」
「僕の息子は、淳史だけだ。」

そう言った高史の目は、どこか冷たかった。

「ほな、うちはこれで失礼致します。」
「気をつけて帰りなさい。」
「へぇ。」

最後のお座敷が終わり、料亭から花見小路を出た真那美は、夜の祇園を一人で歩いていた。
昼間は観光客で賑わう祇園だが、夜となると全く人気がなかった。

真那美が置屋を出る時に前日の雨で濡れて滑りやすかった石畳も既に乾いていたが、置屋への帰り道には幾つか大きな水たまりが出来ていた。

それらを真那美は器用に避けながら置屋の玄関先へと向かって中に入ろうと引き戸を開けた時、中から一人の男が出て来た。

「おい、邪魔だ。」
「すいまへん・・」
ダークグレーのスーツを着た長身の男は、胸に赤いバッジをつけていた。
真那美はさっと脇に寄り、男に一礼するとそのまま置屋の中へと入った。
「おかあさん、ただいま戻りました。」
「お帰りやす。」
「おかあさん、さっきの方、どちらさんどすか?」
「何でも、東京から来はった刑事さんやわ。」
「刑事さんが、何でここに来たんどすか?」
「来週末、東京の警視庁の方がホテルでパーティーを開きはるんやけど、そこへ何人かうちんとこの芸妓や舞妓ちゃんを派遣してくれへんかって・・」
「そうどすか。せやったら、うちもそのパーティーに行きます。」
「大丈夫なんか?あんた最近働きづめで、碌に寝てへんやろう?」
「そんなん、舞妓になる前から覚悟して来ましたさかい、少し位寝ぇへんかっても平気どす。パーティーには、梅千代さん姉さんも・・」
「あの子も行くことになってるけど、まだ本調子やあらへんし・・」
「姉芸妓の顔を立てる為に、おかあさん、どうかうちをパーティーに行かしておくれやす。お願いします。」
「あんたに頭を下げられたら、うちはもう断られへんなぁ・・」

真那美に頭を下げられた置屋の女将は、そう言って溜息を吐くと彼女が警視庁のパーティーに行くことを許可した。

「今夜は冷えるさかい、寝る前にお風呂に入り。」
「へぇ。おかあさん、お休みなさい。」
「お休み。」






Last updated  2013.09.27 12:17:12
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2013.09.26
「彗はまだ京都から帰ってこんのか?」
「そのようです。」
「“そのようです”だと?実の息子に向かって、何て他人行儀な言い方だ!」

東京・田園調布にある鈴久家のダイニングルームで、高生はそう声を張り上げると高史を睨んだ。

「お前は自分の息子が可愛くないのか?」
「もうあの子は僕の手には負えません。」
「お前はいつから、そんな薄情な奴になったんだ!」
「僕がこうなったのは、香奈枝の所為ですよ。もう出ないと会議の時間に遅れますので、失礼。」
「待て高史、まだ話は終わっておらんぞ!」
背後で父の怒声を聞きながら、高史は玄関を出て待機していたリムジンの中へと滑りこんだ。
「今日は渋滞に嵌りたくないから、急いで会社へ向かってくれ。」
「かしこまりました。」
運転手はそう言うと、邸内路から外へと出て行った。
「社長、おはようございます!」
「おはようございます!」

リムジンから降り、会社の中へと入った高史に、数人の社員達がそう挨拶して次々と頭を下げた。

「社長、いつ見ても格好いいわね。」
「既婚者なのが惜しいわぁ。」
「そうよねぇ。」

女子社員達は口々にそう言いながら、溜息を吐いた。

「社長、おはようございます。」
「おはよう、氷室君。」

高史が社長室の椅子に腰を下ろすと、彼の第一秘書である氷室宗助が社長室に入って来た。

「今夜は赤坂の料亭で峰岸先生と会食のお約束が入っております。」
「わかった。何時だ?」
「7時です。社長、今度の選挙には出馬なさるおつもりですか?」
「さぁね。僕は政治に興味はないし、二世議員って言われるのは嫌なんだ。」
「そうですか。まぁ、お父様はまだ御健在でいらっしゃいますし・・」
「さてと、今日も忙しいな。」
昼休み、高史が社長室で仕事をしていると、彼のスマホが鳴った。
「もしもし。」
『あなた、淳史が大変なの!あの子が、車に撥ねられて・・』
「何だと!淳史は・・あの子は大丈夫なのか?」
『あなた、病院に来て下さらない?』
「わかった、今すぐ行く!」
高史は社長室から飛び出すと、扉が閉まろうとしていたエレベーターに乗り込んだ。
「すぐに車を出してくれ!息子が事故に遭って病院に運ばれたんだ!」
「はい、わかりました!」
数分後、高史が息を切らしながら淳史が搬送された病院へと向かうと、そこにはハンカチを握りしめた結子が手術室の前に立っていた。
「あなた・・」
「あの子は無事なのか?」
「ええ・・救急車でこの病院に運ばれた時には、まだ意識はあったわ・・けど、あの子がどうなるのかわからないの・・」
結子はそう言うと、嗚咽を漏らした。
「あなた、ごめんなさい、わたしがついていながら・・」
「お前が悪いわけじゃない、悪いのは淳史を撥ねた車の運転手だ。あの子はきっと大丈夫だ。」

目の前で我が子が車に撥ねられ、半狂乱となっている結子の背中を何度も擦りながら、高史は淳史の無事を祈った。

(淳史、まだ死なないでくれ・・僕には、お前しか居ないんだ!)






Last updated  2013.09.26 21:41:14
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「あ、これ安くねぇ?」
「え、どれ?」

大阪市内のインターネットカフェで、数人の少年達がパソコンの画面を食い入るように見ていた。

そこには、彗が作成した通販会社のオンラインショップの画面が映っていた。

“格安サプリメント”、“スーパーマンになれるお薬、あります”という広告が躍っており、少年達はそのサプリメントの正体が何なのか解らずに、「購入」ボタンをクリックした。

「彗、お前が作ったオンラインショップの売り上げ、順調じゃねぇか?」
「ありがとうございます。」
「これからも宜しく頼むよ。」
「はい!」
「さてと、お前への労いとして、今日は俺が飯、奢ってやるよ。何がいい?」
「焼肉がいいっす!」
「そうか、じゃぁ行こうか。」
枡田とともに事務所を出た彗は、彼が行きつけの焼肉店へと向かう途中、お座敷帰りの真那美とすれ違った。
「あいつが、お前が話していた知り合いか?」
「いいえ。」
「そうか。」

真那美を危険に晒したくなくて、彗は咄嗟に嘘を吐いた。

「なぁ彗よ、お前ぇん所の爺さん、まだ現役か?」
「ええ。それがどうかしましたか?」
「俺の所で働いていいのか?」
「別にいいんですよ、祖父ちゃんもあの人達も、何も言わないし。」

彗はそう言うと、目の前にある網に置かれているカルビを一枚自分の皿に取り、それを口に放り込んだ。

「美味いか?」
「美味いっす!」
そう言って屈託のない笑みを浮かべる彗を見ながら、枡田は彼が家族運に恵まれていないということがすぐに解った。

枡田も、悲惨な家庭環境の中で育ったからだ。

彼の父親は枡田組の組長で、母親は父親の星の数ほど居る愛人の一人だった。
幼い頃から“ヤクザの息子”と呼ばれて苛められたことがあったが、いじめっ子に殴られたら殴り返し、罵倒されたらその分罵声を浴びせた。

中学の時には、凶暴な上級生たちをも震え上がらせるワルへと成長し、毎日喧嘩三昧の日々を送っていた。

父親はそんな枡田を見限りはしなかったが、彼との関係は冷めたものだった。

「なぁ彗よ、お前ぇ親父さんとは仲悪いのか?」
「仲が良い、悪いの前に、親父は俺なんかに関心持ってませんから。親父は、俺の事産まれなきゃ良かったと思ってるんですから。」
「俺でよけりゃぁ、話聞くぜ?」
「実はね・・俺、死んだお袋が不倫して出来た子どもなんすよ。父親は何処の誰なのか知りませんし、興味ありませんね。金には不自由しなかったけど、いつも一人だった。寝る時も、飯食う時も。」
「そうか、寂しかったんだな。これからはよ、俺を実の兄貴と思ってくれよ。」
「はい、宜しくお願いします!」
「可愛い奴だなぁ、お前ぇは。」

枡田はそう言って豪快に笑うと、彗の頭をクシャクシャと撫でた。






Last updated  2013.09.26 20:40:46
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置屋へと戻った真那美は、早速自分の部屋に入って身支度を整えた。

「おかあさん、化粧出来ました。」
「そうか。男衆(おとこし)の南方さんが来てはるえ。」
「そうどすか。」

男衆の南方に着付けを施され、12月の花簪を髪に挿した真那美は置屋を出て、前日降った雨で濡れた花見小路をおこぼで歩いた。

裾が濡れないように左手で褄(つま)を取り、目的地である老舗旅館「ささき」の正面玄関へと彼女が入ろうとした時、僅かな段差に足を取られ、彼女は身体のバランスを崩して石畳の床に転倒しそうになった。

だがその時、誰かが背後で自分を抱き留めてくれた。

「おおきに、助かりました。」
「大丈夫、怪我はない?」
「へぇ、お蔭さまで・・」

真那美は自分を助けてくれた人に礼を言おうと背後を振り向くと、そこには髪を金色に染めた少年が立っていた。

その少年の顔に、真那美は何処か見覚えがあった。

「すいまへんけど、うちと何処かで会うたことはありまへんか?」
「急にそんな事聞かれても・・君、名前は?」
「うちは真那美といいます。」
「真那美・・じゃぁ、君は小学校の時、よく俺と一緒に遊んだ真那美ちゃんなの?」
「そうどす。あの、お名前伺ってもよろしおすか?」
「俺?俺は鈴久彗(けい)っていうんだけど。」
「やっぱり、彗君や!」

真那美はそう叫ぶと、嬉しそうな顔で彗を見た。

「お久しぶりどすなぁ、元気にしてはりました?」
「まぁね。どうして真那美ちゃんはここに?」
「うちはこれからお座敷どす。彗君は?」
「俺はちょっと野暮用でね。じゃぁ。」
彗はそう言って真那美に手を振ると、旅館の前から去っていった。
「すいません、遅くなりました。」
「どうした、一度も遅刻しないお前が今夜にしては珍しいじゃねぇか?」
数分後、彗が四条通にある雑居ビルの三階にある通販会社の事務所に入ると、革張りの椅子に座っていた30代前半の男がそう言って彼を見た。
彼の名は枡田といって、裏社会では一目置かれている存在であった。
「まさかお前ぇ、サツに目ぇつけられたんじゃねぇよなぁ?」
「いいえ、それはありません。ささきの前で、知り合いに会いまして・・」
「知り合い?」
「小学校の時に、一緒に遊んでいた友達です。」
「そうか。なぁ彗、もう俺らのパシリをするのはもう飽きたろ?俺ぁなぁ、お前ぇにでっけぇ仕事を任せたいと思ってんだよ。」
「デカイ仕事、ですか?」
「ああ。お前ぇ、パソコンに詳しいんだろ?いいやつがこの前入ってきたからよ、それをネット上で売りたいんだよ。」
「はぁ・・」
彗は枡田が自分に何を要求しているのかがわかった。
「すぐに取りかかります。」
「そうか、頼んだぜ。俺ぁパソコンはどうも苦手だからよ、お前ぇにしか頼める奴がいねぇんだよ。」

枡田はそう言って彗の肩を叩くと、事務所から出て行った。

彼はこの会社の社長だが、仕事よりも競馬場や競輪、パチンコ店などに入り浸っていることが多く、この事務所に顔を出すのは月に数回位である。

彗は枡田が関西一円を牛耳っている暴力団・枡田組の次期組長であることを知っている上で、彼の下で働いていた。

何故なら自分の居場所は、ここしかないからだ。






Last updated  2013.09.26 15:30:11
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