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JEWEL

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完結済小説:紅き月の標

2013年11月05日
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1949(昭和24)年3月。

神戸・三ノ宮にある洋裁学校で、卒業式が行われた。

「これから社会に出る皆さんには、我が校で学んだ経験や技術を生かし、大きく自分の翼を広げてください。」

卒業式は滞りなく進行し、やがて主席卒業生の挨拶の時間になった。

「土方利尋君、前へ。」
「はい!」
利尋は元気よく返事をすると、壇上へと向かった。
「僕はこの学校で様々な事を学びました。素晴らしい先生方と仲間達と力を合わせたこの3年間の学校生活の事を、僕は決して忘れません。」
「あの子も立派になりましたね、あなた。」
「ああ・・」
保護者席で主席卒業生として挨拶する利尋の姿を見つめながら、歳三と千尋はそう言って溜息を吐いた。
「利尋、卒業おめでとう。」
「ありがとうございます、お父様、お母様。」
「3年間良く頑張りましたね。」
卒業式を終えた後、利尋は両親と兄、母の従兄である博章とともに神戸市内にあるステーキハウスで夕食を取っていた。
「利尋君は、これからどうするんだい?」
「そうですね・・パリに行って、もっとデザインのことを勉強したいと思います。」
「留学費用は俺達が出すから、心配するな。」
「一度海外に出て、広い世界を見ることは必ずあなたの役に立つ筈よ。」
利尋が両親にフランスへ留学したい事を話すと、二人は笑顔で彼に賛成してくれた。
「利尋はいいよなぁ、ちゃんとした夢があって。俺なんか将来何をしたいのかなんてまだわからねぇよ。」
「明歳君、焦りは禁物だよ。誰だって自分の道を決める時が来るんだから。」
「博章さん、新しい病院の方にはもう慣れたの?」
「ああ。すまないね千尋ちゃん、僕の就職の世話までしてくれて・・」
「いいのよ、西田家には色々と世話になったのだから、これ位させて頂戴。」
「さてと、今夜は二人の若者達の輝かしい未来を祈って乾杯しようじゃないか!」
「お、博章おじさん太っ腹~!」
「千尋ちゃん、どう?僕に惚れ直したかい?」
「言っとくが博章、千尋は渡さねぇよ!」
「まぁた、始まったよ・・」
「そうだね・・」

大人三人の喧嘩を傍目で見ていた少年達は、そう言って溜息を吐くとグラスに入った水を飲んだ。

1953年(昭和28)2月、横浜港。

「それでは、行って参ります。」
「あなたは昔から気管支が弱いから、風邪をひかないように気をつけるのですよ。」
「わかっています、お母様。」
「何でも一人で抱え込むんじゃねぇぞ?」
「わかりました、お父様。」
「気を付けてね、利尋君。」

両親達に見送られながら、利尋はファッションの本場・パリへと旅立っていった。

~Fin~


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最終更新日  2016年09月29日 15時37分02秒
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「博章さん、戦死した筈のあなたが、どうしてここに居るの?」
「それは、話せば長くなる。それよりも千尋ちゃん、何か作ってくれないか?」
「わかったわ・・」
パプアニューギニアで戦死した筈の博章が土方家に現れ、千尋達は少し混乱していた。
「なぁ、本当に西田のおじさんなのか?」
「幽霊じゃなさそうだよ?ちゃんと足もあるし。」
「馬鹿野郎、幽霊でも足がある奴も居るんだよ。」
「ねぇ、本当に人間かどうか誰か試してみたら?」
千尋と博章が居る部屋の襖を少し開け、部屋の中を覗きながら歳三達がそんな会話をしていると、彼らの視線に気づいた博章が襖を勢いよく開け放った。
「うわぁ!」
バランスを崩した彼らは無様な格好で廊下に転がってしまった。
「何をなさっているのですか、あなた達!?」
「どうやら僕が幽霊なんじゃないかって彼らは疑っているみたいだ。言っておくが、僕は人間だよ。」
「けど、お前ぇと同じ部隊に居たっていう奴がうちに来て、お前ぇの遺骨を信子さんに渡したぞ?」
「多分それは、僕の遺骨じゃないと思う。」
「何だって?」
「僕が居た部隊がパプアニューギニアから撤退する時、米軍の爆撃に遭ってね。その爆撃で死んだ者達の遺体は纏めて穴に入れられて埋められたんだ。それに僕と同じ部隊に居たという奴も、僕の生死が判らぬままその辺に転がっている赤の他人の遺骨を僕の遺骨だと間違えて信子に渡してしまったのかもしれないな。」
「そんなことが・・」
「それよりも千尋ちゃん、信子は何処に居るんだい?君達と一緒に暮らしていたと聞いたけど・・」
「博章さん、信子さんは亡くなられました。」
「え?本当に、信子は死んだのか?」
「ええ。あなたが遺した病院を守ろうとして、無理をして・・病院で勤務中にクモ膜下出血で倒れられてしまって、そのまま・・」
「何ということだ!僕は今まで、どんなに辛い事があっても信子の存在を心の支えにして生きていたというのに!」
「本当に、残念でなりません。博章さんが生きていると信子さんが知ったら、どんなにお喜びになったことか・・」
千尋はそう言って博章を慰めたが、彼はそのまま食事に手をつけずに部屋から出て行ってしまった。
「戦争っていうのは、悲劇しか生まねぇな・・」
「そうだね・・」
利尋の脳裏に、日本から引き揚げる際港で見かけたあの女児の姿が浮かんだ。
あの後、彼女は無事に家族とともに祖国の土を踏めたのだろうか。
「利尋、どうした?」
「ううん、何でもない。僕明日早いから、もう寝るね。」
「ああ、お休み。」
「お休みなさい。」
翌日、歳三が居間に入ると、そこには二人の息子達とともに朝食を食べている博章の姿があった。
「お前ぇ、実家に戻らなくてもいいのか?」
「ええ。千尋さんから、病院が人手に渡った事を知りました。それに、僕の両親は僕が出征した後に他界していますし・・帰る場所が、何処にもないんです。」
「だったら、ここで暮らすか?」
「いいんですか?」
「男手は一人でも多くいた方がいい。まぁタダでここに住まわせる訳にはいかねぇな。」
「これから、宜しくお願い致します。」
「こちらこそ。」

こうして、博章は歳三達と一緒に暮らす事になった。


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最終更新日  2016年09月29日 15時36分52秒
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「一体誰が、こんな酷い事を・・」
「さぁな。」

何者かによって割られた玄関の硝子戸の残骸を明歳と千尋が箒とちり取りを使って片付けていると、そこへ武雄が通りかかった。

「どうなさったんですか?」
「玄関の硝子戸が誰かに割られてしまって・・」
「わたしも手伝いましょう。」
「いえ、結構です。」
ちり取りで残りの硝子片を掻き集めた千尋は、そう言って武雄に背を向けた。
「明歳、夕飯の支度を手伝って頂戴。」
「ああ、わかったよ。」
「吉田さん、何か用ですか?」
「ええ、実はさっき銀座の辺りを歩いていましたら、あなたのご主人が見知らぬ女の方と歩いているのを見てしまいまして・・」
「あら、そんな事をわざわざわたくしに報告しにいらしたの?ご苦労様ですこと。」
千尋はそう言って武雄に微笑んだが、目は笑っていなかった。
「あなた、銀座で一緒に歩いていらした女の方はどなたです?」
「千尋・・」
歳三が帰宅し、千尋は早速彼に武雄から聞いた女の事を彼に尋ねてみた。
「あいつは俺が通っている店のママだ。」
「まぁ、そうですの。わたくしてっきり、またあなたが外に妾を作っているのかと思いましたわ。」
「誤解だ、千尋。そいつとは寝てねぇ。」
「あら、そうですの。」
千尋はそう言うと、歳三を睨んで居間から出て行った。
「父さん、あんまり母さんを怒らせないでくれよ?」
「わかってるよ。それよりも利尋の様子はどうだ?」
「まぁ、少しずつ回復しているかな。先生の話だと、近いうちに退院できそうだってさ。」
「そうか・・」
6月に入院していた利尋が退院し、再び家族の元に戻ったのは、7月中旬のことだった。
「お帰り、利尋。」
「心配をお掛けしてしまってごめんなさい・・」
「利尋、学校にはいつ戻るの?」
「9月には戻ろうと思っています。それまでに、休んでいた分の勉強の遅れを取り戻そうかなと・・」
「あなたが元気になって良かったわ。」
両親と兄に温かく迎えられた利尋は、1ヶ月ぶりに千尋の手料理を味わった。
「お母様が作る筑前煮は美味しいですね。」
「あら、あなたも気が利いた事を言うようになったのねぇ。」
「お父様、お仕事の方はどうですか?」
「順調だ。まぁ、今はまだ昔住んでいたような大きな屋敷は買えないがな。」
「別にお屋敷なんて要りませんわ。何処に住んで居ても、家族が傍に居ればいいんです。」
「そうか・・」
両親の仲睦まじい様子を見ながら、明歳と利尋は溜息を吐いた。
「離婚しようとしていた頃とは大違いだね?」
「そうだな・・」
その日の夜、千尋は外で微かな物音がしていることに気づき、隣で眠っている夫を揺り起こした。
「あなた、外で物音が・・」
「泥棒か?」
歳三が木刀を握り締めながら玄関先へと向かうと、不意に玄関の戸が開いて一人の男が家の中に入って来た。
「てめぇ、何者だ!」
歳三が懐中電灯で侵入者の顔を照らすと、その侵入者は戦死した筈の信子の夫・博章だった。
「博章さん、あなた・・」
「千尋ちゃん、また会えたね。」

博章がそう言って千尋に微笑んだ時、彼の腹から大きな音がした。


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最終更新日  2016年09月29日 15時36分37秒
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2013年11月04日
「ごめんください、誰か居ませんか?」

明歳が家族と夕食を囲んで居ると、玄関先から声がした。

「わたくしが行きます。」
「母さん、俺が行くよ。」
立ち上がろうとした千尋を手で制した明歳が玄関先へと向かうと、そこには自分を尾けていた眼鏡の男が立っていた。
「あんた、うちに何の用だ?」
「また君か・・そう人の話を聞きもせずにすぐに突っかかるのは止した方がいいぞ?」
「うるせぇ!」
「おい明歳、どうした?」
「父さん・・」
部屋から出て来た歳三は、玄関先で睨み合っている明歳と男を交互に見た。
「こいつは?」
「父さん、こいつ利尋に用があるってさ。」
「あなたが、あの子のお父様ですか?」
「ああ、そうだが・・あんたは?」
「突然そちらのご都合も考えずにお伺いしてしまって申し訳ありません。わたくし、吉田商店の武雄と申します。」
「父さん、こいつを知ってるの?」
「ああ。吉田商店さんとは昔付き合いがあってな。吉田さん、うちに何か用か?」
「実は少し込みいったお話なので・・」
「わかった。」
数分後、家族が集まる居間に入った男―吉田武雄は、歳三の前で正座すると、彼に向かって頭を下げてこう言った。
「土方さん、わたしに娘さんを下さいませんか?」
「は!?」
「僕はまだ商人として修行中ですが、娘さんには不自由な思いはさせないつもりです。ですから・・」
「吉田さんよ、あんた勘違いしてねぇか?この家には娘は居ねぇぞ?」
「え・・ですが、こちらには娘さんが居ると母から聞きましたが・・」
「このままでは埒が明かねぇから、あんたのお袋さんを呼んで来てくれねぇか?」
「はい、わかりました・・」
ほどなくして、武雄が彼の母親と思しき和服姿の女性を連れて来た。
「土方さん、うちの武雄のことをどうぞ宜しくお願い致します!この子は酒や賭博、女遊びなんて一切しませんから・・」
武雄の母、美津子は歳三の前に座るなり、一方的にそう捲し立てると歳三に頭を下げた。
「お二人とも、何やら誤解されているそうですね?うちに娘は居りませんよ?」
「まぁ・・」
「そうなの。ではわたしの勘違いだったのねぇ。申し訳ありません。武雄、帰りますよ。」
「はい、お母様。では土方さん、これで失礼致します。」
吉田親子が去った後、歳三は溜息を吐いた。
「一体何だったんだ・・」
「それは俺にもわからねぇよ。それにしても、一体吉田親子は何で利尋を女だと勘違いしたんだ?」
「そりゃぁ、あいつは俺とは違って華奢だし、パッと見たら女に間違われることはよくあるから・・」
「まぁ、向こうは納得してくれたようだし、一件落着だな。」
「そうだな・・」
翌日、千尋が自宅で針仕事をしていると、玄関先で物音がした。
(何かしら?)
不審に思った彼女が玄関先へと向かうと、玄関の硝子戸が何者かによって割られていた。
「どうしたんだ、母さん?」
「誰かが玄関の硝子戸を・・」
「すぐに警察を呼べ!」

玄関の硝子戸を割った犯人は、見つからなかった。


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最終更新日  2016年09月29日 15時36分27秒
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「利尋、入るぞ?」
「お兄様・・」
学校帰りに、明歳は双子の弟・利尋が入院している病院へと向かった。
病室のベッドに寝ている弟の顔は、少しやつれていた。
「飯、ちゃんと食ってるのか?こんなに痩せて・・」
「ちゃんと食べているけど、何だか食欲が湧かなくって・・」
「無理するなよ。今はゆっくりと休んで、学校に戻ればいい。」
「でも・・」
「校長先生は、お前の帰りを待っている。だから、お前はちゃんとここで療養して、元気になれ。」
「わかりました、お兄様。」
「約束だからな、利尋。必ず元気になって神戸の学校に戻るって。」
「はい、約束いたします。」
「じゃぁ、また来るからな!」
「いいか明歳、利尋の病気は一日や二日ですぐに治るもんじゃねぇ。じっくりと時間を掛けて治さなきゃなんねぇ。お前にもそれを理解して欲しいんだ。」
「わかったよ、父さん。」
「お前は今、利尋の事が心配で堪らないだろうが、学業を疎かにするんじゃねぇぞ。」
弟を見舞った後病院を後にした明歳は、週末にボーイの仕事をしているダンスホールへと向かった。
「あら、あんた今日仕事は休みでしょう?どうしたの?」
「弟が神戸から帰って来たんだが、入院してるんだ。さっき、弟の見舞いに行って来たから、ここにも寄ろうと思って来たんだ。」
「入院?何処か悪いの?」
「ちょっとな・・それよりも朱美、ここを近々売るって話を聞いたが、本当か?」
「ええ。居抜きで友人に譲ろうと思っているのよ。ちょっと事情があってね。」
「事情?」
「実はね、田舎に帰ろうと思っているのよ。伯母さんが縁談話を持って来てね・・あたしも、そろそろ身を固めないといけないと思ってね・・」
「そうか、それで店を売る事になったのか。幸せになれよ、朱美。」
「生意気な事言ってんじゃないわよ、アキ。あんたにそう言われなくても、幸せになってやるから、安心なさい!」
実の姉のように自分を可愛がってくれた朱美は、そう言うと利尋の肩を叩いた。
「長い間、世話になったな。」
「それはこっちの台詞よ。あんたには色々と助けて貰ったわ。感謝してもしきれないくらい。」
朱美はそう言うと、利尋に鼈甲の簪を手渡した。
「これくらいしか、あんたに渡せる物はないけど、受け取って。」
「これ、お袋さんの形見だろ?こんな大切な物、俺が受け取ってもいいのか?」
「いいのよ。弟さん、早くよくなるといいわね。あんたとお別れする事になるなんて、ちょっと寂しくなるわ。」
「俺もだよ。それじゃぁ、俺もう帰るわ。余り遅くなると、父さんが色々とうるさいから。」
「わかったわ。じゃぁまた土曜にね。」
ダンスホールから出た明歳は、誰かが自分のことを尾けていることに気づいた。
「隠れてないで、いい加減俺の前に出て来たらどうだ?」
自宅の前で立ち止まり、明歳がそう言って背後を振り向くと、そこには眼鏡をかけ、スーツを着た男が立っていた。
「あんた、誰だい?俺に何か用かい?」
「用があるのでは君ではなく、君の弟さんだ。」
「それは一体どういう意味だ?」
「君では話にならないから、ご両親を呼んで来てくれないか?」
「嫌だね。」

明歳はそう言って男を睨み付けると、彼の鼻先でドアを閉めた。

「誰かお客様がいらしていたの?さっき外で話し声が聞こえていたけれど・・」
「何でもないよ、母さん。」
「そう・・」


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最終更新日  2016年09月29日 15時31分34秒
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2013年11月03日
「新庄さん、そんな所で何をしているんですか?」
「あんたの全てを奪ってやるわ。」
そう言って利尋を睨みつけた里華の目は、明らかに正気を失っていた。
「馬鹿なことをしないで、早くそこから離れて・・」
「嫌よ!」
里華はそう叫んで利尋を睨みつけた後、窓の外へと身を翻した。
「誰か、お医者様を!」
「人が、あそこの窓から落ちたわ!」
壊れた操り人形のように四肢を地面に投げ出したまま動かない里華の姿を窓から見た利尋は、その場で気を失った。
「土方君、起きて。」
「石田さん・・」
利尋が目を覚ますと、そこはベッドの上だった。
「あの、僕・・」
「あなた、三日も眠っていたのよ?」
「新庄さんは・・」
清美は利尋の言葉を聞くと、静かに首を横に振った。
「新庄さんの傍に、あなたの裁縫箱が落ちていたわ。」
「一体どうなってしまうのかしら、この学校は・・」
「僕の所為です、僕がここに居るから・・」
「土方君?」
「僕が・・新庄さんを殺したんだ!」
「落ち着いて土方君、あなたは何も悪くないわ!」
里華の投身自殺を目の当たりにした利尋は暫く悪夢にうなされる日々が続いた。
「校長先生、このままではあの子の心が壊れてしまいます。一度、親元に帰した方がよろしいのでは?」
「そうね。そうした方が、あの子の為だわ。」
「え、僕に東京に帰れと・・それは本気ですか、先生?」
「そうですよ、土方君。あなたの今の精神状態では、これ以上この学校に居ると症状が改善するどころか、悪化してしまうおそれがあります。だから・・」
「嫌です、家には帰りたくありません。お願いですから・・」
「もうわたくし達が決めた事なのです。土方君、わたくし達は決してあなたをこの学校から追い出すつもりは全くありません。ただあなたには休暇が必要なのです。理解していただけますね?」
「先生・・」
6月初旬、校長に三ノ宮駅まで送られた利尋は、そのまま東京行きの汽車へと乗り、家族の元へと帰った。
「利尋、お帰り。」
「お母様、僕・・」
「辛かったでしょう。もう自分を責めなくてもいいのですよ。さぁ、家に帰りましょう。」
2ヶ月ぶりに帰宅した利尋を、両親や兄は優しく迎えてくれた。
だが彼が受けた精神的なショックは本人が思っているよりも大きく、利尋は毎晩悪夢にうなされ、食事も取らなくなった。
「あなた、利尋をどうすればいいのでしょう?」
「時間が経てば、あいつは元気になるさ。それまで、そっとしておこう・・」
歳三はそう言って涙を流す千尋を抱き締めると、溜息を吐いた。
「利尋の様子を見て来る。」
歳三はそう言うと、利尋の部屋へと向かった。
「利尋、居るのか?」
中から返事がないことに胸がざわつきながら、歳三が利尋の部屋の中へと入ると、そこには布団も敷かずに横向きになって寝ている利尋の姿があった。
「おい、こんなところで寝るなよ、風邪ひくぞ?」
歳三が利尋を揺り起そうとした時、彼が愛用している羅紗鋏が彼の傍に転がっている事に気づいた。
その刃は、血で濡れていた。

「誰か、医者を呼べ!」

自殺を図った利尋は一命を取り留めたが、暫く入院する事になった。


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最終更新日  2016年09月29日 15時31分23秒
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「酷い・・」
「一体誰がこんなことを?」

利尋はマネキンに着せていたドレスの残骸を呆然と見つめながら、犯人に対する怒りが湧いた。

「わたし、ゴードン先生を呼んでくるわ。」
「お願いします・・」
清美は利尋を励ますかのように彼の肩を叩いた後、裁縫室から出ていった。
「いい気味だわ、あなた調子に乗るから痛い目に遭うのよ。」
「そうよ。」
入口の方で声がして利尋が入口の方を見ると、そこには同じクラスの西岡京子と彼女の親友である新庄里華が立っていた。
「これ、あなた達が・・」
「土方君、あなたでしゃばり過ぎよ。この前も大人しく佐古田先輩の言う事を聞いていれば、彼女は学校から追い出されなかったわ。」
「そうよ、佐古田先輩が学校を退学したのはあなたの所為よ!」
「西岡さん、この前僕の真珠のブローチを勝手に部屋から持ち出したでしょう?」
「ええ、焼却炉に捨てようと思っていたんだけど、運悪く浅田先生に見られてしまったの。」
「ブローチの件といい、今回の件といい、何が目的でこんなことを?」
「決まってるじゃない、あなたをここから追い出す為よ。」
「母親が伯爵家の令嬢だか何だか知らないけれど、あなたお高くとまっているのよ。その所為でわたし達はいつも脇役なのよ!」
「あなた、脇役であるわたし達のことを少しは考えてよね!」
二人の怨嗟と憎悪の言葉が、深々と利尋の胸に突き刺さった。
「あなた達、何てことをしてくれたの!」
清美の怒り狂った声がして、利尋が俯いていた顔を上げると、清美が京子に掴みかかっていた。
「よくもこんな事が出来たわね!」
「うるさいわね、あなたに何がわかるのよ!」
清美と京子は取っ組み合いの喧嘩を始め、二人は奇声を上げながら裁縫室の机や壁にぶつかった。
その間も二人は互いの髪を引っ張り合い、爪で互いの顔を引っ掻き合っていた。
「やめて、二人とも!」
「石田さん、落ち着いて!」
慌てて利尋と里華が二人の間に割って入ろうとしたが、その時清美が京子を突き飛ばした。
その時、机の上に置かれていた羅紗鋏の刃が彼女の胸を貫いた。
「あなた方、どうしたんですか?」
「ゴードン先生、京子が・・」
「先生、これは事故です。わたしは何もやっていません!」
「誰か医者を呼びなさい!」
「土方君、どうしよう・・わたし・・」
「大丈夫だから、石田さん落ち着いて・・」
恐怖とパニックで震える清美の背を、医者が学校に来るまで利尋は優しく擦っていた。
京子は一命を取り留めたが、精神的なショックを受けてそのまま学校を退学してしまった。
「石田さん、劇の衣装を滅茶苦茶にしたのは、西岡さんと新庄さんなのね?」
「そうです、間違いありません・・」
「劇の衣装作りは、わたくし達も手伝うから心配要らないわ。」
「はい・・」
利尋と清美、耀子は京子と里華によって切り裂かれた劇の衣装を教師達の協力を得て学園祭前日に全て完成させる事が出来た。
「ありがとうございました、先生方。」
「石田さん、今回の事は不幸な事故ですよ。早くお忘れなさい。」
「わかりました・・」

その日の夜、利尋が寮の部屋に入ると、そこには彼の裁縫箱を持って窓際に立っている里華の姿があった。


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最終更新日  2016年09月29日 15時31分06秒
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2013年11月02日
ダンスパーティーでの一件で、利尋は全校生徒から一目置かれる存在となった。

5月中旬に開催される学園祭で、利尋達のクラスは劇をやることになった。

「衣装は土方君にお任せしたいと思います。」
「頑張ります。」
「あたしら手伝うわ。一人だと大変やろ?」
「わたしも手伝うわ。」
利尋達は毎日放課後まで裁縫室に残り、衣装を一着ずつ仕上げていった。
「やっと終わったわねぇ。」
「ええ。何とか間に合いましたね。」
学園祭まであと一週間を切った日の昼、漸く最後の衣装を縫い終った利尋は、そう言って額に浮かぶ汗をハンカチで拭った。
「みんな、お疲れ様。クッキーと紅茶を召し上がれ。」
「ありがとうございます、ゴードン先生。」
裁縫室に紅茶とクッキーを運んできたゴードンは、利尋達に労いの言葉を掛けて彼らに笑顔を浮かべた。
「土方君達のチームワークは素晴らしいですね。それぞれが互いの足りないところを補い合い、助け合っている。」
「そうですか、先生?それは、他の方も同じでしょう?」
「それが・・他の生徒達はあなた方のように互いに助け合うというよりも、互いの足を引っ張り合っているのです。嘆かわしいことです。」

ゴードンはそう言うと、溜息を吐いた。

洋裁学校が出来る前、この学校はかつて華族の子女が良妻賢母となる為の教育を受けた女学校であった。
だからなのか、洋裁学校となった今も、生徒の大半は清美のような良家の令嬢達が多く、彼女達は服や所持品で己の生活レベルが他人と比べていかに高いのかを常に競い合っていた。
「まぁ、見栄っ張りな子は何処でもおるよなぁ。」
「うちの親戚にも居るわよ、そういう見栄っ張りな方。親戚中から嫌われているわ。」
クッキーを頬張りながら清美と耀子の話を聞いていた利尋は、ふと東京に居る母のことを想った。
母は、祖父の会社を助ける代わりに、資産家である父の元に嫁がせられたと聞いていたが、その割には両親の夫婦仲は良好そのものであった。
たとえ政略結婚で結ばれたカップルであっても、共に白髪が生えるまで仲睦まじい夫婦も居るし、熱烈な大恋愛の末に結ばれても、すぐに破局を迎えるカップルも居る。

結局、互いを尊重し、愛し合える関係が長続きするかしないかは、本人同士の問題なのだ。

「ねぇ土方君、真珠のブローチ、あれから誰かに弄られたりしていない?」
「ええ。裁縫箱にちゃんと鍵を掛けていますから、大丈夫です。」
「それにしても、一体誰が土方君のブローチを盗もうとしたんやろうなぁ?何か嫌な予感がするわぁ。」
「余り気にしない方がいいわよ。」
「そうですよ。」
利尋は真珠のブローチが盗まれかけた事などすっかり忘れ、学園祭で行う劇の練習に清美達と励んでいた。
しかし―
「土方君、大変よ!」
「どうなさったんですか、石田さん?そんなに慌てて・・」
「裁縫室に来てちょうだい!」

清美とともに裁縫室へと入った利尋は、そこで何者かによって無残に切り裂かれた劇の衣装を見て絶句した。


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最終更新日  2016年09月29日 15時30分45秒
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「ねぇ、もうすぐ学園祭だけど、どうする?」
「うちのクラス、まだ出し物が決まっていないのよ。」
「うちもよ。土方君のクラスは?」
「うちは劇をやる事になりました。」
学園祭が少しずつ近づきつつ5月中旬、食堂で利尋が朝食を食べていると、突然隣のクラスの女子生徒達が彼に話しかけて来た。
「ふぅん、そうなの。何の劇をやるの?」
「『椿姫』です。衣装は僕と林さんが作るんです。」
「へぇ、そうなの。何だか楽しみだわ、土方君が作ったドレス。」
「そうよねぇ、この前のパーティーの時に山田さんが着ていたドレスも、土方君が作ったものなんでしょう?」
4月の終わり頃に学校主催で開かれたダンスパーティーは、女子生徒達にとっては年に一度だけお姫様気分を味わえる特別なものだった。
「うわぁ、綺麗なドレスねぇ!」
「お母ちゃんが、わざわざ船便でパリから生地を取り寄せて作ってくれたんや。石田さんのドレスも素敵やん。」
「これ、パパが買って来てくれたのよ。どう、似合う?」
「やっぱり資産家のお嬢様は違うなぁ。」
「あらぁ、林さんだって船場の大店のお嬢様でしょう?」
パーティーの夜に着るドレスを互いに自慢しあう清美と耀子の姿を、羨ましそうに見つめる山田葵の姿に利尋は気づいた。
「山田さん、どうしたの?」
「二人とも良いなぁ、綺麗なドレス着て・・わだすには、何にもねぇもの。」
「山田さん・・」
葵の実家は福島で農家をやっていたが、暮らしは決して楽なものではなかった。
自分の為に身を粉にして働く両親に、葵は輸入品の高価なドレスが欲しいだなんて口が裂けても言えなかった。
「やっぱり、里に帰った方がいいんだべか・・」
「そんな・・山田さん、僕がドレスを作ってあげようか?」
「え、そんな事悪いべ?」
「いいの、それ位作ってあげるから。」
放課後、利尋は葵を裁縫室に連れて行き、彼女のスリーサイズを測った。
「山田さん、好きな色は?」
「赤かなぁ。」
「そう・・」
翌日、利尋と葵は学校から外出許可証を貰い、三ノ宮市内にある生地屋へと向かった。
「これなんかどう?」
「綺麗だなぁ。」
「山田さんに良く似合うよ、白い肌に赤い生地が映えているから、これにしよう。」
赤いシルクの生地を購入した利尋は、学校に戻るなり裁縫室で葵のドレスを縫い始めた。
「土方君、そのドレスは?」
「これは、山田さんの為に作っているんだ。」
「へぇ・・」
数日後、学校主催のダンスパーティーが学生寮の食堂で華々しく開かれた。
「山田さん遅いなぁ、どうしたんやろ?」
「あの子なら、自分の部屋に引き籠っているんじゃないの?着て行くドレスがないから。」
「言えてるわねぇ。」
日頃葵のことを馬鹿にしている女子生徒がそう言いあっていた時、中央の螺旋階段からタキシード姿の利尋にエスコートされた葵が現れた。
彼女の為に利尋が作った真紅のドレスは、葵の白い肌によく映えていた。
「山田さん、素敵ねそのドレス!」
「ありがとなし・・土方君が、わだすの為に作ってくれたんだ。」

その日の夜、葵はまるで童話の中に登場する王女様のような気分を味わった。

「土方君もやるわね。」


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最終更新日  2016年09月29日 15時30分32秒
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「どうして信子さんがお亡くなりに?」
「信子さん、亡くなられたご主人の代わりに病院を守る為に休みなく働いていたでしょう?その無理が祟って・・」
「そんな・・葬儀はいつです?」
「葬儀はもう俺達で済ませた。彼女には身内が誰も居なかったから・・」
「そうですか・・」
「病院は、信子さんの遠縁の親戚が運営することになってなぁ。それで今の家にはもう住めなくなっちまったんだ。」
「じゃぁ、これからお父様達はどちらへ住むのですか?」
「丁度いい物件が見つかってね、近々引っ越すことになったのよ。その事もあなたに知らせようと思って神戸に来たのですよ。」
「そうですか・・あのお父様、あの子は?」
「ああ、あいつなら母親と一緒にフィリピンに戻ったよ。」
利尋がさりげなく歳三にフィオナの事を尋ねると、彼はそう言って俯いた。
「お兄様は元気ですか?」
「明歳なら、元気で学校に通ってるよ。利尋、もう俺達は引っ越しの準備があるからもう帰らなきゃならねぇが、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。お父様、お母様、どうぞお気を付けてお帰り下さい。」
「わかったわ。こんなことで挫けてはいけませんよ、利尋。」
「わかりました、お母様。」
裁縫室で利尋が由美に襲撃された事件は瞬く間に校内に広がり、警察に逮捕された由美は学校を自主退学した。
「何か、後味の悪い結末になったなぁ・・」
「でもいいじゃない、土方君が無事だったんだから。」
「ええ。」
「ねぇ土方君、無理をせずに東京に一度帰ったら?大変な目に遭ったんだし。」
「いいえ、東京には帰りません。卒業するまでここで頑張りたいんです。」
「そう。あなたがそう決めたんなら、わたしは何も言わないわ。」
朝食を食べ終えた利尋が登校すると、事件を知っている生徒達が彼に無遠慮な視線を送った。
「あんなん、気にすることないで。」
「そうよ、あなたは何も悪い事はしていないんだし。」
「ええ・・」
二時間目の授業が終わり、利尋が寮の部屋に裁縫箱を取りに行こうとした時、机の上に置いてあった筈の真珠のブローチがなくなっていることに気づいた。
「すいません、僕の部屋に誰か入ったのを見ていませんか?」
「いいえ、見ていないわよ。でも、あなたの部屋の前を通りかかった時、誰かにぶつかったような気がしたわ。」
「そうですか・・」
利尋が裁縫箱を抱えながら教室に戻ると、自分の机の上に失くしたと思っていた真珠のブローチが置かれていた。
「誰がこのブローチを机の上に置いたのですか?」
「さぁ、知らないわ。どうしたの?」
「僕がさっき部屋に戻った時、机の上からブローチが失くなっていたんです。」
「何だか気味が悪いわね。」
利尋はブローチをハンカチで包むと、それを裁縫箱の中にしまった。
「ねぇ土方君、昼の件だけど・・」
「どうしたんですか、石田さん?そんな顔をして?」
「実はね、わたし見たのよ。あなたの部屋に、佐古田先輩の取り巻きだった人が出て来たのを。」
「それは、本当ですか?」
「ええ。もしかして、佐古田先輩が学校を辞めたのはあなたの所為だって思い込んで、真珠のブローチを彼女が盗もうとして失敗したんじゃないかって・・」
「でもブローチは無傷で戻って来ましたよ?」
「そこがおかしいのよねぇ。犯人は一体何がしたいのかわからないわ。」
「僕もです・・」

利尋は、誰が自分の部屋から真珠のブローチを盗んだのかが気になり、その日の夜は一睡も出来なかった。


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最終更新日  2016年09月29日 15時30分23秒
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