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JEWEL

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火宵の月 韓流時代劇ファンタジーパラレル 二次創作小説:華夜(完)

2020.11.27
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素材はNEO HIMEISM 様からお借りしております。

「火宵の月」二次小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


火月が身体の異変に気付いたのは、冬が終わろうとしている頃だった。

最近身体が妙にだるいし、その上食べ物の臭いを嗅ぐと吐き気に襲われるのだ。
そして、月のものが遅れている。

(まさか・・)

火月は、そっと下腹部に手をやった。
そこには、微かな命の温もりがあった。
余り無理をしないようにしようと思いながらも、火月は生活を支える為、無理を重ねてしまい、倒れてしまった。

「気が付いたか?」
「翁主様・・」
「身重だというのに、無理をするでない。」
「その腹の子は、王様の子であろう?」
「はい。」
「案ずるな。王位はスノクが継ぐ事になった。」
「ですが・・」
「大妃様が先程、そうお決めになられたのだ。」
「では、王様は・・」
「火月、迎えに来たぞ。」

火月は、信じられない思いで有匡を見た。

「王様・・」
「もう、わたしは王ではない、お前を愛する一人の男だ。」
「有匡様・・」

火月は、涙を流しながら有匡に抱きついた。

「大妃様、本当によろしいのですか?」
「何をだ?」
「あんなに可愛がっていた兄上を手放すなど・・」
「もうあの子は、親の庇護の下で生きる年頃ではない。好きにさせておけばいいのだ。」

そう言ったテファ大妃は、外の世界へと旅立っていった最愛の孫の事を想った。

「王様、王様はどちらに!?」
「もう、この国にはおらぬ。」
「では何処に!?」
「さぁな。」

クオク王妃は、血眼になって有匡と火月の姿を探した。

二人の姿は、船着場にあった。

「王様!」
「クオク・・」

そう言って自分の方へと振向いた有匡は、腰下までの長い髪をばっさりと切り落とし、西洋の服を纏っていた。

「わたくしを捨てるのですか!?」
「お前とは、もう終わったんだ。」

有匡はそう言ってクオクに背を向け、船へと乗り込んだ。

「有匡様。」

クオクが呆然としていると、船の中から美しいロイヤル・ブルーのドレスを着た女―火月が現れた。

「そんな、わたくしを捨てるおつもりなのですか、裏切り者~!」
「クオク、わたしの事は忘れろ。」

クオクは船に乗り込もうとしたが、船は船着場から無情にも離れていった。

「クオク、こんな所に居たのか。」
「スノク様・・」
「わたしが居る。」
「帰りましょう。」

朝鮮を離れ、英国で暮らし始めた有匡と火月の元に新しい家族が来たのは、英国での生活が漸く安定し始めた頃の事だった。

『元気な男の子と女の子の双子だよ、抱いておやり。』

有匡は、産婆からそれぞれ我が子達を腕に抱くと、喜びの余り涙を流した。

「ありがとう、火月。本当に、ありがとう・・」
「これから、忙しくなりますね。」
「あぁ。」

有匡は、窓から吹いてくる心地良い春風を感じ、目を閉じた。

(終)

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最終更新日  2020.11.27 15:31:32
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2020.11.18



素材はNEO HIMEISM 様からお借りしております。

「火宵の月」二次小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


「王様が宮殿にいらっしゃらないとは、どういう事だ!」
「それは、わたくし達にもわかりかねます・・」
「ええい、この役立たず共め!」
クオク王妃はそう叫ぶと、膳をひっくり返した。
「何の騒ぎだ?」
「大妃様・・」
「お前達、もう下がりなさい。」
女官達は王妃がひっくり返した膳を素早く片付けると、そそくさと部屋から出て行った。
「そんなに怒ると、腹の子に障りますよ。」
「王様は、わたくしの事を気遣って下さらない!わたくしは、あの方の妻なのに!」
王妃はそう叫んだ後、わっと泣き崩れた。
「王妃様は、懐妊された事により気鬱の病に罹っておられるようです。」
「気鬱の病だと?」
「えぇ。出産されるまでの辛抱かと。」
「そうか。」
「大妃様、スノク様がお見えです。」
「スノクが?」
「はい、王妃様の事で・・」
「通せ。」
「失礼致します、大妃様。」
そう言って大妃の前に現れたのは、有匡の双子の弟・スノクだった。
「王妃の事で、話がしたいようだな?」
「はい。王妃様の御子の父親は・・」
「お前だと、もう知っておる。お前は、どうしたいのだ?」
「出来る事ならば、わたしがこの国の王になりたいと・・」
「ならば、そうすれば良い。」
「良いのですか?」
「良いも何も、そなたは王に向いておる。そなたは、きっとこの国を良い国へと導いてくれる事であろう。」
「ありがとうございます。」
スノクはそう言うと、深く頭を垂れた。
「兄上は今どちらに?」
「さぁな。」

今頃、愛しい女と共に眠っているのであろうな―大妃はそんな事を思いながら、盃を酒で満たした。

同じ頃、妓楼の部屋で結ばれた有匡と火月は、一つの布団にくるまって、眠っていた。

何だか、信じられない。

今まで会うどころか、擦れ違う事さえなかった人と恋に落ち、結ばれるなんて。

「ん・・」

有匡が寝返りを打った後、火月に抱き着いてきた。

「王様・・」
「名前。」
「え?」
「こんな時には、名前で呼べ。」
「有匡・・様・・」
「そうだ、それでいい。」

有匡はそう言うと、火月に優しく微笑んだ。

(何だろうな・・今、とても幸せ。)

幸福な気持ちに浸りながら、火月はそう思い、眠った。

「では、また。」
「あぁ。」

妓楼の前で有匡と別れた火月は、寒さに震えながら、妓楼の中へと戻っていった。

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最終更新日  2020.11.19 22:33:13
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2020.11.13



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「火宵の月」二次小説です。

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「はぁ・・」
火月は、何度目かの溜息を吐いた。
その日は、王妃の親族達が王妃の懐妊祝いの宴を開いていた。
「いやぁ、めでたい。」
「これで我が家は安泰ですなぁ。」
「腹の子が男であれば、なおいい。」
「そうだな!」
廊下の向こうから時折聞こえてくる話し声に火月が聞き耳を立てていると、そこへ一人の妓生がやって来た。
「そなた・・」
「あ・・」
「丁度良い、こちらへ来なさい。」
その妓生は、そう言って火月の手を取ると、ある部屋へと向かった。
「あの・・」
「娘は連れて来たのか?」
「はい。」
「入るが良い。」
「失礼致します。」
妓生と共に部屋に入ると、そこにはスンア翁主の姿があった。
「翁主様・・」
「お前がここで女中として働いているとはな。」
「わたくしに、何かご用でしょうか?」
「そなた、随分やつれたな?」
「はい・・色々とあったので。」
「食べなさい。」
「おそれながら、わたしは・・」
「施しは受けぬと?勘違いするでない、わたしはそなたを憐れんでやっているのではない。」
「では、どういうおつもりで?」
「兄上が、隣の部屋に居られる。」
「え?」
「火月・・」
「王様、何故・・」
「そなたに、会いたくて堪らずに来たのだ。」
有匡はそう言うと、火月を抱き締めた。
「やつれたな・・それに、痩せた。」
「色々と、ありましたから・・」
「そなた、王宮へ来ないか?」
「わたくしはもう両班ではありませぬ。」
「そなた、何か勘違いしておるようだな?」
「勘違いで、ございますか?」
「王妃が身籠っているのは、わたしの子ではない。」
「では、どなたの・・」
「わたしの、双子の弟だ。」
「双子の弟、でございますか?」
「母は、わたしと双子の弟、そして妹を産んだ後、英国へ逃げた。」
有匡は一旦言葉を切ると、溜息を吐いた。
「それよりも、お前はいつまでこんな惨めな生活を送るつもりなのだ?」
「それは、わかりません。」
「そうか・・」
「王様!?」
突然有匡から抱き締められ、火月は驚きの余り目を丸くした。
「火月、そなたを今から抱く。」
「いけません、王様・・」
「逃げるな、火月。わたしはそなたに心底惚れている。」
「王様・・」
「わたしから逃げる事は、許さん。」

有匡に唇を塞がれ、火月は彼を受け入れた。

「王様、愛しています・・」
「わたしもだ・・」

月光が、愛し合う二人の姿を優しく照らした。

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最終更新日  2020.11.13 10:48:31
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2020.11.03



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「火宵の月」二次小説です。

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「それは、確かなのか?」
「えぇ。」
「兄上、その女が言っている事は確かです。」
王妃の背後から、スンア翁主が音もなくまるで影のように現れた。
「そなた、いつの間に・・」
「王様・・いいえ、兄上。」
スンア翁主は、澄んだ蒼い瞳で有匡を見つめた。
「あの娘と共に逃げて下さい。」
「何を馬鹿な事を!」
「今からハン大監を解放しなさい、そうすればあなたの命は助けて差し上げます。」
「そなた、血迷ったのか!?」
「血迷うておられるのはあなたの方でしょう、王妃様?」
「ひぃ・・」
背後から首筋に刃物を突き付けられ、クオク王妃は悲鳴を上げた。
「もう良い、その辺にしておけ!」
「いいえ、そうはいきませぬ。」
「誰か、誰か来てくれ!」
「人払いさせましたのでどんなに叫んでも誰も来ませんよ。」
淡々とした口調でスンア翁主は持っていた懐剣でクオク王妃の手首を少し切り裂いた。
「きゃぁぁっ!」
「情けない、他人を痛めつけるのはお好きな癖に、自分が傷つくのはお嫌なのですね。」
「嫌、嫌ぁ・・」
「これ以上痛い思いをしたくなければ、ハン大監を解放なさい。」
「わかったわ!」
こうして、ハン大監は七日振りに火月と再会した。
「お父様!」
「火月、無事だったか。」
「えぇ。でも、お母様とチュヨンは・・ごめんなさい。」
「謝るな。命があっただけでも良いと思わなければ・・」
「はい。」
火月はそう言うと、父の腕に抱かれながら涙を流した。
「火月、これからどうするんだ?」
「それはまだ、考えておりません。」
「そうか。まぁ、生きていれば何とかなる。」
「そうですね。」
ハン大監は、そんな事を話しながら王宮から出て行った。
「あの二人、大丈夫かしら?」
「何とかなるだろう。」
「そうだといいのですが・・」
スンア翁主は、そう言うと溜息を吐いた。
「ハン大監は、解放されたのか。」
「はい。ですが、彼らは罪人の烙印を押されて生きていけるのか・・」
「それは、彼らにしかわからぬ。」
「えぇ・・」

王宮から出たはいいものの、火月とハン大監は全ての財産を没収され、生活は困窮を極めた。

髪飾りや自分がそれまで着ていた絹の韓服などを売って生活費の足しにしていたが、その金はすぐになくなってしまった。

「はぁ・・」

父は拷問の後遺症の所為で働けず、火月は妓楼で女中として働いていた。
冬の水仕事の所為で、火月の白魚のような手はたちまちひび割れ、傷だらけとなった。

(頑張らないと・・)

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最終更新日  2020.11.03 21:27:19
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2020.08.22

※BGMと共にお楽しみください。

「火宵の月」二次小説です。

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“お嬢様”

何処からか、チェヨンの声が聞こえて来た。

その声を聞いて、火月は彼女がまだ生きているのだと思い、チマの裾を両手で摘みながら、必死に暗い森の中を走った。

―チェヨン、お父様、お母様、何処なの!?

やがて彼女は闇に包まれ、何も見えなくなった。

「火月、しっかりしろ!」
「王‥様・・?」

火月が目を開けると、そこには自分を心配そうに見つめている有匡の姿があった。

「わたし、わたしは・・」
「今は休め。話はそれからだ。」

有匡がそう言って部屋から出ると、火月のくぐもった泣き声が聞こえて来た。

 テファ大妃は、その泣き声を聞きながら苦痛に顔を歪めた。

「何と惨い事をしたものだ!ハン大監(テガン)だけではなく、その妻と下女まで手に掛けるとは!」
「大妃様、ハン家を襲った者達の正体は判りましたか?」
「恐らく、クオク王妃側の者達の仕業であろう。」
「ハン大監は捕盗庁(ポドチョン)に身柄を拘束されているとか・・出来る事なら、火月と会わせてやりたい・・」
「その前に、ハン大監が拷問に耐えれば良いのだが・・」

テファ大妃は、そう言った後眉間に皺を寄せた。

同じ頃、ハン大監は捕盗庁で凄惨な拷問に耐えていた。

「素直に白状せよ、王妃様に呪詛をかけたのはお前だな!」
「わたしは何も存じ上げませぬ。呪詛など、そんな・・」
「とぼけるな!」

捕盗庁の役人は、そう叫ぶとハン大監の前で左右に交差させている木の棒に彼の体重を掛けた。
ハン大監は、痛みの余り気絶してしまった。

「ハン大監は、まだ吐かぬのか?」
「はい。」
「王妃様、これはいくら何でもやり過ぎではありませぬか?一族郎党皆殺しにしただけでも罪深いというのに・・」
「お黙り!」
「王妃様、王様がお見えです。」
「まぁ王様、あなた様がこちらにお越しになられるなんてお珍しい。」
「今すぐハン大監を解放しろ!」
「それは出来ませぬ。ハン大監はわたくしに呪詛を・・」
「それはそなたのでっちあげであろう!ここまでする理由は何だ!?」
「あの娘を側室に迎えるのはお止め下さい、王様!」
「何故だ、何故お前はあの娘を憎み、彼女の家族を殺した!?」
「あの娘は・・王室に災いを齎(もたら)します!何故ならば、あの娘は・・」

王妃の言葉を聞いた有匡は、己の耳を疑った。

「あの娘は、王様の縁者なのです。」

外では、雷鳴が轟いていた。

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最終更新日  2020.11.03 15:23:02
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2020.06.27



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「火宵の月」二次小説です。

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(母上が・・あの女が生きているだと!?)

王宮を揺るがした上に姿を消したスウリヤが生きている事を知ったスンア翁主は、すぐさま使いを王宮へと向かわせた。

「王様、スンア翁主の使いの者が・・」
「スンア翁主から?通せ。」
「はい。」
「王様、大変な事になりました。」

スンア翁主からの文を読んだ有匡は、その文を被の中へと投げ入れた。

「スンア様は、何と・・」
「すぐにスンア翁主にこれを贈れ。よいか、必ず渡すのだぞ。」
「かしこまりました。」

王宮に嵐が起きる事などつゆ知らず、火月は王宮入りへの支度で慌ただしい日々を過ごしていた。

「疲れが取れないわ・・」
「まぁ、いけません、お嬢様。そのような所で寝そべっては!」

チェヨンが部屋の床に寝そべっている火月を見て彼女をそう咎めた時、外から悲鳴が聞こえた。

「今のは、一体・・」
「火月、そこに居るの!?」
「はい、お母様!一体何があったのですか!」
「早く荷物をまとめなさい!」

状況が全く把握出来ない中、火月は急いでチェヨンと荷物をまとめると部屋の外へと出た。
するとそこには、黒衣の男達に取り囲まれている父の姿があった。

「父上!」
「火月、早く逃げろ!」
「ですが・・わたしは大丈夫だ、早く逃げろ!」
「お嬢様、早く・・」

火月は父に背を向け、後ろ髪をひかれる思いで、その場から去った。

「母上、あの者達は一体・・」
「あの者達は、お前の命を狙っているのです。」
「何故、そのような・・」
「火月、あなたはこれからチェヨンと共に王宮へ行って、王様に助けを・・」

そう言ったユン氏の胸に、刺客が放った矢が深々と突き刺さり、火月は思わず悲鳴を上げた。

「お母様!」
「お嬢様、お早く!」
「生き延びなさい、火月・・お前だけでも。」

ユン氏はそう言った後、息絶えた。

「居たぞ、あそこだ!」
「逃がすな、殺せ!」

火月とチェヨンは必死に刺客から逃げて王宮へと向かったが、その途中でチェヨンは転んでしまった。

「チェヨン、大丈夫?」
「お嬢様・・」

 チェヨンを助け起こそうとした火月は、刺客が彼女の喉元を切り裂くのを見て悲鳴を上げた。

「死ねぇ!」

刺客が火月の頭上に剣を振り翳した時、彼の胸に矢が突き刺さった。

「火月、無事か!?」
「王様・・」

チェヨンの返り血を全身に浴びた火月は、有匡に抱きついた後、安堵の余り気を失ってしまった。

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最終更新日  2020.06.27 00:00:15
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2020.04.04



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「火宵の月」二次小説です。

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有匡と艶夜―スンア翁主(オンジュ)を産んだ母親は、妓生であったが、元は両班の名家の娘だった。
彼女の実家は、前王の信頼の厚い重臣であったが、政敵の謀略に巻き込まれ、没落した。
両班の身分から奴婢となった有匡達の祖母は、昔の栄華を取り戻す為に、娘を妓楼へと売った。
妓生となった彼女の娘は、その美貌と伽耶琴の名手として名を馳せ、王の寵愛を得た。
しかし、彼女の出自を知っている王の母は、断固として彼女を受け入れようとはしなかった。

「王様、あの娘は逆賊の娘です。この母の目が黒い内は、あの娘を絶対に王宮入りさせませぬ!」
「母上・・」

やがて、王の側室となった有匡の母は王妃を差し置いて有匡を妊娠した。

その事で、有匡の祖母をはじめとする親族達の欲望に火がついた。

「スウリヤ、必ず男の子を産みなさい!」

スウリヤは有匡を産み、王妃はスウリヤの親族達によって廃妃へと追いやられた。

「これで、後は家を再興させるだけだわ!」

しかし、有匡の祖母は欲をかいた事が仇となり、前王の母・大妃によって謀反人として捕らえられ、一族諸共斬首の刑に処された。

スウリヤは、幼い有匡を大妃に託し、王宮から姿を消した。

「スウリヤ様は、今どちらに・・」
「それはわたしも、大妃様も知らぬ。しかし、母上はきっと何処かで生きていると、わたしは信じている。」
「そうですか・・」
「火月よ、お前が迷宮入りする事によってあらぬ噂をばら撒く者が現れるだろう。だが、、そのような者と決して同じ土俵の上に立つな、わかったな?」
「はい、王様。肝に銘じます。」
「そなたの義姉の事は、残念に思う。」
「お悔やみのお言葉、ありがとうございます。」
「では、また会おう。」

有匡はそう言って火月に微笑むと、王宮へと戻っていった。

「火月、これからお前に色々と仕込まねばなりませんね。」
「わかりました、お母様。」

火月が王宮入りの支度に慌しくしている中、スンナ翁主の元に一人の男がやって来た。

「そなた、何者だ?」
「わたくしは文観と申す者。わたくしは翁主様にある事をお伝えしたくて、こちらに参りました。」
「わたしに、伝えたい事だと?」
「少し、お耳を貸して頂けないでしょうか?」
「わかった。」

謎の男からある衝撃的な事実を知らされたスンア翁主は、驚きの余り目を丸くした。

「それは確かなの?」
「はい。」
「そうか、下がってよい。」

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最終更新日  2020.06.19 22:17:11
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2020.03.14



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「火宵の月」二次小説です。

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「ねぇ、聞いた?王様の新しい側室のこと?」
「えぇ、勿論!」
「何でも、王妃様直々の命で側室になられた方だとか・・」
「どんな方なのかしら?もしかしたら、絶世の美女なのかしら?」
「そうかもしれないわね、あんたには無理そうだから!」
「何よそれ、酷い!」
「そなた達、口よりも手を動かしなさい!」

尚衣院の女官達がそんな事を言い合いながら仕事をしていると、すかさず彼女達の元に提調尚宮(チェゴサングン)がやって来た。

「あら、そういえば火月は?」
「さぁ・・でもお姉さんがあんな事になってしまったから、暫く喪に服すとか言っていたわね。」
「あの子のお姉さんは、実は病死じゃなくて自殺だったのでしょう?」
「さぁ・・」
「さ、仕事しましょ、仕事!」

同僚達が仕事に励んでいる頃、火月は自宅にある自室で何度目かの溜息を吐いていた。

「お嬢様、これからどうなさいますか?」
「そんな事は今考えられないわ。」
「王妃様はどうしてお嬢様にあんな事を?」
「わたしに聞かれても、わからないわ。」
「そうですわね。」

チェヨンがそう言って溜息を吐いた後、外が急に騒がしくなった。

「一体何が起きたのかしら?」
「さぁ・・」

火月がそう言って首を傾げた後、ユン氏が突然部屋に入って来た。

「火月、すぐに母屋へ来なさい!」
「お母様、一体何があったのですか!?」
「話は後でするわ!さぁ、わたしと来なさい!」

母・ユン氏に連れられて火月が彼女と共に母屋へ向かうと、そこには王の姿があった。

「王、王様・・」
「そなたに会いに来たのだ。」
王はそう言うと、火月に向かって優しく微笑んだ。
「王様、わたくしは・・」
「王妃が言った事は、余り気にせずともよい。」
王―有匡(ありまさ)はそう言うと、ユン氏に人払いを命じた。
「そなたはわたしが周囲の者達から何と言われておるのか、知っておろう?」
「はぁ・・」
「お前も既に知っている事だろうが、わたしとスンア翁主(オンジュ)が血の繋がった兄妹だという事は・・」
「えぇ、知りませんでした!」
「そうか・・わたしの祖母―つまり母方の祖母にあたる方が、大妃(テビ)様に対して謀反を企てた事があった。」
「それで、どうなったのですか?」
「大妃様は祖母とその一族を、斬首の刑に処した。母方の祖母が大妃様に謀反を企てた理由は、わたしだったのだ。」
「それは、一体どういう事なのですか?」
「そなたにだけ、真実を話そう・・」

有匡は少し目を閉じた後、静かに母方の祖母が何故謀反を企てたのかを話し始めた。

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最終更新日  2020.03.14 14:49:42
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2020.02.08



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「火宵の月」二次小説です。

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「火月、短い間によくこれまでに見事な品を仕上げてくれたな、礼を言うぞ。」
「有り難きお言葉、光栄にございます、大妃(テビ)様。」

宴の痕、火月は大妃の部屋に呼び出され、彼女から褒美の品を受け取った。

「火月よ、お前の望みは何でも叶えてやりたい。そなたとわたしが会った事は、天からの宿命だとは思えぬ。」
「恐れ多きお言葉にございます、大妃様。」

火月がそう言って俯いていた顔をゆくりと上げると、テファ大妃は妖しい笑みを口元に湛(たた)えていた。

「大妃様?」
「そなたは、王様の事をどう思っておる?」

 思いがけぬ質問に、火月は動揺して何も答える事が出来なかった。

「大妃様、そのような質問をしては火月が困ってしまうではありませんか。」

部屋の入口から凛とした声が聞こえたかと思うと、サラサラと衣擦れの音を立てながらスンア翁主(オンジュ)がやって来た。

「スンア、何の用だ?」
「大妃様、先程わたくしの部屋に、このような文が投げ込まれました。」

そう言ってスンナ翁主が大妃に手渡した文には、大妃とスンア翁主を批判する内容が書かれていた。

「その文は、一体誰が・・」
「これと同じような文が、市場にも貼られています。」
「何だと、それはまことか!?」
「はい。」
「一刻も早く、この文を書いた者を探し出せ!」

大妃はそう叫ぶと、胸を押さえて蹲(うずくま)った。

「大妃様!?」
「誰か、薬師を呼べ!」

大妃が突然倒れ、王宮内は騒然となった。

「大妃様がお倒れになったなんて、これからどうなるのかしら?」
「王妃様のご親族が黙っておられないわよ、絶対に。」
「そうね・・」

尚衣院の女官達がそんな事を話していると、提調尚宮(チェゴサングン)が彼女達の前に現れた。

「そなた達、口ではなく手を動かしなさい!」
「申し訳ありません!」
火月が黙々と大妃の靴に刺繍を刺していると、そこへ突然クオク王妃がやって来た。
「王妃様、突然こちらにいらっしゃるなど、一体どうなさったのですか?」
 突然の来訪に慌てふためく提調尚宮を尻目に、クオク王妃は真っ直ぐ火月の元へと向かった。
「そなたに、話しがあって来たのだ。」
「は、はい・・」

クオク王妃の部屋へと彼女と共に入った火月は、クオク王妃が自分に向ける厳しい視線に気づいた。

「火月、そなた王様の側室にならないか?」
「王妃様?」
「今すぐ、ここで決めろ。」


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f






最終更新日  2020.06.19 22:14:24
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2020.01.05



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「火宵の月」二次小説です。

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モランと火月達に名付けられた白鼠は、よく食べよく寝た。

「なんだかこの子を見ていると、仕事の疲れが取れるわ。」
「わたしもです、お嬢様。」
「最近、大妃様の衣装に花の刺繍を毎晩遅くまで刺しているから、目が疲れて堪らないわ。」
「もうすぐですね、大妃様の祝いの宴。」
「えぇ、もうひと頑張りしないとね。」
「目の疲れに効く薬湯をどうぞ、お嬢様。」
「ありがとう、頂くわ。」
チェヨンが部屋から出た後、彼女はチュヨンに呼び出されていた事を思い出し、彼女の部屋へと向かった。
「チュヨンお嬢様、チェヨンです。」
「入って。」
「失礼致します。」

チェヨンがチュヨンの部屋に入ると、彼女は幽鬼のように蒼褪めていた。

「チュヨンお嬢様、どうされたのですか?どこかお身体が・・」
「ねぇチェヨン、今から言う事は誰にも話さないと約束してくれる?」
「はい、チュヨンお嬢様。」

チュヨンは、三ヶ月前、己の身に起きた事をチェヨンに話した。
掌学院の女官として宴に出た時、チュヨンは泥酔した男に乱暴され、望まぬ妊娠をしたのだった。

「お願い、火月には何も話さないで。」

それから数日後、チュヨンは家族に宛てた遺書を残し、護身用の刃物で頸動脈を切り裂き自害した。

「あぁ、何て事でしょう・・」
「お可哀想に、あんな酷い目に遭わなければ、チュヨン様は寿衣(スゥイ)ではなく、花嫁衣裳を纏っていらしたのに・・」

使用人達がそう話すのを偶然にも聞いてしまった火月は、その時義姉の身に何が起きたのかを知った。

「許さない・・必ずわたしが姉様の仇を討ってやる!」
火月はそう呟いた後、チュヨンが遺した髪飾りを握り締めながら嗚咽した。
「火月お嬢様、失礼致します。」
「チェヨン、どうしたの?」
泣き腫らした目で火月がチェヨンを見ると、彼女も泣き腫らした目で火月を見ていた。

「チュヨンお嬢様が、これを・・」

震える手でチェヨンが火月に手渡したのは、生前チュヨンが残した、火月に宛てた遺書だった。
“火月、突然こんな形でこの世を去ってしまってごめんなさい。どうかわたしの仇を討とうなんて考えないで。わたしは、あなたの幸せだけを願っているわ。お父様とお母様を頼んだわよ。”

「姉様・・」

悲しみの中、火月は大妃の古希を祝う宴に出席した。

「大妃様の衣装を見ろ・・」
「何と見事な刺繍だろう・・」
「あの大妃様の隣に居る金髪の女官が作ったものだそうだ。」
「ハン大監の養女か。何でも、王様に気に入られておるとか。」
「・・ほう、それは良い事を聞いたな。」

ある男はそう言うと、口端を歪めて笑った。

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最終更新日  2020.01.05 20:45:32
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