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JEWEL

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薄桜鬼 腐向け二次創作小説:鬼嫁物語

Sep 30, 2020
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「薄桜鬼」の二次創作小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

土方さんが両性具有設定です、苦手な方は閲覧なさらないでください。

「総司、近藤さんと土方さん知らねぇか?」
「知らないよ。」
「本当に?」
「しつこいなぁ、知らないったら!」
試衛館道場へと戻った総司は、平助達からそう尋ねられ、苛立った様子でそう叫ぶと、自室に引き籠った。
「総司、どうしたんだ?」
「変だよなぁ~。」
平助と永倉がそんな事を言いながら味噌汁を啜っていると、そこへ歳三が帰って来た。
「二人共、今まで何処に行ってたんだよ!?」
「す、済まない・・少し、散歩しながらトシを探していたら遅くなって・・」
「そ、そうか。」
「あれ、二人共なんで泥だらけなんだ?」
「あ~、それは・・」
「あ、それに近藤さんの着物から何で土方さんの白梅香の匂いがすんの?」
「おい平助、それ以上聞くのは野暮だぜ。」
原田はそう言うと、平助の頭を拳骨で殴った。
「痛ぇな!」
「ごめん、手が滑ったぁ~!」
「ひでぇ~!」
何とか周囲を誤魔化すと、原田は二人が風呂場へと向かっていくのを見送った。
「済まないなトシ、無理をさせちまって・・」
「いや、いいんだ。それよりも、総司に見られちまったのかもしれねぇ・・俺達の、
まぐわいを。」
「何だって!?」
「あいつと、目が合っちまったんだ。」
「そうか・・」
「これから、あいつとどんな顔をして会えばいいんだよ・・」
「いつも通りにあいつに接していればいいさ。大丈夫だ、トシ。」
「そうだな・・」
「今日は泊まるんだろう?」
「あぁ・・」
その日の夜、歳三が、勇が用意してくれた部屋で寝ていると、そこへ誰かが入って来る気配がした。

(総司か?)

歳三がゆっくりと寝返りを打つと、そこには闇の中でも煌く金髪を揺らしながら真紅の瞳で自分を見つめる千景の姿があった。

「何で、てめぇがここに居るんだ?」
「夜這いに来たのだ。」
「は!?てめぇには朔が居るだろうが?」
「あれは俺の子を宿している。」
「だから、俺があいつの代わりになれと?ふざけるな!」
「・・明日、俺の家へ来い。」

千景はそう言うと、部屋から出て行った。

翌日、歳三は朔の好物の団子を持って風間家を訪問した。

「あら兄様、いらっしゃい。」

そう言って自分を出迎えた朔は、髪を丸髷に結った女子姿だった。

「朔、これ・・」
「まぁ、僕が好きなお団子ね。ありがとう。」
「どうだ、身体の具合は?」
「それがね、悪阻はすぐに良くなったのだけれど、貧血が酷くて・・桜馬が作ってくれた薬湯を飲んだら少しはマシになったの。」
「薬湯?」
「えぇ。何でも西洋の鬼の血を薄めたものですって。純血の僕達にとっては良薬だけれども、人間が口にしたら毒にしかならないのですって。」
「そうか・・」
「失礼致します、若奥様。雪村先生がお見えになられました。」
「お通しして。」
「失礼致します。」
すっと襖が開き、部屋に禿頭姿の男が入って来た。
「雪村先生、こちらは僕の兄の、歳三です。兄様、こちらは僕の主治医の、雪村綱道先生です。」
「はじめまして。」
「おや、朔様は双子でしたか。やはり、純血の鬼というのは、双子が多いのですね。」
「まぁ、それでは雪村の名を持つ双子が?」
「えぇ、居りますよ。兄妹で、名前は千鶴と薫といいましてね。千鶴はわたしの診療所を良く手伝ってくれますよ。」
「一度、お会いしたいものだわ。」
「では、近い内に娘を連れて参りますね。」
「朔様、薬湯をお持ち致しました。」
「ありがとう。」
歳三は、器に入れられた真紅の液体を見た。
「これが、例の薬湯か?」
「はい、変若水といって、人間が口にすれば超人的な力を持つ事が出来ます。」
「まぁ、副作用は飲んだ人間の寿命を縮めるだけではなく、化け物にしてしまうのに・・そんな薬を、幕府が開発に乗り出すなんて、正気の沙汰ではないわ。」
「欧州の列強諸国に打ち勝つ為には、強い兵力が必要なのです。」
「人間というものは、いつの時代も愚かなのね。」

朔はそう言って薬湯を飲み干した。

1863(文久3)年、2月。

勇と歳三達は、江戸から京へと出発した。

「これからだな、勝っちゃん。」
「あぁ・・」

同じ頃、雪村綱道も京へ向かう事になった。

「気を付けてね、父様。」
「では、行って来る。」

こうして、運命の歯車は静かに回り始めた。

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Last updated  Mar 2, 2021 09:53:39 PM
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「薄桜鬼」の二次創作小説です。

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二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

土方さんが両性具有設定です、苦手な方は閲覧なさらないでください。

性描写が含まれます、苦手な方はご注意ください。

「やっと、捕まえた!」
そう言いながら歳三を見下ろしたのは、弥助だった。
「てめぇ、何のつもりだ!?」
「いやね、あなたについて妙な噂を聞いたものだから、それを確めに来たんですよ。」
「噂、だと?」
「えぇ。あなたの家の女中だった者から、あなたの身体について・・その女中曰く、あなたの身体は男と女、両方の性を持っていると・・」
そう言いながら弥助は、歳三の着物の合わせ目を左右に大きく開いた。
「やはり、噂は本当でしたか・・」
歳三の、晒しに隠された乳房を舐めるように見ながら弥助は鼻息を荒くしてそれを鷲掴みにした。
「俺をどうする気だ?」
「前からあなたを抱きたいと思っていました・・禁欲的な色気を纏いながらも、凛とした魅力を持ったあなたが、閨の中でどんな風に乱れるのか見てみたい・・」
弥助の手が歳三の下肢へと伸びた時、彼は何者かに後頭部を殴られて気絶した。
「トシ、大丈夫か?」
「勝っちゃん、何で・・」
「心配だったから、お前の後をこっそりつけていたんだ。あいつに襲われる前に間に合って良かった。」
「いつから居たんだ?」
「あいつがお前に身体の事を尋ねていた時だ。」
「そんな・・」
歳三が赤面して両腕で乳房を隠そうとしていると、勇はそっと歳三を抱き締めた。
「こんな所に居たら、風邪をひく。すぐに戻って・・」
「抱いてくれ。」
「トシ・・」
「俺はずっと、あんたが好きだった。それなのに、何であんたは・・」
「結婚の事は、義父から話が来ていて、断れなかったんだ。」
「なぁ、一度だけでいいから抱いてくれよ。頼むから。」
歳三はそう言うと、勇の前に跪き、彼の袴の紐を解いた。
下帯の隙間から手を入れ、歳三が勇の双球を揉みしだくと、彼のものが下帯の中で張りつめ、窮屈そうにそれを押し上げている事に歳三は気づいた。
それを見て、歳三は下腹の奥に甘い疼きが広がるのを感じた。
「トシ、もう・・」
「こんなにパンパンにして、辛いんだろ?」
歳三はそう言うと、勇のものを口に含んだ。
彼が舌で勇の裏筋を舐めると、そこから先走りの汁が垂れて来た。
「そろそろ頃合いだな・・」
「トシィ~!」
勇は堪らず歳三の身体を掻き抱くと、自分が着ていた羽織を彼の下に敷いた。
「いいのか?」
「何を今更?」
「優しくするから・・」
そう言った勇の琥珀色の瞳は、熱で潤んでいた。
「朔様、桜馬です。白湯をお持ち致しました。」
「ありがとう・・」
「失礼致します。」
朔が風間家に嫁入りしてから二月経った。
未だに朔は懐妊の兆しが見えず、その事で親族達から陰口を叩かれていた。
この頃、朔は酷い吐き気や貧血、微熱などに襲われ、数日寝込んでいた。
「風邪なのかしら?」
「月のものの所為かもしれませんね。」
「そういえば、最近月のものが遅れているような気がするの・・」
「それは、もしかしたら・・」
桜馬はすぐさま風間家の専属蘭方医を呼び、朔が妊娠している事を知った。
「あぁ、これで僕は・・」
「おめでとうございます、朔様。」
「ありがとう、桜馬。」
「若奥様、千景様がお帰りになられました。」
「朔、身体の具合はどうだ?」
「少し良くなりました。千景様、先程お医者様に診て頂いたら・・」
「そうか。」
千景はそう言うと、朔の膨らんでいない下腹を撫でた。
「元気な子を産め。」
「はい。」
同じ頃、総司は、“トシを探しに行く”と言って中々戻って来ない近藤を探していた。
「近藤さん、何処ですか~!」
総司がそんな事を叫んでいると、近くの河原の近くから何か物音がした。

「誰か居るんですか?」

(気の所為か。)

そう思いながら総司が踵を返そうとした時、近くの叢の中から聞き慣れた声がした。
丈の高い叢を掻き分けた総司は、誰かに覆い被さっている勇の姿を見た。
一体彼が何をしているのか、女を知らない総司でもわかった。
勇が何処ぞの夜鷹を叢の中へと引き摺り込んでよろしくやっているのかと思った総司だったが―

「勝っちゃん、早く・・」
「トシ・・」
「出しちまえよ。俺ん中、勝っちゃんのでいっぱいしてくれよ。」
「トシ~!」

勇は獣のような唸り声を上げると、腰を激しく痙攣させながら果てた。

(何なの、あれ!?)

心酔している師と兄弟子の情事を見てしまった総司は、そのまま音を立てずに河原を後にした。

あんな二人、知らない。

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Last updated  Mar 2, 2021 09:52:02 PM
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Sep 12, 2020




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「薄桜鬼」の二次創作小説です。

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「まぁ、お美しいこと。」
「ありがとう、ばあや。」
「朔、どうか幸せになるのですよ。」
「はい、母上。」
髪を文金高島田に結い、真紅の打ち掛け姿の朔は、まるで天から舞い降りて来た天女のようだった。
「朔、本当にいいのか?」
「兄様。」
朔が振り向くと、そこには薬の行商から帰宅した歳三の姿があった。
「お前は、俺の所為で・・」
「何も言わないで、兄様。兄様は勇さんと夢を叶えて。」
「わかった。」
これが、兄弟として歳三と朔が交わした最後の会話となった。
「風間、良いのですか?」
「何がだ?」
「貴方が望んだのは土方歳三の筈。それなのに、何故弟君の方を・・・」
「身代わりだ。」
「身代わり、というと?」
「あいつは、兄の身代わりに過ぎん。向こうもそれを承知の上でこちらに嫁ぐのだ。」
「へぇ~、そんな理由でお前に嫁ぐ女の気が知れないねぇ。」
そう言ったのは、風間家と懇意にしている不知火家の次男坊・匡だった。
「・・貴様、何しに来た?」
「何って、お前の嫁になる女の顔を見に来たんだよ。」
「嫁には違いないが、相手は半分男だ。」
「は?そりゃ一体どういう意味だ?」
「土方家の双子は、両性の鬼だ。」
「マジかよ・・」
「兄の方を妻として迎えたかったが、まぁいい。」

千景はそう言った後、開いていた扇子をパチンと閉じた。

「千景様、そろそろお時間です。」
「わかった。」

千景と朔の祝言は、華やかに行われた。

「ほんに、めでたき事。」
「花嫁の美しい事といったら・・」
「美男美女で似合いの二人じゃのう。」

(ったく、爺達は呑気で良いよな。)

不知火はそう思いながらちびちびと酒を飲んでいると、彼は花嫁と目が合った。
白粉を塗らずとも白く抜ける程の美しい肌に、血のように紅い唇。
そして、美しい菫色の瞳―その瞳に見つめられた不知火は、慌てて目を伏せた。

それ以上あの瞳を見つめると、おかしくなってしまいそうだったからだ。

同じ頃、歳三は試衛館道場に居た。

「土方さん、弟さんの祝言には行かないんですか?」
「あぁ。挨拶はしたからいい。」
「一応花嫁の兄なんだから、顔を出す位したらいいのに。」
「俺ぁ、堅苦しいのは大嫌ぇなんだよ。」

そう言った歳三は、前髪を鬱陶しそうに搔き上げた。

「そういや、近藤さんも近々結婚するって聞いたなぁ。」
「平助、この馬鹿っ!」

左之助はそう叫ぶと、平助の頭上に拳を振り下ろした。

「痛てぇ、何するんだよ左之さん!」
「近藤さんが結婚って、それ本当なの、平助!」
「あぁ、何でも相手は何処かの藩士の娘らしいぜ。」
「へぇ、どんな女なのか一度見てみたいな。」

総司がそう言って歳三の方を見ると、彼は少し寂しそうな顔をしていた。

「土方さん?」
「すまねぇ、少しボーっとしてた。」
「風邪でもひいたんじゃないんですか?」
「いけません土方さん、石田散薬を・・」
「これ位の風邪、どうって事ねぇよ。」
そう言いながらも、歳三は鼻を啜っていた。
「トシ、どうした?」
「何でもねぇよ。」
「土方さん、風邪ひいたみたいです。」
「風邪だと!?それは大変だ!」

勇はそう言うと、歳三をひょいと横抱きにした。

「な、下せって!」
「総司、後頼む!」
「わかりました。」
「やめろ、離せって!」

歳三はそう叫びながら抵抗したが、なすすべなく、彼は勇によって勇の部屋へと運ばれてしまった。

「大丈夫だから、下せって!」
「熱があるじゃないか、トシ!待ってろ、今布団を・・」
「大丈夫だって言ってんだろ!」
歳三がそう叫んで勇の手を払い除けると、勇は少し驚いたような顔をした。
「済まねぇ、もう帰る。」
歳三は勇に背を向けると、そのまま一度も振り返る事なく試衛館を後にした。
「どうしたんでしょうねぇ、土方さん?」
「あちゃ~、これ俺の所為かなぁ。」

(勝っちゃんが結婚かぁ・・そんな事考えたくなかったな・・)

歳三はそんな事を思いながら歩いていると、彼は突然背後から忍び寄って来た男に口を塞がれ、近くの叢へと引き摺り込まれた。

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Last updated  Mar 2, 2021 09:51:32 PM
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Aug 14, 2020

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「薄桜鬼」の二次創作小説です。

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「風間様・・」
「だが勘違いするな、お前との結婚は形だけのものだ、子を作るのも、義務だ。」
「はい・・」
朔はそう言うと、俯いた。
「俺は己を安売りするような奴には興味はない。お前名は何という?」
「朔と申します。」
「朔、か・・雲すら浮かばぬ月・・お前に似合っている。」
「僕は、今まで兄の陰に隠れるようにして生きて来ました。でも、僕は風間様の為ならば何でも出来ます。」
「気に入った。」
千景はそう言って笑いながら、朔を畳の上に押し倒した。
「このまま俺に抱かれれば、お前はもう後戻りが出来なくなる・・それでも良いのか?」
「はい、元よりその覚悟で、こちらに参りました。」
「そうか・・」

いつまで経っても朔が戻って来ないので心配した桜馬(おうま)は、朔と千景の部屋へと向かった。

「あ、あなたは・・」
「朔様は、こちらにおられるのでしょう?」
「はい。ですが今は、お入りにならない方がよろしいかと・・」

そう言った少年は、頬を赤らめていた。

その理由は、すぐにわかった。

襖越しに聞こえてくるのは、紛れもなく朔のものだった。

中で何が行われているのかは、桜馬にもわかった。

「朔様は今宵、こちらにお泊りになられるそうです。」
「そうですか・・」

朔は一晩中、千景に激しく抱かれた。

「初めてだというのに、乱暴に抱いてしまったな。」
「いいえ。風間様に抱かれて嬉しかったです・・」

朔はそう言うと、千景の少し癖のある銀髪を撫で、美しい金色の瞳を見つめた。

「お帰りなさいませ、朔様。」

駕籠から降りた朔を出迎えた桜馬は、主の歩き方が少しぎこちない事に気づいた。

「大丈夫か?」
「うん、大丈夫・・」

そう言った朔の瞳が、熱で潤んでいるように見えた。

少し朔がよろめいた身体を桜馬が彼を支えた時、彼の長い黒髪の隙間から覗いた白い首筋に残る薔薇色の刻印に気づいた。

「ありがとう、桜馬。」
「いえ・・」
「桜馬、僕は兄様の代わりに風間家に嫁ぐよ。大丈夫、向こうに嫁いでも、僕達はずっと一緒だから。」
「はい・・」

抱き締めた主の身体から、仄かに主のものとは違う香の匂いがして、桜馬は唇を噛み締めた。

数日後、風間家と土方家との間で、正式に結納が交わされた。

「朔様、おめでとうございます。」
「ありがとう。」

その日の夜、歳三に呼ばれた桜馬は彼の部屋がある母屋へと向かった。

「歳三様、桜馬です。」
「入れ。」
「失礼致します。」

桜馬がそう言って襖を開けて部屋に入ると、部屋の主は、何故か眉間に皺を寄せながら鏡を見ていた。

「どうなさったのですか、そのような顔をして?」
「いいや、朔の事で少し気になる事があってな。」
「気になる事、でございますか?」
「あぁ。こんな事は余り聞きたくねぇんだが、朔にはその・・アレは来ているのか?」
「いいえ。まだ来ておりません。歳三様の方は・・」
「あんなのが来るなんて、思ってもみなかったさ。世の女達は、いつもあんな下腹の痛みに耐えていやがるのか・・」
「男には一生わからぬ痛みです。ですが、その痛みや辛さに寄り添う事は出来ます。」
「そうか。朔に伝えておいてくれ、俺の勝手な我儘(わがまま)の所為で、苦しめてしまって済まないと。」
「わかりました。」
「なぁ桜馬、お前はいつから俺が勝っちゃんの事を好きだったんだって気づいたんだ?」
「歳三様が近藤様の事を初めて話していらっしゃった時ですかね。」
「そうか・・済まねぇな、こんな夜遅くに部屋に呼び出して。部屋に戻って休め。」
「はい、では失礼致します。」

桜馬はそう言って、歳三の部屋から辞した。

自室に戻り、布団に入って眠ろうとしたが、中々眠れずにいた。

暫くすると、襖が音もなく開き、誰かが入って来る気配がした。

やがて、その“誰か”が、自分の上に跨り、夜着を剥ぎ取る感覚がして、桜馬が行灯の火を灯すと、朔の白い顔が仄かに浮かび上がった。

「朔様・・」

朔は人指し指を口の前に押し当てた後、桜馬の肌にゆっくりと舌を這わせた。

「朔様、もうこれ以上は・・」

サラリとした朔の黒髪の感触を下肢に感じ、桜馬は慌てて彼を自分から引き離そうとしたが、朔は彼のものを躊躇いなく口に含んだ。

「あぁっ!」

はじめは緩慢なものだった愛撫が、次第に激しくなり、桜馬は朔の口の中で達してしまった。

「お願い、この疼きを止めて・・」
「朔様・・」

桜馬は堪らず、自分の上に跨った朔の身体を反転させ、朔の身体を掻き抱いた。

「朔様、愛しています!」
「その言葉を、聞きたかった・・」

朔はそう言って笑うと、桜馬の背に爪を立てた。

「このような事をなさって、大丈夫なのですか?」
「風間様は僕の事を愛していない。あの方は、兄様の代わりを探しているだけ・・」

その夜から、朔と桜馬は互いの身体を貪り合った。

そして、朔が風間家に輿入れする日が来た。

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Last updated  Aug 14, 2020 10:14:52 PM
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Aug 11, 2020

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「てめぇ、何しやがる!」

初対面の相手に対して口吸いをしてきた青年の頬を歳三は平手で打った。

「命の恩人に対して、随分な礼の仕方だな?」
「うるせぇ!」
歳三はそのまま、青年に背を向けて去った。
「・・気が強いな。だが、それがいい。」
青年―風間千景はそう言うと、口端に滲んだ血を乱暴に拭った。
「千景様、こちらにいらっしゃったのですね!」
背後から甲高い少年の声が聞こえたので千景様が振り向くと、そこには自分の小姓となった少年・雪が立っていた。
「一体何があったのです?」
「なに、暴れ馬から娘を救ってやっただけだ。行くぞ。」
「待ってくださいよ~!」
練兵館から帰宅した歳三は、何やら離れの方が賑やかな事に気づいた。
「あぁ、まるで夢みたい。こんなに素敵な打ち掛けを頂くなんて。」
そう言いながら、朔は美しい真紅の打ち掛けをうっとりとした表情を浮かべながら眺めた。
「朔、どうしたんだ、これ?」
「これは、先程風間家から贈られたものです。歳三様が、赤がお好きだと聞いたようでして・・」
「そうか。」
「兄様は幸せ者ですね。」
「その打ち掛け、お前ぇにやる。」
「え?」
「俺は嫁には行かねぇ、京へ行く。」
「それは、本気なのですか!?」
「あぁ、本気だ。」
「・・狡い人ね、兄様は。健康な身体に産まれて、仲間にも恵まれて・・これ以上、何を望むというの!?」
朔はそう叫ぶと、歳三に掴みかかった。
「京へ行くなんて、許さない!あなたはきっと、勇さんを・・」
「朔様!」
桜馬は激しく咳込んだ朔の背を慌てて擦った。

「朔、お前、まさか・・」
「朔様は、心の臓がお悪いのです。歳三様、どうか朔様を興奮させないで下さいませ!」
「兄様、勇さんは知っているの?僕達が、普通の身体じゃない事を?」
「朔、お前何を・・」
「僕達は、男と女、両方の性を持って生まれてきた。兄様が京に行くのなら、僕は風間様の子を産んで、幸せになってみせる・・」
そう言った朔の、自分と同じ色をした紫の瞳が、妖しく煌めいた。
「朔様・・」
「桜馬、ずっと僕の傍に居て・・どんな事があっても。」
「はい。」

その日の夜、歳三は寝返りを打っていると、下帯が濡れる感覚がして目を覚ました。

(何だ?)

歳三が布団を捲ると、敷布が真紅で染まっていた。

「トシ、どうした?顔色が悪いぞ?」
「あぁ、ちょっとな・・」
「あれ、土方さん袴に血がついていますよ?」

試衛館で稽古をしていると、歳三は下腹の鈍痛に襲われ、思わず顔を顰(しか)めて蹲(うずくま)った。

「トシ、向こうで暫く休むか?」
「あぁ、済まねぇ。」

初潮を迎えてから、歳三は酷い貧血と眩暈に襲われるようになった。

「トシは、大丈夫かな?」
「病気じゃないんですから、そんなに大袈裟に考えなくても・・」
「そうか?出来る事なら、代わってやりたいな。」
「近藤さん、土方さんは本当に嫁には行かないつもりなのかなぁ?」
「それはどういう意味だ、総司?」
「月のものが来たって事は、もう土方さんは子供を産める身体になった事でしょう?風間家との縁談がなくなったとしても、他家から縁談が来るかもしれないじゃないですか?まぁ性格はともかく、顔は良いから・・」
「総司、テメェ俺が聞いてねぇとでも思っているのか・・ちゃんと聞いてんだよ!」
「へぇ、何だ聞いてたんですかぁ、つまんないの。」
「この野郎!」
「止めなさい、二人共!」
「源さんは黙っててくれ!」
「近藤さん、助けて~!」
一方、風間家では千景と歳三に成り代わった朔が初めて顔を合わせる事になった。
「朔様、どうかお気をつけて。」
「うん・・」
「漸く、あの土方歳三とやらに会えるのだな。」
「千景様、くれぐれも失礼のないように。」
「あぁ、わかっている。」
「千景様、土方家の駕籠が到着しました。」
「そうか。」
駕籠から降りた朔は、真紅の打ち掛けの裾を摘まむと、桜馬と共に風間邸へと向かった。
「千景様、土方様がいらっしゃいました。」
「通せ。」
「はじめまして、風間千景様。」
「お前、何者だ?」
「わたしは、土方歳三と・・」
「お前は、あの暴れ馬から庇った俺の頬を平手打ちした奴と同じ者か?」
「あ、暴れ馬ですか・・」
「・・お前、土方家の次男坊だな?」
千景の真紅の瞳が、ひたと朔の顔を見つめた。
「・・どうか、わたしを抱いて下さいませ。」
「自ら色を仕掛ける奴は好かぬ、失せろ。」
「この身体を、ご覧になってもですか?」
朔はそう言うと、千景の前で生まれたままの姿となった。
「・・いいだろう、お前を俺が兄の代わりに抱いてやろう。」

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Last updated  Aug 13, 2020 06:43:33 PM
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Aug 2, 2020

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「どうして、あいつだけ・・」
「朔様・・」
「いつも、あいつは僕から大切なものを奪っていく。どうして、どうして!」
「朔様、落ち着いて下さい。わたしは、いつでもあなた様のお傍におります。」
「お願い桜馬、ずっと僕の傍に居て。」
「はい、朔様。」
桜馬は泣きじゃくる朔の黒髪を優しく梳いた。
「父上、俺はまだ結婚など考えておりません。どうか先方に断りの返事を・・」
「歳三、一度だけ会ってみるだけでもいいでしょう?」
「わかった・・」

一方、風間家では次期当主の千景が、天霧から縁談の事を聞いて、少し不機嫌そうな顔をした。

「縁談だと?そのような話、父上からは一度も聞いてはおらぬか?」
「千景様、これはもう決まった事です。」
「そうか。父上が決めたのなら仕方ない。一度相手に会ってみるとするか・・」

千景はそう言うと、口端を歪めて笑った。

「トシ、義父上から聞いたぞ、お前の縁談話。」
「そうか。でも安心しろよ、勝っちゃん。俺はまだ嫁には行かねぇから!」
「そうか、それを聞いて安心したよ。」

勇はそう言った後、屈託のない笑みを浮かべた。

「土方さんは、大人しく武家の奥様が務まる訳がありませんもんね。」
「おい宗次郎、そりゃ一体どういう意味だ?」
「え、僕何も言ってませんけど?」
「てめぇ・・」
「あ、僕女将さんに用事を言いつけられているんでもう行きますね。」
「テメェ、待ちやがれ!」

歳三は慌てて総司を追い掛けたが、彼は何処かへ行ってしまった後だった。

「畜生、宗次郎の奴、帰ってきたらタダじゃおかねぇ!」
「まぁそんなに怒るな、トシ。宗次郎はあいつなりにお前の事を心配しているんだよ。」
「そうか?」
「あいつは素直じゃないからなぁ。」

試衛館で稽古を終えた歳三は、久しぶりに練武館へと向かった。

「トシさん、久しぶり!」
「八郎、元気そうだな。」

歳三は自分に子犬のようにじゃれついて来る伊庭八郎にそう言った後、優しく微笑んだ。
そんな二人を、一人の青年がうらやましそうに見ていた。

「弥助、どうした?」
「いいえ、何でもありません。」

「土方様、わたしと付き合ってください、お願いします!」
「・・悪ぃがそれは出来ねぇな。」

八郎と稽古した後、歳三は練武館の中庭で門下生の一人に呼び出され、そこで彼から突然告白された。
今まで歳三は女から数え切れない程告白されたが、男から告白されたのは初めてだった。
歳三の返事を聞いた門下生―弥助は、不服そうに唇を尖らせた。

「何故です?」
「何でって、俺ぁ男と付き合う趣味はねぇからだよ。」
「・・若先生を手玉に取って弄んでいる癖に。」
「は?」

歳三がそう言って弥助の方を見ると、彼の姿は既にそこにはなかった。

(何だったんだ、ありゃぁ・・)

「トシさん、どうしたの?」
「なぁ、俺弥助に何かしたのか?」
道場に戻った歳三は、中庭での事を八郎に話すと、彼は腹を抱えて笑った。
「弥助は僕の事を尊敬しているから、彼からしてみればトシさんは僕を惑わして弄んでいる魔性の女にしか見えないんじゃないかなぁ?」
「魔性の女って・・俺ぁ、男だぞ!?」
「まぁ、あんまり彼の言う事は気にしない方がいいよ。」

そう言いながらも八郎はまだ笑っていた。

(魔性の女ってなんだ・・弥助の目には俺がどう映っているんだ?)

練武館から多摩へ帰る道すがら、歳三がモヤモヤしながら江戸の街を歩いていると、突然向こうから馬のいななきと人々の悲鳴が聞こえて来た。

「暴れ馬だ!」
「逃げろ!」

歳三が我に返ると、目の前に暴れ馬が迫っていた。

「危ない!」

歳三の背後で男の声が聞こえて来たかと思うと、急に彼の身体が軽くなった。

(な、何だ?)

歳三が閉じていた目を開けると、そこには眩いばかりの金髪を揺らしながら、真紅の瞳で自分を見つめている青年の姿があった。
彼は目敏く歳三の擦り剝けた右手の甲の血を舐めると、こう言った。

「お前の血は、甘いな。」

そして間髪入れずに青年は歳三の唇を塞いだ。

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Last updated  Aug 12, 2020 04:44:05 PM
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Jul 20, 2020

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「薄桜鬼」の二次創作小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

土方さんが両性具有設定です、苦手な方は閲覧なさらないでください。


土方家の女中・しずは、互いに再会と無事を喜び合う歳三達を見ながら、ある部屋へと向かった。

そこは、土方家の母屋から少し離れた所にあった。

「朔様、しずです。」
「入って。」
「失礼致します。」

しずが部屋に入ると、部屋の主は箏を弾いていた。

「例の件は、上手くいったの?」
「いえ、それが・・」
「ふぅん・・」

しずの言葉を聞いた“少女”は、箏を弾くのを止めて、ゆっくりとしずの方を振り向いた。

その顔は、歳三と同じ顔をしていた。

「本当に、お前は使えないね。」
「も、申し訳ございません・・」
「お前の顔はもう見たくない。」
「はい・・」

しずが慌てて部屋から出て行った後、彼女と入れ違いに一人の青年が部屋に入って来た。

「随分とご機嫌斜めですね?」
「お前か、桜馬(おうま)。いつも僕が不機嫌な時、お前はこうして来てくれるね。」
「あなた様にお仕えして何年経っていると思っていらっしゃるのです?」

土方家の使用人・桜馬は、そう言うと主の黒髪を優しく梳いた。

 彼は、双子の弟・朔である。

頑健な歳三とは対照的に、朔は生まれつき病弱で、実母による恵津の元から離れ、乳母であるたまの手によって育てられた。

同じ顔をしていながらも、歳三と朔の性格は全く正反対だった。

勝ち気で負けず嫌いな性格の歳三とは違い、朔は争い事を嫌う物静かな性格である。

朔はいつしか、自分と違って多くの友人に恵まれている歳三を羨み、憎むようになった。

(あいつなんて、居なくなってしまえばいいのに。)

朔はしずに金子を渡し、歳三を女郎屋へと売り飛ばすよう命じたが、彼女は失敗した。

「朔様、これを買って参りましたよ、一緒に食べましょう。」
「柏餅だね、そんな季節か。」

朔はそう言うと、桜馬の手から柏餅をひとつ手に取ると、それを頬張った。

「あぁ、美味しい。」
「朔様は、本当に甘い物がお好きなのですね。」
「甘味はどれも好きだけど、僕は柏餅が一等好きな菓子なんだ。」

「トシ、誕生日おめでとう。」
「どうしたんだ、勝っちゃん?」

歳三がいつものように神社の境内で遊んでいると、勇はそう言って、彼に赤い櫛を手渡した。

「これは?」
「近くの小間物屋で売っていたから、つい・・それに、お前が赤が好きだと思い出してな・・」
「そうか、ありがとう・・」

歳三は、そう言うと頬を赤く染めながら、勇から櫛を受け取った。

「どれ、俺が髪に挿してやろう。」
「いいよ、そんな・・」
「恥ずかしがるなよ・・」

勇はそう言うと、歳三の髪に櫛を挿した。

「やっぱり、この櫛はトシの黒髪に映えるな。」
「そ、そうか?」

そんな二人の姿を、朔は遠巻きに見ていた。

(兄さん、あなたは狡い・・どうして、あなたばかり欲しい物を手に入れて・・)

「朔様、こんな所にいらっしゃったのですか?」
「桜馬、お前はいつも僕を見つけてくれるね。」
「さぁ、もう帰りましょうか。」
「うん。」

時は経ち、歳三と朔はそれぞれ元服の年を迎えた。

「二人共、もうそんな年になったのね・・」
「あぁ、そうだな・・」

隼人はそう言うと、中庭に植えられた遅咲きの梅を見つめた。
その梅は、歳三と朔が生まれた年に植えられたものだった。

「二人共、仲良くなってくれればいいですね・・」
「あぁ。」
「旦那様、失礼致します。風間様がお見えになられました。」
「・・そうか、今行く。」

歳三はその日の夜、朔と共に母屋へと向かった。

「父上、母上、参りました。」
「歳三、朔、元服おめでとう。今日ここにお前達を呼んだのは、大切な話があるからだ。」
「大切な話、ですか?」
「あぁ・・実は、風間家から縁談が来た。」
「風間家から、ですか?」
「先方は、歳三と朔のどちらかを嫁がせろと言って来たが・・風間家の千景様は、歳三を我妻にと望んでいる。」
「それは本当ですか、父上?」
「あぁ。」
「そうですか・・」

父の言葉を聞いた朔は、そのまま離れへと戻った。

「朔様!」

桜馬が慌てて主の後を追うと、彼は静かに涙を流していた。

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Last updated  Aug 12, 2020 04:43:07 PM
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Jul 12, 2020

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「土方さん、何処ですか~?」
「どうした総司、またトシを探しているのか?」
「はい。土方さんは、いつも隠れるのが得意なんだから、参っちゃうなぁ。」
いつものように神社の境内で勇と総司、歳三が隠れ鬼をやっていると、二人はいつの間にか歳三が居なくなったことに気づいた。
「ねぇ近藤さん、どうします?もしかして、土方さん、人攫(さら)いに・・」
「トシに限って、そんな事はない。とりあえず、トシが行きそうな場所へ行ってみよう。」
「はい!」
二人が歳三を捜し回っている頃、当の本人は女郎屋の中にある部屋に監禁されていた。

(どこだ、ここ・・)

勇達と神社で遊んでいた時、歳三は突然背後から忍び寄って来た謎の男に気絶させられ、目が覚めるとこの部屋に監禁されたのだ。
物音も人の話す声も全く聞こえない中、歳三が部屋の窓から逃げ出そうとした時、一人の女が部屋に入って来た。
女は煙管を咥えながら歳三を見ると、開口一番こう言った。

「あたしゃ今までここに売られてきた子を見て来たが、こんなに綺麗な子は見た事がないねぇ。さ、良く顔を見せておくれ。」
「俺に触るな!」
「ふん、強情な子だね。あんたはここに売られて来たんだ、もっとしおらしくしな。」
「おい婆、ここから出せ!」
「それは出来ないね。あんたはここで死ぬまで働くんだ、いいね?」
「うるせぇ、婆!」

歳三はそう叫ぶと、女に強烈な頭突きを喰らわせ、女が怯んだ隙に女郎屋から飛び出していった。

「誰か、その子を捕まえとくれ!」
背後から女の叫び声が聞こえたが、歳三は只管家まで走った。
一方、日野では村人総出で歳三を捜していた。
「トシ、どこだ~!」
「居るんだったら返事しろ~!」
すっかり日も暮れ、村人達は松明を掲げながら歳三の姿を捜していた。
「トシ、トシ~!」
「近藤さん、今日は諦めましょうよ。もう日が暮れましたし、このままだと僕達も人攫いにかどかわされちゃいますよ。」
「あぁ、そうだな・・」
勇がそう言って歳三の捜索を打ち切ろうとした時、遠くから歳三の声が聞こえて来たような気がした。
「どうしたんですか、近藤さん?」
「今、トシの声が・・」
「気の所為なんじゃないんですか?」
「いや、さっき・・」
勇が、声が聞こえた方へと松明を向けると、闇の中から歳三の姿が浮かび上がった。
「勝っちゃん!」
「トシ、一体何処へ行っていたんだ!?」
「わからねぇ・・気が付いたら女郎屋に居た。そこから何とか逃げて、吉原からここまで走って来た。」
「そうか。トシ、お前が無事に帰って来てくれて良かった。」
「心配かけて済まなかったな、勝っちゃん。」
歳三と勇が抱き合っていると、そこへ歳三の父・隼人がやって来た。
「歳三、無事で良かった。さぁ、家へ帰ろう。」
「はい、父上。」
歳三が父と手を繋ぎながら土方家へと戻ると、そこには歳三の帰りを待っていた兄姉達の姿があった。
「トシ、何処に行っていたのよ、心配したんだから!」
「迷惑かけて、ごめんなさい。」

そんな歳三達の様子を、一人の女中が恨めしそうな表情を浮かべながら見ていた。

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Last updated  Aug 12, 2020 04:42:33 PM
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