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JEWEL

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薄桜鬼腐向け転生刑事パラレル二次創作小説 :警視庁の姫!!~螺旋の輪廻~(完)

2021年08月28日
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素材はコチラからお借りしました。

「薄桜鬼」の二次創作小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


「それで、君は・・」
「少し考える時間をください。」
「わかった。」
歳三はホテルから出ると、溜息を吐いた。
いきなり同性と結婚してくれと言われても、“はい、そうですか”とすんなり受け入れる訳ではない。
しかし俊郎の頼みを断れば、色々と困った事が起きるのは目に見えている。
一体、どうしたらいいのだろう―歳三はその夜、一睡も出来なかった。
「トシ、顔色が悪いぞ?」
「あぁ、ちょっとな・・」
「後で話、聞くぞ?」
「ありがとう。」
昼休み、歳三は勇と共に屋上でコーヒーを飲みながら、昨夜俊郎とホテルで話した事を勇に告げた。
「そうか・・」
「俺、どうしたらいいのかわからねぇんだ・・」
「迷ったり悩んだりしている時は、とことん迷ったり悩んだ方がいい。」
「勝っちゃん・・」
「そういえば八郎君は、“昔”からトシの事が好きだったなぁ。」
「あぁ・・」
試衛館で勇と共に汗を流していた頃、八郎は良く遊びに来ては、自分からまとわりついて離れようとしなかった。
京に居た時も、戦が始まり蝦夷地へと向かった時も、八郎はいつも歳三の傍に居た。
「今度、俺が八郎君と話をして・・」
「それは駄目だ。あいつは、あんたの事を“昔”から恋敵だと思っているからな。」
「そうか・・」
「俺が、何とかする。」
歳三は八郎をその日の夜に自宅へと招き、彼に手料理を振る舞った。
「楽しみだなぁ~、トシさんの手料理。」
「八郎、話がある。」
「ねぇトシさん、勇さんには話したの、僕との結婚の事?」
「あぁ。八郎、俺はお前ぇとは結婚しねぇ。」
「何で!?」
「俊郎さんから、お前の精神状態を聞いた。“あの時”、お前を俺が抱いたから、その所為で・・」
「トシさんの所為じゃないよ。僕が、トシさんを想い過ぎたからいけないんだ。」
「八郎・・」
「トシさん、ごめんね。」
「いや、いいんだ。」
「食べよう、折角作った料理が冷めたら勿体ないよ。」
「わかった。」
「トシさん、これからは“良い友人”として僕と付き合ってくれる?」
「あぁ、いいぜ。」
八郎の顔を見て、歳三は少しずつ安心した。
日曜日、歳三は“真由美”としてめぐみママの自宅マンションに来ていた。
「いらっしゃい、待っていたわよ~」
「ママ、お邪魔しまぁす。」
めぐみママのホームパーティーには彼女の上客が来ていたが、その中には本田の姿はなかった。
「あの、本田さんは?」
「本田さんは、今日は“お仕事”で来られないそうよ。最近、忙しいみたい・・」
「へぇ・・」
本田の“仕事”を色々と調べた歳三は、彼が違法ドラッグの取引をしている事を掴んだ。
そして、彼が今日“仕事”で横浜の倉庫へ向かっているという情報を知った。
「すいません、少しお手洗いに・・」
「トイレなら、ここを出て左よ。」
「ありがとうございます。」
歳三はそう言ってリビングを出ると、めぐみママの部屋へと向かった。
『トシ、聞こえるか?』
「あぁ。めぐみママは、秘密の手帳を何処かに隠していると思うんだが・・」
歳三はそう言いながらめぐみの部屋を物色したが、めぼしい物は見つからなかった。
「真由美ちゃん、こちらグレイウルフの佐々木さん。」
「はじめまして。」
そう言って歳三に握手を求めて来たのは、ワイルド系の男だった。
「君、カワイイね。今夜、付き合わない?」
「もう、佐々木さんのいつもの悪い癖が出たわね。」
「お邪魔します。」
「え、いいの?」
「真由美ちゃん、佐々木さんには気を付けてね。」
「え?」
「あの人、“女喰い”で有名だから。」
「わかりました。」

佐々木のマンションは、都内の一等地にあった。

「さ、入って。」
「お邪魔します。」
「ねぇ、真由美ちゃんってさ、彼氏居るの?」
「さぁ、どうかなぁ~?」
歳三がそう言いながら佐々木の方を見ようとした時、佐々木にスタンガンを当てられ、気絶した。
(クソッ、やられた!)
歳三が目を覚ますと、そこは何処かの廃ビルだった。
「目が覚めたかな、お姫様?」
「てめぇ・・」
「お前が、“警視庁の姫”か。噂には聞いているぞ、目的の為ならばどんな手を使ってでも悪を裁く正義の味方だと。」
「俺を、どうするつもりだ?」
「それは、教えねぇなぁ・・」
佐々木が歳三に薄ら笑いを浮かべながら銃口を向けた時、廃ビルに捜査官達が一斉に雪崩れ込んで来た。
「姫、ご無事ですか!?」
「誰が姫だ!」
「申し訳ありません、副長!」
「斎藤、こっち頼む!」
「はい!」
その後、カルティエのママとグレイウルフの佐々木は、違法薬物取引と人身売買の疑いで逮捕された。
数ヶ月後。
「楽しみだなぁ、トシさんと京都旅行!」
東京駅でキャリーケースをひきながらそう言って笑顔を浮かべている八郎の姿を見た歳三は、渋面を浮かべていた。
「観光で行くんじゃねぇんだ。」
「え~、でも大学時代以来久しぶりだもん!」
「え~と、ホテルは・・おい、何で俺とお前が同じ部屋なんだ?」
「細かい事は気にしな~い!」
(何だか、嫌な予感がする・・)
京都に着いた途端、歳三は八郎に新選組の名所巡りをさせられ、大量のみやげ物を買わされた。
「はぁ、疲れた・・」
「トシさん、お休み。」

その日の夜、八郎は隣で熟睡している歳三の左手薬指に、指輪をはめた。

(終)

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Last updated  2021年08月28日 18時21分10秒
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「薄桜鬼」の二次創作小説です。

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「いらっしゃいませ~!」

ここは、銀座のクラブ・カルティエ。

政財界の大物や文化人などが集う高級サロンのような店内には、ロココ調の家具や調度品などがさり気なく飾られており、そこで働くホステス達もまるでヴェルサイユの貴婦人達のように気品と威厳に満ち溢れていた。
そんな中、歳三はホステスの一人としてこのクラブに潜入していた。
「え、囮捜査?」
「そうだ。実は銀座のクラブ・カルティエは、半グレ組織・グレイウルフと繋がりがあるという情報を得た。カルティエは、以前から違法ドラッグの取引をしているという黒い噂がある。」
「そこで、俺にカルティエに潜入させる、という事ですね。」
「話がわかって助かるよ。」
「俺が、どうしてホステスに?」
「君は以前、ガールズバーで潜入捜査をしていたね。男所帯でむさ苦しい刑事達の他に、女装が似合うのは君しか居ないと思ってね。」
「えぇ・・」
「頼んだぞ。」
「は、はい・・」
歳三はホステスとして潜入したのだが、ママのめぐみに目をつけられるようになった。
「ちょっと、ここは居酒屋じゃないのよ!」
「すいません・・」
「もう、しっかりしてよね!」
めぐみはそう言って奥へと消えていった。
「真由美ちゃん、また来たよ!」
「あらぁ、いらっしゃい!」
バーコードハゲの客が、めぐみの上客であり、横浜で貿易商をしている事を歳三は掴んでいた。
「ママ、とりあえずアルマンド、ボトル一本ね!」
「うわぁ~、嬉しい!ありがとうございます!」
「本田さん、わたしよりこの子の方に気があるの?嫉妬しちゃう!」
「ママ、機嫌直してよ~!すいません、アルマンドのブラックお願いします!」

(このオッサン、やるな・・)

「じゃぁママ、またね!」
「はぁい、お待ちしていま~す!」

本田をエレベーター前でママと見送った歳三は、ママに声を掛けられて思わず顔を強張らせてしまった。

「ねぇ、これから二人でご飯行かない?」
「は、はい・・」
「そんなに怯えないで、取って喰ったりはしないわよ。」
ママに連れられた所は、新宿歌舞伎町の近くにあるラーメン店だった。
「あ~あ、コロナが終息してくれないと、うちの店も商売上がったりよ。」
「え~、お店儲かっているじゃないですかぁ?」
「そうでもないのよ。昨年の春からずっと業績悪くてね。銀座や六本木のクラブも、何処も同じようなもんよ。もうお店閉めて、田舎帰っちゃおうかなぁ。」
「田舎、何処なんですか?」
「埼玉の山奥。昔はドがつく田舎だったけれど、近くにデカいショッピングモールが出来たらいいけどさ。」
ママはそう言って煙草の煙と共に溜息を吐き出した。
「今度の日曜、紹介したい人が居るからうちへ来てくれない?」
「わかりました・・」
「それじゃ、また明日!」
帰宅した歳三は、ベッドまで這うようにして向かうと、そのまま泥のように眠った。
「土方君、居るの~!?」
「何だよ、うるせぇな・・」
歳三が眠い目を擦りながらドアを開けると、そこには何処か慌てた表情を浮かべている大鳥の姿があった。
「どうした、何があった?」
「伊庭君が、君を捜しているんだ!とにかく僕と一緒に来て!」
「え・・」
訳がわからぬまま、歳三は大鳥が運転する車である場所へと向かった。
「嫌だぁ~!」
「八郎、落ち着きなさい!」
そこは、都内某所にあるホテルの結婚式場だった。
「一体、何が起きていやがる?」
「実は・・」
大鳥は、歳三に八郎が暴れている経緯を話し始めた。
八郎は、また父親に連れられて見合いをしたのだが、突然彼が暴れ出したのだという。
「そうか・・」
「歳三君、少し話せないか?」
「はい。」
暴れて疲れて眠ってしまった八郎をスイートルームの寝室のドア越しに見ながら、そう言って歳三と向き合うような形でソファの上に腰を下ろした。
「八郎と、結婚してくれないか?」
「え・・」
「最近、あの子は、“トシさんと結婚できないなら死ぬ!”とか言い出して暴れるんだ。」
「そうですか・・」
「あいつを一度カウンセリングへ連れて行ったが、精神科医から、“前世でやり残した事が、息子さんを苦しめている”と・・」
 俊郎の言葉を聞いた歳三は、箱館の“あの夜”の事を思い出した。
「トシさん、いいかな?」
「ねぇトシさん、お願いがあるんだ。」
「何だ?」
「僕を、抱いて欲しいんだ。」
「お前、何言って・・」
歳三がそう言って八郎の方を見ると、彼は一糸纏わぬ姿を見て己の前に立っていた。
「もう、こんな身体で生きていたくないんだ。」
 そう言って涙を流す八郎の左半身には、変若水を飲んだ副作用による、酷い瘢痕が広がっていた。
「わかった・・」
それが、歳三が八郎を抱いた最初で最後の夜だった。
「歳三君?」
「いえ、何でもないです。」

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2021年08月25日



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 歳三達は総司の死の真相を探る為、彼が勤務していた大学病院へと向かった。

「沖田先生が、お亡くなりになられたのですか・・」
「何か、事故の前に彼に変わった様子はありませんでしたか?」
「そうですね。確か、一度製薬会社の人と揉めているのを見たような気がします。」
「それはいつの事ですか?」
「数日前の事でしたね・・」
総司の同僚である女性医師は、数日前屋上で総司が武田製薬の社員と口論していた姿を目撃したという。
「ありがとうございました。」
「いいえ。それよりも沖田さんの奥様、妊娠されていらっしゃるとか・・」
「ええ。」
「夫をわたしも亡くしたばかりで、わたしも彼女の気持ちが痛いほどわかります。どうか、彼女には元気な赤ちゃんを産んで欲しいですね。」
「必ず、犯人を捕まえてみせますよ。」
歳三達は、総司と口論していた武田製薬の社員・石田と会おうとしたが、彼は既に退職した後だった。
「何だかおかしくねぇか?俺達が会おうとしていた社員がその日に退職したなんて・・」
「明らかに不自然過ぎるだろう。石田の家は、確か新宿だったな。」
「今からでも、家に居そうだな。」
歳三と原田が武田製薬の本社から出ようとした時、歳三は一台の自転車とぶつかりそうになった。
「危ねぇだろうが!」
歳三はそう自転車に向かって怒鳴ったが、自転車に乗っていた男は雑踏の中へと消えていった。
「そういや最近、宅配業者が増えてねぇか?」
「まぁ、コロナ禍で巣ごもり生活が続いて、外出もままならなくなったから、宅配業者の自転車を見るのはその所為だろう。」
「宅配業者って、料理以外の物を運ぶんだよな?」
「まぁ、そうだな・・」
原田と歳三がインターネットカフェで休憩していると、歳三はスマートフォンに総司から音声メッセージが届いている事に気づいた。
『土方さん、このメッセージを聞いたら、すぐに僕の家へ向かって下さい!あいつらにデータを渡さないで!』
音声メッセージが送信された日時は、総司が事故に遭う一時間前だった。
「左之、総司の家わるか?」
「ああ。」
インターネットカフェから出て総司の自宅へと向かうと、黒塗りの車に尾行されている事に歳三は気づいた。
「左之、頼みがある・・」
「はいよ!」
原田はそう叫ぶと、黒塗りの車を撒いた。
「逃げられた、だと?」
『申し訳ありません。』
「まぁいい。」
武田製薬の社長・武田観柳斎はそう言うと、スマートフォンを胸ポケットにしまった。
「勝つのは・・わたしだ!」
「ここか・・」
「あぁ。管理人さんから鍵は借りてあるから、早速中に入ろうぜ。」
「わかった。」
歳三達が総司の自宅マンションの部屋に入ると、リビングの壁には総司と千鶴の名間睦まじい家族写真が飾られていた。
「もうすぐ、新しく家族が増えて、あの空きスペースに家族三人の写真を飾るつもりだったんだろうな・・」
「あぁ。」
歳三達は、総司のノートパソコンを彼の書斎に見つけた。
「パスワードがかかっているな。」
「あいつの生年月日は?」
「駄目だ。」
「ヒントがないな・・」
歳三はそう思いながら、ノートパソコンの近くに一冊のノートが置かれてある事に気づいた。
中を開くと、そこには性別関係なくつけられる子供の名前が書かれていた。
その中に、“若葉”という名前が大きく丸印でつけられていた。
(これだ!)
総司のノートパソコンには、病院と武田製薬の癒着の証拠が残されていた。
「斎藤、どうだ?」
「これは、確かに総司の物です。それと、音声データが残されていました。」

斎藤が再生した音声データには、恐ろしい会話が録音されていた。

―あの男を始末しろ。
―沖田君を、ですか?
―そうだ。

「ふん、これが何の証拠になるんだ?」
「実は、この音声には続きがあるんですよ。」

―あの沖田とかいう男を、少し脅かしてやればいい。
―そんな・・
―いいか、必ずやれ。
―わかりました、武田さん・・

「ふん、わたしは必ず勝ってみせる!」
「そりゃぁ、無理だな。」
「おのれ・・」

事件解決の報告をしに歳三と原田が千鶴の病室へと向かうと、彼女は総司の姉に車椅子に乗せられて二人の前にやって来た。

「・・そうですか、ありがとうございました。」
「おなかの赤ちゃんと共に、元気に生きていってください。」
「はい・・」

半年後、歳三の元に赤ん坊を抱いた千鶴の写真が送られて来た。

“この子の名前は、若葉にしました。”

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Last updated  2021年08月27日 17時36分47秒
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(誰だ、こんな夜中に・・)

歳三がそう思いながらインターフォンの画面を見ると、そこには泥酔した八郎の赤ら顔が映っていた。

『トシさん、開けて~!』
「わかったよ、今開けるから!」
歳三がドアロックを解除すると、玄関先に八郎はへなへなとした様子で座り込んでしまった。
「おい、しっかりしろ。」
「う~ん・・」
八郎はそう唸った後、トイレへと駆け込んでいった。
「ほらよ、水。」
「ありがとう。ごめんね、急に来ちゃって・・」
「それ飲んだら、寝ろ。」
「うん・・」
翌朝、歳三が目を開けると、キッチンの方から良い匂いがして来たので、彼は寝室から出た。
「あ、トシさんおはよう。」
「八郎・・」
「今ご飯できるから待っていてね。」
八郎はそう言って、慣れた手つきでフレンチトーストを作り、それを皿の上に置いた。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。お前、料理できるのか?」
「まぁね。花婿修業の一環ってやつ?」
「へぇ・・」
八郎は嬉しそうに笑った。
「なぁ、昨日何があったんだ?」
「パパが、僕を結婚させたがっているんだ。僕は、トシさんと結婚したいのに・・」
「八郎、俺は・・」
「だから、トシさんは僕の事だけを見て欲しいなぁ。」
歳三は、八郎に何も言えなかった。
「じゃぁね、トシさん。」
「あぁ。」
警視庁へと登庁した歳三は、何やら生活安全課の方が騒がしい事に気づいた。
「土方さん、久しぶりだな。」
「あぁ。左之、何かあったのか?」
「それがよぉ、この前俺達が摘発したガールズバーの従業員の中に、芹沢さんの娘が居たんだよ。」
「それで、結婚を控えている娘の為に、“事件をなかったことにしろ”って言われたのか?」
「あぁ。ったく、上層部のご機嫌取りなんてごめんだね!」
「芹沢さんに睨まれたら、お前ぇ山奥へ飛ばされるぞ?」
「構やしねぇよ。何処へ行っても、俺は、俺だ。」
「そうか。今夜、飲みに行くか?」
「え、いいのか?」
「あぁ。ちょっとお前ぇに、相談したい事があるんだ。」
「わかった。」
その日の夜、歳三と原田は、行きつけの居酒屋に来ていた。
「とりあえずビールとフライドポテト、あとは枝豆だな。」
「あぁ。」
タッチパネルで注文した料理が来るまで、歳三と原田は互いに愚痴を吐き合った。
「芹沢には参るぜ!」
「あぁ、全くだ!」
「それにしても、珍しいな土方さん。あんたがこんな店で飲もうなんて誘うのは?」
「八郎の奴、俺以外の奴とは結婚しねぇと言いやがった。」
「そりゃ深刻だな。警視総監の息子が独身を貫くなんざ、あの親父さんが黙っていないと思うぜ。」
「もう、どうすりゃいいんだ・・」
「まぁ、伊庭さんとは少し距離を置くのが一番だな。」
「そうしてぇのはやまやまだが、八郎の奴、俺の家知ってるんだよ・・」
「厄介だな・・」
「あぁ。」
歳三がそう言いながらフライドポテトをつまんでいると、スマートフォンに着信があった。
 画面には、“沖田千鶴”と表示されていた。
「もしもし、千鶴?どうした、こんな時間に?」
『総司さんが・・』
「わかった、すぐに行く!」
「どうした、何かあったのか?」
「さっき千鶴から連絡があって・・総司が、死んだ。」
「それは、本当か?」
「あぁ。」
総司が交通事故で亡くなったと歳三達が知ったのは、その日の深夜の事だった。
「土方さん、原田さん・・」
「何があったんだ、千鶴?」
病院の霊安室の前で歳三達が会ったのは、顔面蒼白になっている千鶴だった。
彼女の話によれば、総司は迷子を交番へと届けた帰り道に、事故に遭ったのだという。
「信じられねぇ、この前、会ったばかりだっていうのに・・」
「わたしも、信じられません・・こんな・・」
千鶴はそう呟くと、痛みに顔を歪めてその場に蹲った。
「おい、どうした?」
産婦人科へと運ばれた千鶴は、切迫流産しかかっていた。
「総司の子、なのか?」
「はい。総司さんにお腹の赤ちゃんの事を話したら、とても喜んでくれて・・」
「そうか。」
「わたし、これからどうすれば・・」
「今は、休め。」
原田と共に千鶴の病室から出た歳三は、総司が迷子を送り届けたという交番へと向かった。
「えぇ、確かにこの人が、迷子を届けに来ました。その後、あんな事故が・・」
「事故を目撃されたのですね?」
「はい。急に黒塗りの車があそこの坂道で急発進してこの人を撥ねた後逃げていったんだ・・」
「轢き逃げ、か・・」
「黒塗りの車に、こんな顔の人が乗っていたな。」
そう言った中年の巡査は、一枚の似顔絵を歳三に見せた。
そこには、総司の勤務先の大学病院の院長・山田大助が描かれていた。
「一体、どういう事だ?」
「総司の死は、事故じゃねぇ。あいつは、“口封じ”の為に消されたんだ。」

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「ほらよ、弁当作って来てやったぜ。」
「本当に作って来てくれたのか、トシ!ありがとう!」
「そんなに喜ばなくてもいいだろうが・・」
歳三はそう言って美味そうに自分が作った弁当を頬張っている勇を少し呆れながら見ていると、そこへ八郎がやって来た。
「いいなぁ、僕もトシさんのお弁当、食べたいなぁ。」
「じゃぁ、俺の分もやろうか?」
「え、いいの!?」
「あぁ、作り過ぎたからな。」
「わぁ~い!」
「野郎の手作りなんて、貰っても嬉しくねぇだろうが・・」
「そんな事ないよ!あ、僕の松花堂弁当あげる!」
「お、おぅ・・」
「これ、毎日お昼に取るんだけれど、明日からトシさん僕にもお弁当作ってね!」
「わ、わかった・・」
こうして、歳三は八郎の分の弁当も毎日作る事になった。
「トシ、今日は早いな。」
「あぁ。ちょっと青山へ用事があるんだ。」
「そうか。気を付けて帰れよ!」
「わかったよ。」
珍しく定時で仕事を終わらせた歳三は、電車で青山へと向かった。
「高ぇな・・」
生まれて初めて高級スーパーへと足を踏み入れた歳三は、八郎の好物でクラブハウスサンドイッチを作ろうと、食料をカゴに入れていた。
「あら、誰かと思ったら土方君じゃありませんの?」
「伊東・・さん。」
「憶えてくだすって嬉しいわ。」
レジで並んでいた歳三は、そこで運悪く伊東甲子太郎と会ってしまった。
彼のカゴには、高級そうな白ワインとバゲットが入っていた。
「これからパーティーなのよ。あなたもどうかしら?」
「‥遠慮します。」
「あら、残念ね。では、ご機嫌よう。」
伊東はそう言った後、優雅に笑いながら歳三の前から去っていった。
(嫌な奴に会っちまったな・・)
そう思いながら歳三が自宅マンションのエントランスに入ろうとした時、一人の女児がそこに座り込んでいた。
(誰だ、こいつ?)
歳三はその時は気にせずにエントランスで入口のロックを解除して中へ入った。
「パパ~!」
エレベーターに歳三が乗り込もうとした時、エントランスに居た筈の女児がそう叫びながら歳三に抱き着いて来た。
「は!?」
歳三はそう言ってとっさに周りを見渡したが、エレベーターには自分と女児しか乗っていなかった。
女児は小学校低学年位で、背中にはキャラクター物のリュックを背負っていた。
このまま女児を放置する訳にもいかず、歳三は一晩だけ彼女を自宅で預かる事にした。
「どうして、ここにパパが居るとわかったんだ?」
「おてがみに、ここの住所が書いてあったの!」
そう言った女児は、歳三に一枚の封筒を見せた。
そこには、確かにこのマンションの住所が書かれていた。
「あのね、おばあちゃんがね・・」
「落ち着いてくれ。まずは、お前の名前を聞こうか?」
「真下えみ、7歳!」
「えみちゃん、ママは何処にいるんだ?」
「知らない。おばあちゃんは、ママはうわきして出て行ったんだって。」
「へぇ、そうか。」
「だからね、パパに会いに来たの!」
「ふぅん・・」
女児が寝た後、歳三は彼女の父親のスマートフォンの番号にかけた。
『もしもし?』
「すいません、夜分遅くに。わたくし、警視庁の土方と申します。」
歳三が事の次第を女児の父親に説明すると、彼はこれから娘を迎えに行くと言ってくれた。
「すいません、娘がご迷惑をおかけしてしまって・・」
一時間後、玄関先でそう歳三に詫びた女児の父親は眠っている娘を抱いて部屋から出て行った。
数日後、その父親から菓子折とお礼の手紙が歳三の元に届いた。
手紙によると、女児の母親は彼女が一歳の時に育児ノイローゼとなり失踪し、それ以来男手ひとつで娘を育てているという。
「そうか、そんな事があったのかぁ。」
「片親だけで子育ては大変だな。」
「まぁ、今は色々と生き辛いからな。それよりも今日の弁当は、いつもより豪華だな?」
「昨日、青山の高級スーパーへ行って来たんだ。そしたら、伊東に会ったんだ。あいつ、“昔”と変わっていなかったぜ。」
「そ、そうか。」
「それにしても八郎の奴、遅いな。」
「今日は、お父上と会食されるそうだ。」
「そうか。」
歳三と勇が二人で昼食を取っている所、八郎は赤坂の料亭で見合いをしていた。
「申し訳ありませんが、この縁談はなかったことに・・」
「八郎、待て!」
「父さん、僕はトシさん以外の人とは結婚したくないって・・」
「目を覚ませ、八郎!」
「父さんなんて、大嫌いだ!」

八郎はその日の夜、歌舞伎町のバーで酔い潰れた。

(うるせぇな・・)

深夜二時頃、歳三は誰かがドアを激しくノックする音で目が覚めた。

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Last updated  2021年08月27日 21時00分57秒
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2021年07月07日



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「薄桜鬼」の二次創作小説です。

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「漸く、この日を迎えたな。」
「あぁ、そうだな。」
半年後、歳三と勇は警察学校卒業式の日を迎えた。
「長かったなぁ。」
「そうだな。なぁ勝っちゃん、希望している所はあるのか?」
「特にないな。トシはどうだ?」
「う~ん、強いて言うなら、“花の捜一”かなぁ。爺ちゃんも父さんも本庁の刑事だったから。」
「そうか。」
警察一家に生まれた宿命なのかどうかはわからないが、歳三が交番勤務を経て捜査一課の刑事となったのは、彼が二十五の時だった。
「トシ、また会ったな!」
「勝っちゃん!」
いつものように歳三が登庁後自分のデスクで書類仕事に追われていると、そこへ勇がやって来た。
「はい、これ。どうせお前、昼飯まだなんだろ?」
「あぁ、済まねぇ。」
勇から牛丼を受け取った歳三は、美味そうにそれを食べた。
「どんなに忙しくても、飯を食ったり、寝るのは忘れたら駄目だぞ。」
「わかったよ。それよりも、あんたいつから本庁へ来たんだ?」
「一月前かな。これからもよろしく頼む、トシ。」
「あぁ。」
「トシさ~ん!」
勇と歳三がそんな事を話していると、そこへ八郎がやって来た。
「八郎・・」
「トシさん、また会えたね!」
八郎はそう叫ぶと、歳三に抱きついた。
「ねぇ、今度一緒にランチしよう!」
「わかった・・」
「伊庭さんは、どちらの所属なのですか?」
「それは、職務上教えられないなぁ、ごめんね。」
「そうですか・・」
「トシさん、また来るね。」
「わかった。」
八郎が去った後、歳三は深い溜息を吐いた。
「また、あいつと毎日会うなんてな。」
「そう言うなよ。同期生達と会えるなんて、嬉しいじゃないか。」
「そうだな・・」
「トシ、今晩空いているか?駅前に美味い飯屋が・・」
「わかった。」
「まだ最後まで言ってないぞ?」
「昔からあんたが何かを言おうとしている事はわかるんだよ、俺には。」
「かなわねぇな、トシには。」
「なぁ、昔もこうして、二人で他愛のない話をしていたな。」
「あぁ、そうだったな。」
そんな二人の会話を近くで聴きながら、八郎は悔しそうに唇を噛み締めその場から去っていった。
「伊庭さん、こちらにいらっしゃったんですね?」
「あぁ。」
「お父様があなたをお呼びです。」
「は~、仕事帰りに飲むビールは美味ぇな!」
「そうだな・・」
「勝っちゃん、どうした?」
「いやぁ、昔は下戸だったお前が、酒飲みになるなんて思わなくてな。」
「そ、そうか?」
「まぁ、昔とは違うのかもしれんな。なぁトシ、他の皆とは会えているか?」
「あぁ。山南さんと斎藤は鑑識課で会ったし、原田達とは昨日生活安全課で会ったな。」
「生活安全課かぁ・・二人にはぴったりだな。」
「まぁな。」
勇はそう言いながら、フライドポテトにマヨネーズをつけた。
「そんな物ばかり食っていると、太るぜ?いつもどんなものを食べてんだ?」
「う~ん、いつもコンビニ弁当かカップ麺かなぁ。偶にファミレスへ食べに行くが・・」
「ったく、あんたって人は・・わかった、明日から俺があんたに弁当を作ってやるよ。」
「いいのか!?」
「あぁ。」
「そうか。いやぁ、一人暮らしだと中々自炊する機会がなくてな、助かるよ。」
「アレルギーはねぇか?」
「ないよ。」
「そうか。それにしても、今世でも俺があんたの女房役をするなんて、思いもしなかったな。」
「はは・・」
駅前の居酒屋で勇と別れた後、歳三が駅前のスーパーで勇の弁当の食材を選んでいると、お菓子売り場の方で人の怒鳴り声が聞こえて来た。
「だから、これはこの前買ったでしょう!」
「いやだ~!」
「もう、いい加減にして!あんたの世話で毎日疲れてるの!」
てっきり会話を聞いて、歳三は幼子を叱る母親の声なのかと思ってお菓子売り場の方を見ると、そこには六十代の母親と思しき女性をひたすら叱っている三十代前半の女性の姿があった。
「もう帰るよ!」
「お菓子~!」
「お菓子はなし!」
やがて母娘と思しき女性達は、レジで会計を済ませ店から出て行った。
「あの人達、いつも来るのよ。」
スーパーの店員が、歳三がレジで会計をしている時にこっそりとあの女性達の事を教えてくれた。
「あの人、六十代の方ね・・ここで前はバリバリと働いていたんだけれど、前の店長から酷いパワハラを受けてねぇ・・精神的におかしくなって、ここに買い物に行く以外は、殆んど家に引き籠もっているのよ。娘さんは、わざわざ仕事を辞めてあの人の世話をしているのよね・・」
「そうなんですか・・」
「まぁ、他人の家庭に口出ししている暇があったら、仕事しないとね。」

スーパーから出て帰宅しても、歳三はあの母娘の姿が頭から離れなかった。

特にあの、娘の方の思いつめた表情が。

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Last updated  2021年07月07日 17時25分31秒
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2021年07月03日



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「まさか、“人違い”で誘拐されたなんて、とんだ笑い話だぜ!」
「あはは、そうだね!」

その日の夜、伊庭家の別荘の中庭で、歳三達はBBQの準備をしながら昼間の事を話していた。

すると、別荘の前に一台の黒塗りのリムジンが停まり、中から金髪紅眼の青年が、彼の秘書と思しき男と降りて来た。

「すいません、道が混んでいて遅れました。」
「いや、今始めようとした所だ。」
「何だ、あいつら?」
「さぁ・・」
「もしかして、大物か?」
歳三達がそんな事を話していると、件の青年が彼らの元にやって来た。
「何だ、てめぇ!?」
「俺達に何か用か?」
青年は無言で、高級肉の塊(大量)を差し出した。
「千景様、ちゃんとお肉は渡せましたか?」
「あぁ。」
「“彼”とは、話せましたか?」
「いや・・少ししか話せなかった。それよりも天霧、肉は何処で調達した?」
「知り合いの伝手で頼みました。」
「まさか、薄桜鬼が我々と違う世界に居るとはな。」
「ええ、わたしも驚きました。今世では、協力者同士となると思っていましたが、運命は残酷なものですね。」
「俺は、運命などというものは信じん。」
「貴方様は、昔からそうでしたね。」
天霧は、そう言うと溜息を吐いた。
「なぁ、あいつ一体誰なんだ?」
「さぁ・・」
「あ、どこかで見た顔だと思ったら、あいつ風間コンツェルンの社長だよ!」
「えぇっ!?」
「土方の人脈、一体どうなってんだ!?」

(ややこしい事になっちまったな・・)

「トシさ~ん、この世で一番好きなのは、誰だ?」
「おい、どうした急に?」
「ねぇ、僕だよね?僕だって言ってよ、トシさん!」

そう言った八郎の目は、笑っていなかった。

「もう僕、置いて逝かれるのは嫌なんだ!だから・・」
「うるさいぞ、黙れ。」
「何するのさ!」
「頭を冷やしただけだ。」

そう言った千景の手には、氷水が入ったグラスが握られていた。

「僕は・・」
「少し、向こうで話そうか?」
「わかったよ。」

(あいつ、大丈夫か?)

「ねぇ、僕と話したい事って何?」
「お前には、“昔”の記憶はあるのだろう?」
「うん、あるよ。それがどうかしたの?」
「貴様は、“昔”から変わっていないな。何故それまでにあやつに執着するのだ?」
「トシさんは、僕の全てだから。トシさんだけなんだ、僕をこんなに夢中にさせてくれるのは。昔から、僕はトシさんの事が好きなんだ。誰にも渡したくないんだ・・勇さんにも。」

(病んでいるな。)

「だから、僕の邪魔をしないでよね?」
「わかった。」

(こいつとは、余り関わらない方が良いな。)

八郎と対峙しながら、千景はそう思った。

「トシさん、別荘楽しかったね!」
「あぁ。」
「今度は二人“だけ”で行こうね!」
「わかった・・」

悪夢のような週末を伊庭家の別荘で過ごした歳三は、知らない内に疲労が溜まっている事に気づかなかった。

「どうした土方、顔色が悪いぞ?」
「大丈夫です・・」
「何かあったら、医務室に行くんだぞ。」
「はい・・」

午前中の教練は何の支障もなく受けられた歳三だったが、昼食を取ろうと食堂へ行こうとした時、急に寒気に襲われた。

「トシ、どうした?」
「ちょっと気分が悪いから、医務室に行って来る。」
「一緒に行こうか?」
「頼む・・」

勇に肩を貸して貰いながら、歳三は医務室へ向かった。

「風邪だね。風邪薬を飲んで暫く横になるといい。」
「わかりました。」
「トシ、付き添わなくても大丈夫か?」
「ガキじゃねぇんだから、大丈夫だよ。」
「そうか・・」
「もう戻った方がいいぜ。また教官に怒鳴られるのは嫌だろう?」
「わかった・・」

勇は暫く歳三の手を握っていたが、やがて名残惜しそうに彼の手を離し、医務室から出て行った。

「土方、どうだった?」
「風邪だったよ。」
「週末、色々とあったからなぁ。」
「色々?」
「後で話すよ。」
「わかった。」

そんな勇達の会話を、八郎は何処か恨めしそうな顔をしながら聞いていた。

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2021年06月27日



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(何で、俊郎さんがここに?)

「全員、整列!」
「トシ?」
「いや、何でもない・・」
「・・久しぶりだね、歳三君。元気そうで良かった。」
「ト、トシ!?警視総監と知り合いなのか!?」
「ま、まぁ・・」
「な、なんだって!?」
「そこ、騒ぐな!」
「すいません!」
「いや、いい。土方君は、わたしの友人の子供でね。彼が子供の頃からの知り合いだ。」
「は、はぁ・・」

―おい、今の聞いたか?
―土方が、警視総監と知り合いだってよ!
―すげぇ人脈だな・・

この事で、歳三は暫くの間同期達の間で気まずくなった。

「やぁ、良く来てくれたね!」
「お、お邪魔しま~す。」
「何だここ、すごいな・・」

週末、歳三達は八郎に招待されて伊庭家の別荘に来ていた。

「今日は、ゆっくりしていってね!」
「は、はぁい・・」

(そんな事言われても、寛げるわけねぇだろ・・)

歳三は、勇とは本当は彼の実家に遊びに行きたかったのだが、伊庭家の別荘に招待された事を知った由紀子が、“そちらの方を優先しろ”と言ってきたので、仕方なく同期達と伊庭家の別荘へとやって来たのだった。

「おや八郎、来たのか?」
「パパ~!」
「け、警視総監!」
「お邪魔しております!」
「いや、そんなにかしこまらなくてもいいよ。ゆっくりしていきなさい。」

(いやいや、それは出来ねぇよ・・)

警察組織のキャリア“雲の上の存在”である伊庭父子相手に“ゆっくりしていけ”と言われても、己の一挙手一投足でその後の警察官としてのキャリアが決まるのだからゆっくり出来る訳がない。
悲しいかな、それが警察官というものなのだ。

「トシさん、みんなでバドミントンやろう!」
「わ、わかった・・」
「あ、俺もやります!」
「俺も!」

こうして歳三達は伊庭家の広大な別荘の庭でバドミントンをする事になったが、皆八郎に忖度して本気を出そうとしなかった。

「つまんないなぁ、もぅ。」

(まぁ、そうなるよなぁ・・)

「トシさん、行くよ~!」
「あ、おい、待て・・」

八郎が飛ばしたシャトルは、茂みの中へと消えていった。

「あ、ごめん~!
「俺が取って来るから、八郎達は先に別荘の中へ戻っていろよ。」
「うん、わかった。」

八郎達が別荘の中へ戻ると、俊郎の書斎から彼が好きなオペラのメドレーが聴こえて来た。

「何か飲む?」
「じゃぁ、俺アイスコーヒーで。」
「オッケー!」

八郎達は、別荘の居間でアイスコーヒーを飲みながら歳三が戻るのを待っていた。

「どうしたんだろう?トシさん、遅いねぇ。」
「俺があいつの携帯にかけてみようか?」
「勇さん、トシさんの携帯の番号、何で知っているの?」
「いや、警察学校に入学する前、連絡を取り合う為にお互いの連絡先を交換したんだ。」
「へぇ、そうなの・・」
「何だろう、さっきからかけているんだが繋がらないな。」
「ねぇ、もしかして何か大変な事に巻き込まれているんじゃないのか!」
「そうかもしれない!」

八郎達が別荘の中庭へ向かうと、そこにはバドミントンのシャトルと歳三の携帯電話が茂みの中に落ちていたが、歳三本人の姿はなかった。

「どうしよう、トシさんが・・」
「八郎、何かあったのか?」
「パパ、トシさんが居ないんだ!」
「慌てるな。すぐに近くの警察に通報しろ。おそらく、まだ彼と、彼を拉致した犯人は遠くには行っていない。」
「わかった!」

八郎達が地元警察と協力して歳三の消息を探している頃、その本人は見知らぬ車のトランクに閉じ込められていた。

(畜生、早くここから出ねぇと!)

歳三はトランクの蓋に手を掛けると、そこはロックされておらず難なく開いた。
 一か八か、彼はトランクから身を乗り出してそこから脱出した。
地面を転がり、何とか立ち上がった歳三は、全身傷だらけになりながらも伊庭家の別荘へと戻った。

「トシさん!」
「トシ、大丈夫か!?一体何があったんだ!?」
「それは後で話す。それよりも、救急車呼んでくれ。」

歳三はそう言った後、気を失った。

「トシさん、しっかりして!」
「トシ~!」

歳三が病院に運ばれた後、彼を拉致しようとした犯人二人組が警察に逮捕された。
彼らは、身代金欲しさに八郎を誘拐しようとしたが、“人違い”で歳三を誘拐してしまったのだった。

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Last updated  2021年06月27日 20時06分41秒
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「トシさ~ん!」
「げっ」
警察学校に入学してから、一ヶ月が経った。
大型連休が終わり、歳三達が食堂で帰省話に花を咲かせていると、そこへ八郎がやって来た。
「トシさん、どうして軽井沢の別荘に来てくれなかったの?トシさんの誕生日を盛大に祝いたかったのにぃ!」
「済まねぇ、忘れていた。」
「ひどい~!」
八郎はそう言って嘘泣きすると、歳三にしなだれかかった。
「ねぇトシさん、今度の日曜、一緒に出かけたいなぁ。」
「悪い、その日は予定があるんだ。」
「え~!」
「八郎、うっとうしいからそろそろ離れてくれねぇか?」
「嫌だよ~!」
歳三は困惑したような顔で同期達に助けを求めたが、彼らは皆気まずそうに俯いていた。
「トシ、こんな所に居たのか、探したぞ!」
「勝っちゃん!」
「あ、トシさん!」
歳三は勇の姿に気づくと、八郎達が居るテーブルから離れた。
「あ、みんなも今度の日曜、うちに来てね。」
「は、はい・・」
「是非、行かせていただきます・・」
警察は完全なる縦社会。
その場に居た者達は皆、誰も断れなかった。
「なぁトシ、またノート見せてくれないか?」
「あぁ。それにしても勝っちゃん、目の下に黒い隈出来てるぜ?」
「あぁ、昨夜徹夜で勉強していてな。」
「余り無理するなよ。一夜漬けは身体に悪いぜ。」
「あぁ、わかった。」
勇はそう言うと、歳三からノートを受け取った。
「トシの字は、いつ見ても綺麗だなぁ。」
「そうか?」
歳三がそう言いながら自分を見つめているその姿は“昔”と変わっていなかった。
「どうした?」
「いや、何でもない。」
そんな二人の姿を、八郎は恨めしそうな目で見ていた。
「おい、どうしたんだ?」
「いいえ、何でもありません。」
「そうか。丁度良い、君に話がある。」
「わかりました。」
教官と共に廊下を歩いてゆく八郎の姿を見ながら、彼と同期の佐々木と宮本は、こんな話をしていた―
「また、あいつ教官に呼ばれているよ。」
「あいつ、父親が警視総監だからな。教官も色々と必死なんだろうよ。」
「そういや、土方も家が伊庭と同じ警察官僚だったよな?金持ちの家に生まれた奴は良いよなぁ。」
「本当、“上級国民”ってカンジ。」
二人の会話を、密かに聞いている者が居た。
「教官、お話というのは?」
「今朝、君の父上から電話があってね。何故警察大学校ではなく、警察学校へ来たんだ?」
「好きな人がここに居るからです。」
「それだけか?」
「はい。」
「君は大変優秀なのに、その能力を活かそうとは思わないのかい?」
「いいえ。」
「そうか。では下がりなさい。」
「はい、失礼致します。」
午後の授業は、体術と逮捕術の訓練だった。
「え、土方十人抜き?」
「マジで!?あの顔でやるなぁ!」
「やるって言ったら、伊庭もすげぇよなぁ。」
「二人共向かう所敵なしって感じだよな。」
「トシは相変わらず強いなぁ。」
「え、近藤さん二人の事を知っているんですか?」
「あぁ。トシとは、子供の頃から同じ剣道教室に通っていたからな。国体にも出た事があったなぁ。」
「へぇ~」
「それで、近藤はどうなんだ?」
「俺はまぁ・・二人程、強くないかなぁ。」
そう言って笑った勇は、歳三と同じ十人抜きだった。
「トシさん。」
「八郎、どうした?」
「ねぇトシさん、本当に僕と付き合ってくれないの?」
「済まねぇな、俺ぁもう・・」
「どうして、僕じゃ駄目なの?」
「俺は、昔から勝っちゃんの事が好きだった。でも、あの時は・・」
「あの時、トシさんは勇さんに未練があったから、その想いを叶えようとしている訳?」
「あぁ、そうだ。」
「そう・・じゃぁ、僕も遠慮しないからね。」
「八郎?」
「トシさんがそのつもりなら、僕もトシさんを諦めないからね。」

そう言った八郎の瞳は、昏い光を宿していた。

(一体八郎の奴、何だったんだ?あいつらしくもねぇ・・)

そんな事を思いながら、歳三は夢も見ずに眠った。

翌朝、歳三が目を開けてベッドの中で寝返りを打っていると、突然廊下が騒がしくなった。

(何だ?)

「トシ、起きろ!」
「どうしたんだ、勝っちゃん?」
「警視総監がいらっしゃったんだ!すぐに制服に着替えて整列しろってさ!」
「わ、わかった!」

何が起きたのかわからぬまま、歳三が勇と共に制服姿で校庭へと向かうと、そこには八郎の父・俊郎の姿があった。

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Last updated  2021年06月27日 20時04分25秒
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2021年05月26日



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「え、ホームパーティー?」
「あぁ、今週の日曜日に、友達も誘っていいって、母さんが。」
「わかった。」
「じゃぁ勝っちゃん、またな!」
「あぁ!」
剣道教室が終わり、歳三は由紀子に、勇をホームパーティーに誘っていいのかどうかを尋ねると、彼女は誘っても良いと答えた。
「トシちゃんのお友達だから、パーティーに誘ってもいいに決まっているでしょう。トシちゃんのお友達にも一度会ってみたいし。」
「ありがとう、母さん!」
日曜日、土方家でささやかなホームパーティーが開かれた。
「うわぁ、すげぇ!ご馳走が沢山ある!」
「勇君、沢山食べてね。」
「はい!」
テーブルには、唐揚げやエビフライ、フライドポテトやオニオンリングなどが並べられていた。
「勝っちゃん、向こうに行って遊ぼうぜ!」
「あぁ!」
勇と歳三は、土方邸の中庭へと向かった。
そこには、美しい池があった。
「トシの家は凄いな!」
「大した事ねぇよ。」
「トシは小さい頃から俺と生きる世界が違うんだなぁ。」
「そんな事はねぇ!俺は、ずっと勝っちゃんを・・」
「トシ、危ない!」
歳三は池の辺りの雑草に足を取られ、そのまま池へ転落した。
必死に池から上がろうとしたが、振袖の所為で身体が動かない。
(畜生・・)
「トシ!」
激しい水音と共に、勇が歳三を抱え、池から上がった。
「トシちゃん、トシちゃん!」
「すいません、池に落ちちゃって!」
「トシちゃんを助けてくれてありがとう、勇さん。」
「いいえ、当然の事をしただけです。」
「ありがとう、本当にありがとう。」
病院に運ばれた歳三は、少し水を飲んだだけで、命に別条はなかった。
「今日はうちに泊まっていって。」
「え、でも・・」
「いいわよね、あなた?」
「あぁ、構わないさ。歳三の命の恩人だからな。」
歳三の父・隼人は、そう言って勇を歳三と同じ色の瞳で見た。
「勝っちゃん!今夜は一緒に寝ようぜ!」
「あぁ。」
その日の夜、歳三は勇と一晩中“昔”の話をして盛り上がった。
「おやすみ、八郎。」
「おやすみなさい、お母様・・」
(トシさんに、会いたかったなぁ・・)
熱を出して土方家のホームパーティーに行けなかった八郎は、そう思いながら眠った。
「おはよう、トシさん!」
「八郎、風邪はもう治ったのか?」
「うん。ホームパーティー、来られなくてごめんね。」
「別に気にすんなって!」
「ねぇトシさん、来週誕生日だよね?何か欲しい物はない?」
「ねぇな。」
「そう。」

五月五日。

その日は歳三の七歳の誕生日で、由紀子は朝から誕生会の準備をしていた。

「母さん、朝から張り切っているな。」
「まぁそうだろ、昔は七歳っていったら、神様にご報告をして、盛大に祝う日だからなぁ。」
「だから俺、今日も女装しているのか・・」
「もう女装しなくてもいいぞ、トシ。:
「ふぅん・・」
「トシさん、誕生日おめでとう!今日も綺麗だよ。」
「ありがとう。」
その日、歳三は真紅の振袖姿で、真紅のリボンで黒髪を飾っていた。
「トシちゃん、誕生日おめでとう。」
「ありがとう。」
「これからも元気で居てくれよ?」
「うん、父さん!」
「トシさん、大人になったら、僕と結婚して下さい!」
「え・・」
「こら、歳三君は男だぞ?」
「僕達が大人になったら、男同士でも女同士でも結婚できる時代になるよ!」

それから、十五年の歳月が経った。

「勝っちゃん!」
「トシ!」

桜舞う季節、勇と歳三は警察学校の入学式で再会した。

「これから一緒に頑張ろうぜ!」
「あぁ!」

警察官の新しい制服に身を包んだ二人は、緊張した面持ちで校長の挨拶を聴いていた。

「総代、伊庭八郎!」

―え、あいつが・・
―そんな・・
―嘘だろ?

「はい!」

そう言って壇上にあがったのは、幼馴染の伊庭八郎だった。

彼は、歳三と目が合った瞬間、嬉しそうな顔をして笑った。

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